理不尽極まる男です
「夫婦を殺し自首」「奥さんに結婚迫った男」なる見出しです。昭和49年6月20日午前9時ごろ、東京・城東署にズボンを血だらけにした男が「近くに住む知り合いの夫婦を刺し殺してきた」と自首してきました。この男は福島県生まれ、住所不定無職A(33)でして自供によって江東区北砂のアパートを調べたところ、運転手B(31)さんと妻C子(25)さんが死んでいるため同署はAを殺人容疑で逮捕しました。
調べではAは昨年区内の食堂でコックをしていたころ、アルバイトをしていたC子さんと知り合います。そしてしばらく交際していましたが、最近になって冷たくなったため、どうもこのあたりの2人の関係が微妙であります。6月4日にC子さんをホテルに連れ込み、包丁をちらつかせ「よりを戻さなければ首を切るぞ」と脅します。男のこのセリフで2人は不倫関係にあったことが分かります。こまったものです。
このとき、Aは暴力行為、銃刀法違反の疑いで逮捕され、罰金3万円の略式命令をうけ釈放されます。しかしその5日後Aは包丁を持ってアパートに行き、Bさんに「C子と一緒になりたい」と話を持ち出し「とんでもない話」とののしられ、当たり前ですがそれに怒り、Bさんの胸を刺し、止めにはいったC子さんの腹も刺します。2人とも即死の状態だったといいます。何とも理不尽そして憐れな結末であります。
夫婦には2人の子どもがいましたが、小学校、幼稚園とそれぞれ出掛けていて無事だったのがなによりでありました。