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観測にまつわる問題

政治ブログです。「保険」「相続」「国民年金」「AIロボット」「運輸エンタメ長時間労働」「GX」を考察予定。

日本の防衛戦略

2018-03-24 23:41:30 | 政策関連メモ
日本の防衛戦略を考えます。

海自ばかり贔屓しているようで恐縮ですが、海自それも潜水艦を重視したらどうだろうかと思っています。理由は以下の通り。

①先制攻撃を受けた時の残存性を考えると、現状日本では潜水艦しかないということになります。陸自も地下化すれば十分ですが、今のところ地下化していません。敵攻撃を察知して攻撃できれば理想的かもしれませんが(いわゆる敵基地攻撃能力)、スポーツじゃないんですから、相手の力を利用するとか、相手の攻撃をかわしてのカウンターである後の先(ウィキペディア)は有り得なそうですから、先制攻撃を意図されたら、よほど技術力に差がない限り、先制攻撃をくらう可能性が高いと考えられますし、先制される前に潰すハードルは非常に高いと考えられます。衛星とかコストもかかりそうですし、政治的なハードルも高そうです。大体が核弾頭もありませんし、ミサイルもそれほどありませんので、地下基地に手も足も出なそうです(そういうのは米国に頼らざるを得ません)。ですから、専守防衛というか、先制攻撃をくらって反撃する前提の戦略にならざるを得ず、ならば残存性が高いものを中心に据えるべきだということになります。

②空自や海自中心に航空優勢・海上優勢をとることも重要ですが、潜水艦なら仮想敵の潜水艦をつけまわす任務が考えられ、能力も高いと言われてますから、大きな役割を果たすことができます。元々冷戦時代もその役割を果たしてきたようです。聖域 (軍事)(ウィキペディア)という概念があって、ロシアで言えばオホーツク海ですが、中国で言えば南シナ海や渤海が考えられるようです(中国の南シナ海戦略と核戦略 WEDGE 2017年4月21日)。ICBMを発射する陸上で残存性が高いミサイルサイロ(ウィキペディア)の破壊はそもそも米国のパートです(米本土を狙うものですし)。車両搭載のミサイルも厳しいですからこれも米国頼みにならざるを得ません(中国の日本に向けてると言う核ミサイルは車から発射出来るものなのでしょうか? yahoo知恵袋)。

③空自では航空機の技術が高い米国製中心になるでしょうし、陸自も島国ですから兵器開発しにくいんじゃないだろうかと思います(自動車は強いですが、三菱製兵器がドンドン売れたという話は聞きませんし、良い鉄道を造るからと言って、川崎重工製兵器がドンドン売れたという話は聞きません。これからかもしれませんが)。その点海洋国家ですから、造船は日本が強いですし(安くはないかもしれませんが)、潜水艦もいいものを造ると言われます。防衛に投資するなら、できれば国産を使いたいですし、良いものを造って輸出に繋げたい訳です。

③陸自も空自も(海自も大体そうだと思いますが)海外派兵で実戦を積むことが考え難い状況があります。潜水艦は北朝鮮が韓国を襲撃するとか工作員を侵入させるために使っているようですが、本格的に実戦に使われる時は、まず世界の終わりですので、実戦経験が云々される可能性がそもそも非常に低く、武器輸出で不利な条件がありません。

④技術は必要に迫られれば伸びるとも言われます。日本は深海底を有する大洋に面する海洋国家であり、4つのプレートが集まる特殊な地勢にあって、資源も持たないですから、深海にチャレンジするという特殊任務があり(東日本大震災による海底地割れを捉えた世界一の潜水船の「秘密」 「しんかい6500」に潜入! 現代ビジネス 2011.09.4 フライデー)(『日本の深海』資源と生物のフロンティア 現代ビジネス 2013.07.18 瀧澤美奈子)、その方面から特殊な技術が伸びる可能性があると思います。

⑤魚探とソナーは近接技術です(魚探とソナーの違い FURUNO ELECTRIC CO)。日本は漁業国家で技術が波及したり、民間技術を利用できる可能性があります。

⑥日本の持つ高い技術が潜水艦に必要な静粛性(ウィキペディア)で利用できると考えられます。

⑦現実に惜しくも落選しましたが、そうりゅうは性能が良いと言われ(そうりゅう型は本当に最強なのか? 世界の通常動力型潜水艦を徹底比較!(ランキング編) StoneWasher's Journal)、オーストラリアに売るチャンスがありましたし、自衛隊の無人潜水艦に米軍が興味を持っていると言われ、そういうことは中々ないようです(米海軍が注目した自衛隊無人潜水艦の正体 BLOGOS 数多久遠 2014年08月13日 12:19)。

⑧米国は原子力潜水艦ですので、基本的に売り込みがありません。日本が開発した技術・部品等を米国に売れる可能性もありますし、その逆も勿論あるでしょう。

⑨ダウングレードモデルは造る必要があるかもしれません。多分それは新興国を狙う自動車会社も似たような状況にあると思います。

⑩潜水艦技術が高まれば、対潜哨戒機(ヘリコプター・飛行艇)の技術も高まるかもしれず、その逆もまたありそうです。

艦砲射撃(ウィキペディア)は「低強度紛争や武装組織に対抗するために、安価で過剰な破壊力を持たない艦砲の存在意義が再評価されるようになってきている最近の風潮がその背景としてあると言われている。結果的に艦砲の復権は、かつて艦砲を花形から裏方へ追いやった存在であるミサイルが、技術の発展のために当初の低コスト兵器とはあまりにもかけ離れた高価な兵器となったがゆえに起こった回帰と取られている」そうです。意外に使えるかもしれません。離島奪回に役に立ちそうですし、東シナ海のあの目標や南シナ海のあの目標も潰せそうです。動きますし(当たり難い?)、的を散らす効果もありそうです(狙われたらミサイルを消費させられますし、狙われなかったら攻撃しにいけます)。

⑫日本の防衛は集団的自衛権を基本に据えるべきです。勿論日本が主体的に動きますが、米国と協力しないと中々難しいものがありそうです。守備範囲は北西太平洋です。これは中々高いハードルでしょうが(中国の軍事力「間もなく米に匹敵」 太平洋軍司令官が警鐘 AFPB 2018年2月15日 11:10)、やってやれないことはないはずです。米国と協力するのに個別的自衛権とか訳の分からない寝言をほざく必要はありませんし、現状でアメリカが日本を中東などに駆り出す意図もないように思います。

南西諸島防衛戦略

2018-03-24 19:07:20 | 政策関連メモ
軍事研究2018年2月号「統合運用「島嶼奪回作戦」自衛官が構想する南西諸島防衛」福好昌治」を読んで、島嶼防衛について考えていたのですが、ようやく考え方がクリアになってきました。

前提として現在のところ、南西諸島防衛における統合運用体制は確立されていないようです。考えなければならない点は福好の指摘からは大きく分けて3つ。

①南西諸島方面統合任務部隊司令部をどこに設置するか(福好氏によると、陸自・海自・空自の那覇駐屯地/基地のいずれか)

