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観測にまつわる問題

政治ブログです。「保険」「相続」「国民年金」「AIロボット」「運輸エンタメ長時間労働」「GX」を考察予定。

緊急事態条項の検討(3月11日)

2018-03-11 09:59:54 | 政策関連メモ
佐藤正久オヂシャルブログ2018-03-08 09:02:29「憲法改正:緊急事態条項について」を受けて緊急事態条項の考察を行います。

>3月7日(水)、憲法改正推進本部において、緊急事態対応を議題として、活発な議論が成された。

>大災害や外国からの攻撃があった際に、政府への権限集中やある程度の私権制限を含めた緊急事態条項を規定すべきかどうか。または、緊急時に選挙が実施できない場合に、国会議員の任期を特例で延長する根拠規定が必要ではないか。こういったことについて、国会議員間で議論された。

>佐藤は福島出身、7年前の東日本大震災発災後に、現場を実視しました。その際、災害緊急事態を宣言せず、かつ私権を制限しなかった為に人命救助等の活動に支障が出たと伺った。そのため、救援活動中の現場では、救えた命を救うことが出来ない事例もあったようだ。東日本大震災の前年には、大地震を想定して大型の訓練を東北で実施していた。想定していた為に、活動できた側面も有る。同じ過ちは繰り返してはいけないと、強く思う。憂いがあるのに放置するとすれば、政治家の怠慢だ。

>いずれにしても、大災害に襲われた場所で、国民の生命及び財産等を守り抜く為に、円滑に救援活動を実施するには、私権の制限に踏み込まざるを得ない。具体的な事例を持って憲法改正の必要性を訴えれば、国民は必要性を理解してくれる。備えあれば憂い無しの状態にすることこそ、政治家たるものの責任だ。

緊急事態条項の必要性の検討については主に初動の救命活動と復旧・復興過程の2つのケースに分けて考えるべきだろうと思います。佐藤議員は初動の救命活動に問題があると仰っているようです。緊急事態条項に関しては筆者は否定的な論調でこれまでにも意見を述べてきましたが、自民党の議論の進捗にあわせて改めて検討してみます。まずは、今回問題提起がなされていない復旧・復興過程についてです。

筆者も含めて緊急事態条項に否定的な人というのは、緊急事態条項の創設で特に復旧・復興過程で状況が悪くなることを怖れていると思います。復旧・復興において特に人間関係が濃密な地方において財産権/個人の権利を無視した復旧・復興は有り得ないと思います。反対論を無視して緊急事態条項を利用して復旧・復興を成し遂げたところで、地域の絆を弱めるだけで上手くいくはずがありません。多少遠回りに見えても合意形成を怠らず復旧・復興を進めていくことが復興の早道だと考えます。急がば回れです。

本日の読売新聞社説「大震災7年 復興加速へ的確な対処が要る」で高台移転の工事は90%以上完了しているが、「宅地用のかさ上げ地の60%で、当面は利用予定のない実態が判明した」とあります。緊急事態条項がない現在でも必要が無い工事を行ってしまっている可能性があります。空き家を量産して復興も何もありません。一気に造って余裕を持たせたほうがいいと考えたとしても、現状は行過ぎているように見えます。この良くないように見える現状を更に良くないようにしてもどうしようもありません。住民の意志確認をキチンと行った上で復興を進めていればこうはなっていなかったはずです。反対を押し切って宅地を造成したところで、じゃあ移住するとか言われたら止めようがありませんよね。共産主義国じゃあるまいし、逆らう奴を強制収容所に送ったり、虐殺したりして「問題解決」する訳にはいきません。仮に高台移転したくないと言い張る人がいたとしても個人の意志を尊重するべきです。強制連行する訳にはいかないのですから。高台移転に合意する人達だけで高台移転するのが復興の常道でそれを支援するというのが原則だと思います。

ここでこの問題に絡んで2点考えたいことがあります。ひとつは空港建設や道路建設・ダム建設といったインフラ整備の反対をどう考えるかです。

一人反対するがゆえに地域の経済発展等が遅れるという問題が日本にはずっとあって、これがあるがゆえに特に保守派の人達の間で時の政権が決断したら反対を押し切って工事をするべきではないかと考える人達が多いのではないかと考えられます。極端な例では成田闘争や関西の空港の問題があると思います。筆者もこうしたことを考えることにおいて例外ではありません。ただ、土地収用(ウィキペディア)を参照しましたが、土地収用法がありますので、現在でも必要な土地収用は可能です。更には「公共用地の取得に関する特別措置法に基づき、公共の利害に特に重大な関係があり、かつ、緊急に施行することを要する事業として行われる特定公共事業(高速道路や国道、新幹線、成田国際空港など国家的に重要な事業が指定されている)について、国土交通大臣による特定公共事業の認定を受けることができ、その場合で、起業者の申請に基づき、収用委員会に対し補償の額について審理が終了していない場合でも、仮補償金の払渡しまたは供託を条件として権利取得裁決及び明渡裁決をすることができる」とあり、重要なインフラに関しては更に建設し易いようになっているようです。日本の左翼の方々はあたかも土地収用をする方が悪だと騒ぎたがりますが、土地収用法の個別の問題点を議論することは有り得ても、総論反対が有り得ません。有り得ないことを言って最初の第一歩を間違い死ぬまで間違い続けるのが日本の左翼です。総論反対を貫くならまだしも絶対にあいつらは中国が土地収用しまくっていることには口をつぐんで中国の勢力拡張の動きに対して一切戦おうとしません。どうみてもスパイ同然です。そして昔は(今もそうかもしれませんが)彼らは本当に共産主義陣営のスパイで(あるいはスパイと協力して)政権転覆を狙っていたのであって、今とは比較にならないぐらい勢力が強かったのだと理解しています。現在はご本尊の退潮を受け日本での勢力は減退していると思いますが、また新しく台頭してきた国や核武装して暴れようという国もいて、戦いが終わった訳ではありません。知ってか知らずかちょいちょい共産主義陣営の代理人みたいなことを言って頑張る方々がいらっしゃいますよね。それはさておき緊急事態だからと言って、土地収用法のプロセスが邪魔になると考える必要はないと考えますし、復興過程は寧ろ拙速だったのであり巧遅の方が必要だったのではないかと考えます。筆者も菅政権~野田政権と反対して、安倍政権を支持しましたが、十分復興について考察していなかったかもしれませんし、意見が言えなかったのかもしれません。

もう一つは戦争の問題です。戦争に負けると土地が接収されます。これは如何ともしがたいところがあります。納得いかないなら降伏すべきでないのであって、日本は降伏して今があります。沖縄では米軍に接収されてつくられた基地が多い事情は理解できますし、何とかフォローしていかねばなりませんが、米軍が悪だから米軍は土地を返せなどと言って米軍と戦う訳にはいきません。「守らないぞ」「もう一回やるか?」になるでしょう?それだけで済むならまだしも寝返るつもりを見透かされ非常に考えたくない事態になることも予想されます。総論で言えば、現状を受け入れ何ができるかを考えるべきだとしか言いようがないと思います。米軍と協力しつつ問題を考えようということですね。

○○人は戦後のドサクサに紛れて駅前の一等地を奪ったとかそういう話もありますが、おまえらは敗戦国の住民だろうがと真面目に考えると腸が煮えくり返る問題もあります。筆者が生まれていない時代の話ですし、随分時間が経っていますが、別に忘れた訳ではありません。

戦後の復興の歴史を意識して、古い街や設備が一度瓦礫になった方が良い設備を入れられて伸びるのでは?と考える人もいるかもしれませんが、共産主義陣営との戦争が残っていたというラッキーはあると思います。先の大戦が最終戦争だったら、日本は発展しないままにさせられていたのではないでしょうか?またそういう状況だったら時の政権中枢の方々は降伏を決断しなかったかもしれません。いずれにせよ、決断さえすれば何時でも自分の持っているものは壊せる訳で、何時来るかも分からない天災の力に期待する必要はありません。

権利者が亡くなってしまう大災害に備えて、事前に計画を作っておくという考え方はあるかもしれません。またあまり時間をかけずに安否が確認できない方の権利を停止・廃止する必要もあると思います。安否が確認できなければ合意のとりようもありませんが、例えば津波で流されてしまうと安否の確認もとりようがありません。この辺に関して法律はどうなっているか勉強不足で良く分かりませんが、できないことをやろうとしているのであれば間違っています。生存が絶望的と見られる時期が来たら、権利は無くなるものと考えて止むを得ないとするべきだと思います。注意すべきは後で権利者が現れたケースで補償をしないあるいは薄い補償に止めるべきです。そうしないと、必ず意図的に行方をくらます人が出てきます。行方不明であった理由に確証がある時だけ例外的に通常の補償をすることは考えられますが、それでも賠償的な厚い補償は認めるべきではありません。口裏をあわせるケースも考えられますし、何処の住民であっても天災が起こって被害が出ることは避けられないと考えるしかありません。

考えたいことの2点目は、初動の救命活動・救急活動における緊急事態条項です。救命活動・救急活動というのは本来的には消防の仕事ではないかと思います。江戸時代において延焼を防ぐため周囲の家をぶっ壊したという話もありますし、救命活動・救急活動にはしばしば他人の権利を無視しなければならないことがあります。消防車がサイレンを鳴らして他の車をどかせようとするのもそうですし、人の家に許可がとれなくても勝手に水をかけるのもそうです。消防士が何をやってもいいと言っている訳では勿論ありませんが、消防活動の邪魔になる活動をする権利が守られることはありません。消防という仕事は何時でも緊急事態です。

ただ、大災害ではというか大災害であればあるほど消防では対処不能になります。何時起こるか分からないし滅多に起こらない大災害に対して消防だけで万全の準備をすることは不可能です。ここで自衛隊という別組織の出動が必要になってきます。東日本大震災ぐらいの災害になると自衛隊を投入しても足りなかったという話もあり、その場合では友好国の力を借りる必要も当然に出てきます。

