謝罪

　先週の日曜日に夫が運転していたときに後ろから当たられた。

　信号待ちの最前列で停まったら、わき見をしていた女性の車が当たってきたらしい。助手席に小さな娘が乗っていて、誰にも怪我はなかった。

　警察を呼んで対応してもらっているときに、その子が「お母さん、捕まるの？」と心配していたときいて、心細かっただろうなぁと思った。

　夫はちょうど（というのか）、車の修理のために板金屋さんに向かう途中で、後ろを確認したけれどついていた傷は古いもので、「今回のものではないですね」と警察に言われ、連絡先だけをきいて一旦帰宅してきた。

　ガレージで花を植えていた私に「さっき当てられてな」と言うので、え、と思って私も確認した。確かに新しい傷はないように思ったし、まぁ、私がつけたドアの傷のほうがひどかったので、今回はドアの傷だけ修理したらいいねと了解した。

　翌日、夫の携帯にその人から電話があって、「私の夫に話したら謝りに行きたいと言っている」という。夫も「別に怪我も車の傷もないし、わざわざいいですよ」と断ったのだったが、そのあと何度か電話があってきてもらうことになった。

　タダより高いものはないとか、あとで法外な補償を請求するとか考えたのかもしれない。

　そして、私たちも２０代のころ、友人の結婚式の帰りに同じように前の車に当てて、怖そうなおじさんが降りてきて私たちも降りて謝り、私が「お怪我ありませんでしたか」と言ったら「怪我はない」と即答され、車にも傷がないことを確認したら「もうええわ」とあっさりと許してもらってほっとしたことを思い出した。
　
　そして、きょうのお昼前、男性がひとりで謝りに来た。（本人も来ると思っていたので意外だったけど）

　申し訳なさそうに何度も謝るので、私たちも昔、同じことをして「いいよ」と言ってもらったことがあったから、将来反対の立場になったら許してあげてくださいと言ったら、ほっとしたような笑顔になって帰って行った。

　それから、高校時代に絵具の細い筆を買おうと思って購買部に行ったら、５円足らなくて、「お金足らないからいいです」って筆を戻そうとしたら、購買部のおばさんが「つぎの授業でいるんでしょ。もっていき。足らない分はいつか困っているひとに返してくれたらいいから」と言って、おまけしてくれたことも思い出した。すごく助かったし、嬉しかったことを今でも覚えている。

　借りた親切を別の人に返すっていいなと思ったのだった。

第１８５回神楽岡歌会

　きのうは神楽岡歌会だった。

　今回から会場が京都駅前のキャンパスプラザ京都になったので、大阪や奈良、神戸方面から来る人は参加しやすくなったと思う。以前は京大短歌の人も参加されていたので京大周辺の会場で開催されていたけれど、参加者にあわせて対応していくのはいいと思う。

　京都駅なら仕事の帰りに遅れてでも行けるというひとがおられて、参加者は１６名だった。

　今回から司会をHさんと私が交代でやることになった。Hさんはすごく早く会場に来られて少し緊張されていたようだったけれど、歌会が始まるとスムーズに進行されていた。

　いろんな歌が並んで、それぞれの読みがそれぞれに広がったり深まったりして面白かった。

　・去り行くは日傘のなかのイチハツの肉髯（にくぜん）のごとき紫の襞　　藤田千鶴


　日傘は遠ざかっているのか近づいているのか。不思議なイメージ。正岡子規、夏目漱石、近代小説を思った。などいろいろコメントをいただいた。4票。

　会場を最初の状態に戻したつもりだったのだけど、掃除のおばさんに車いすが通れるように間は広く開けてとか、壁にくっつけると傷がいくから壁にはつけないでとかいろいろ叱られる。会場によっていろんなルールがある。

　来月からはちゃんとします。すみませんでした。教えていただいてありがとうございました。と言ったら、むこうも「ありがとうございました。」と言った。来月からも利用するので関係者に嫌なイメージをもたれたくない。

　終わってから京都駅近くの居酒屋で飲み会。ぎりぎりまで話せるからやっぱり私も京都駅のほうが助かる。

　２３時散会。２３時７分の電車に乗って、２３時４０分には自宅に着いた。

　写真はきょう植え替えたクリスマスローズ。

失ったものを嘆かない

　きょう、ガレージに置いているチューリップのプランターに、別の植物の赤い蕾がついていることに気が付いた。

　え、あなた誰？？　春になってそのプランターにはいろいろ雑草がはえてきていたのだけれど、そのなかでいきいきとした見たこともない葉っぱが育ってきていて、抜いていいものかどうなのかと保留にしているうちに蕾がついていたのだった。

　そして、落胆を予測しつつ、ボーダーガーデン地区を確認したら、横倒しになっているスノーフレークの群れから、すうっと数本の茎が立ち上がり、白い花を咲かせていた。横倒しになったまま咲いているのもあって、それは数本切ってキッチンに飾った。