②指揮官はいずれから選抜するか

③司令部を平素から編成しておくか、武力攻撃予測事態になってから編成するのか(磯部晃一元陸将によると平素から保持しておくことが望ましい)

陸自・海自・空自全てが重要な役割を果たすので、①②を決めるのは容易なことではないようです(③は少々無理を押しても平素から保持すべきです。平素から専門家が考え訓練しなければ、到底有事に対応できるものではありません)。

軍事的な観点、特に戦術的な観点では専門家が考えると思いますので、筆者は政治的な観点、戦略的な観点から考えてみます。

あえて最初に(筆者の)本命を挙げてみますと、海自の佐世保地方隊に統合司令部を置いてゆえに指揮官は海自から選抜したらどうだろうかといことになります。その理由を以下列挙します。

①政治的な理由から沖縄を外して九州にしたいというのがまずあります。沖縄に司令部を置こうとすると、何時ものように大騒ぎになって、中々進まないの恐れがあります。米軍だけかと思っていましたが、石垣市長選での騒動を見ていると、どうもそうじゃないようです。また、新たな負担と言われる恐れがあります。ゆえに沖縄で安全保障政策が上手く進まなくなる可能性があります。沖縄戦を想起させるのも不味い印象です。

②軍事的な観点からも、水陸機動団が佐世保(相浦駐屯地)に置かれるなら、沖縄を外しても良いと考えられます。

③離島は九州北部にも西部にも南部にもあって、必ずしも沖縄だけが離島奪回の対象ではないと考えられます。特に五島列島(ウィキペディア)は難民が流れ着いたり、中国漁船の避難場所になったりしていますので、漁船や難民に偽装した兵士による侵攻を想定する時、佐世保は寧ろ最適な場所と言えます。

④近隣に工業力があった方がいいような気もします。

⑤沖縄との連絡(空路)には大村航空基地を使ってもいいと思いますが、佐世保なら海自所有の「空母」から飛行機を飛ばせるんじゃないでしょうか?

⑥佐世保湾にある佐世保基地は地形的に敵からの攻撃に強そうにも見えます(だからアメリカ海軍も基地を置いている可能性があります)。

⑦日本の中では比較的天変地異に襲われる危険性が少ないような気がします。

⑧アメリカ海軍が基地を置いているところに、先制攻撃を仕掛けようという馬鹿はいるのかという考え方もできます。専守防衛だとどうしても先制攻撃を受けることを想定しなければなりませんが、米軍基地があるところだと先制攻撃する意志をそもそも挫くことができる可能性があります。抗堪化・地下化するのは勿論のことです。

このアイディアにもいろいろ問題はあるかもしれませんが、筆者の佐世保基地(海自)が良いと考える理由は以上です。

日本最大の兵力を持ち水陸機動団を創設した陸自や、軍事論的には航空優勢を確保しなければ話にならないので空自も考えられるとは勿論思います。

何故福好氏が沖縄を想定したかを推測すると、(陸自や海自も問題がないとは言えないかもしれませんが)空自が南西防衛区域(沖縄)と西部防衛区域(九州・中国・四国地域の防空)に別れているからではないかということになります。南西防衛区域で南西諸島防衛を担うというのが素直に見えるかもしれませんが、統合作戦で連携する陸自や海自では沖縄と九州は一体化しています。そもそも南西諸島防衛体制が十分でなかったから、統合運用体制が確立されていない訳で、この際一から考え必要に応じて方面隊を再編成するというのも有り得る考えだろうと思います。

北方領土問題再考(3月21日)

2018-03-21 11:47:21 | 政策関連メモ
「北方領土を考える」高校生弁論大会受賞者による表敬(首相官邸ホームページ)

筆者も改めて北方領土問題を再考してみます。以下、(政府見解では勿論無く)個人的な見解であることをご了承ください。基本的にはこれまでの見解とそれほど変わりませんが、やや考え直したところもあります。

まず、条約を基本に考えます。約束を守るという評判は日本人のかけがえのない財産なのであって(海外生活同窓会「知らなきゃいけないこと・日本人の影響力」(日本人の信用度の高さ(1)約束を守る。(2)真面目である。(3)支払いがきちんとしている。(4)争い事を好まない)、基本的には日本外交もそれに則って外交方針を組み立てていくべきです。国際社会の駆け引きも全くやらないということでは、集られる一方になるというのはありますし、例外はやはりあるとは思いますが、日本外交で日本人の信用の高さを活かさない手はありません。

日本国との平和条約(中野文庫)

>第二条 (c) 日本国は、千島列島並びに日本国が千九百五年九月五日のポーツマス条約の結果として主権を獲得した樺太の一部及びこれに近接する諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。

北方領土においては歯舞諸島と色丹島に関しては、日ソ共同宣言(1956年)において、平和条約締結後に日本に引き渡すことで合意しています。その後、ソ連が「日本領土からの全外国軍隊の撤退という全く新たな条件を課すことを一方的に声明した」りして紆余曲折があったようですが、プーチン大統領時代も含めて、基本的には日ソ共同宣言のラインは守られていると言っていいでしょう(日ソ・日露間の平和条約締結交渉 外務省)。

>エリツィン大統領の訪日(1993年10月)
(1)東京宣言(第2項)において、
(イ)領土問題を、北方四島の帰属に関する問題であると位置付け、
(ロ)四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結し、両国関係を完全に正常化するとの手順を明確化し、
(ハ)領土問題を、1)歴史的・法的事実に立脚し、2)両国の間で合意の上作成された諸文書、及び、3)法と正義の原則を基礎として解決する、との明確な交渉指針を示した。

東京宣言はプーチン大統領も含めて幾度となく有効性を確認されています。

イで領土問題は北方四島の帰属に関する問題だと位置づけられていますから、日本共産党の千島全島要求は、これまでの約束を全部反故にしない限り有り得ないということになります。約束を公然と反故にしようぜと主張しているようなものですから、日本共産党とは全く信用ならない政党です。樺太も同じです。権利、権原及び請求権の放棄は他国の権利、権限を認めていることを意味しませんが、これは重い事実と言えます。つまり樺太や千島を使ってふっかけ交渉する戦術は自ら否定しています。4島返還を主張するのがこれまでの約束を反故にしない限り、MAXの領土要求になりますし、ソ連の日本領土からの全外国軍隊の撤退のような別口の話を領土問題に絡めるのも妥当でないということになります。

ロは平和条約を結ぶのは四島帰属の問題と解決した後と決められています。それはいいとして、平和条約が結ばれていないということは、ロシアとは厳密に言えば未だ戦争中で第2次世界大戦が終わってないということになるのかもしれません。朝鮮戦争が未だ終わってないという話に近いような気もしますね。ロシア軍が飛行機をあくまでブンブン飛ばしてくるのも戦争中だからなのか、やりたくてやってるのかそれは分かりませんが。