自衛隊という組織は警察予備隊から発足しましたが、主任務は当然災害時の救急救命活動ではありません。ですから、現状では災害時の救急救命活動任務を遂行する上で、あるいは法的不備もある可能性があります。それができないなら法改正を考えるべきですが、消防の東日本大震災での活動に支障があったという話は聞きませんし、基本的には現行憲法で災害時の救急救命活動に支障があると考えるべきではなく、自衛隊法の改正で対処すべきということになると思います。そしてそれは現状で緊急時に軍票を受け取らせたり、私有地で塹壕を構築できたりするなら、憲法改正の必要なく可能であると考えられます。また、自衛隊の主任務は自衛にありますから、まれにしか行われない災害対応に関しては訓練が欠けており混乱が発生している可能性もあります。自衛隊アレルギーの左翼の方々の暴走的抵抗がある可能性もありますが、基本的には消防の消防活動が邪魔されない(少なくとも聞いたことがありません)のと同じで自衛隊の災害救助活動は邪魔されないと考えるべきだと思います。テロリストの系譜に連なるテロリスト同然の「軍隊」アレルギーの方々がどれくらいいらっしゃるのか知りませんが(安全保障を考えていること議論していることが右翼に見え問題だと考える人こそ自分がテロリスト同然なのだと気付く必要があると思います)、この問題には一歩一歩着々と対処するしかないと考えます。

ひとつあまり議論されないので懸念しているのは、東京直下地震の想定です。東日本大震災では住民は全般的に大人しかったという話ですが、それは勿論住民の方々がシッカリしていたというのはあると思いますが、あれだけの大災害にも関わらず、支援がある程度スムーズにいったことも関係していると思います。東京直下地震が仮に起きると想定するとあまりの大人口ですから水と食料が不足して東日本大震災の比でない大混乱が起きる可能性がないとは言えません。実際に関東大震災では乱暴狼藉する連中が湧き出て住民と争いが発生したと言われています。大都市の方が人間関係希薄ですし、人間関係が希薄なネット上では人は乱暴になりますよね(この辺は筆者にも問題がないとは言えません)。大災害で警察機能が上手く働かなくなった時(平時だから犯罪を犯せば警察に行くことになると抑止が効いている訳です)、どう治安を維持するか考えなければなりません。これは災害救助と同じく現行憲法下で警察が治安を維持できている訳ですから、必要に応じて自衛隊法を改正して平時に大災害時の治安維持出動を想定して訓練をしておく必要があるのではないかと思います。またトモダチ作戦で出動した米軍関係者の本を読みましたが、軍隊というのは兵站が極めて重要で工兵を抱えロジスティクス構築は寧ろプロと言えますから(建設業者・土建業者もそれなりにプロかもしれませんが、消防や警察は素人だと思います)、大規模災害時は「軍隊」組織の出動が極めて重要になってくると思います(本来は他所の国の軍隊と戦うのが仕事ですから、何処までも本来任務を手薄にできる訳では勿論ありません)。日本に常時駐留する大規模軍隊は米軍だけですが、必要あればドモダチ作戦がそうであったように米軍にも出動してもらえる体制を平時から築いておくことが重要ではないかと思います。

外国には緊急事態条項があることを挙げ、日本でも必要だと言う方がいますが、恐らく外国でも大規模災害で何をしてもいいと思っている訳ではないと思います。9.11テロでディック・チェイニー副大統領はテロリストに乗っ取られた航空機を撃ち落すよう戦闘機に命じた(実行されなかった)らしいですが、そういう事態が緊急事態と言えるのではないかと思います。究極の問題に近いですが、どう考えてもテロリストにのっとられた飛行機は助けられませんので、ビルなどにつっこまれないよう可能であれば撃ち落さなければなりません。これは難しい問題ですが、テロリスト対策で緊急事態条項というのは考えられなくもありません。この辺は本来は警察的任務(自衛隊の本来任務は軍隊と戦うこと)ですが、戦闘機を出して民間機を撃ち落すというような任務が警察にできるはずもありません。警察では対処できない警察的任務をどう想定するかという話になると思います。

ただ、最初の憲法改正で想定外の事態に全権委任してほしいという案を出すのは憲法改正の足を引っ張ると考えるべきではないでしょうか?そこまで信頼されていると考えるのは一種の傲慢のように思えます。

沖縄のジュゴンをどう考えるか

2018-03-05 19:03:08 | 政策関連メモ
普天間基地の辺野古移設を考える上で、鍵になってきそうなのがジュゴンの存在です。翁長知事は環境アセスで抵抗する構えのようですが、辺野古の自然が貴重であることは否定できず、安倍政権は苦戦を強いられる可能性もあります。そこで沖縄のジュゴンをどう考えるか考察してみました。

ジュゴン(ウィキペディア)

ウィキペディアを眺めると、ジュゴンの棲息地として圧倒的なのはオーストラリアです。モートン湾は「300頭もの群れで大集結する世界で、まれな海」(オーストラリア モートン湾 幻のジュゴン 大集結を見た(ワイルドライフ))、シャーク湾は「世界最大の生息地。その数は1万頭」(地球最古の生物とジュゴン生息地!西オーストラリアのシャーク湾 skyticket 観光ガイド)、ジュゴン漁で有名な木曜島もあります。いずれもジュゴンの主な棲息地である広大な熱帯や亜熱帯の浅海が広がる地形です。つまり沖縄に巨大なジュゴンコロニーができる可能性はないと考えられます。


モートン湾(スタンプメイツ


シャーク湾(パースで手作りざんまい


木曜島(木曜島の歴史

仮に復活しても観光資源としてはジュゴンはやや厳しい感じです。モートン湾やシャーク湾でもジュゴンはそれほど観光資源になっていないようです。これはジュゴンが「極めて警戒心が強いため、「幻」と言われるほど目撃が難しい生きもの」(先のワイルドライフのリンク先より)であることが関係しているようです。世界遺産シャーク湾の売りはシェルビーチであり、ストロマトライトであり、ジュゴンが大規模に棲息していることであり、モンキーマイアで大規模に棲息しているイルカと触れ合えること、アボリジニの文化であるようです(モンキーマイア(カンタス航空))。数が極めて多いオーストラリアでもジュゴンとの触れ合いは売りになりません。実際に沖縄での目撃例は限られています。イメージ戦略にジュゴンは有効とは思いますが、過剰な期待をするべきではないと考えられ、結局は現在の棲息地をあまり壊さないようにして、仮に数が増えて他に手を挙げるところがあれば環境整備していくという方向性がいいのではないかと思います。あまり数が減りすぎると増やすことは困難になりますし、仮に例えばオーストラリアからジュゴンを連れてくると仮定してたとしても、棲息地の小ささなどを考慮すれば、あまり明るい展望があるやり方のようには思えません。

近年でたびたび目撃されている沖縄の残るジュゴンの棲息地は沖縄本島の辺野古が面する大浦湾や古宇利島周辺のようです。この内古宇利島では検索しましたが、いるにはいるようですが目撃例はやはり少なく、少なくとも観光で売りにはなっていません。2005年に開通した古宇利大橋がジュゴンにプラスと思えませんが、特に反対運動も無かったようです。今、辺野古でジュゴンの保護を騒いでいる人達も、辺野古移設問題の片がつけばスーッといなくなるんじゃないかと思いますね。ちなみに古宇利島で盛んなのはウニ漁のようです(今帰仁漁業協同組合)。ウニはジュゴンの餌のアマモを食べます。

漁業だけでは先細り… 辺野古新基地の請け負い目指す 会社を設立した漁師の胸中(沖縄タイムズ 2017年8月24日 06:00)

>子どものころから大浦湾で潜って魚を捕ってきた。海面から透けて見えるたくさんの魚やサンゴに「気持ちが晴れた」と振り返る。25歳で漁師となり、沖合でマグロ中心の漁をしてきた。しかし最近は漁獲量が減り、赤土の流出などで目に見えて大浦湾が汚れてきたと感じている。4月には基地建設のため大浦湾を埋め立てる工事も始まった。

辺野古基地反対もいいですが、本気でジュゴンを守る気があるのなら、赤土の流出対策とか他にもたくさんやることはあるのではないですか?所詮はジュゴンは基地移設反対の口実であるように見えます。どうも農業が不味いようで対策が必須のようです(なぜ、赤土等の流出が起こるのか NPO法人おきなわグリーンネットワーク)。

辺野古の住民は基地移設に概ね賛成です。大浦湾に臨む住民が環境保護に熱心だという話もないようですし、基地が出来たからと言って大浦湾の環境が決定的に損なわれる訳でもないでしょう。

基地はそれはそれとして、沖縄のジュゴンはそっとしておくのが良いのではないですか?本気で守る気があるのなら、基地だけに拘らずあらゆる方面で全力で保護に動く必要があると思いますが、そんな様子もないようですしね。

最後に沖縄の環境に暗い話題が続いたので、世界遺産の話をしておきますが、沖縄や奄美の自然で本当に希少なのは海の生物ではなく、陸の生物だと思います。海は繋がっていますしね。進化論はガラパゴスで生まれましたが、海で分断されることによって固有の生物が島に棲息することになります。また、島の固有の生物は生息数が少なく滅び易い条件にあると思います。世界遺産の主目的は保護であって、必ずしも活用ではないようです(そちらはジオパークがあります)。世界遺産に選ばれるにしろ選ばれないにしろ、ヤンバルクイナ(環境省)が棲むやんばるの森(やんばる野生生物保護センターホームページ)、イリオモテヤマネコ(環境省)が棲む西表島の原生林(西表野生生物保護センターホームページ)、アマミノクロウサギ(環境省)が棲む奄美大島(奄美野生生物保護センター)や徳之島の環境を守っていこうということですね。

※3月6日追記:分かり易いシンボルがいる環境を守ることが他にはない価値になり、地域のブランド力を高めると思います。

地域ブランド学序説(地域ブランド研究会 中嶋聞多)

