一日中雨の火曜日、上野の森美術館に行ってきた。
そのマンガ展は、私のお気に入りの中の一つ、さなメモで紹介されていたのだが、その前に、彼の著書「明日の広告」のなかで、『スラムダンク』の作者である井上雄彦氏の、以前の展覧会について書かれていた内容を読み、とても感動していた。これを読んでいなければマンガ展があると言っても果して行っただろうか?
一方の、誘った友人はといえば、行きつけの美容院に行った時、アシスタントの男の子が、先週見に行ってきてとても良かったと言っていたのを聞いたばかりだったので、この展覧会があることを知っていた。そんな偶然がなければ彼女を誘っても興味無いと言われたかもしれない。
上野駅の公園口はいつものように中高年で埋まっていた。上野の森美術館へと歩き始めると、だれも後から付いてこない。途中で若い子がどこからともなくやって来ただけ。混んでいなさそうなのに会場入り口で少し待たされたあと、中へ通された。それが今回の入場の仕方なのかな。会場を中に進むと墨で描かれたドデカイ武蔵の絵に圧倒された。この展覧会は1998年から週刊モーニングに連載されている「バガボンド」の、ずっと先の、もしかしたら最後になるかもしれない部分の武蔵を描いている。単行本としては28巻が先月発行されたばかりだ。後で知ったのだけど、展覧会には「バガボンド」を読んで来てから見てほしい、との作者からのひと言がどこかに書かれていた。それはそうだと思った。だって愛読者なら、それまでのマンガのあらすじがわかっているけど、私たちには描かれている人物を見ても、それが誰だか分からなかったりしたもの。これは佐々木小次郎かなぁ、とか想像しながら見るしかなかった。が、ストーリーがあやふやでも見ていてその迫力が伝わってくるし、マンガと言えども140点の肉筆による白と黒の絵の世界からは井上雄彦氏の力強いメッセージが聞こえてくるようだった。
最後の方で、床の色が二色にわかれていた。母と子の感動的な場面だ。だれも作品側の白いほうへ踏み出そうとしない。近くにいた係りの人に尋ねると、立ち入り禁止のスペースではない、ということが分かった。会場のラストは、白い部分が今度は砂に変わっていた。素晴らしい演出!共に砂浜を歩いている気分に浸れ、胸がいっぱいになってきた。マンガを美術館という広い空間で、その広さを自由自在に操り利用した、前代未聞の展覧会だった。単行本を揃えようかなぁ。
出口を出た所でこんなのをいくつか見つけた。
最後まで見せてくれる素晴らしい漫画家だ。
最後の・・・・・・なんて、ヤだぁ~!
|
![]() |