気になって検索してみたのですが、ドイツも分断という事情があったにせよ、訳の分からなさでは日本といい勝負のように見えます。ドイツ最終規定条約(ウィキペディア)>1945年5月8日、ナチス・ドイツ(本来の国際法人格的なドイツ)は連合国に無条件降伏したものの、連合国とドイツとの間には停戦協定や平和条約と言い得るものが存在しないまま東西分断を迎えた。この条約は東西冷戦終結によりドイツ統一が決定したため、停戦協定や平和条約に代わるものとして連合国および東西ドイツの代表者の間で締結されたものである。 なおこの条約がドイツ国内の裁判所等で講和条約と見なされることもあるが、ドイツ連邦共和国政府の見解としては講和条約ではない・・・講和条約じゃなきゃ何なの?って思いますが、まぁそこはおいておきます。

ハの1は、歴史的・法的事実への立脚ですが、日本の立場から言えば、歴史的に択捉ーウルップが最初の境界線だった、日ソ中立条約(ウィキペディア)の違法な「破棄」を認めよという含みがあると思います。ロシアの立場から言えば、第二次世界大戦の勝利が歴史的事実だし、法的事実は守っているという主張でしょう。

筆者の考えでは、ロシア側の主張の最大の弱点は参戦経緯にあると思います。というのも日ソ間の合意が日本を含まない連合国間の合意で上書きされることは論理的に言って有り得ません。ソ連参戦の時点では降伏していませんから、ソ連侵攻の違法性が日本が戦争に負けたという事実によって否定されるということは基本ありませんし(法の不遡及の原則)、そもそも日ソ間では平和条約が結ばれていません。日ソ中立条約は5年有効とされ破棄・失効の規定がありません。期間満了の1年前に廃棄の通告をした場合は自動延長されない規定がありますが、ソ連は日ソ中立条約が有効である期間に侵攻しています。期間の定めがある約束を一方的な宣言・行動で破れるのだとすると、どんな約束も成り立ちません。ソ連の主張する日本の演習が条約の破棄に当たるという主張は成り立ちませんし(中立国相手でも万一に備える必要はありますし、実際にソ連は侵攻してきました)、ソ連自身それを認めているようですから、最終的にはソ連が違法に侵攻したという事実はロシアも認めざるを得ないだろうと思います。ただし、違法行為をしたからといって地球が終わる訳では勿論ありません(他国の事情は分かりませんが、日本人に極論の人は結構多い印象があって、ソ連が悪いから全て日本の言う通りにしろと主張することはできません)。ソ連の違法を踏まえて何処までロシアを押し込めるかということになると思います。

ハの2は一方的な宣言・行動を通じて領土問題解決を目指さないということであり、これはロシアも理解しているということです。日露ともに現状までの積み重ねが気に入らないからといって、チャラにする動きは妥当ではありません。日ソ中立条約がありながら日本に侵攻したソ連及びその継承国家であるロシアは信用できる国ではありませんが、何度無く国際社会を騙して全会一致の制裁をくらっている彼の国(北)や、最終的かつ不可逆の合意を無視して恥じない彼の国(南)よりは、マシなのだなとは思っています。

ハの3でも法と正義の原則を基礎として解決するとしています。日本の問題は日本国との平和条約の存在です。ここで千島列島を放棄していますから、千島列島だと認定される範囲には請求権がありません。勿論日本政府が主張するように、ソ連とは結ばれていませんが、英米が含まれており、英米がソ連とヤルタ密約を結んでいますから、ヤルタ密約を意識した条約だと考えられます。ソ連は条約には署名してませんが、講和会議には出席しています。ヤルタ会談(ウィキペディア)では、樺太(サハリン)南部をソ連に返還すること、千島列島をソ連に引き渡すことが決められています(英米が言う千島列島とは常識的に考えれば国後・択捉を含むと考えられますが、主権がソ連にあると認めた訳ではないようです)。

なお、ヤルタ密約では、ソ連が対日参戦することが取り決められましたが、日本国との平和条約そのものには、参戦の経緯に関する文言はありませんから、平和条約を改めて結ばない限りは、ソ連の違法行為を日本が非難することは可能だと考えられます。

歯舞諸島に関しては、歯舞村(ウィキペディア)は、ソ連軍侵攻時、村役場は根室半島にあって、明らかに北海道の属島ですから、これはほぼ鉄板で千島でないと言えると思います。

色丹島(ウィキペディア)は、「1869年(明治2年)9月20日 - 北海道根室国花咲郡の一部となり、開拓使の管轄となる」ということであり、地形的に根室半島・歯舞諸島の延長線上にあることもあって、当初は根室の一部として取り扱われました。北海道の分領支配(ウィキペディア)では、千島国ではなく、根室国(Wikiwand)になっています。が、その後、千島国に編入されています。

国後島は、当初から千島国(Wikiwand)でしたが、注意すべきは、千島国が北海道でなかった時期が一度もないことです。国と言いますと何か独立している感じがしますが、そうではありません。現在では日本に国は日本国しかありませんが、昔は今の県にあたる範囲を国と言っていました。広い北海道がひとつの国であったことはなく、国の集合体として北海道と言っていた訳です。北海道の用語は東海道・南海道・西海道に由来します。北海道は古くは蝦夷地(Wikiwand)と言われましたが、この蝦夷地には千島だけでなく、樺太やカムチャッカまで含みます(ただし、日本がカムチャッカを支配した時期はないように思います)。昔のことですから、そもそもザックリした概念な訳ですが、極東に進出していたロシアとの最初の確定した境界線が択捉とウルップの間ということになります(日露和親条約 Wikiwand)。国後島は仙台藩が支配していた時期もあります。結局、ソ連の不法侵略まで、国後島(千島国)は一貫して本土の支配があった蝦夷地であり、日本の支配下にある北海道なのであって、他の存在になったことはありません。ここがウルップ以北の千島との違いです。

択捉島も国後島と同様ですが、根室郡外八郡役所(根室花咲野付標津目梨国後得撫新知占守郡役所)の管轄になったことがある国後島とは違い、根室の管轄になることもありましたが、紗那郡外三郡役所(紗那振別択捉蘂取郡役所)や紗那支庁として北海道に属しながらも根室とは分離する時期がありました。

サンフランシスコ講和条約にいう千島列島ですが、千島国が千島列島だと言えば確かに国後や択捉は千島列島だということになります。しかしながら、北海道の属島は千島列島ではないと考えると、国後や択捉は千島列島ではないと言うことも出来ます。国後や択捉が北海道(旧蝦夷地)でなかった時期がないからです。

強引な解釈のようにも見えますが、日本列島(ウィキペディア)という言葉があります。「広辞苑」、「大辞林」などでは、「日本列島」の定義を、北海道島・本州島・四国島・九州島とそれらに付随する島々から成る列島としており、狭義の日本列島は北海道島とそれに属する島々を含みます。ですから、択捉までを日本列島、ウルップ以北を千島列島と解することも決して不可能ではありません。何故って、国後・択捉は終始一貫、蝦夷地であり、北海道であったからです。ソ連・ロシアの立場に立っても、ソ連侵攻以前に、国後と択捉が蝦夷地・北海道でなかった時期があると論証することは不可能です。すなわち北海道であるから日本だという訳です。