>表2 ブランド・モデルの8要素
①ブランドの強み ブランドの核となる“地域性”の強みは何か? 他地域と比較して 明確な独自性・革新性はあるか?
②ブランドの領域 何にブランドネームを付けるのか? ①地理的な範囲と、②“地域性”(何で括るのか、何のまちか)の両面で明確化する必要がある。
③送り手 当事者意識が高く、“競争の場”で実行力のある送り手主体となってるか? そもそも送り手は明確か?
④送り手の夢 理念はあるか? 受け手からも共感される夢か? 送り手の都合になっていないか? 共有できているか?
⑤受け手 受け手は誰か? 戦略夕一ゲットは誰か? 主要なターゲットは誰か?
⑥シンボル ブランドを一瞬で想起するシンボルはあるか? ブランドが提供できる価値を連想できるか?
⑦ステークホルダー ブランドの独自性を高める協力者はいるか? ブランドの一貫性を乱すことなく夢を共有できているか?
⑧約束 結果としてブランドは受け手に対し何を約束しているか? 送り手の夢やブランドの強みを“受け手価値(受け手の言葉)”に置き直すと何を提供できることになるか?
出典:二村宏志2004「地域ブランドはマネジメントして創る」商工ジャーナル30(8 353)

明確な独自性があり、領域もハッキリしており、夢も理念も受け手(自分で開拓しないといけない要素もあると思いますが)もシンボルも約束(他にない自然、癒される環境など)もあるでしょう。後は送り手がやる気を出してステークスホルダーを巻き込んでいけば、地域ブランドは確立していくと思います。地域ブランドが確立すれば、環境以外の要素にも波及すると考えられます。

正義と秩序を基調とする国際平和と日本国の安全を誠実に希求する憲法改正案

2018-03-05 16:42:32 | 政策関連メモ
本日の読売社説をもとに憲法9条に関して考えてみます。

日本国憲法第9条
1.日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2.前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

憲法9条改正案 世論喚起へ具体的に論じよ(読売新聞 2018年03月05日 06時00分)

>2項を残した上で、「自衛隊」や「自衛のための必要最小限度の実力組織」の保持を明記する案が出ている。いずれも「自衛力」を明文化する規定と言える。2項が禁止する「戦力」とどう違うか、明快な説明が求められる。

2項に「前項の目的を達成するため」とあるので、1項を参照して戦力の定義を考えるしかないと思います。1項抜きに戦力の定義を考えると、戦力とは戦闘力を持つ部隊だと一般には定義されるようですから、自衛隊は違憲と判断される可能性が高まると思います。

これまでの政府見解も必ずしも誤りではないと思いますが、誤解を招く表現だったのではないでしょうか?実際問題、憲法学者の多くが自衛隊を違憲と見做し、裁判所は自衛隊の憲法適合性を判断していない状況があります。

憲法9条に関する学説は多々あって、論争を決着させることは困難でしょうし、決着するとしても万一違憲になったら自衛隊を解散させるのかという問題があります。自衛隊は国民の多くに支持されていますし、どう考えても解散させる訳にはいきません。こうした状況に終止符を打つのが自衛隊明記案だと思います。

具体案として出てきた政府見解を憲法に書き込むという条文案には筆者は反対しています。今まであった解釈する余地が無くなってしまうからです。それだったら9条改憲しなくていいと思っていますが、改憲せずに違憲判決リスクを無くせると思っている訳ではありませんし、憲法学者の反対や裁判所が判断しないことを軽くみている訳でもありません。実際に平和安全法制の時もそうでしたが、安全保障を考えないことが平和だと思っているかのような人達の根強い反対に政府与党・自衛隊は苦しめられてきました。その非生産的にも思える反対論の根拠となってきたのが憲法9条です。それもむべなるかなで9条には戦争放棄・戦力放棄と現に書かれています。ならば政府見解をそのまま書けばいいという話が出てきていると理解しています。その主張を仮に認めるとしても、政府見解そのものが憲法学者の多くに無視・反対され、裁判所に判断を避けられているのですから、論争が始まると案外苦しくなる可能性もあると思います。

筆者は2項削除というか憲法9条そのものを全部書き換えるのが本来はベストだと思いますが、やはり政府与党の一致や国民の理解を得るのが難しいようですから、他に何か考えなければなりません。やる以上は当然より理解が得られる条文案にすべきですが、条文改訂が安全保障政策にマイナスになるのも本末転倒のように思います。何故マイナスだと見るかと言えば、専守防衛を貫くとしてもミサイル時代ですから、相手がミサイルを持って攻撃してきてもこちらはミサイルで反撃しないというような考えは、安全保障政策をニュートラルに考えるなら、有り得ない考えだからです。常識的に考えれば、自衛が認められるなら、相手が持っている兵器は大体認められるはずです。こういう直感的な意見を改憲で潰してしまっては、安全保障論からの賛成論が盛り上がってこないと思います。しかしながら、こういう考え方そのものに抵抗感が強いことも理解できます(ロシアや中国に対抗して核・ミサイル開発するというような話は現実的ではありません)。ですから、解釈の余地がある現状及び現在の自衛隊の現状を維持しながら、法改正で環境の変化に対応できる条文案が必要ではないかと思った次第です。

しかしながら、同害報復の環境をただちに整備しようとしていると受け取られるとやはり改憲にマイナスである可能性は確かにあります。そういう訳で現行の9条で同害報復を狙っていないと受け取れる解釈を考えてみました。

1項には正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求すると書かれています。これを持って暗黙の脅しにならないようこれまで通り敵本土の攻撃を主目的とした装備を否定できると考えられます。以前、西教授の憲法改正案(産経ニュース 2018.2.22 11:00)に賛成しましたが・・・

「現行の第9条をそのまま残し、新たに第9条の2を加える。第9条の2
(1)日本国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、自衛隊を保持する。
(2)自衛隊の最高の指揮監督権は、内閣総理大臣に属し、自衛隊の行動については、文民統制の原則が確保されなければならない。
(3)自衛隊の編成及び行動は、法律でこれを定める。」

・・・とある中、例えば(3)に「装備体系」を追加することも考えられます。法改正が必要になると思いますが、「無用の脅威を感じさせないため、敵本土の攻撃を主目的とした装備はこれを認めない」などと書いておけば、誤解の余地がありませんよね。ただ、これを憲法でやるのが嫌な訳です。例えばアメリカとて神様ではありません。安倍政権とトランプ政権の関係は良いと思いますが、将来どうなるかは誰にも分かりませんよね。下手に憲法で同害報復を否定すると、アメリカとの関係が悪くなったと仮定して、撤退するよと言われた時に、一々憲法改正して対処するよと返すのは具合が悪い訳です。別に日米同盟を悪くしようという訳ではないですよ?でもあらゆる可能性を想定しなければ、安全保障になりません。法改正でよければ、必要だと考えられることは直ぐに対処し易い訳です。軍刑法の問題もありますし、ポジティブリストの問題もあります。本来は政府の判断ひとつでできればいいですけど、それだと疑われて改憲が難しくなるなら、法律で決めるのはどうでしょうということです。

そういう訳で現行の9条を残すという条件であれば、筆者は解釈変更・法律の改正で現状可能な安全保障政策を制限する如何なる条文も憲法に追加すべきでないと考えます。

勿論9条改正に消極的になった訳ではありません。平和安全法制の時の混乱を繰り返さないためには、自衛隊が違憲でないとハッキリさせること、法改正で対処することは何ら疚しいことではないと明らかにすることは大きな意義があると考えられます。そのためには現在の政府見解をそのまま憲法に明記するべきではなく、芦田修正が追加された経緯を重視して(そもそも合憲であるので)、現行の憲法9条の条文をそのまま肯定した上で自衛隊を合憲化するというようなやり方が妥当と思うようになりました。これは現行の憲法9条そのものには手をつけない加憲案でもあります。

そうした内容で国民投票が通らない可能性があるなら、自衛隊が違憲と誤解されかねないので、発議しないだけだと思います。最終的に決めるのは国民なのですから、まずは広く議論を喚起し国会で議論していくことだと思います。

コミックと書店の衰退と対策

2018-03-04 13:03:19 | 政策関連メモ
漫画の海賊版“昨年から特にひどい” 人気漫画家が考えた対抗策とは?(産経ニュース 2018.3.3 13:00)

漫画業界の衰退が激しいようですね。筆者も漫画は好きなので、ちょっと考えてみたいと思います。

海賊版の撲滅に関しては、勉強不足で良く分かりませんが、先の記事で触れた海賊版を激減させたというSpotifyの事例が参考になるかもしれません。要するに正規のサービスを構築して偽者を潰すしかないんじゃないかと思います。これの問題は、ネットに有力なサービスをつくってしまうので、既存の店舗は救えないということです。既存の店舗はネットとも連携しながら、自分の役割を見直し作り直していくしかありません。ただ、いずれにせよ(海賊版が放置されていても)、既存の店舗に悪影響は出てしまう訳です。出版業界自体が潰れたら書店の未来もない訳で、これはもう是非もなしという奴ではないでしょうか?

