きょうは楽しい金曜日 & 今晩の夕食はお二人様だけ。
昨日のうちに仕込み・・でなくて、買い込んでおいたので、多少帰宅が遅くなっても全然オーラ~~イ!
仕事のあとに、銀座松屋で開催中のパリ・バカラ美術館開催記念展
「与勇輝 人形芸術の世界」展に行って来ました。今年2月にパリのバカラ
美術館で個展が開かれ、好評を博し、今回は5年ぶりの帰国記念展。
その5年前、同じ松屋で開催された時にも行きましたが、ニングルやピアリの
妖精たちに魅せられ、昔の子供たちに心和まされて笑わせられ、与ワールド
の虜になってしまいました。でも、出口のところで図録を購入した人たちに
サインをしている人形作家を見て、びっくりしたものです。
人形たちと、作家のイメージが余りにも異なっていたからです。
今回は小津安二郎監督に惹かれた作家が、監督への敬愛の念を込めて
制作した新作15点を含め、合計約130点を展観。
制作の中で常に私の頭の中にある事は、
無心な子供たちが美しい自然の中で素朴に生きる様を
いかに表現するかを想い、その為に時代背景を置き換えて
一瞬の表情、仕草を掴み取るため、手や足の先まで気を使い
幾度も創り直し、その繰り返しに悪戦苦闘しています。
-以上「古裂に魅せられて」より抜粋-
倉本聰原作の写真絵本「ニングル」や鉄道員ぽっぽ屋の「雪子」の人形。
イクスピアリの依頼で制作した創作人形「ピアリ」の数々。
(これはピアリ3階で数年間にわたり、常設展示されていたのでご存知の方も多いと思います)
首の傾げ方、足の開き具合、ふっくらしたほっぺの感触や昔の女性の持つ
質素な佇まいと凛とした知的な色っぽさ。純粋無垢な表情の兄弟姉妹や
悪戯っ子たち。指先や足の裏の作りまで、想像を絶するほど神経細やかに
仕上げられたお人形さん。
今回の小津作品の中では、「秋刀魚の味」や、「東京物語」の登場人物、
更には小津監督自身の人形も見られます。
昭和12年生まれの彼は8才の時に終戦を体験しています。
貧しい事を貧しいと思わずに、明るく逞しく元気いっぱい駆けずり回っていた
子どもたちは、きっと与さんの過された時代の原風景だったのでしょう。
私は勿論!(あったりま~え!)生まれも育ちも終戦後ですが、それらの
原風景になぜかとっても見覚えがあるのです。歯ブラシを持っている
「押し売り」の人形を見て思わず笑ってしまいました。
怖くてしょうがなかったのに、興味津々だったりした記憶が蘇ってきました。
「女房子供を食わせなきゃならねーんだ。このゴムひも一つでもいいから
買ってくんなよ。」・・・そういいながら、玄関先にどっしりと腰を降ろして買って
くれるまで居座っている姿を何回目にしたことか。
みんな食べるのにやっとでしたが、生活がシンプルな分、ストレスと言う言葉が
存在しなかった気がします。無いのが当然。我慢が当たり前。玩具なんか
なくても沢山の遊びを知っていましたよね。
石蹴り、缶けり、ゴム縄、馬飛び。そして白墨、蝋石の出番がた~くさん。
さて、大混雑の会場を泳ぎ回り、やっと場外に出た所でバッタリ作家に遭遇
してしまいました。似ている方だなぁ・・と思っていましたが、みんな知らん振り
で通り過ぎていくので間違いかしらと思いつつ、ご本人に確認した所、
当ったり~!作者の与さんでした~!
デジカメにも快く応じていただけましたが、春らしいスーツに身を包んだ与さん
よりも、工房で作業着を着ている彼のほうがきっとお似合いではないかな。
「人形は、誰の心にもある変身願望の表れなんです」
明日は・・・って、もう今日になっちゃった・・・ 葉山に行ってきま~す