“ヴィタミーナ”な生活

おいしく食べて、楽しく飲んで 

回向院の茂七

2007年03月08日 | 
宮部みゆきさんの時代小説に登場する岡っ引の茂七親分。
年のころは50過ぎ。裁縫の腕の立つおかみさんと二人暮し。
若くてにぎやかな糸吉と物静かな権三の二人の下っ引をつれて、本所深川の人々の生活を温かく見守っています。
なお、回向院とは墨田区両国に“本当に”あるお寺です。

本所深川ふしぎ草子
七不思議になぞらえた事件を茂七親分が解決します。
ちょっと説教くささを感じるものもありますが、人の生きる道を厳しく優しく描いています。
 片葉の葦
 送り提灯
 置いてけ堀
 落ち葉なしの椎
 馬鹿囃子
 屋敷
 消えずの行灯

七不思議の多くは暗闇にかかわるものが多い、と言うことを聞きました。
真っ暗な中、風の音や建具の音、水の音などからいろいろなことを想像し、自然現象に畏れや魂を感じていたのでしょう。

初ものがたり
季節の初物を題材に、江戸で起こる事件を茂七親分が解決してゆきます。
 お勢殺し   
 白魚の目   
 かつお千両  
 太郎柿次郎柿  
 凍る月  
 遺恨の桜   

寒い冬に屋台ですする蕪汁や小田巻蒸、初夏の鰹などおいしいものがいっぱい。
五感に本能に訴えてきます。
その中でも一番食べてみたいのが白魚かまぼこ。
でもこの食べ物が登場する白魚の目は、悲しく憤りを感じる事件が起こるのです。
また、謎めいた屋台の稲荷寿司屋の親父が登場し、彼の存在が読者を物語に引き込む要ともなっています。
実はこの初ものがたり、ある雑誌に連載されていたのですが、その雑誌が廃刊になってしまったため、この稲荷寿司屋の正体は謎のまま。
宮部さんは、文庫のあとがきで再開を約束していますので、楽しみに待ちましょう。


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4 コメント

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そう言えば (kn)
2007-03-09 23:12:35
でしたね。
再開はいつ?です。ほんとに。
現代物の「誰か」を読み始めましたが、
本の体裁が持ちづらくおっくうで、なかなか前に進みません。
やっぱり私は文庫が好きです。
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再会 (ひめ)
2007-03-10 11:18:43
心待ちにしているのですが・・・

knさん
私も本は文庫派です。
読書は通勤時の楽しみ、混んだ電車の中で読むので文庫でないとつらいのです。
だから宮部さんの日暮し(ぼんくらの続編)の文庫化も心待ちにしています。
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住んでいるところ (ケンタロー)
2007-03-11 13:33:56
の話ですから、、ふしぎ草紙は読みました。
地元が出てくる話は良いです。

地名の言い方の違いがいくつかありましたが、、昔はそうのように言ったのかも知れません、いずれ調べてみたいと思います。
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地名 (ひめ)
2007-03-12 00:22:11
ケンタローさん、こんにちは。

地名は時代によって多少違うこともありますよね。
この物語ではないのですが、私の母が平岩弓枝さんの「御宿かわせみ」を読むときに、昔の地図(多分戦前が戦後すぐくらいの時期のものだと思います)と照らし合わせていました。
昔は乗り物などないのでどこへでも歩いていったのですが、地図を見ながら読むと具体的になってより面白いのだそうです。
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