そういう訳で、千島列島という言葉は確かに存在していますが、サンフランシスコ講和条約に言う千島列島はウルップ以北を指しているんでしょう。

樺太は蝦夷地ではありましたが、外地(ウィキペディア)であった時期があり、樺太・千島交換条約(ウィキペディア)で一度全てロシア領になり、日露戦争の結果のポーツマス条約でも南樺太しか日本領になっていませんから、サンフランシスコ講和条約にいう樺太が南樺太を含む樺太全土及びその属島であることは疑いありません。日本領であった南樺太が樺太でないなら、日本領でなかった北樺太が樺太だと言うのでしょうか?外地であったこともある樺太を北海道(内地)と言い張ることも困難です。サンフランシスコ講和条約にいう樺太も樺太全土のことであり(英米は返還という言葉で南樺太のソ連主権を認めたようです)、日本自身の理屈としても樺太は南樺太を含むとしか考えられませんから、樺太がロシア領と認めるのは(認めていませんが)規定路線だと考えざるを得ません。ソ連とは結んでいないから、ソ連(ロシア)相手には権利を主張できると解すると、堂々2枚舌を駆使することになり、日本外交らしくないと言えるのではないでしょうか?今のところ、中国あたりが樺太の主権を主張している訳でもありませんし、ロシア/ソ連が長らく支配しているのも間違いない事実です。

安倍総理のソチ非公式訪問(2016年5月)では、「これまでの交渉の停滞を打破し,突破口を開くため,双方に受入れ可能な解決策の作成に向け,今までの発想にとらわれない「新しいアプローチ」で,交渉を精力的に進めていくとの認識を共有した」ようですが、これを東京宣言に言う「両国の間で合意の上作成された諸文書」とする必要はないと考えられます。ですから、これまでの交渉経緯がリセットされ、新しいアプローチで上書きされたと解する必要はありません。これはプーチン大統領自身が色丹島の日本の主権を認めた訳ではないとしている(日ソ共同宣言に基づいている)ことからも明らかです。

以上を踏まえて北方領土を考えますと、歯舞・色丹の引渡し(日本から見れば返還)はプーチン大統領含めロシア(ソ連)は認めてきています。これは、ヤルタ密約で(日本はいませんが)英米から千島列島を引き渡されたことを意識しているでしょう。引渡しとは結局施政権を認めることでしょうから、歯舞・色丹を日本が(ロシアの立場から言えば)実効支配することを、ロシアも認めていると言えると思います。主権が存在することを理由にロシアから戦争を仕掛けられたり、返還を迫られるリスクはありますが、ロシアから見れば引渡しでも返ってくれば上々と見ることもできます。逆に言えば、ロシアが日本の主権を認めず歯舞・色丹を「引き渡されたケース」では、日本としてはリスクが高いので、基地を置きたいということになると思います。

ここで国後・択捉を考えてみましょう。外交交渉では10/0の結果は考え難いですから、日本も何処かで妥協することが考えられます。逆に言えば、妥協を考えていないなら、南北チョン国じゃあるまいし、そもそも交渉するべきではありません。それでは日本外交の信用度が低下してしまいます。

日本の要求は四島返還であり、ロシアの主張は二島引渡しですから、妥協的結論を想定すると、①面積二等分論か、②択捉を諦めて国後を確保するということになります。筆者が良いと思うのは、②の方です。①だと択捉でロシアと国境を接することになるのが面倒だからです。

ここでプーチン大統領が主張する軍事論を見てみましょう。

「米基地認めず」 北方領土返還の場合(毎日新聞 2017年6月2日)

>ロシアのプーチン大統領は1日、北方領土が日本に返還された場合、米軍が配備される可能性について「もちろんある」と述べ、「(北方領土に)米軍のなんらかの基地やミサイル防衛(MD)の施設ができることは絶対に容認できない」と語った。

>サンクトペテルブルクで、タス通信など世界の主要通信社幹部と会見して述べた。プーチン氏は北方領土への米軍配備については日米間の秘密合意があるとの見方を示し、「(日米は)合意を見せてくれないが、我々は内容をすべて知っている」と述べた。

>ロシアが北方領土で軍事力を強化していることは、極東地域で米軍が軍拡を進めていることへの「対抗策」だと主張。「(北方領土の)非軍事化は可能だが、島だけでなく、地域全体の(軍事的な)緊張を解かねば不可能だ」と指摘した。

秘密合意があるかは知りませんが、とりあえず基地を置くと仮定してみましょう。筆者はそれがあるかないか分かりませんので、あると想定しなければ、ロシアの主張を検証できません。

それが島防衛の基地である場合は、ロシアが侵略を考えない限り問題ないはずです。

MDはロシアは非常に嫌っていますが、置く気があるなら、北海道に置けばいいでしょう。択捉島の方がアメリカに近いですが、太平洋の広さに比べたら北海道と差は微々たるものですから、そう大して変わりがあるとは思えません。そもそも北海道に米軍基地は無く、北の守りは三沢基地で十分と思っているのではないかと思います。MDは現在のところ米軍基地(抑止力)の維持のために置かれていると考えられ(それが先制攻撃を抑止します)、アメリカを守るためのMDがあったり開発されたりするとしても(それも日本のための核の傘をまもります)、択捉じゃなくても北海道や三沢で別に良くないか?と思う訳です。

それでは海軍的視点だとどうでしょう?ロシア極東の原潜部隊はカムチャッカ半島の東岸ペトロパブロフスク・カムチャツキーにあるとされ、ここでは考えないこととします。

水深も1,300mと深くオホーツク海から太平洋へ出るための交通の要衝の一つである択捉水道の南岸に日米両軍が基地を置いてしまう可能性が出てきます。勿論、更に北周りでロシア海軍は通行することはできますし、対艦ミサイルなんかは射程もありますし、その気になれば北海道に置くと思いますから、基地を置く云々はあまり防衛戦略上決定的なものではないように考えられます。

ウラジオストクのロシア艦隊はしばしば津軽海峡を通過します(露巡洋艦などが津軽海峡通過 産経ニュース 2017.4.3 18:32)。津軽海峡からは三沢基地も近いですし、海上自衛隊舞鶴地方隊もありますから、勿論有事に津軽海峡をそう簡単に通れるとは思いませんが、北海道北周りで宗谷海峡を通過した後、千島列島の何処を通るかが主要なテーマであるとは考え難いところです(ウラジオをはじめとした沿海州を出て、あるいは「サハリン」の艦船が(将来的な可能性を考える必要があります)、有事に宗谷海峡通過後に何処を目指すか考えますと(平時だと何処を通ってもいい)、緯度を考えると択捉水道でいいということになります。国後水道が使えるにこしたことはないんでしょうが、仮に色丹島が返ってくると仮定すると、国後水道の軍事的価値はやや落ちるとも思います。それにオホーツク海は流氷で有名なところです。

