Takepuのブログ

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李長春が本出版

2014-12-27 00:08:16 | 時事
党籍剥奪が決まった周永康と同様に、前の胡錦濤政権下のトップ9の序列5番目だった李長春・前政治局常務委員が、遼寧省や瀋陽市の指導者だった時代の講話や文章などをまとめた本が出版された、と中国のメディアが伝えた。



この本について報じた中国メディアには、1989年の第2次天安門事件のきっかけをつくった胡耀邦・元党総書記と一緒に写った写真や、江沢民・元党総書記兼国家主席と並んだ写真、周恩来夫人の頴超・元全人代常務副委員長と手を握った写真などが人民日報のサイトを引用する形で掲載されている。

このなかで特に、胡耀邦と写っている写真はいろいろと考えさせられるものだ。たしかに胡耀邦はその開放的な性格で、いまでも中国人民に人気があるとされる。「天が落ちても2人(胡耀邦と趙紫陽)が支えてくれる」と小平に言わしめた胡耀邦だったが、1988年末に安徽省合肥や陝西省西安、上海などで発生した学生デモの処理を誤ったなどとして党長老の怒りを買い、最終的にはその小平が長老の声に押されて処分を決断、1989年1月に総書記の職を解かれた。その後、温家宝・前首相が胡耀邦を回顧した文章を人民日報に載せるなど、事実上の「名誉回復」をしつつある。天安門事件の直前、学生デモに同情的な姿勢を示した、小平が今も中国の最高意思決定者であることを西側メディアに漏らした、などとして総書記の職を解かれて失脚、いまも名誉回復がされていない趙紫陽とは対照的だ。

その人気者の胡耀邦と一緒に写っている写真を李長春は選択している。

また、江沢民と写った写真はともかく(江沢民によって中央に引き上げられた江沢民一派のため)、これまた人民に人気の高い頴超さんと一緒に写った写真を載せている。


李長春といえば当時の9人の政治局常務委員なかでメディア規制、宣伝を担当していた。米グーグル・ハッキング事件の際、周永康と一緒に攻撃を指示したと、「ウィキリークス」が公開した米外交公電に書かれていた、とされている。周永康とつるんでいろいろ悪さをしていた、という未確認な報道もある。

すでに政治局常務委員を引退した李長春だが、江沢民に忠誠を誓いつつ、自分は胡耀邦や頴超とも親しかったぞ、と自分の活動を宣伝することで、周永康失脚のとばっちりを受けないようにアピールしているのではないか。周永康を打倒するなど上海閥、江沢民閥壊滅を進めている習近平に、自らの潔白、というより、人民に人気のある胡耀邦、頴超の威を借りて、追及を免れようとしているのではないか。そうとも見られるようなタイミングと意味合いの本出版だ。


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