2020/09/23
「夭折の天才歌人でなかなかに手強い歌を詠んでいるかな[前川佐美雄に師事][]」
「ひややけき彫刻台にかけのぼりまなこまで石化してゐたる犬
[杉原一司/いろいろと気になることの多い歌犬は本物眼の石化][]」
「とめどなく撞球台をあふれでるなめくぢと窓に見える砂漠と
[杉原一司/撞球台のどこからなめくぢ出でくるかおまけに砂漠わけわからない][短歌]」
「内面にあぶら蟲栖む階段を夜に日にくだるあめいろの液
[杉原一司/階段を下るは液で油虫なかに含めるそんな液だと][短歌]」
「ゆびさきは繊毛となり核となり夜はとうめいな粘液となり
[杉原一司/指先と夜の対比も関係はかき回すのか指の先にて][短歌]」
「孵卵器の卵くるしげにひずむころ不潔な神話世に流布しだす
[杉原一司/感覚が鋭敏過ぎて追い付けず不潔な神話はおもしろきかな][短歌]」
「雲ふかく没するほそき吊革にぶらさがつてるおびただしい手
[杉原一司/雲ふかく没するものは太陽も細きつり革ピンと来ないが][短歌]」
「フラスコや振り子はらばふ磐の影橙をけしていま寝る深海魚
[杉原一司/フラスコや振り子と同じ場所にいる深海魚とはいかなるものぞ][短歌]」
「午後三時愛原さん宅伺えり歌稿をもって打合せする[][日記]」
「愛原さん『本作り』の本執筆の途中経過の査読頼まれる[][日記]」