“ヴィタミーナ”な生活

おいしく食べて、楽しく飲んで 

チーム

2010年07月08日 | 
箱根駅伝の予選会で敗退した大学からタイムのよい選手を集めて作った「学連選抜」。
良く言えばエースを集めた2日間だけのスペシャルチーム、逆を言えば敗者の寄せ集めチーム。
そんな彼らが優勝を目指すストーリーです。
前回の箱根で10区を走るも大失速した浦、天才的ランナーだけれど協調性のない(協調する気のない)山城、飄々としているが熱いものを秘めた門脇、可愛い一年坊主の朝倉の4人を中心に、本選までの短い期間での練習や合宿、レースの様子を描きながら、「チームとは」ということを読者に問いかけていきます。

山城は言います。
「全員が区間賞を取れば優勝できる。チームで優勝を目指すなんて無意味。」
確かにそうです。
山城の言うことは理屈では正しい。
でも、と学連選抜のキャプテンになった浦は思います。
「自分のためだけでなく、誰かのために走れたら、より強くなれるのでは。」
浦を見ていてチームとは、作り上げるものと言うことを強く感じました。
ひとつの目的で人を集めても、それだけではチームにならない。
その目的、集団の掲げる目標に対して意識を共有して初めて、チームは存在するのです。
そのための努力を、浦は地道に続けていきます。
そして最後に監督は浦に言います。
「ここまでよくやってくれた。あとはわがままになっていい。自分のために走れ。」

箱根駅伝を舞台にした小説に「風が強く吹いている」があります。
比較してしまいがちになるので、なるべくそういう気持ちを排除して読みました。
和気藹々とした雰囲気のファンタジー系の「風強」、意地や葛藤、挫折が描かれたリアル系の「チーム」。
どちらも駅伝好きには楽しめる作品だと思います。
ただ残念だったのが、終盤の描き方が2つとも同じ、ということ。
9区に絶対的なエースを配して追い上げ、10区では故障を抱えた主将が走り、そしてゴール直前で起こるアクシデント。
ドラマとして盛り上げるにはいい方法なのでしょうが、これはちょっと・・・。
出版されたのが風強が2006年、チームが2008年。
結末は、風強のように都合よくはいかなかったのですが、
二番煎じと言われてしまっても仕方がないですね。
風強とは視点が全く違う作品であるので、本当に残念。
最後の最後で、ちょっとがっかりしてしまいました。

この作品の中で、学連選抜の選手の大学は架空なのですが、それ以外はすべて実際に箱根駅伝で活躍している大学が登場します。
順位も本のなかに書かれており、10位に青山学院大学の名前があります。
何故青学?と思ったら、作者の堂場瞬一さんの出身大学でした。
この作品が出版されたのは2008年10月。
2009年の箱根駅伝は、85回目の記念大会であったので出場校数が増えたこと、
前回、学連選抜が4位だったので予選枠が1校増えたことにより、青山学院大学は2008年10月の予選会を13番目(最下位)に通過し、本選では18位でゴール。
33年前にゴール直前で途切れたたすきをつなぎました。
2010年は8位。
シード権を獲得しました。
これからが楽しみですね。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