暇つぶし日記

思いつくままに記してみよう

オランダにも遂にこういう波が来たか

2011年04月11日 17時35分18秒 | バンバン


うららかな土曜の午後2時ごろ、青空マーケットで買い物をしていてなじみの、摘みのナッツ類を売る店でカシューナッツの量り売りをしてもらっていたら店の娘の携帯に電話が入った。 片手で携帯、片手で紙の袋にのろのろと私の注文したものを掬い入れていたのだが、みるみる顔が曇り、ひどいこと、、、、それで、、どうしてるの、、、ほんとにひどいことね、、、ひどい、、、と言いながら、電話を切ったから、どうしたのだと訊ねると、知人の知人が事件に巻き込まれて病院に担ぎ込まれたらしい、と言う。 事件の概要をきいて、犯人が射撃クラブの会員でなかったらいいのだけどね、もしそうだとするとオランダ射撃連盟に所属している我々にもこれから風当たりが強くなる、大抵こういう銃のからむ事件の99%以上が違法の銃であり、射撃クラブの会員がからむ事件だったら家族を巻き込んだ自殺用に使うことがあるけれど、このように自動小銃を乱射して他人を沢山巻き込む事件は今までにオランダではなかったな、お大事に、と言ってそこを離れた。 麻薬や国際マフィア、テロリスト関連では銃器がからむ事件は直接自分のまわりではないけれど世間にはよくあることだ。 しかし、自分の見知ったところでこういうことが起こるとなるとこれは普通ではない。

家にもどって家人にこのことを告げれば驚いてすぐ事件のあった町に住む彼女の姉、妹の家族に次々と連絡をいれた。 姉のうちは事件現場の近くでテレビの実況では見覚えのある駐車場や通りが画面に写っている。 それぞれの家族は土曜の午後にはよくそのショッピングモールで買い物をしている。 親戚や知人に電話をしたなかで家人の知り合いの知り合いが巻き込まれて死亡した、と分かった。 事件の概要は次のようである。



買い物客に乱射、5人死亡
2011年4月9日(土)22時12分配信 共同通信 

【ブリュッセル共同】オランダ西部アルフェンアーンデンレインのショッピングモールで9日、男が銃を乱射し、地元当局によると、5人が死亡、16人が負傷した。男は自殺した。地元ラジオが伝えた目撃者の話によると、男は同日正午ごろ、ショッピングモールに徒歩でやってきて、突然、近くにいた買い物客らに向けて無差別に自動小銃を乱射した後、自らの頭を撃って自殺した。


乱射男は24歳の銃マニア
2011年4月10日(日)10時27分配信 共同通信 

【ブリュッセル共同】オランダ西部アルフェンアーンデンレインのショッピングモールで9日起きた銃乱射事件で、地元検察当局は同日、銃を乱射後に自殺した男は24歳の“銃マニア”と断定、自殺をほのめかす男の遺書も発見した。銃乱射による死者は1人増えて6人となった。検察当局によると、男は地元に住むトリスタン・ファンデルブリス容疑者。射撃クラブの会員で、五つの銃保有許可証を持ち、実際に銃3丁を保有していた。


青空市場でこのことを聞いた午後にはまだ詳しい状況がわからず情報の混乱が多少はあったものの8時のニュースでは概ね明らかになり、その町の市長や総理大臣が現場に集まった数千の市民の前で弔問のスピーチをし女王からのメッセージをも伝えた。 遺族や被害者には遺憾ではあるが遺書からは直接の動機は何も発見されていないと検察当局は声明をだした。 被害者達と犯人の間には何の関係は何もなかった、と発表されている。

テレビのニュースで大体のことが分かり、これはまずいな、と思った。 今週の週末自分の属する射撃クラブで定例の競技がありそこではこの何年も行っているように競技中の射場監視員をする。 そのときにはこの事件の余波が収まらず、そこでもっと内部の事情を聞くこともあるのだろうが話は専らこういう事件をどのように防げるのか、ということになるだろう。 オランダ射撃連盟の責任は問われることは確かでそのうち我々にもその通達が廻ってくる。

