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いつでも君のこと好きだったよ

エッグベーカー

2021-05-24 22:51:49 | 日記

 歌集とか食器とか、ほしいな、と思いつつ躊躇しているうちにもう二度と出会えないということがある。

 

 だから、ほしいって本当に思ったものはなるべく買うことにしている。(金額にもよるけど)

 

 数年前に大丸の絵本展かなにか(もしかしたらベニシアさんの展示だったかも)のグッズコーナーで、懐かしい陶器が並んでいた。なぜ懐かしいと思ったのか。母がたくさんセットで持っていたことが記憶の底のほうにあったのだ。かわいくて暖かくてシンプル。安いものではないのになぜ母はたくさん持っていたのだろう。と思って、説明書きを読むと、島根県の窯で焼かれたものだということがわかって、ああ、お嫁入りのときにお祝いに揃えてもらったのかもしれないと思った。

 

 たくさん持っていたものは「エッグベーカー」というもので、そんなしゃれた名前でうちでは呼ばれることはなく。

 

 しかも、その器で温泉卵とかを作ってもらったことも、誰かお客さんに出したこともなかった。

 

 きっと実家にあるから、少しもらおう、と思って大丸では買わなかった。 写真に撮って帰って母に見せると、「ああ、昔あったねぇ」というだけで、いまはもうどこにあるかわからない、という。ああ。そうか。やっぱり。買えばよかったなぁ。1つでも。

 

 と、悔しい思いをしたことがあった。

 

 それが、このあいだの読売新聞で写真入りで紹介されていて、やっと機会が巡ってきた。躊躇せず、私にひとつ。友達にも買った。

 

 金曜日に届いて、包みをあけると、見ただけで幸せになった。

 

 土曜日の夜に(急に!)息子がやってきたので、届いたばかりのエッグベーカーを見せたら、いいやん、あったかい感じ。焼き方もここだけ素焼きにしたりして、釉薬はこういうふうにかけたんかなとかいいながらしげしげと見ていた。それからバーナードリーチがかかわっていたことを知って、そこから河井寛次郎の話になり、大山崎山荘の話になり、はちみつ紅茶を飲みながら遅くまで話した。

 

   

 

 自分の気に入ったものの良さを、興味深く認めてくれる。 それだけでなんとなく嬉しい気持ちになる。

 

 ここのところ(胃の検査以降)、どんよりしていたのでぱっと明るくなった夜だった。

 

 

コメント
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