筆者は個人的に書店が好きですが、その理由はやはり本の中身が見られるからです。書評を見てポチっと買うことができないんですね。買う本が決まっているとしても、ついでにチェックもしたいですし、中身検索では一部だけで肝心なところが見れません。別に肝心なところを見たからといって買わない訳でもありません。パラパラッとめくって中を見れることが大きい訳です。関連書も今が旬の推し本も本屋に行けば直ぐに分かります。類似のサービスはネットにもあるでしょうが、最終的に自分の目で見て判断できるから書店に拘りがあるんでしょう。使ってないだけかもしれませんが、使う気にならないというのも確かな事実です。手元にあると何時でも参照できますしね。

漫画だったら書籍に比べて立ち読みで全部読まれやすいという問題はあると思います。それは続刊を売るとか、短編集でひとつだけ見せるとかいろいろ考えられますね。ひとつ言えることは封をしているなら、ネット書店と大差ないということです。それだと家でポチっの方が楽でいいですよね。もうひとつ重要なのは雑誌の存在です。これまでは雑誌が封をしているコミックの宣伝になってきたと思います。雑誌をどう維持していくかどう伸ばしていくかも課題ですが、雑誌も見れない店頭で中身を確認もできないということであれば、書店でコミックを買う道理もありません。表紙買いでガッカリした経験は漫画好きなら誰でもあると思います。

amazonに押されて書店が厳しいという話は筆者は好きではありません。amazonなんて本の中身も見れないじゃん、何がいいの?って話でしょう。大型書店の専門書需要なんかは買う本が決まっていてamazonの方が便利なのだということかもしれませんがね。特定の本ではなく、テーマに関心がある人は本屋にいって自分の目で見て買った方がいいですよ。amazonの方が在庫があるとか言ったところで、旬を過ぎた本は実際問題要らないところもあります。自分で探すことで関心を深まりますし、自分のものの見方も高まるでしょう。そしてそれが本を読むことの最終目的のはずです。

書店のフェアも必要かもしれませんが、出版社・書店員でワンクッション入りますし、ヘビーユーザーとライト層をどちらもターゲットにしたフェアをつくるのは難しいとは思います。来店回数が多いヘビーユーザーをターゲットにしたフェアは労力の関係で無理ですから(そもそも自分の趣味志向があって自分で判断する人しかヘビーユーザーになりません)、ライト層向けのフェアしかありませんが、如何なライト層でも同じ本をプッシュされ続けると前に見たよってことになります。基本の売り場でどれだけ本を実際に見てもらえるかが重要かと思います。

小売ではショールーミングの問題もありますね。

店舗で見てアマゾンで買う「ショールーミング」危険にさらされる小売店ビジネス(JB PRESS 2013.3.1(金))

店舗で見てamazonで買うって奴ですが、逆に面倒くさくないんですかね?家電なんかは大型商品は無料だったりするようですが、あまり嵩張ると持ち帰りがしんどいということはありそうです。纏め買いされるとレジで時間がかかったりするんですよね。レジでの簡単な手続きで商品を送るというようなサービスがあれば、たまには使われるかもしれません。

配送料もありますから、送料を払ってまではわざわざショールーミングしないとは思います。ただ、2000円以上の商品、Amazonプライム、Prime Student会員は送料無料のようです。だとしたら、逆に2000円以上の購入にポイントをつけるとか、商店街や百貨店にある書店だったら、統一のカードでポイントをつけるとか(amazonは本だけでなく何でも買えます)、そういう対策があるんじゃないでしょうか?

記事によると、ショールーミングの指数、つまりリスクが最も高いのは、寝具、浴室・キッチン用品などを販売する雑貨小売店チェーンの「ベッド・バス&ビヨンド」だそうです。多分寝転がってみたいとか店舗に行かないと買えない商品ほどそういうことをするお客様が出てくるのだと思います。逆に言えば、ネットだけで買いたくない商品がショールーミングしたい商品な訳で、ネットに強い商品とも言えると思います。

ショールーミングをしたくなるような店舗をつくって、ショールーミングを如何に防いでいくかという視点も、矛盾するようですがこれからの小売には必要なのではないかと思います。

別にamazonをヘイトしている訳ではありませんよ?顧客にとって何がいいかそれぞれの立場で追及していくことが大切で、それが経済発展の原動力になるだろうということです。

コミックの話に戻りますが、部数は重要ですが、あまり拘り過ぎると気が滅入ります。衰退しているならもういいやで流れに乗って退出する人もいるかもしれませんしね。インフレが起これば価格が上昇しますから、売上高は上がります。トリックみたいですが、貯蓄して利子をつけるというモデルがある以上、価格上昇の流れは無理してでもつくっていかねばなりません。デフレだと貯蓄する動機も無くなりますし、貯めとけばいいやになりますよね。昔は放っておけばインフレになったんでしょうが、今という時代はそうではないようです。

最後にコミック・書籍の海外販売の問題を考えてみます。これも筆者は素人で知識がありませんが、翻訳権・翻案件が重要なんでしょうね。

翻訳権・翻案権って?-ネコでもわかる知的財産権(SEO)

ディズニーが世界中で商売できているのですから、出版も世界中で商売できると思います。個別の出版社で荷が重いなら、協力することが重要ですね。日本書籍出版協会という団体がありますが、そこがもっと力を入れるか、海外での競争力があると考えられるコミックで団体を立ち上げ売り込んでいくことも考えられます。ディズニー並にある種の方々に嫌われて何ぼなのかもしれませんよ。

絵がメイン商材で地域の実情にあわせて修正も可(コアな人が本家を買いに来てくれれば良い訳です)(例えば看板などを現地語に変えてもいいですしその土地の慣習もあります)、意欲のある企業が日本市場をリサーチして、これといった商材を翻訳権・翻案件を買って、翻訳・翻案しコミックを売っていく訳です。企業がただ海外に出るだけではダメで権利が守られないとどうしようもありません。そのための知恵と行動が必要です。

書籍にしても小説家で海外で売れる人もいるようですし、その辺も本気を出していくべきでしょう。こんなニュースもあるようです。

海賊版日本語書籍も落とし放題=「百度文庫」がおとがめなしの理由とは―中国(kinbricksnow.com)

海賊版を通して海外で読まれている日本の小説家や漫画家が正規の商売でちゃんとリターンを得ていけるようになれば、業界が息を吹き返してくるかもしれませんよね。

地域とともにある自衛隊(石垣)

2018-03-04 11:44:17 | 政策関連メモ
<解説>地域とともにある自衛隊

>地域における自衛隊の役割は災害派遣だけではありません。

>陸上自衛隊においては北部・東北・東部・中部・西部の全国の5つの方面隊がそれぞれ地域の特性に応じた協力活動を行っています。

>その中でも共通しているものが不発弾処理で、年平均約1,400件を数えます。沖縄戦の影響により、70年が過ぎた現在でも、九州・沖縄地方(西部方面隊)の処理件数はその5割を占めています。また、緊急患者輸送も年間200件(陸自のみ)を超え、その7~8割は長崎・鹿児島・沖縄の島嶼地域です。近年、積雪寒冷地においては独居老人宅の除雪の実施が困難になってきており、特に過疎の進む地域においては作業を担える若者も少ないことから、北海道(北部方面隊)では、付近に駐屯する自衛隊がボランティアで除雪支援することも多くなっています。

>また、地域で行われる様々な伝統行事を支援している他、東北地方(東北方面隊)では、東日本大震災に因む慰霊行事や町おこしなどにおける自衛隊の貢献がより一層期待されていす。

>一方、地域で行われる国家行事支援も重要な役割の一つであり、15(平成27)年の「わかやま国体」支援に引き続き、16(同28)年5月の「伊勢志摩サミット」においても国賓輸送などの支援を行いました(中部方面隊)。そして、20(同32)年の東京オリンピックにおいても、新編予定の陸上総隊や東部方面隊の下で、警備などの支援を行い、オリンピックの無事の開催に貢献していきたいと考えております。

石垣市長選の争点に陸上自衛隊の配備問題があると思いますが、陸上自衛隊は本分の防衛だけでなく、地域とともに具体的行動をもって地域に貢献していくことも間違いないんだろうと思います。石垣にも不発弾は埋まっているようですが、不発弾処理作業も進むでしょうし、自衛隊に任せておけば安心ではないかと思います。

急患輸送に関して言えば、陸自の急患輸送への貢献に対して「緊急患者9千回空輸謝恩会」が沖縄県離島振興協議会、鹿児島県市町村総合事務組合、大島郡町村会主催で2017年8月25日に那覇市の県市町村自治会館で行われたようですね。一足速く陸自を配備した「県離島振興協議会の外間守吉会長(与那国町長)は「多くの住民の人命確保に大きく貢献し、厚くお礼申し上げる」と感謝した」ようです(陸自の急患空輸に感謝 那覇で9千回謝恩会(琉球新報 2017年8月27日 14:00))。現状でそういう仕事を担っているのは第十一管区海上保安本部 石垣航空基地のようですが(11管区石垣航空基地 急患輸送2000件を突破 33年3カ月、無事故での快挙(八重山毎日新聞 2005年06月17日))。

八重山日報で筆者には馴染みがありますが(伝統行事の記事をよくみかけます)、石垣市・八重山地域の主な年中行事(石垣市)でも何か陸上自衛隊がお手伝いできるかもしれません。

イベントをするにしても、国賓を迎える時など警備が必要な時もありますよね。トリップアドバイザーで石垣が世界で人気急上昇中の観光地第1位になったそうですが、何時かどでかいイベントが行われる可能性も???

