最上の自然

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タダコブとマヤサンの区別点

2019-09-28 20:52:04 | カミキリムシ
秋は毎年恒例のコブ叩きのシーズン私は絶賛ド嵌まり中。

国内にはタダコブ・マヤサン・タニグチ・フジ・セダカ・ヤクシマの6種類のコブヤハズカミキリがいる。
新潟県内では普通のコブヤハズカミキリ(タダコブと亜種サドコブヤハズ)とマヤサンコブヤハズカミキリ(亜種チュウブマヤサンコブヤハズカミキリ)の2種類が生息している。

左がコブヤハズカミキリ、右がマヤサンコブヤハズカミキリ。共に♂で、2014年の採集品。

基本的な形状はそっくりだが、両種の区別は一目瞭然で、上翅に白い紋があるのがタダコブ。黒い紋があるのがマヤサン。
他に、触覚が黒一色とツートンになることが区別点に挙げられることもあるが、両種ともどちらのタイプも出てくるので区別点としては不適当。この辺りは過去記事へ。

上翅の斑紋で簡単にわかるならそれでいいのだが、ここからがコブヤハズの恐ろしいところ。
コブヤハズカミキリの仲間は互いに非常に近縁なので、多くの組み合わせで雑種(ハイブリッド)が出来てしまう。基本的にはそれぞれの種類は違う場所に生息しているので出会うことはないのだが、分布の境界では結構な高頻度で雑種が形成されていて、種としてどうなんだ?という話題もちらほら。
県内では佐渡ヶ島にコブヤハズ(亜種サドコブ)、上越・中越・下越にコブヤハズ(タダコブ)、上越にマヤサン(亜種チュウブ)がそれぞれ生息しており、上越地方にはタダコブとマヤサンの分布の接点がある。当然接点では雑種が形成されるのだが、タダコブ×マヤサン(もしくはマヤサン×タダコブ)の組み合わせだけではなく、戻し交配や雑種同士での交配なども行われているようで、形態変化に非常に富む。
接点周辺も過去にそれぞれの血が入っているのか知れないが、変な個体が採れることがあり、上翅の斑紋だけでは一体どっちの種なのか(もしくは雑種か)が分かりにくいこともある。
そこで、それぞれの種のその他形態差を比較する必要があるのだが、それがなかなかわかりにくい。
以下、タダコブとマヤサンの区別点とされるとこ。参考


・上翅の斑紋部分(タダコブは白、マヤサンは黒)
・側稜線の隆起(タダコブは滑らかに続く、マヤサンは斑紋部で内側に曲がり、翅端では不明瞭)
・側稜線の顆粒列(タダコブは顆粒が多く、マヤサンは少ない)
・会合部後方の小顆粒(タダコブは側稜線顆粒より少なく、マヤサンは多い)
・上翅後方の凹陥部(タダコブは凹む、マヤサンは平坦)
他には上翅の色彩、体型などなど。大雑把にはこんなところ。しかし、いずれの区別点も個体差が大きく、例外が出ることもしばしば



なんか長くなってしまったので、続きは次回!