観測にまつわる問題

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コミックと書店の衰退と対策

2018-03-04 13:03:19 | 政策関連メモ
漫画の海賊版“昨年から特にひどい” 人気漫画家が考えた対抗策とは?(産経ニュース 2018.3.3 13:00)

漫画業界の衰退が激しいようですね。筆者も漫画は好きなので、ちょっと考えてみたいと思います。

海賊版の撲滅に関しては、勉強不足で良く分かりませんが、先の記事で触れた海賊版を激減させたというSpotifyの事例が参考になるかもしれません。要するに正規のサービスを構築して偽者を潰すしかないんじゃないかと思います。これの問題は、ネットに有力なサービスをつくってしまうので、既存の店舗は救えないということです。既存の店舗はネットとも連携しながら、自分の役割を見直し作り直していくしかありません。ただ、いずれにせよ(海賊版が放置されていても)、既存の店舗に悪影響は出てしまう訳です。出版業界自体が潰れたら書店の未来もない訳で、これはもう是非もなしという奴ではないでしょうか?

筆者は個人的に書店が好きですが、その理由はやはり本の中身が見られるからです。書評を見てポチっと買うことができないんですね。買う本が決まっているとしても、ついでにチェックもしたいですし、中身検索では一部だけで肝心なところが見れません。別に肝心なところを見たからといって買わない訳でもありません。パラパラッとめくって中を見れることが大きい訳です。関連書も今が旬の推し本も本屋に行けば直ぐに分かります。類似のサービスはネットにもあるでしょうが、最終的に自分の目で見て判断できるから書店に拘りがあるんでしょう。使ってないだけかもしれませんが、使う気にならないというのも確かな事実です。手元にあると何時でも参照できますしね。

漫画だったら書籍に比べて立ち読みで全部読まれやすいという問題はあると思います。それは続刊を売るとか、短編集でひとつだけ見せるとかいろいろ考えられますね。ひとつ言えることは封をしているなら、ネット書店と大差ないということです。それだと家でポチっの方が楽でいいですよね。もうひとつ重要なのは雑誌の存在です。これまでは雑誌が封をしているコミックの宣伝になってきたと思います。雑誌をどう維持していくかどう伸ばしていくかも課題ですが、雑誌も見れない店頭で中身を確認もできないということであれば、書店でコミックを買う道理もありません。表紙買いでガッカリした経験は漫画好きなら誰でもあると思います。

amazonに押されて書店が厳しいという話は筆者は好きではありません。amazonなんて本の中身も見れないじゃん、何がいいの?って話でしょう。大型書店の専門書需要なんかは買う本が決まっていてamazonの方が便利なのだということかもしれませんがね。特定の本ではなく、テーマに関心がある人は本屋にいって自分の目で見て買った方がいいですよ。amazonの方が在庫があるとか言ったところで、旬を過ぎた本は実際問題要らないところもあります。自分で探すことで関心を深まりますし、自分のものの見方も高まるでしょう。そしてそれが本を読むことの最終目的のはずです。

書店のフェアも必要かもしれませんが、出版社・書店員でワンクッション入りますし、ヘビーユーザーとライト層をどちらもターゲットにしたフェアをつくるのは難しいとは思います。来店回数が多いヘビーユーザーをターゲットにしたフェアは労力の関係で無理ですから(そもそも自分の趣味志向があって自分で判断する人しかヘビーユーザーになりません)、ライト層向けのフェアしかありませんが、如何なライト層でも同じ本をプッシュされ続けると前に見たよってことになります。基本の売り場でどれだけ本を実際に見てもらえるかが重要かと思います。

小売ではショールーミングの問題もありますね。

店舗で見てアマゾンで買う「ショールーミング」危険にさらされる小売店ビジネス(JB PRESS 2013.3.1(金))

店舗で見てamazonで買うって奴ですが、逆に面倒くさくないんですかね?家電なんかは大型商品は無料だったりするようですが、あまり嵩張ると持ち帰りがしんどいということはありそうです。纏め買いされるとレジで時間がかかったりするんですよね。レジでの簡単な手続きで商品を送るというようなサービスがあれば、たまには使われるかもしれません。

配送料もありますから、送料を払ってまではわざわざショールーミングしないとは思います。ただ、2000円以上の商品、Amazonプライム、Prime Student会員は送料無料のようです。だとしたら、逆に2000円以上の購入にポイントをつけるとか、商店街や百貨店にある書店だったら、統一のカードでポイントをつけるとか(amazonは本だけでなく何でも買えます)、そういう対策があるんじゃないでしょうか?

記事によると、ショールーミングの指数、つまりリスクが最も高いのは、寝具、浴室・キッチン用品などを販売する雑貨小売店チェーンの「ベッド・バス&ビヨンド」だそうです。多分寝転がってみたいとか店舗に行かないと買えない商品ほどそういうことをするお客様が出てくるのだと思います。逆に言えば、ネットだけで買いたくない商品がショールーミングしたい商品な訳で、ネットに強い商品とも言えると思います。

ショールーミングをしたくなるような店舗をつくって、ショールーミングを如何に防いでいくかという視点も、矛盾するようですがこれからの小売には必要なのではないかと思います。

別にamazonをヘイトしている訳ではありませんよ?顧客にとって何がいいかそれぞれの立場で追及していくことが大切で、それが経済発展の原動力になるだろうということです。

コミックの話に戻りますが、部数は重要ですが、あまり拘り過ぎると気が滅入ります。衰退しているならもういいやで流れに乗って退出する人もいるかもしれませんしね。インフレが起これば価格が上昇しますから、売上高は上がります。トリックみたいですが、貯蓄して利子をつけるというモデルがある以上、価格上昇の流れは無理してでもつくっていかねばなりません。デフレだと貯蓄する動機も無くなりますし、貯めとけばいいやになりますよね。昔は放っておけばインフレになったんでしょうが、今という時代はそうではないようです。

最後にコミック・書籍の海外販売の問題を考えてみます。これも筆者は素人で知識がありませんが、翻訳権・翻案件が重要なんでしょうね。

翻訳権・翻案権って?-ネコでもわかる知的財産権(SEO)

ディズニーが世界中で商売できているのですから、出版も世界中で商売できると思います。個別の出版社で荷が重いなら、協力することが重要ですね。日本書籍出版協会という団体がありますが、そこがもっと力を入れるか、海外での競争力があると考えられるコミックで団体を立ち上げ売り込んでいくことも考えられます。ディズニー並にある種の方々に嫌われて何ぼなのかもしれませんよ。

絵がメイン商材で地域の実情にあわせて修正も可(コアな人が本家を買いに来てくれれば良い訳です)(例えば看板などを現地語に変えてもいいですしその土地の慣習もあります)、意欲のある企業が日本市場をリサーチして、これといった商材を翻訳権・翻案件を買って、翻訳・翻案しコミックを売っていく訳です。企業がただ海外に出るだけではダメで権利が守られないとどうしようもありません。そのための知恵と行動が必要です。

書籍にしても小説家で海外で売れる人もいるようですし、その辺も本気を出していくべきでしょう。こんなニュースもあるようです。

海賊版日本語書籍も落とし放題=「百度文庫」がおとがめなしの理由とは―中国(kinbricksnow.com)

海賊版を通して海外で読まれている日本の小説家や漫画家が正規の商売でちゃんとリターンを得ていけるようになれば、業界が息を吹き返してくるかもしれませんよね。


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