　それから、野葡萄がなくなってしまった東側。去年までは柵に野葡萄の葉や蔓が犇めいていた。それがなくなって日がよくあたるようになったせいか、今年はコデマリがたくさん咲いた。

　　

　新芽が寒波で枯れてしまったハゴロモジャスミンは新しい蔓をつぎつぎに伸ばして、

　「今年の盛りはもう過ぎましたよ。わたしたち、もう来年にむかって準備してますわ」

　といった感じだ。

　それぞれに過ぎてしまった悲しい事件を振り返らず、いまの日を浴び、いまの雨を受け、いまの時間を生きている。

　失ったものは残念だけれどいつまでも立ち止まらない。嘆かない。

　きょうは一日ユーミンを聴いていた。Spotifyにまかせていたら懐かしい曲が次々に流れて、自然に歌っていた。

　♪　愛が終わるのを繕ったら　明日を生きるのに遅れたわ　（荒井由実　さざ波）

　ほんとほんと。

　そうそう。チューリップのプランターに生えてきた植物はラナンキュラスらしい。Twitterに写真を載せたら教えてもらった。なんと。そんな豪華な花が生えてきたなんて。あれは球根だと思うんだけど、飛んでくる可能性は低いし、ずっとむかしに自分で球根ミックスかなんかを植えていたんだろうか。

　こんなふうに予期せぬ贈り物が届いたりする。　さあ、行こう！　

　

ハナミズキとサイダー歌会

　きょうはサイダー歌会。リモートで10時スタート。

　早回しで家事をする。

　洗濯を干したのち、メダカの餌をやり、植物に水を遣る。明るいものに上から見られているような気配がして見上げると、ハナミズキがきれいに咲いていた。

　青い空に映えて輝いている。

　ハゴロモジャスミンもスノーフレークもだめだったからよけいにきれいに見える。寒かったのにがんばったんだな。

　ご近所のＩさんが通りかかる。

　「おはよう。ハナミズキ、きれいに咲いたね。今年はやっぱり早いね」　と声をかけてくれた。

　そんなふうに、自分以外の人がうちの植物のことを気にしてくれているのが嬉しいなと素直に思った。

　サイダー歌会は７名全員参加。個性的な歌が今月は並んで面白かった。

　暮らしている環境とか生きてきた経験とかで、同じ言葉に対してもかなり印象が違うものだなぁとみなさんのコメントをききながら思った。

　・春嵐の巨きな足で咲きかけのスノーフレーク踏み倒されぬ　　藤田千鶴


　咲かなかった春のことも、歌にして記憶に残しておくから。

肩に注射

　きのうは私の右肩の打撲の受診日。

　ひと月まえに注射しましょうかと言われ、ひるんでしまって薬で様子をみるということになっていた。だいぶん右手が前や上にはあがるようになってきたのだけど、後ろに回すときに痛む。

　このあいだの医師に「どうですか」といわれ、「ずいぶんよくなりましたが後ろに回すと痛いです」というと、即座に「きょうは注射打ちましょう」と言われる。断れる状況ではなかった。

　看護師さんに指示がでて、がちゃがちゃと注射の準備が始まる。

　遠くからみていてもすごく太い。あれを打つのか･････　ひー怖い～

　私「あの、私、肩に注射って初めてなんですけど痛いですか」と訊いたら、
　医師「コロナワクチンよりちょっと痛いくらいですよ」

　コロナワクチン････　あれは全然痛くなかったし。ほんじゃ耐えられるかと思う間もなくアルコールは大丈夫ですかときかれ肩の消毒が始まる。

　「ちょっとちくっとしますよ」

　いた。ほう。コロナワクチンよりは痛い。でもこれくらいなら耐えられるかも、と思っていたら。コロナのときはほんの数秒で終わったのに、時間が長い。やっぱり太いぶん、注入する液体も分量が多いのだった。

　ぜんぜん終わらない。肩に冷たい液体が入っていくのがわかる。そこの部分だけ冷えてくる。まだですかーーーー　と思いながら耐えていると「はいもう終わります」

　「どうでしたか。コロナより少し痛いくらいでしょう」
　「まぁ、痛さはそうですね」　（長いんだよぉ）

　そして、「肩の調子どうです？」と訊かれて思わず、「そんなに急に効果でるんですか？」と問い直すと「そうですねぇ」と笑っていた。

　８月までその先生は来られないとのことで、一旦治療は終了してまた痛くなったら予約を取りなおすということで終わった。

　あとは意識的に肩を動かすようにして少しずつよくなっていけばいいなぁと思っているところ。

　それにしても長い注射だった。　お昼にうな丼と天ぷらを食べて帰った。（ご褒美）