「あれ、ここってさっき通りました?」 窓の外、右前方にセメント工場が見えて、思わず私がつぶやくと、
「通りましたよ、さっきここ通ったとき衝撃の告白されたじゃないですか」 と、男が言う。
「衝撃の告白? しました??」
「砂利になりたいって」
「なんだ、あれか」
「あれって、僕にとってはかなり衝撃だったんですけどね」
なぜ、私がセメント工場に惹かれるか。(砂糖工場でもそれは同じだけど。)砂利が運ばれ、混ぜられ、練られ、まったくべつのものに刻々と生まれかわる、ということに憧れるから。
とにかく、想像もできないものから、新しいものができてくる、というプロセスに心が躍るのだ。
創作、という行為につながっているように思う。