夕食時、まだ一人っきりだったのでラジオをかけたら、『生きたい!私のケータイ闘病記』という番組が再放送として始まっていた。なんだ、8時のニュースじゃないんだ・・・と思いながらも、その朗読を聞き続けているうちに45分が過ぎた。 これが池田真一さんという香川県の方がケータイに発信していたご自身の病気との闘いの記録だったのだ。高校一年の時に発病したが、その時点で病名は知らされていなかったそうだ。抗がん剤で何とか持ち堪えたが、大学進学後に白血病が再発。幸い、骨髄移植の提供者が現れ、経過は良好だった。彼はO型だったが、提供者はA型。移植後の池田さんはその日からA型となった。その時感じた、血液型が変わったことへの不思議さや、骨髄提供者に対する、ひと言では表すことができないほどの感謝の気持ちなども、「劇団一人」のナレーションと、ところどころ本人の声で語られた。彼の初めての恋愛のはなしには、二人の余りもの純粋さに心を打たれたし、結婚後、真一さんを支え続けた由佳さんの大きな愛情にウルウルしてしまった。こんなに真っ直ぐな気持ちで人を愛することの出来る若ものの健在ぶりって、すっごく嬉しい。余りにも人間が揉まれすぎ、練れすぎちゃって、割り切った考えの多い今という時代。純とか真剣とか、一筋・・・などなど、「まじめ」なイメージがともすれば鼻で笑われ小馬鹿にさえ捉えられ易い。だけど、本当は、それって誰もが求めてやまないものなんじゃないか、と思った。人との丁寧な関わりはもしかしたら今こそ求められているのではないか。最後は肺線維症という難病を背負い、そんな自分の人生に最愛の人を巻き込んでしまったことへの苦しみが伝わってくる。それだからこそ諦めず、もっともっと生き続けるため、病と闘い続けた池田真一さん。放送の中で、彼が治療の甲斐なく5月30日になくなった事を知った。享年31才。 私がラジオでさっき聞いたばかりのお話は、「生きたい!僕の履歴書」というタイトルで3月下旬に出版されたとのこと。一般の闘病記とはちがう、一種の爽やかさを感じるこの本を、是非手に取って読んで見たくなった。 ・一日一日を大切に生きること ・決して希望は捨てないこと ・支える人に笑顔で接すること ・又いつか、普通の生活にもどれるといいな 今朝は起きながらぼんやりと生きていることの意味を、考えるというほどでもないが頭の中であれこれ思っていた。こうして朝起きて、食べて、用事を済ませ、新聞を読み、ラジオで英語を勉強して、それで私は一体どうしたい、と言うんだろう、とか、筋トレに通って健康を維持しようとしているのは何のためなのか、本を読んだからってどうなるんだろう、etc...。自分のしていることの全てに意味を見出せない時間だった。やばい~!これって鬱? ・・・・とは思わない。何故って、だれだってこの程度のことは時々ふと考えることってあると思っているし、起き上がって行動すればイキイキとしてくるのが常だから。 その夜に、「ただ普通に、でいいからもっと生きたい!」と願いながら静かに安らかに眠りについた若者を知るとは・・・ 年間自殺者数が3万人以上いるという今の日本。命の大切さを感じずにいられない。
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