第一日本(やアメリカ)が本気を出すなら、道北に基地を置いて宗谷海峡をそもそも封鎖しますので、国後水道も択捉水道も関係ありません。沿海州の海軍はどう考えても封鎖され易い位置にあります。ですから、カムチャッカに原潜基地があるのだと思いますが。

間宮海峡(ウィキペディア)は、「最狭部の幅は約7.3km、深さは最浅部で約8m。冬の間は凍結し、徒歩で横断することも可能」であり、軍事利用を考えるような場所ではありません。ロシアは橋をかけるとか何とか言っているようです。樺太を北周りすると仮定した時、緯度的に北方四島云々は関係なくなります。

ちなみに、択捉島の単冠湾(ウィキペディア)は、冬季でも流氷が接岸しない天然の良港ですが、1941年11月23日大日本帝国海軍第一航空艦隊(機動部隊)が集結し、同26日に真珠湾攻撃のため艦隊がハワイへ向け出港した場所として知られています。ですから(オホーツク海が冬季に凍結する以上)、アメリカ支配下にない日本や、北海道を支配したロシアが択捉島を支配したら多少嫌かもしれませんが、これもあまり関係ないでしょう。

専門家の意見では北方領土はロシア軍事戦略の要:「択捉・国後」両島返還が困難な理由--伊藤俊幸(HUFFPOST 2016年12月22日 23時56分 新潮社フォーサイト)が詳しくよくまとまっていると思いますが、伊藤俊幸(金沢工業大学)氏は潜水艦乗り出身で統合幕僚学校長を務めた方のようですね。どうも水深を考えると、国後水道・択捉水道を押さえる基地を造られるのがロシアにとって、不味いのかもしれませんね。だとしたら、ロシアは絶対に妥協しないでしょう。金銭的にも共同経済活動みたいな形で日本人がロシアに乗り込む形の方がやり易いと考えられます。

ロシアに事実上の見返りを与えるなら、サハリントンネル(ウィキペディア)支援はどうですか?日本の架橋の技術・トンネル掘りの技術を舐めてはいけません。樺太が繁栄すると、宗谷も繁栄するかもしれませんしね。オホーツク海が冬季に氷結しますし、北方4島のロシアにおける重要性は低いような気がするんですが。大陸に近い樺太がロシアで北海道に近い千島が日本の方が地政学的にはやり易い訳で、ですから、日露和親条約や樺太・千島交換条約があった訳です。この歴史を考えると、樺太でロシアが得して、北方四島でロシアが損をするのが良いのかなと筆者は思いますね。

宗谷海峡(ウィキペディア)は水深60mほどであり、架橋は無理ではないとは思いますが、日本にとっては人口を考えると本四架橋以上にメリットが無さそうだなとは思いますね。シベリア鉄道云々も船も飛行機もありますから、それほどな感じですし、ガスパイプラインも現状の日露関係を考えるとビミョーです。

日露雑居のようなドラスチックな新しいアプローチでは筆者には良さそうなアイディアがこれまでのところ思い浮かびません。日露間樺太島仮規則(ウィキペディア)や樺太雑居に終止符を打った樺太・千島交換条約(ウィキペディア)を参照しましたが、勉強不足かもしれませんね。ただ、雑居は互いに開発の邪魔だったのかかなり揉めたようです。揉め事が嫌いな日本人が揉めそうなアイディアを了とするとは考え難いですから、やはりある程度スッキリ揉めなさそうな案を考える必要があります。

国後や択捉において主権がロシアにあって、日本人居住特区・開発特区・漁業ライセンスの付与・二言語併用の義務付けみたいな形は考えられるかもしれません。

居住特区とは例えば、政治的権利を除き、自国民と同等の待遇を与えることを想定します。ノータイムで永住外国人や定住外国人の扱いをする感じでしょうか。

開発特区とは例えば、外国にあるその特区を国内扱いして補助金を入れられるようにすることでしょうか。

逆に日本に主権があって、ロシア人の居住特区みたいな形も考えられるのかもしれませんが、ロシアの軍事戦略上それは難しいのかもしれません。

個人的には択捉の主権がロシアで日本人居住特区、国後・色丹の主権が日本でロシア人居住特区のような折衷案だったら、日本人向けの納得し易い形であるような気もします。どっちがどうなるか興味がなくもないですし、これが一番面白いと言えば面白いのかもしれませんね。

公文書考(南スーダン日報問題編)

2018-03-21 09:47:52 | 政策関連メモ
最後に南スーダン日報問題です。

そもそも日報とは何でしょうか?goo辞書「にっ‐ぽう【日報】の意味」によると、「1 毎日行う報告。「業務日報」2 毎日の報道。また、毎日発行される新聞。」(
出典:デジタル大辞泉(小学館))です。ここでは、1の毎日行う報告がそれに当たります。つまり部下による上司への報告が日報と言えるでしょう。これは基本的には組織内の文書と言えます。ですから、筆者が思うに、本来情報公開請求の対象になるべきではない文書ではないかと考えます。

南スーダン日報問題で何か情報公開請求で日報を引き摺りだした人が英雄みたいな感じに報道されていますが、逆じゃない?スパイじゃない?って気がしますよね(南スーダン撤退 あの日報を引きずり出した情報公開請求の「威力」 現代ビジネス 2017.03.11)。多分、陸自の皆さんもこいつら怪しいな?スパイかな?って思ったんじゃないかと思います。嘘はいけませんが、廃棄した不開示だと通告したのはそういう意味だったと思います。筆者は必ずしも筋が通っていることが全て正しいとは思っていません。筋を言えば、陸自の皆さんは思うところあっても素直に開示し、正当な手順を踏んで日報を非公開にするべきだったのだとは思いますが、現実を考えると、自衛隊がそんなことを言い始めると、軍靴の足音ガーの皆さんが蜂の巣をつついたかのような騒ぎを起こすはずです。褒められたことではないとは思いますが、スパイ同然「市民」の皆さんの情報公開請求にホイホイ応じる自衛隊では、日本が守られるか心配になってしまいます。

外部の情報公開請求に応じて、日報をホイホイ公開してしまう企業を想定してみましょう。そんな企業ありえませんよね。情報公開請求って何?頭おかしいの?って話でしょう。そんな企業がもしもあったら直ぐに潰れてしまいそうです。

企業は私的なものですが、公たる役所も同じです。市民の財産ダー、公開シローと言われたところで、そんなものに一々応じていたら、仕事になりませんし(「市民団体」お得意の作戦が集団での電話・faxでパンクさせる行為です。今時はDDos攻撃でしょうか?)、そんなもの見て何になるんだよ!という話です。汚職を発見したらお手柄ですし、歴史的文書の分析はみんなのためにもなると言えますが、出歯亀的「市民」どもの覗き見趣味と説教マニアの説教したい気持ちを満たすために役所は存在している訳ではありません。

一言で言って外部のものが日報見たいってアホなの?スパイなの?という話ですが、日報廃棄ダー見つかっターどうなってんダーというのも、おまえがアホな請求しなかったらそうはならなかったよね、おまえが原因じゃんという話です。連中は都合よく話を切り取る生き物で、歩くフェイクニュースみたいなものなんですよね。