沖縄本島では軍が経済の邪魔だと言い張る方々がいらっしゃるようですが、そんなことはないんだろうと思います。単純に若い人口が増えるのは大きなインパクトであることは間違いありません。ハワイでも基幹産業のひとつのようです(ハワイの産業トップ5って何かしってる? ハワイ州の経済を知ろう!(ハワイ移住ブログ 2016.05.05)。

陸自が石垣で何をするの?って思うかもしれませんが、島を空にしておくこと自体が危険だと思います。例えば今、モルディブなんかでは某大国がやってきて掻き回し大混乱しているようですが、仮にモルディブがきちんとした軍隊を持っていたり、例えばインド軍やアメリカ軍が駐留していたらどうでしょう?某大国はモルディブの土地を収奪したとか言われてますが、いざとなれば何時でも追い出されることが分かっているなら、無茶苦茶もできませんよね。モルディブ国防軍(ウィキペディア)を参照しましたが、長い間軍隊を保有しない国として知られてきたようです。誰も注目しない島ならそれでいいかもしれませんが、石垣のような注目される島がそんなことでは逆に危険です。実際モルディブ国防軍発足前にはこんな事件(1988年11月3日、モルディブ人実業家であったアブドラ・ルスフィ (Abdullah Luthufi) は、スリランカのタミル人武装組織、タミル・イーラム人民解放機構(略称:PLOTE。タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)とは別の組織)の傭兵400人を投入してクーデターを試みた。しかし国家保安隊の抵抗を受けてクーデター部隊はマウムーン・アブドル・ガユーム大統領の身柄の早期確保に失敗し、マレを脱出した大統領は、イギリス、アメリカ合衆国、インドに対して支援を要請した。これに応じて、同日中に緊急展開したインド軍空挺部隊によってPLOTEの戦闘部隊は制圧され、事態は収拾された)も起こったようです。

台湾側の外交文書や『蒋介石日記』の記述からは、台湾が当初尖閣諸島を琉球の一部と明確に認識していた(阿修羅)という話もあるようですし、実際に石垣(尖閣)に侵入してくる外国もあって、琉球独立論を研究している外国もあります。いざとなって慌てふためいても遅い訳で、備えあれば憂いなしだと思います。

平和は重要ですが、安全保障を考えなければ平和になる訳ではありません。寧ろ逆です。誰にも狙われない島ならそれでもいいかもしれませんが、石垣はそうではありません。選挙戦で平和を強調するのもいいと思いますが、自衛隊隠しみたいな空気はどうなの?と思い、一石を投じようと思った次第です。そんなことでは先が思いやられますしね。

以上ですが、テーマ「石垣」は一応この記事を持って完了としたいと思います。石垣振興は地元のプロ達が考えるでしょうし、これから選挙戦で論争も深まると思います。筆者もニュースは見ていますから、何かあればまた書きますが、筆者の主要な関心事でちょっと記事を書いてみようかと思った次第です。

※3月5日追記:八重山日報によると、宮良氏は「争点はミサイル基地を認めるか、認めないか、一つだけだ」と言っているようです。ミサイル基地って言いますけど、配備されるのは12式地対艦誘導弾(SSM)なんですよね。これはピンポイントで船を攻撃できる優れもののようですが、要するに尖閣や八重山・宮古に押し寄せる某国の軍艦や海警・偽装漁船を沈めるための装備なんでしょう?明らかに地域が平和になるんじゃないかと思うのですが・・・。左翼の皆さんは尖閣盗るためだけに、中国が対艦ミサイルに対して飽和攻撃を仕掛けるとでも思っているんですかね?油断してはなりませんが、今まで中国は一度も上陸していません。ハードル上がってそんな決断するか疑問なしではありません。

廃業かM&Aか

2018-03-04 11:16:26 | 政策関連メモ
生産性が低い企業には退出してもらおうという記事を書いたので、その手法として廃業かM&Aか少し触れておきたいと思います。

中小企業の後継者難、「廃業より売ったほうがマシ」でM&A増加中(ダイヤモンドonline 2017.12.28)

>問題は、廃業予定企業のうち3割の経営者が同業他社よりも良い業績を上げていると回答し、今後10年間の将来性についても4割の経営者が少なくとも現状維持は可能と回答している点だ。

>こうした、企業業績が必ずしも悪くない企業であっても後継者が決まっていない、または廃業予定である企業が数十万社に上ると予想されており、事業承継を選択しない場合には当該企業が維持している雇用や技術、ノウハウが失われてしまう可能性が高いからだ。

廃業の方がいい場合もあるかもしれませんが、生産性が高い企業が廃業するなんて状況が日本にはあるようですから、それだったらM&Aの方がいいように思います。そうしたことを専門に請け負う会社もあるようですし、経営者の方々はよく考えて、また政府もそうした流れを加速するようにして、生産性が高い企業を潰してしまわないように注意すべきなんだろうと思います。優れたノウハウ・人材は継承していかないと日本経済も良くなりませんね。

【M&Aの現場】事例が語る廃業の恐怖、M&Aのハッピーリタイア(M&A Online 2015-07-01)

リタイアの仕方としてもM&Aは中々優れているとの指摘もあります。


北海道・東北・北陸(雪国経済)と北欧諸国

2018-03-04 09:03:49 | 政策関連メモ
公明党の山口なつお代表が雪国に注目しているので、雪国経済に関して考えてみました。

といっても、雪をどう活かすといった逆転の発想ではありませんし、どう雪害に対応するとかそういう話でもありません。それはそれで重要だと思いますが、ここでは別の話をします。

失礼ながら大変申し訳ありませんが、北海道は社会主義的だとか東北はちょっと遅れているみたいなイメージがあると思いますが、世界的には寒いところに遅れたイメージはありません。北欧は先進的なイメージですし、ソ連経済はダメになりましたが、技術では光るものもありましたよね。ソユーズ(ウィキペディア)はスペースシャトルを退役させたところがあると思います(ご興味のある人は枯れた技術に見るソフトウェア開発 ソユーズとスペースシャトルの比較(urashita.com)など参照してみてはどうでしょうか?)。これの原因を考えると、研究に集中し易い環境があるのではないでしょうか?雪で外に出にくい寒さで外に出たくないとしても、研究所に篭って研究に集中すればいいだけの話です。北欧の企業というのは世界的に優秀な企業も結構あって経済で参考にすべきところがあると思います。高福祉が注目されますが、それもお金がないと出来ません。人口規模や歴史的経緯経済環境が違う日本にそのまま福祉制度を移植することは難しいと思いますが、北欧に注目して優れた企業を生み出し、その企業が中心になって、雪を活かしたりすればいいのではないかと思います。雪害対策も地元の研究努力次第なところがあると思います。

アメリカのエリート私立伝統校群として著名なアイビーリーグも寒いところにあるのは偶然でしょうか?


ウィキペディア「アイビー・リーグ」より取得

それでは少し北欧4国(スウェーデン・フィンランド・ノルウェー・デンマーク)の経済を見ていきます。

北欧の小国「スウェーデン」はなぜグローバル企業を輩出し続けるのか?(現代ビジネス 2015.12.14)

>昨今ではカジュアル衣料のH&Mや音楽ストリーミングのSpotifyが有名だが、家具業界に世界的な激変をもたらしたIKEAもこの国で生まれた。自動車のボルボも、通信機器のエリクソンもスウェーデン生まれだ。

流行になったファストファッションの起源は良く分からないようですが、世界で影響が大きくなったと見られ始めたのはH&Mが98年にフランス、続いて00年に米国に進出した頃だそうです(ファストファッションについて、その語源的な由来ではなく、どこでどのように始まったのか、その起源について記されている本があれば教えてほしい(レファレンス協同データベース))。CDを聴かなくなってから音楽から遠ざかっている筆者は知らなかったのですが、Spotifyが海賊版サイトを激減させたとの指摘がありますね(【音楽学】音楽産業の歴史と発展~レコード・CD・MP3・ストリーミング~(XERA))。イケアはヨーロッパを席巻し世界最大の家具会社になりました(イケアが世界最大の家具会社になった理由(PRESIDENT 2017年9月4日号))。ボルボには安全神話がありますね(ボルボの「安全神話」が受け継がれる理由[クルマの名鑑vol.8](Forbes 2017/05/04 15:00)。エリクソンは世界でノキアやファーウェイと熾烈な争いをしてきた通信業界大手です。

フィンランドのノキアは有名ですが、ノキアが衰退した今、元ノキア社員はスタートアップに力を入れているようですね(起業ブームに沸くフィンランドで何が起きている? 学生、元ノキア社員、政府が盛り上げるスタートアップシーン(リクルート 15.06.11 THU)。フィンランドの技術力の高さは研究開発への投資が支えており、賃金の低いアジア諸国と同じ土俵で戦わない努力をしているようです。日本も参考にすべきで、賃金の低さで勝負している限り、給与も物価も上がりませんので、日本は必ず詰みに向かいます。

人口が少なく国土が広いノルウェーは生産性大国なのだとか(生産性大国ノルウェーは幸せなのか?(日経ビジネス))。

>ノルウェーよりランキング上位のアイルランド(1位、約16万4000ドル)とルクセンブルク(2位、14万6000ドル)はどちらも小国で金融機関の集積国。ノルウェーは3位の米国(11万9000ドル)ともさほど違いは無い水準。国内にこれと言った大企業や金融機関を持たないノルウェーが、これだけ高い生産性を保っていることはまさに驚異的だ。

物価も高いようですが、日本も学ぶべきでしょう。物価が安いとものが多く買えて幸せなのではないか?などと主張したところで、デフレ下では現金保有タンス預金有利になって投資が一向に進みませんから、デフレを前提に経済政策を考えることは無理だとそろそろ気付くべきだと思います。それがバブル経済崩壊以降の長期衰退の教訓ではないでしょうか?

デンマークが2連覇!ビジネスに理想的な国ランキング(Forbes 2016/04/30 10:00)

デンマークはビジネス環境で評価も高いようですね。代表的な企業はデンマークの経済や産業、企業は?国王や首相は?(brave-answer.jp)を参照しましたが、レゴは有名ですね(玩具のレゴ、首位マテルに肉薄 16年売上高(日経新聞 2017/3/10 7:20) 。ロイヤルコペンハーゲンは筆者は知りませんでしたが、日本でも人気のようです。王室がある国というのは、何となく親近感はある気はします。

デンマークの酪農やノルウェーの漁業など北欧諸国は一次産業も得意です。そういう意味でも雪国諸国は北欧を参考にするべきところはあるのではないでしょうか?

