たしか中学３年の国語の授業のときだったと思うが、教師が教室の空気を和らげるべく、「ブスという言葉の本当の意味を知っているか？」と訊き、誰かが「ブスッとしているから」と答えた。私は関西育ちなので、むこうで言う「ブサイク（不細工）」から来ているのではないかと思ったが、ふとあることを思い出して、「どく（毒）？」と言った。すると、教師が「よく知っているなぁ」と笑った。 もちろん、私はブスの語源は知らないが、プロ野球の東急フライヤーズに毒島（ぶすじま）章一という中心打者がいるので、もしかしてと思ったのだ。 不美人のことをブスと言うのは、本当に毒から来ているのかどうか現在でも知らないけれど。 夏の海岸でビキニ姿の女性が甲羅干しをするのを見るのは、目の毒か目の保養か。私は、砂浜もセミヌードも、どちらもまぶしいのでサングラス越しに眺めるが、少なくとも毒ではないと思う。 祖母は、祖父が長い間庭いじりをしているときなど、「あまり陽にあたると、体に毒ですよ」などと言い、この「体に毒」という言葉をよく受かっていたから、もし長生きしていたら、私に向かって、「お酒は毒ですよ」と繰り返し注意しただろう。 たしかに、酒は一種の毒薬であり、同時に百薬の長である。前者に傾くか後者を選ぶかは、その人の自制心かと思うが、ま、そんなことより、毒薬は美味なんだよなぁ。