さて、日報そのものの話に戻りますが、基本的には部下の仕事を把握するために重要だと思います。特に職場が空間的に離れているとか、同じ職場でも部下と時間的に離れている時(シフトが違うなど)がそうです。

日報を活用できないダメな上司の3つのタイプ(日報共有アプリgamba! 2018年1月14日)

>日報を活用できないダメ上司① 提出義務だけを優先する上司
>日報を活用できないダメ上司② 日報を読まない・レスポンスがない
>営業日報を活用できないダメ上司③ 日報の項目に過度に偏重する

報告書を出させておいて、見もしない、でも出せ、おまえの言うことは聞かないが指示を出すって、上司もいますよね。現場を知らず報告も見ずどうやって指示を出すつもりか意味が分かりませんが、上司ー部下の関係を全て軍隊方式に考えそれが正しいと思ってしまうのかもしれません。

部下が仕事をどう考えどう行っているか把握することは重要だし、結局それが一番効率よく仕事ができるんじゃないかと思います。日報はその一手法です。

一方見たら分かる聞いたら分かることを一々報告させるのは時間の無駄だとは思いますが。業務効率を考えたら、そういうのは真っ先に切る対象ですよね。逆に言えば、そういうものを切らなければ、サービス残業の抑制・働き方改革ができるはずもありません。全ての仕事が重要で使い道があるなどと言い張っているようでは、働き方改革は120%失敗することは間違いない訳で、働き方改革を考える上では、業務の重要度の仕分けができるかどうかが重要になってくるんだろうと思います。

どうでもいいことをやらせておいて、部下がいい意味で手を抜くと、黙認しておきながら評価を下げるとか、恣意的なタイミングで何でやってないんダーと怒り始める事象は、日本の組織ではままあることかと思います。素直に形式を守るのが処世術ですが、そうすると組織は腐っていきますね。

ですから、稲田防衛相が辞任したのは、日報問題というよりは、服装の問題などで特にお堅い方々に気に入られなかったのが結局大きかったのではないかと思えます。女性ということもあったかもしれません。筆者も何か当時もっと言いようがあったのかもしれませんね。

いずれにせよ、日報は公文書ですが、基本非公開で組織が必要ないと考えれば廃棄しても構わない部類の文書ではないかと考えます。南スーダンの日報は重要と筆者は思いますが、常識的に考えれば、重要な日報は上層部こそ大事にするはずですし、勝手に廃棄したら怒るはずです。

反省すべきは反省し、改めるべきは改めることは重要ですが、野党ドモのバッシングに慌てる必要はないんじゃないかと思いますね。完璧な人間はいませんが、要はその辺の判断です。

公文書考(加計学園編・歴史戦)

2018-03-20 20:56:30 | 政策関連メモ
ついで加計学園を考察してみます。加計学園問題は基本公文書の問題ではないと思いますが、安倍政権が厳しい批判をいただいた問題ですし、これを題材に公文書を考えるのも無駄ではないんだろうと思います。

加計学園問題とは結局のところ、政策の決定過程の問題です。例えば、国家戦略特区諮問会議で行われた議論が保存されることが重要ではないでしょうか?記録が後世に残るという意識が安倍政権に強くあれば、誤解を招くような動きは無かったのかもしれません。また、後で政策がどのように議論され決定されたか検証できるようにしておけば、後世の役に立つと考えられます。この辺は電子データで保存するなら、フォーマットの変更にあわせて移しかえなければなりませんし、紙なら、長期保存がきく紙を最初から使用しておくのが良いだろうと考えます。

後で政策決定過程を検証可能にするという意味では、議事録をつくるつくらないの問題も重要です(公文書等の管理に関する法律第4条 Wikibooks)。東日本大震災ではろくに議事録がつくられませんでした(震災10会議で議事録なし ずさんな文書管理 日経新聞 2012/1/27)。意図したかしなかったかそれは定かではありませんが、これで管政権の震災対応を公正に検証する機会が失われた訳で、非常に残念なことだと思います。

こうした歴史資料として重要な公文書を歴史公文書といい、公文書等の管理に関する法律(e-gov)に規定があって、国立公文書館(東京本館は皇居の側、千代田区北の丸公園。つくば分館もあります)で保存されることになっています。岩盤規制を突破して獣医学部を新設したことも歴史的な出来事だったと筆者は思っています。

外国の例でいくと、台湾ですが、日本統治期(1895~1945)の資料は國史館台灣文獻館等で見られます(台湾の公文書(档案)を調べる(1)明清~日本統治期 国立国会図書館)。朝鮮総督府の資料も見られるようです(韓国所在の植民地期日本関係資料 ―デジタル化資料の利用方法を中心に―:アジア情報室通報 14巻1号 2016年4月 1日)。これで歴史に関しておかしなことを言うのですから、彼の国も不思議な国ですが、この辺はハードの問題というより、連中と議論するのが面倒くさいだけというソフトの問題なのかもしれません(国家記録院 日本語おかしい(笑))。いずれにせよ、客観的な日本統治の史料が存在することは日本にとってマイナスではないんだろうと筆者は思っています。

安倍首相、特別インタビューで語った北の脅威 慰安婦問題など「歴史戦」で考え方180度転換(zakzak 2018.1.4)

>日本人は元来、控えめな性格だ。いわれなき批判を受けても、『事実は必ず勝つ』『いずれ問題は通り過ぎる』という考え方できた。結果として、誹謗(ひぼう)中傷は続いている。安倍政権は考え方を180度転換した。私は海外公館に赴任する大使に必ず、『日本への誹謗中傷、事実の歪曲(わいきょく)には、大使自らが陣頭指揮を執り、戦略的に反論し、事実を訴えるように』と指示している。

「歴史戦」取材班で慰安婦問題などを取材した産経新聞の田北真樹子記者らと【新春2018年 安倍晋三首相と語る】も行いましたね。歴史戦を戦う上で史料がないとどうしようもないことは間違いありません。安倍首相に公文書管理で批判もあるのは承知していますが、考え方を変えて間もないところもあるんじゃないかなと思いますね。日本はこれまで歴史に関して何も言わず後手後手に回ったことは事実だと思いますが、この状況を変えようとしているのが安倍首相ではないかと筆者は思っています。秘密にすべき情報も勿論ありますが、安倍政権が残した文書もまた歴史資料になることも間違いありません。

公文書考(森友学園編)

2018-03-20 19:04:22 | 政策関連メモ
まず、森友学園問題を題材に公文書について考察します。

発端は国有地売却問題ですね。公有地ですが、国土交通省の4.公有地売却等手続きの流れを参照しました。

籠池氏が近畿財務局を恫喝した経緯は明らかだと思いますが、値引きが過ぎるとか何とかで結構話題になりましたよね。国有地は国民の財産なので、不当に安く売られたりしないことが大切な訳です。交渉記録なども含めて勿論情報公開に応じると共に、記録を一定期間保存し(例えば、背任罪の公訴時効が5年で、詐欺罪の公訴時効が7年ですから、詐欺師の余罪追及を考えると7年は保存する必要があると思います)、公文書管理法に罰則規定を設ければ、容易にこうした世論の不審を招くような事態は起こらなくなると考えられますし、仮に事件が起こっても速やかに問題は解決すると考えられます。

