Takepuのブログ

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劉雲山と習近平の関係

2013-01-17 14:15:47 | 時事
保守派と目される劉雲山・中央政治局常務委員(前党中央宣伝部長)が後任の中宣部長になった劉奇葆・中央政治局委員(中央書記処書記、前四川省党委書記)と組んで「南方週末」問題を引き起こし、改革派に歩み寄った習近平総書記の目の上のタンコブなっている、との中国の政治学者の話を紹介した。
ところが、ちょっと違う動きが出てきている。劉雲山が中国共産党中央党校の校長に就任したことが確認された。16日付の中国各メディアが報じた。写真は16日付人民日報1面。

15日に中央党校の卒業式が挙行され、校長の劉雲山・中央政治局常務委員が卒業証書を手渡した、とだけ記されている。校長として演説したなどとの記載はない。

中央党校校長の前任者は習近平・党総書記。その前は曽慶紅・元国家副主席。江沢民が総書記になったときに上海から連れてきた江の懐刀にして今でも太子党を裏で操る黒幕だ。胡錦濤・国家主席(前党総書記)は曽の前に校長になっている。校長経験者はみんな偉くなっている。

中央党校は、中国共産党中央委員会直属の高級幹部養成機関で、共産党の理論を学ぶ場で校長の思想的な影響力は大きく、また卒業生たちは確実に党幹部に成長していくため、広くて深い人脈を作ることのできる重要ポストだ。総書記になったばかりの習近平が、中央書記処書記時代に兼任していた中央党校校長の職を劉雲山に渡したということは、習が劉を重要視しているあらわれ、と香港各紙が見解を示している。
もはや「目の上のタンコブ」どころか、運命共同体、ぐらいの位置づけなのかもしれない。「南方週末」事件を経て、習側が劉側になびいたのか、あるいは互いに手を結ぶ何らかの出来事、契約があったのか。汚職や腐敗が積もり積もって中国共産党一党独裁統治が危機を迎えている中、安定団結を求めたのか、今後の政局運営をみていかないとわからないが、興味深いニュースではある。

中文ニュースサイト「多維新聞」は、「日本のあるメディア(朝日新聞ですね)は『南方週末問題の中宣部の処理に対して習近平が不満を示した』などと報じて、二人の劉は習と不和だとのレッテルを貼ったが、中央党校校長に劉雲山がなったとのニュースは、このような伝聞が事実ではないと認めることができる」としている。胡錦濤時代に劉雲山は李長春の元で中央宣伝思想工作指導小組組長を務めていたが、昨年11月の第十八回党大会で、中央政治局常務委員会の構成が9人から7人に減員となったことで、劉雲山は中央書記処書記、中央党校校長、党建設工作指導小組組長、中央精神文明建設指導委員会弁公室主任を務めることになった。習近平と李長春が掌握していた権限を劉雲山が一手に握ったということになる。当面、習が中共の党政軍を全面掌握したという情勢下で、劉雲山は習指導部の核心的なメンバーの一人として宣伝部門の主要な担い手になるということだという。

ということで、これが「南方週末」問題に対して習近平・総書記が新聞社や記者らに同情的なスタンスを示さず、前中宣部長で宣伝担当の政治局常務委員と共闘していく姿勢を示していくなら、言論の自由より共産党一党独裁の維持を最優先するというのが今の政権の立場なのだろう。


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