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「新しい年は来て去り玉づさの勅使が来ねば霞立ち長き春日を天地に心をつくすたらちねの母の飼ふ蚕コの繭隠マヨゴモり息くるしくて吾が恋ふる心のうちを人に言うものではないので松の根の待つこと遠く天伝ふ日が暮れたので白妙のわが衣手も通って濡れる()」
「あら玉の 年は来去りて 玉づさの 使の来ねば 霞立つ 長き春日を 天地に 思ひ足らはし たらちねの 母の飼ふ蚕コの 繭隠マヨゴモり 息づき渡り 吾が恋ふる 心のうちを 人に言はむ ものにしあらねば 松が根の 待つこと遠み 天伝ふ 日の暮れぬれば 白妙の 我が衣手も 通りて濡れぬ(#13.3258)」
「かくのみし相思モはざらば天雲の外ヨソにそ君はあるべくありける(反し歌 #13.3259 右二首。)」
「このように薄情ならば天雲の外にと君はあるべきなのか()」