補助金の問題も同様です。結局のところ、国民のため国の財産は守られる必要があります。補助金の申請書や採点記録が残っていれば、情報公開にも対応できますし、仮に事件化しても証拠が残る訳で、そうすると犯罪に対する抑止力になります。やはり公文書管理法に罰則規定を設けることが重要ですね。

公文書を管理することが何故大切かと言いますと、ひとつには国の財産を国民のため守ることが考えられるのではないかと考えます。

特定秘密保護法や個人情報保護法には罰則規定がありますが、公文書管理法は画竜点睛を欠いているような気がします。何でもかんでも保存していると保管場所が幾らあっても足りないと考えられます。残すべき文書・残さないでいい文書の区別や保存期間、罰則の存在と軽重が重要かと思いますが、判断基準としては、想定される刑罰の重さにあわせるというのが一つの考え方なのかなと思いますね。これなら客観的かつ公平です。

公文書管理法は国立公文書館への移管規定がありますが、この辺の個別の案件は保存期間終了後、基本廃棄でいいのではないかと思います。申請した人とか研究者とかが保存した記録が残っていれば十分でしょう。実際のところ、公正な政策のために透明性があれば用は足りるのであって、そんなに記録を残して何になるか怪しい部類の公文書はあると思います。

保存期間がある程度決まっていれば、保存方法もそれほど拘る必要はありません。電子データだとフォーマットが変わる問題もありますし、保存に強い紙もありますが、その辺をあまり気にしなくていいのではないかということですね。




中央構造線活断層系にまつわる誤解(伊方原発問題なし)

2018-03-16 14:25:18 | 政策関連メモ
最強の経済対策は原発再稼働だと訴えてきましたが、関電以外は中々再稼働が進みません。いろいろ考えていたのですが、まずは地元愛媛伊方原子力発電所の再稼働に取り組もうと考えました。再稼働が経済的に重要は明らかですが、やはり危険だと判断されるなら止めねばなりません。そうでないなら、お金の無駄もいいところですから、早めに再稼働するべきです。

伊方原発と言えば、中央構造線をイメージしますよね。危険ではないのかという印象があるのも無理はありません。「伊方原発 断層」で検索したら、こんな記事が出てきました。

600メートル沖に活断層か 愛媛大元学長らが見解 伊方原発(大分合同新聞 2017/09/06 03:01)

>四国電力伊方原発(愛媛県)のわずか600メートル沖に活断層がある―。小松正幸・愛媛大学元学長(地質学)らの研究者グループがこんな見解を発表している。四国電は地震対策で原発から約8キロ沖の「中央構造線断層帯」を重視するが、小松氏らは「沿岸の活断層が動き、付随してできた断層にすぎない」と指摘。四国電の地震想定は不十分だとして一帯の詳細な調査を求めている。

>一方、四国電は「発電所周辺の詳細な地質調査をしており、指摘された海域に活断層がないのを確認している。地震動の評価は新規制基準適合性審査で妥当性が確認されており、影響を与えるものではない」とコメント。小松氏らの見解は誤りだとする主張書面を同支部に提出している。

小松正幸・愛媛大学元学長(地質学)の言い分が本当ならこれは大変なことです。この記事は半年前の記事ですが、放置していい案件ではありませんね。ただ、四電は詳細な地質調査を行ったとしています。小松氏の言い分がもし正しいのであれば、四電はお取り潰しにしていいぐらいの不祥事です。詳細な地質調査で活断層も見つけられず、活断層でないものを活断層と言い張るような会社に原子力発電所を運営させる訳にはいきません。小松氏も思い切った見解を示したものです。

事の真偽を確かめるために「地質境界」で検索をかけてみました。中央構造線や活断層は馴染みの用語ですが、地質境界が良く分かりません(素人丸出しで申し訳ありません)。すると、出てきたのが以下のページです。

九州には中央構造線はない - 地質調査総合センター

>地層境界断層としての中央構造線(断層)は日本列島の長い歴史の中でできた地層の「古傷」であり、活断層群である中央構造線活断層系(四国〜紀伊半島西部)はその一部を使って現在活動している断層のことです(図1)。 専門家でもこれを混同している場合が多々ありますので、厳然と区別して使う必要があります。このため地層境界断層が地表に現れた断層線としての中央構造線と中央構造線活断層系はおおむね同じ位置にありますが、必ずしも一致しているわけではありません。


図1 中央構造線活断層系(産総研地質調査総合センター活断層データベース、基図は国土地理院の白地図)
色の違いは中央構造線活断層系を構成する各断層。地質境界としての中央構造線(断層)とは必ずしも一致しない。

産業技術総合研究所地質調査総合センターによると、やはり四電の言い分の方が妥当なようです。中央構造線活断層系は明らかに伊方原発から離れて存在しています。また、地質境界断層としての中央構造線は活断層群である中央構造線活断層系と混同され易いらしく、ご丁寧にも専門家でも混同している場合が多々あると指摘しています。小松氏はどうやら事実を完全に間逆に取り違えて新聞に出てしまったようです。幾らなんでもそこまで四電も間違えないだろうとは思いましたが、こうして事実を確認するとほっとしますね。

「中央構造線」で検索すると、中央構造線(ウィキペディア)が一番で出てきますが、ここに記載されている出所不明の図にある中央構造線は伊方沖合を通らず伊方原発を通っています。似ている名前ですが、ここを間違ってはならないはずです。また中央構造線が九州を通るような図になっていますが、これも地質調査総合センターによると完全に誤りです。



>1996年、高知大学などの研究グループによる、伊予灘海底にある中央構造線断層帯の調査によって、愛媛県の伊方原子力発電所の間近の海底に活動度の高い活断層2本が発見された。ここでは約2000年おきにM7前後の地震が起きると考えられており、M7.6の規模の地震も起きる可能性がある。

22年前の話ですが、これはどうなったんでしょう?何も無かったんでしょうね。小松氏の見解のニュースの件もそうですが、こんな危ない話があるとしたら、反原発的な情報を鵜呑みにする活動家の皆さんが黙っているはずがありません。去年の12月13日に伊方原発3号機の運転差し止めを命じた広島高裁決定がありましたが、阿蘇のカルデラ噴火などというあるかどうかも分からない地質学的危険を持ち出すまでもなく、四電が見つけられなかった活断層が伊方原発側の海底に存在していたら、伊方原発など再稼働どころではなく、廃炉騒ぎになっていたでしょう。

問題はこうした偽情報(としか思えません)が検索上位で簡単にヒットしてしまうことです。これでは原発に関する風評被害が消える訳がありません。疑いがあるとか可能性があるとかそういうことを考えることを否定するものではありませんが、どう考えても有り得なさそうな情報が、検索上位で何時までも居座り誤解を撒き散らす事態は残念なことです。