月曜の新聞で詳細が報じられ自分も知る近辺の射撃クラブのメンバーからのコメントが出ているが犯人が所属するクラブからは正式のコメントが出ていないものの射撃に関してメディアに時々登場する当クラブのメンバーでもある大学教授が、当クラブの構成は他のどこのクラブとも同様に一般社会の反映であり、法律家、教員、税理士、会社・商店経営者、主婦、労働者などの一般市民からなっていて犯人についてはほとんど知られていない、とダメージ・コントロールの弁だがクラブの管理責任が問われることは間違いなく、悪くいけばそのクラブの閉鎖となるかもしれない。 もしそうなるとそのクラブに所属していたメンバーが近隣のクラブに再編され自分も所属しているクラブにも数十人は配属されることになるかもしれない。  新聞の社説では過去に自殺未遂で精神病院に収容された過去をもち情緒不安定と思われる人間になぜ銃砲所持許可があたえられたのか、それを監督するシステムに遺漏があるのではないか、またこの種の事件は銃器、とくに自動小銃が多くの被害者をもたらす契機とはなってはいるがそれをもたらす動機についての解明と犯罪防止対策については不十分であると締められていた。

こういう事件が起こったときに過去には自分の日記に下のように書いた。

2010年 2月  銃がからんで、、、、。
http://blogs.yahoo.co.jp/vogelpoepjp/60305476.html

2009年 3月  ドイツ、アメリカ;  銃器での殺傷事件に想う
http://blogs.yahoo.co.jp/vogelpoepjp/58214101.html

2007年 4月  しかし、発砲事件は世界中で起こってるんだなあ、まあ、世は戦争だから、、、
http://blogs.yahoo.co.jp/vogelpoepjp/47043220.html

事件現場近くの多層アパートに高校の美術教師で自然風景、鳥は草花を専らに描く父親と二人で住み、同じ町に住む母親はごく普通の会社事務員だそうだ。 普段近所のだれとでも挨拶を交わし微笑を絶やさない普通のオランダ人の青年で、同級生達も彼はとりわけ特徴的なことが見えない普通の生徒だったと証言するけれど、そのだれもが犯人には連れだった友達もなく大抵ひとりだったと言っている。 二十歳のときに自殺未遂を企て失敗ののち10日ほど精神病院に収容され、その後も療養をつづけており最近は鬱状態だったとも知られていたようだ。 何年か前、頭の半分を剃り上げて、「俺は病人だ」とプリントされたT-シャツを着て歩いていたりこの前の選挙のときにはオランダ愛国党(PVV)に投票してこの国には外国人が多すぎると発言していたようだが政治的動機とするには弱すぎると当局はみているようだ。

黒塗りのメルセデス・ベンツをショッピングモールの駐車場に停めそこで一人を射殺、階段を上がって数百人がいるショッピングモールに入り、無差別に自動小銃を乱射、逃げ惑う人々も初めは何のことかも分からず結局犯人がスーパーのレジのところで膝をつき自動拳銃をこめかみにあて引き金を引くまで10分ほどのあいだに上のような被害者を出した。 その場に犯人の顔見知りもおり、一瞬ドッキリカメラか映画の撮影かともおもうものの自体の深刻さに気付き淡々と警察、救急隊員がくるまでけが人の処理し避難したということで、通報の後警察の隊員が現場に着いたときにはもう事は実際には終わっていたもののそれからあとは様々な憶測が飛び交い他にも犯人がいるかもしれず遺書やコンピューターに収められていた文書などから同じ町の3つのスーパーに爆弾が仕掛けられている可能性もあり1時間もしない間にテレビのライブ報道になったらしい。 死者には電気式車椅子で買い物をしていた90を越す老女、戦乱をのがれて移住していたレバノン人の詩人、子供をかばおうとして被弾した女性など犯人を除いて年齢は全て40歳を超えている。

新聞は、オランダにも遂にこういう波が来襲、と見出しを立てていたのだがそれが自分の遠くないところで起こり、それも自分に間接的にではあるが影響する出来事であるから少々の動揺はある。 15年ほどまえにスコットランドで小学生達が何人も射殺された事件があり、その結果、当時ブレア労働党政権下、ほぼ銃砲所持が許されなくなり我々の同僚がそこから放出された幾つもクラシック・ガンを買ったという経緯が思い起こされる。

新聞には同時に犯罪心理学の学者が最近まとめた、銃器を用いた自殺的大量殺傷犯罪に関する研究論文を引いていて、西欧諸国の統計を過去に亘って比べてもこの種の犯罪はどのような銃規制をしても増えることも減ることも無く絶えず存在すると結論付けていることをも報じていた。

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