今回は取り上げませんでしたが、北欧と言えばアイスランドも危機は脱したようです(「銀行救わず危機脱した」 アイスランド中銀総裁 資本規制を解除(日経新聞 2017/5/15)。ピンチに陥っても必ずしもそこで終わる訳ではありませんが、終わらせないためには現状をなるべく把握して適切な対処法を考え実行していくことだと思います。何もしないで現状を長期間維持するという選択肢は事実上存在せず、やるべきことをやってはじめて維持・向上できるということですね。それが現実だと思います。別に休むな遊ぶな奴隷労働しろと言っている訳じゃありませんよ。何もしない贅沢を否定している訳でもありません。

最後に雪国経済に触れたので、北海道と観光で一点だけ。ニセコにオーストラリア人が増えたとかそういう話は有名ですね。今ではあまりに人気になって外国人ばかりで日本らしくないとか言って、オーストラリア人は富良野や島牧村に逃げ出したとか。何でも雪質が良いらしく世界中からスキーヤーが集まるのだそうです。冬のニセコはまるで外国 !! 世界一の雪質を求め、各国のスキーヤーが集まる。日本人はどこ ?(tenki.jp 2016年03月16日)日本の限られたパイを奪い合う発想では気分も暗くなってしまいます。世界でも優れたものがあるなら、売り出していくのも一つの方法でしょう。

生産性が低い企業・財政が悪い企業を削減していくことが経済改革の本丸

2018-03-04 06:07:22 | 政策関連メモ
「日本企業は今の半分に減るべきだ」デービッド・アトキンソン大胆提言(Newsweek 2018年3月3日(土)10時35分)

>皆さんもご存じのとおり、日本ではすでに人口が減り始めています。人口が減る以上、GDPを維持するためには生産性を高めるしかありません。「GDP=人口×1人あたりの生産性」だからです。

全くその通りだと思います。そしてアトキンソンさんの言うとおりに出来れば、一人あたりのGDPは激増します。少子化問題なし!って主張していた論者っていますが、結局こういうことができればなんですよね。自分が見落としていただけかもしれませんが、プロセス無き問題解決に意味はない訳で、ようやく答えが出たなという感じです。さすがに不良債権問題を指摘したアナリストは慧眼ですね。

>日本の人口の減少、特に生産年齢人口の大幅減少は、「経済の常識」を根本から変えるだけではなく、社会のあり方そのものを一変させてしまう、国にとっての一大事です。日本という国は、有史以来の未曾有の事態を迎える、スタートラインに立たされているのです。

最近ようやく人口減少が大分言われるようにったと思いますが、まだまだそれにたいする危機感は共有されていない感じなんですよね。筆者も分かってはいましたが、解決の処方箋無きまま問題を指摘することは逆にマイナスになりかねませんので、指摘を控えてきたところがあります。高齢化率の上昇は女性労働力の活用など労働者を増やすことによってある程度対応できてきたんだと思いますが、今後はそれも難しくなってくると思います。経済学は良く分かりませんが、実質生産性は極端に下がっていますが、これは昔の人がスーパーマンだったということではなく、実質労働生産性は固定価格で計算しているので、物価水準が低かったがゆえに生産性が高く出るのだと思います。最近名目労働生産性が持ち直したのも物価と関係あるのではないでしょうか?いずれにせよ、日本が持ち直すとしたら、それは必ずデフレは解消された時だと思います。黒田総裁が2019年が目処と区切ったのは大きいと思います(日銀総裁、出口戦略「2019年度ごろ検討するのは間違いない」 日経新聞 2018/3/2 15:16) 。


総務省


日本生産性本部


労働政策研究・研修機構

>国立社会保障・人口問題研究所の2012年の推計では、2060年までに、2015年と比較して生産年齢人口が「3264万人」減ると言われています。この規模は、世界第5位の経済規模を誇るイギリスの就業人口とほぼ同じで、同じく経済規模世界第10位のカナダの総人口を上回ります。

>人口減少が進んでいるのは日本だけではなく、一部の先進国でも同様です。しかし、同期間の人口減少は、ドイツで約1000万人、イタリアが約500万人、スペインは約300万人と、日本がその規模で他国を圧倒しています。

>つまり、これから数十年間にわたり、日本だけが他の先進諸国とはまったく違う経済環境に置かれ、どこよりも厳しい経済対策を強いられることになるのです。

筆者を含む多くの人が生きている間に確実に起こる未来です。皆問題は薄々分かってはいたんでしょうが、事勿れ主義で問題を先送りしてきた結果、こうなっているのだと思います。ただ、もう詰んでいると悲観してはなりません。やれるのにやってないことがあるからです。

>しかし、これからの日本経済は、実は生産性が上がりやすい環境となります。なぜなら、人口の極端な減少によって経済が激変するからです。ただしこの状況を生かすも殺すも、経営戦略と国の政策次第です。

>先ほど説明したとおり、日本ではこれから数十年にわたって、生産年齢人口が他の先進国を大きく上回るスピードで減っていきます。それに伴い需要も大幅に減ります。人口の増加に伴って増加した企業の数は、人口が減るのであれば、それに伴い減少すべきなのは当然のことです。

>要するに、消費者が減っているのですから、十分に企業数と供給量を減らさないと供給過剰となり、過当競争になって、デフレに拍車をかける結果になるのです。

>企業の数を減らすべきもう1つの理由は、日本で長年にわたり低下し続けてきた、日本企業の経済合理性にあります。

>1964年以降に増えた企業は、主に従業員数10人未満の企業でした。日本企業をみると、企業の規模が大きくなればなるほど社員の平均給与が増えますので、給与の低い企業を中心に企業数が増えたことになります。規模の経済が働かない企業が増えて、企業の経済合理性が継続的に低下していたことがわかります。

>幸いなことに、企業数は減っており、特に生産性の低いところから静かに減っているのです。企業数全体は、1995年の389万社から、2015年には352万社まで減りました。1社あたりの社員数も増えており、全体で見ればいい方向に進んでいると評価できます。特に、給与が最も少ない、従業員10人未満の企業の数が最も減っているのは安心材料です。

>給料が少ない企業の存続が今後ますます難しくなるのは、生まれてくる子どもの数と企業の関係を見ればわかります。

>しかし、日本では人口減少に伴い需要自体が減るので、せっかく作っても買う人がいなくなります。供給過剰分をすべて輸出できると考えるのはあまりに楽観的すぎるので、結局、日本の企業の数は減ってしかるべきなのです。

>くだらない例で言えば、散髪をする人間が減っても、ロボットにやってもらえば美容室の数を守ることはできるかもしれません。しかし人口が減る中で、誰の髪の毛を切るのでしょうか。日本人が消費しなくなる分を輸出することができなければ、過当競争になるだけです。

>日本では企業の規模が小さければ小さいほど生産性が低いのが現実で、これら企業の存在が全体の生産性を引き下げる結果を招いているのは間違いのない事実です。

経営戦略と国の政策がちゃんとすることが日本復活の条件ですね。具体的にはアトキンソン氏が指摘するように生産性の向上だと思いますが、これは巷で言われているようにAIやロボットを導入するだけでは達成できず(供給を絞らないとデフレで価格が下がるので)、生産性の低い企業が経済常識通りに退場することによって達成されるということだと思います。それがこれまで出来ませんでした。

中小企業やフリーランスでも生産性が高い業種なら構わないと思いますし、生産性が高いに関わらず後継者不足に陥っている中小企業があるとすればそれは問題ですが、日本が普通に存続するためには生産性が低い企業を生かしておく余地はないと見切らなければなりません。それはこれまで無かった(目立たなかった)問題を生むと思いますが、仕方の無いことです。

具体的には給与を出せないところ、財政が悪いところ、無駄に補助金を食べているところはドンドン潰れると思います。潰れた企業の代わりに生き残った企業が仕事をする訳です。M&Aも進むと思います。需要が減った分供給が減ればバランスがとれますし、物価が上がれば名目GDPも上がります。そういった状況下でIotやAIにシッカリ対応して実質的な生産性も上げていけば、何とか日本終了を避けられるのではないかと思います。金融緩和で持ち直した安倍政権も出口を言われるようになりましたし、今のやり方のままでは誰がやってもジリ貧で日本が終わることは確実でしょう。新技術に対応するだけじゃダメで、やはり生産性が低い企業を無理やり生かす温情が日本をダメにしている元凶なのだと思えます。こういうとあらぬ妄想がドンドン広がりそうですが、生産性が低い人は死ねと言っている訳ではありませんし、地方潰れろと言っている訳ではありません。生産性が低い企業ややり方は止めにして、生産性が高い企業が仕事をするべきだし生産性が高いやり方に変えていこうと言っているだけです。日本が破綻しなければセーフティネットは維持されますが、破綻すればそれも無くなります。困るのは年金で暮らしている高齢者・将来の自分だったりするんじゃないでしょうか?新自由主義ガーって言いたがる人が邪魔をするかもしれませんが、足を引っ張ってほしくないですね。

常識で考えれば分かるじゃないですか。デフレで給与上がらず税収上がらず社会保障が増え人口が減ったら日本が終わることは。これは新技術を導入する対処療法だけでは焼け石に水です。今ある出来ているものを活かしそこに集約していくことでこの危機は乗り越えられるんだろうと思います。適度なインフレで給与を上げて(上げられない企業は潰れて)税収を上げていくことが重要です。医療でもわずかな期間延命するためだけのために莫大な治療費を使うのは問題だと思いますよね。よほどお金持ちなら自分の金で好きにしたらいいですが、皆がそれをやろうなんてことは不可能な訳です。経済も同じで儲からない商売を何時までも続けることは出来ません。成功するか誰にも分からない先端分野で技能がある人は失敗してもドンドン再チャレンジするべきだと思いますし、潰れた企業にいた人も新天地で勿論働くべきとは思いますが、兎に角無理せず維持不可能なものは整理していかねばなりません。

さすがにオックスフォード出でゴールドマンサックス出身で不良債権問題を指摘した日本を良く知る人の分析は違いますね。日本全体の問題を俯瞰してよく見抜いている感じがします。文化財修復の現場にいて(会社を運営し)観光に関する提言も広く受け入れられていますが、現場を実際に知っている経営者ならではなんでしょうね。明治期のお雇い外国人(ウィキペディア)もこんな感じだったのでしょうか?

