Takepuのブログ

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日中歴史研究

2009-12-25 02:26:08 | 時事
日中の有識者による共同歴史研究の第4回会合が24日、都内で開かれ、古代史から近現代史までの報告書が1カ月以内に公表されることが決まった。「戦後史」部分は、日本側が「評価が難しく日中の隔たりが大きい」、中国側が「一般民衆に与える影響を考えなければ」と公表を見送った。この日公表された報告書の「総論」では、近現代史で「戦争の本質と戦争責任の認識に関し、相互に理解するにはかなりの困難が存在する」--。当然である。今後も研究を続けると日中で決まったことが画期的であり、このような状況が今後も続いていくように見守る必要がある。中国側が「日本には歴史認識において、中国とは違う意見が存在する」ということを認識した上で、話を続けようと構えているのは一定の進歩だ。
この研究は、小泉純一郎首相時代の靖国神社参拝で噴き出た「歴史認識」問題で生まれたあつれきを緩和するため、06年の安倍晋三首相と胡錦濤国家主席(共産党総書記)の会談時に合意された。「総論賛成、各論反対」となるのはやむを得ないが、それをもって中国側を批判するのも、現段階では正しくない。

おそらく、日本の新聞、特に右傾化が顕著な言論界では、例えば南京大虐殺の記述について「虐殺されたのは30万人」という中国側の主張と、日本側の「数万から20万人」が相いれず、両論併記することについて否定的な見解が出されるだろうが、それは中国側の状況をあまりにも知らない。(写真は南京大虐殺祈念館の入り口に作られた彫像)

中国共産党は、プロレタリアート人民民主独裁をうたって今も政権を維持している。「独裁」してもいい、という言い訳は、日中戦争で中国を侵略した日本軍国主義を追い払い内戦で勝利し中国を「解放」したからだ、というのが彼らの主張だ。もちろん反対意見をいう人、いわゆる「反体制派」や「分裂主義者」をいやおうなく武力で鎮圧している。89年の天安門事件や、昨年のチベット暴動、今年の新疆ウイグル自治区での暴動もそうだ。
その中国共産党の天下で、日本軍国主義を肯定し共産党の見解を曲げるのは、共産党の政権維持の正統性をゆるがすもので、絶対に譲れない。共産党が30万人といったら、本当は違っても、共産党が変えない限りは30万人といい続けなければならない。この研究会に参加した中国側研究者は、それぞれの分野のトップクラスだが、体制に迎合したがゆえにトップになれるわけで、彼らがこの共産党の方針を変えられるわけがない。

もちろん僕はそのような体制を賛成しているわけではない。彼らに民主化を要求し続けることは当然のことだ。

それでも、このような前提で今回の研究会の結果を考えなければならない。現在の共産党政権が続くのならば、日中でこれらの分野で相容れることは出来ない。それでも共同研究を続けようというのだ。もしいつか現政権の性格が平和裏に代わることがあれば、本当に歴史的見地から結論を出すことが出来るのかもしれない。ものを言わず見守るのはいけないが、向こうが変えることが出来ない部分も変えろ、と言い張るのは意味がない。
日本国内であっても歴史教科書問題でもめている。国が異なればもっともめるのは当然だ。右寄りの声高な主張をそのまま聞いて、中国は偏向しているとの論調に乗っかるのは危険だ。


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