>今後の日本で減るのは、0~14歳の若年人口と15~64歳の生産年齢人口だけです。高齢者は減りませんので、当然、医療費や年金の負担は減りません。また、人口が減っても、国の借金は減ったりしません。

>社会保障の維持と国の借金を考えれば、GDPを減らすことが日本にとって自殺行為なのは明らかでしょう。

はい、反論できる人いますか?できなければ黙っててほしいですが、日本にとって良くても自分個人が損する人は抵抗するかもしれません。そういう人とは戦うしかないですね。高齢者も何れは減りますがそういうことではありません。出生率が向上しない限り、高齢化率が高いトレンドは改善しません。消費税上げで社会保障を維持しようなどというビジョンではデフレを誘発しジリ貧からの破綻は間違いなしと思います。借金を減らすには適度なインフレで税収を上げるしかないと思いますが、供給が絞られない限りデフレ脱却はなりません。供給を絞るためには過当競争を無くすことで、生産性が低い方が退出するなりM&Aするしかないと思います。みんなで供給を絞ったら少量生産になって効率が悪化するだけでしょう。誰がそんな企業に投資するんでしょうか?言い訳は必要ありません。これはやるかやらないかだと思います。

>人口が増えていたころの名残なのか、日本政府は、いや日本人全体が、国内の企業の数が多いことを好ましいと考えています。特に中小企業が好きなようで、中小企業の数がちょっとでも減ったり、倒産や廃業が増えたりすると大騒ぎになります。

>しかし、やっと生産性の低い企業の整理を進めるチャンスが訪れたのですから、政府はその動きを邪魔するべきではありません。喜んで生産性の低い企業から削減するよう、励んでほしいと思います。

>企業統合を促進する政策を打って、規模の経済を追求する体制を作るメリットは非常に大きいです。特に、これから一部余る供給を海外に輸出する必要が生まれていますが、10人未満の企業にはかなり厳しいと思います。

>また、ITなどは特効薬にならないにしても、これからは人があふれていた時代から人が貴重な時代になりますので、ITを本格的に活用する必要があります。IT投資を生かすにも一定の規模が必要ですので、やはり企業統合を促進することが求められるのです。

絶対に中小企業がダメという訳ではないと思いますけどね。基本的にはアトキンソン氏の言う通りだと思いますが、輸出が関係ない業界は多いですし、日本は内需の国になってますので、それほどインパクトの大きい話ではありません。パソコンを使わない仕事もありますし、パソコンが使えれば十分な仕事もあります。でも、投資しなければならないことが分かっているのに、金がないから投資できないとか、中小だから対応できないとか、そういう企業は退出する(合併する)しかないということだと思います。政府も腹を括って生産性が低い企業・団体を削減していく方向性に切り替えていかねばなりませんし、そうすると確実に反対が増えますので、政治家は厳しいところもあるかもしれませんが、日本をダメにした政治家として退出を強要されるのとどっちがいい?ってことになるんじゃないかと思います。日本人も何も滅びたい訳じゃないと思いますので、説明すれば理解する人は増えてくると思います。

以上でテーマ「経済」はとりあえず終わりにします。勿論経済問題はこれからも取り扱いますけどね。

中国と北朝鮮の関係

2018-03-03 11:30:55 | 政策関連メモ
北朝鮮労働党幹部が明かした「中国・ロシアとの本当の関係」(現代ビジネスプレミアム 2017.09.22)

>度重なるミサイル発射で日々緊張が高まる北朝鮮情勢。いま、金正恩第一書記はなにを考えているのか。ジャーナリスト・近藤大介氏が北朝鮮労働党幹部に接触。彼らが諸外国との関係についてどう思っているのかを聞いた。

北朝鮮の考えを知るためには、北朝鮮労働党幹部の証言は重要ですね。先ほど気になって「中国 北朝鮮」で検索したら一番で出てきました。興味深いので考察します。

>「おそらくわが国への輸出が半減するだろう。すでに平壌市内でも、配給の遅滞やガソリンの使用制限が始まっている。

>だが石油に関しては、こういう事態を予期して、昨年のうちに中国から大量に仕入れている。そのため当面の使用分は確保している。

>加えて、ロシアから鉄路などで輸入している。ロシアは石油供給に、非常に協力的だ。

>また、労働者の輸出については、相手国と水面下で合意すればよいだけの話で、楽観視している。

>いずれにしても、わが国は1953年以降、常に制裁を受けてきており、耐えることには慣れている

制裁の効果があることは北朝鮮も認めていますが、在庫があるので本格的に効果が現れるには時間がかかるようですね。ロシアが一番アシストしているようです。海路は瀬取り対策が進んでいますから、いずれは制裁の実効性が出てくると考えられますが、北朝鮮ーロシア間の陸路ルートをどうするかが問題です(ロシアと北朝鮮を結ぶ鉄道 両者の思惑一致 日テレNEWS24 2013年11月29日 15:40)。この辺はあまり焦点が当たらなかったような気はします。鉄道で石油を運ぶと目立つ気もしますが、堂々やってるんですかね?(参考:石油を運ぶ 日本石油輸送株式会社 石油部)労働者の問題も誤魔化すと仰っているようです。日本の極東ロシア支援でよもや北朝鮮労働者が働いているというようなことがないよう祈りたいですね。

>現在、北朝鮮をバックアップしている大国は、中国ではなくロシアだと考えてよいのか。

>「その通りだ。プーチン政権とは、蜜月時代を築いている。かつて元山と新潟の間をつないでいた万景峰号は現在、元山とウラジオストク間を、毎週往復している。ロシアから主にエネルギーをわが国に運び、わが国からは軽工業品や日用雑貨品などをロシアに運んでいる」

欧州とも揉めていますが、ロシアは日本に喧嘩を売る気なんですかね?北朝鮮支援は絶対に止めてくださいね。ロシアがエネルギーを売りたければ、需要旺盛な中国が買ってもいいと思いますし、日本も資源エネルギーをロシアから買っているようですが、生産拡大をしないことを条件に(アメリカがシェール革命で供給を増やしましたからそもそも経済的観点から供給を増やす局面ではありません)北朝鮮以上の値段で買うことも考えられないではありません。ロシアに資源エネルギーを依存することに安全保障上の理由で警戒する向きもありますが、パイプラインを繋ぐというこではなく、例えば石油の備蓄を増やすというのはひとつの考え方だと思います(基礎情報:備蓄データ JOGMEC)。208日持つということで、どの辺が適正か分かりませんが、石油が高騰した場合、備蓄分を使うっていう手もあるかと思います。天然ガスは備蓄できないようですが、天然ガスで軍用車が動く訳ではないでしょう。LNGタンカーは目立ちますから、制裁されれば海路入ることはないと思いますが、鉄道はやはり要注意みたいですね(LNG輸送 日本貨物鉄道株式会社)。北朝鮮がどれだけお金を稼いだところで、売る人がいなければ、資源エネルギーが入ることはありません。戦争になるという人もいますが、北朝鮮が国際社会に全会一致で反対されている核開発・ミサイル開発を止めれば、制裁されることはありません。北朝鮮自身も耐える覚悟はできているようです。

>北朝鮮と中国との関係は、かなり悪化していると考えてよいのか?

>「1949年に国交を結んで以来、最低レベルまで落ち込んでいると言える。朝鮮戦争(1950~'53年)以降、朝中両国は互いに『血盟関係』を唱え続けていたが、いまやむしろ敵対関係に近い」

>なぜそれほど中国との関係が悪化したのか。

>「かつて将軍様と胡錦濤政権の関係は、非常に良好だった。すべての原因は、習近平が変節したことにある。習近平は信用ならないから、わが国のミサイルは、いつでも向きを変えて北京を狙えるようにしてある」

最近独裁で注目を集めた習近平氏ですが、日本にとっては、少なくとも喫茶の課題の北朝鮮問題では、プーチン大統領よりは信用できるのかもしれません。今でも最大の支援国だとは思いますけどね。まぁ支援しているからこそ、制裁を進める余地があると見てもいいのかもしれません。北朝鮮が中国に向けて実際にミサイルを撃つようなことはないでしょうが。

>5月に発足した韓国の文在寅政権についてはどう見ているのか?

>「政権100日の時に『労働新聞』などで厳しく論評した通りだ。一言で言えば、まったく信用ならない政権だ。例えば、一方で北南離散家族の交流をやろうとか、平昌冬季オリンピックを同時開催しようとか誘いをかけてくる。だがその一方で、あれほどこちらが中止を要求していた『乙支フリーダム・ガーディアン』(8月21~31日に行った米韓合同軍事演習)を強行した。また、やはりわが国が強硬に反対し続けているTHAAD(終末高高度防衛ミサイル)の配備も、予定を早めて行った。これほどタチの悪い政権はない。文在寅政権は、将軍様と盧武鉉大統領が交わした『10・4北南共同宣言』10周年を共に祝おうと提案してきているが、そんなイベントを行う理由がない」

北朝鮮にこのような評価を受けているのですから、ムン政権が北朝鮮の心を溶かすようなことはないと見るべきです。核放棄する意志がない北朝鮮に譲歩したところで、間違いなく騙されるだけですから(これまで騙されてきました)、やはり日米が言ってきた通り、圧力優先でいくしかないんだろうと思います。3月18日までパラリンピックがあるようですが、応援・芸術団派遣を取り止めたようですし(北朝鮮がパラリンピックへの応援・芸術団派遣を取り止め これ以上は効果なしと判断か 産経ニュース2018.2.27 23:25)、そろそろムン政権は腹を括って足並みを揃えていかねばなりません。北朝鮮と戦争を仕掛けるつもりではない、ただ核開発・ミサイル開発を止めて欲しいだけ、それができるなら対話する用意はあることは十分伝わっているはずです。武力威嚇をする国に対して訓練を止めるとか、ミサイルを撃つと言っている国に対してミサイル防衛しないとかそんな選択肢はありません。ならず者が「訓練するな」とか「防御するな」とか強く主張したところで、「○○して寝てろ」以外に何を言えばいいんでしょうか?もっともタチが悪い国が他国をタチが悪いと主張したところで誰もそんな話を聞きません。北朝鮮は国際社会から全会一致で制裁されており、衆目一致するタチが悪いのチャンピオンです。金メダル、おめでとう!

中国はロシアと組んでますし、必ずしも中国を信用するつもりもありませんが、北朝鮮との関係が良くないというのは歓迎すべきですね。北朝鮮のムン政権観も面白いと思います。

トランプ政権の鉄鋼・アルミに対する追加関税考

2018-03-03 07:50:34 | 政策関連メモ
鉄鋼・アルミ関税への懸念「過剰反応」 米商務長官 「非常に幅広い構想」 すべての国対象と示唆(日経新聞 2018/3/3 6:12)

>ロス氏はインタビューで、自ら1.99ドルで購入したとするスープ缶の実物を持ち出し関税の影響を説明した。缶に占める鉄鋼のコストは2.6セントで、25%の関税をかけても0.6セントの値上がりにとどまると指摘。「0.6セントでいったい誰が困るだろうか」と強調した。3万5000ドルの自動車でも0.5%の値上がりだと試算し「(消費者への影響は)大したことはない」と述べた。

>ロス氏は特定国の特定品に課す反ダンピング(不当廉売)関税など「伝統的な手法では世界的な過剰生産の問題は解決できない」と力説した。第三国を迂回した輸入を抑えるため「(関税を)幅広く課す必要がある」と語り、対象国に例外を設けるべきではないとの考えを示した。

鉄鋼の過剰生産問題と言えば、中国を意識しているんだろうと思います。中国からアメリカの輸出は現在では大したことないようですが、迂回路を通じて輸出していると言います。どの程度過剰か知らないとピンと来ないと思いますが、中国の鉄鋼生産は断トツです。貿易のデータを見ていると、中国が断トツ過ぎて驚くことがたまにあります。


図録

中国は圏外に旅立っていますね。アメリカはかつて断トツでしたが、ジリジリ下がっている感じで、安全保障の観点から懸念を感じるのは理解できます。インドが伸びていることでも明らかなように、現代では鉄鋼は産業構造的には途上国型なのだと推定できます。「鉄鋼 労働集約」で検索すると、1971年の文書ですが、鍵和田暢男(日本製鋼所専務取締役,技術本部長 工博)の鋳鍛鋼雑考というpdfがHitしました。

>特定の大量生産万能な品目を除いては,多種少量生産方式に拠らざるを得ないために,労働集約的生産形態からの脱出が著しく困難になつている.

鉄鋼が多品種少量生産ということがピンと来なかったので、更に検索すると、以下の文書が見つかりました。

自律分散システム入門: システムコンセプトから応用技術まで(自律分散システム入門 森欣司)

どうも消費者のニーズが移り変わって例えば多様な自動車が望まれるようになり、性質が全く異なる鉄鋼版を製造しなければならなくなったようです。

じゃあ、そんな労働集約的な産業は途上国に任せればいいんじゃない?という考え方もあるかもしれませんが、必ずしもそうとは言えないんだろうと思います。アメリカでも自動車生産は行われていますし、例えば飛行機なんかはアメリカは非常に強いですよね。安全保障上の観点と言えば、軍需産業もそうですが。



これからIotやAIで鉄鋼業がどう進化するかも分かりませんし、新しい鋼材や技術も生まれてきています。目先の経済原理だけで、自国の鉄鋼産業を潰してしまってはならないんだろうと思います。

新しい鋼材、技術(日本鉄鋼連盟)

特定の国が鉄鋼を独占した時、その国が値上げしたり、新しい技術を開発しなくなったりする怖れも十分ありますし、関係のない別の問題を理由に脅迫してくる可能性もあるというか、しないはずがないぐらいに思っていた方がいいと思います。尖閣事件とレアアースに何の関係があったでしょうか?

中国、レアアースの対日輸出を禁止、尖閣問題で=報道
(ロイター 2010年9月23日 14:45)

アルミに関しては飛行機によく使われているようです。鉄鋼で飛行機を例に出したのはややズレていたかもしれませんが、趣旨をご理解いただければ幸いです。

ただの「鉄の塊」じゃない!?飛行機の部品は何でできている?(工場タイムズ)

高級素材産業で強いのは実際のところ日系のようです。

金属素材産業の現状と課題への対応(平成27年5月21日 経済産業省製造産業局 鉄鋼課・非鉄金属課)

トランプ大統領の意図がどうであれ、日本への影響もあるかもしれません。代替がない高級素材産業で多少の関税は直ちに関係ないとは思いますが、例えばアメリカの鉄鋼企業の保護になって、日系企業が不利になる可能性が否定できる訳ではないと思います。日本だけでなく、鉄鋼やアルミを生産している全ての国に影響はやはりあるんでしょう。アメリカの行動から報復措置が連鎖すれば、世界全体にとってマイナスになる怖れもあります。ですから、「すわ、貿易戦争か」という反応が理解できない訳ではありません。本来は一方的な措置をとるべきではありませんが、大義名分になっているのはやはり過剰生産の問題だと思います。

中国「鉄鋼の過剰生産は全世界の問題」 経済界にくすぶる不満(産経ニュース 2016.9.24 07:00)

>「違和感」の理由は、工業情報化省幹部が「過剰生産は中国だけの問題ではない。全世界の問題だ」と強調したためだ。

>中国の粗鋼生産量は、2015年は約8億トンで、00年の6倍になる。また、生産能力は12億トン規模とされ、4億トン規模の過剰生産能力を持つ。中国内でだぶついた鋼材が安価で輸出され、国際価格を大きく低迷させ、全世界の鉄鋼各社が業績不振にあえいでいる。

ソ連もかつて崩壊するまでドンドン鉄鋼をつくり続けたようですが、国の指示で企業がドンドン生産を増強してくるような国では何をしてくるか分かりませんね。強権的なエリート達が意図せず過剰生産を許してしまったとみるよりは、ハナから独占するつもりで、過剰生産させたぐらいに思っていた方が妥当ではないかと思います。中国の尊大で厚顔な言い訳は毎度のことですが、アメリカや国際社会など自分より強いものが怒り始めるとあるいは旗色が悪いと認識すると急に被害者になるまで様式美ですね。自分から船をブツけてきておいて、ブツけられたなどと言い張った事件は忘れられません。いずれにせよ、鉄鋼の過剰生産の問題はあまりに急激に鉄鋼生産を伸ばした中国の問題なのであって、世界の問題だなどと誰も思っていません。

不正発覚の神戸製鋼を直撃する「売上高減少、損害請求」(毎日新聞 経済プレミア 2017年10月16日)

>アルミ・銅製品などの検査データに不正が見つかった神戸製鋼所は、鉄鋼では新日鉄住金、JFEスチールに次ぎ国内3位、アルミではUACJ(旧古河スカイ)に次ぎ、国内2位の大手メーカーだ。ただ、主力の鉄鋼事業の不振で神戸製鋼は2017年3月期まで2年連続赤字決算だった。18年3月期は3年ぶりの黒字決算を見込んでいたが、目算が大きく狂うのは確実だ。

神鋼の不正は許されることではありませんが、隣国である中国の伸びに逸早く危機感と自身の無力さを感じ魔が差した可能性もないとは言えないんだろうと思います。言い訳ですけどね。アルミでも中国は圧倒的なようです。神鋼の不正は自身の説明によれば、10年前からだそうです(神戸製鋼副社長「改ざん、10年近く前から」 一問一答 管理職も把握、組織ぐるみ認める 日経新聞 2017/10/8 18:23)。


(日本アルミニウム協会)

トランプ氏の鉄鋼アルミ関税方針「全く容認できず」=カナダ首相(ロイター 2018年3月3日 05:47)

カナダがトランプ政権の措置に強く反対しているようですね。NAFTAの問題も多少はあると思いますが、鉄鋼業界の世界ランキングでカナダ企業は15位までに見当たりませんし、ウィキペディア参照ですが、世界鉄鋼協会が集計した国別粗鋼生産ランキング(2013)でも13位のメキシコより下の17位の生産量しかありません。アメリカの一方的な措置に懸念があるのは理解できますが、中国に無邪気な印象を抱いているのではないかと思ってしまいます。

中国系住民に乗っ取られたバンクーバー、愛国を唱えつつも移民を願う中国人(2017年11月13日 09時40分 サーチナ niftyニュース)

>中国メディアの今日頭条は7日、「カナダのバンクーバーはすでに華僑や華人に占領された」とする記事を掲載した。

>記事は、中国人の移民先として人気を集めたカナダはすでに中国人が移住し始めてから150年もの歴史があり、それゆえに中国人に対する敵対的な感情はないと主張。カナダから中国に一時帰国した移民たちはしばしば「バンクーバーはすでに華人や華僑、中国人に占領された」と口にするようだが、実際にバンクーバーの人口230万人のうち、中国系の住民はおよそ41万人ほどに達しているようで、その数はさらに増加し続けているという。

中国がカナダのことをどう思っているかを思い出してみるべきでしょう。

迂回路で言えば、こんなニュースがありましたよね。

日本産牛肉 今年度もカンボジアが最大輸入国 背景に中国の影(アジアビジネス情報ポータルサイト タイPlus One 鈴木博 2018/02/20 11:53)

>カンボジアでは、日本産の牛肉を見かけることは滅多になく、そのほとんどは、中国へ迂回輸出されているものと見られます。中国政府は2001年に日本でBSE(牛海綿状脳症)が見つかってから、日本産牛肉の輸入を禁止しています。中国の闇市場では日本産牛肉が日本の数倍の高値で取引されることもあるとしています。

>中国にとっては、カンボジアは使いやすい国と見下されており、日本産牛肉の迂回輸入は、カンボジアにはほとんど利益にならないのではないかと見られます。

本気で食品安全を懸念しているのだったら、迂回路を使って中国に日本産牛肉を入れる訳ありませんね。福島の事故に対する韓国の対応も同様ですが(韓国の輸入制限は「差別」WTOが是正勧告 日テレNEWS24 2018年2月23日 01:59)、中国も貿易を政治利用しているのだと思います。鉄鋼やアルミが例外だと考える理由は何処にもありません。

中国の過剰生産能力問題に関しては、大手国有企業を整理すべきだという指摘があるようですね。

中国の過剰生産能力問題の元凶は大手国有企業(Newsweek 2017年01月25日(水)17時20分)

日本としてはあまり中国に強くなってもらっても困る訳ですが、安値攻勢は勘弁して欲しいので、難しいところです。