活断層が四電の想定通り伊方の沖合にあるのであれば(そうだと思いますが)、伊方原発の敷地や近辺に突然断層が生まれるような事態は基本的には想定しなくていいということになります。

伊方原発の地盤に関して、四電の地盤(敷地周辺の地質・地質構造)についての30pを参照しますと・・・

>敷地近傍には広く堅硬な塩基性片岩が分布し,敷地における深部ボーリング調査によって少なくとも深さ2kmまで堅硬かつ緻密な結晶片岩が連続することを確認しており,審査ガイドにおける「上部に軟岩や火山岩,堆積層が厚く分布する地域」ではない。また,敷地近傍に火山岩の貫入は認められない。

・・・ということですから、やはり当たり前ですが相当安全そうな土地に造ったのだと考えて良さそうです。深さ2キロまで「堅硬かつ緻密な結晶片岩」て何か凄そうな印象です。地震大国日本も広いですから、探せばいろいろな土地があるんでしょう。四国には火山もありませんから、基本的には大地震による津波をどう考えるかということで良さそうです。

伊方原発は佐田岬半島の北側に位置するので、南海大地震が来てもとんでもない大きさの津波は如何にも来なそうです。大体瀬戸内海で巨大津波とは聞いたことがありません。南海トラフ地震による伊方発電所への影響について(四国電力)を見ると、津波高さは3mと想定されており、敷地高さは10mになっています。

土地勘ない人のために書いておきますと、佐田岬半島は細長い半島に見えますが、海抜は200mほどあるそうですから(四国最西端!佐田岬へ美しい夕陽に会いに行こう♡ Travel.jp)、大津波が南側から襲ってくるということはまずありそうにありません。

なお、伊方原発と同じく瀬戸内海沿岸の地元松前町の津波到達シミュレーションを見ましたが、4.2メートルの津波が来る(大潮での満潮時の平均潮位1.8m+最大津波波高2.4m)ことになっていますが、2時間経って1メートル浸水するとかいうシミュレーションになっており、南海トラフ地震が起こったと想定しても、筆者が津波で死ぬことは万に一つもありそうにはありません。浸水は一大事ではあるんですが。


松前町 津波HZM 津波到達シミュレーション 7-8p

困ったことに「南海トラフ 伊方」で検索すると、あたかも伊方原発がソッコーで津波に呑み込まれるとでも言いたげな偽情報が上位でヒットします。サイテーですね。

さて津波に戻りますが、当然伊方原発沖合の断層が動いた場合を検討しなければなりません。

トピックス:1596年に発生した地震の伊方発電所周辺への影響について(四国電力)

>別府湾での断層は縦ずれ断層であるのに対し、伊方発電所に近い伊予灘の活断層(中央構造線断層帯)は横ずれ断層であり、この横ずれ断層の地震により、伊方発電所には海抜4.3mの津波の可能性があると評価しております。



本当に信用して良いのでしょうか?国土地理院のページを参照してみます。

活断層とは何か?(国土地理院)

>(2)いつも同じ向きにずれる
 活断層にかかる力のもとはプレート運動で、その運動の向きや速さは長期的には変化しないので、活断層にかかる力も長期的には変わりません。このため、活断層の活動は基本的には同じ動きが繰り返されます。活断層周辺の地形は、このように繰り返された動きの累積により形成されたもので、地形を見ることで活断層の動きの特徴を把握することができます。

>(4)活動間隔は極めて長い
 私たちが住んでいる日本は、しばしば直下型の大地震に見舞われるため、活断層が頻繁に動く印象を与えていますが、これは日本に活断層の数が多いためで、実は1つの活断層による大地震発生間隔は1000年から数万年と非常に長いのが特徴です。一方、海溝型地震の発生間隔はこれよりずっと短く、例えば南海トラフを震源とする地震の発生間隔は100年程度で、歴史時代に巨大地震(南海地震、東南海地震)を何回も発生させてきています。

伊方発電所 地震動評価 中央構造線断層帯(四国電力)も参考にしましたが、右横ずれの断層は間違いなく、急に違う方向に動くというようなことは想定しなくていいようです。4.3mの津波に10mの敷地の高さなら大丈夫そうですよね。

ここまで調べてきて感じるのは、広島高裁の決定とは、よほど他にやることが無かったのだなということです。原発を止めたいなら、もっとマシな理由はありそうなものです。また、過去に垂れ流しまくったデマを誤魔化すためには、何か新しいネタが必要だったのかもしれません。脱原発左翼の皆さんも大変ですね。なるべく自分で訂正しておいてください。筆者も他に書きたいこともありましたし、可能性があるとか疑いがあるとか報道されると、疑いを払しょくするのは大変そうだなとしり込みしてしまったのかもしれません。いずれにせよ、もっと早く調べておけば良かったと反省しています。

で、阿蘇の破局噴火自体は、現時点では分からないとせざるを得ません。マグマ溜まりの研究は中々進んでいないようですね。この辺の話題は興味もありますが、今回はさておきます。ただ、阿蘇の一番大きかった破局噴火も含めて、火山噴火の伊方原発への影響は調査されており、全く問題なしと断定していいようです。

伊方発電所火山影響評価について(四国電力)

まず火砕流堆積物が見つかっていません。そして大分での火砕流堆積物を調査結果で、佐賀関半島で火砕流が分断されるプロセスが明らかになります(18p)。

広島高裁やってくれましたね・・・。これはド素人によるボンクラ決定じゃないですか?あるいはド左翼の確信犯的策略です。

憲法9条改正の方向性

2018-03-15 23:45:47 | 政策関連メモ
佐藤正久議員のツイート(17:12 - 2018年3月14日)

>【自民党で9条改正案の絞り込み】
>佐藤の提出案は「9条1項2項を残し、9条の2を新設し、過去見解との整合を図れるよう自衛隊の任務と文民統制の観点から総理と国会の関与を明記」することが柱だ。推進本部の案も佐藤案に近いものなっている。議論を経て国民の意識と学者のギャップを埋めたい

申し訳ありませんが、あまり憲法学者の方々の意見を気にし過ぎない方がいいと思います。

憲法解釈は百家争鳴の状況であり、自説に固執する学者の方々が折れることに期待するべきではありません。学者と裁判所の力関係は実際のところ圧倒的に裁判所の方が上のようです。学者の判断=通説がどうであれ、最高裁の判断が出て判例が確定すると、下級審はそれに拘束されるようであり、その判例が通説と如何に違ってようが関係ないようです。通説が判例に影響しないとも言えませんが、重要なのは裁判所の判断=判例の方だと思われます。

日本国憲法第9条(ウィキペディア)

>自衛隊の憲法9条に対する合憲性について直接判断した最高裁の判例は未だ存在しない。

問題は最高裁が合憲だと判断していないことです。これは違憲を意味している訳ではありませんが(つまり合憲ですが)、政府の解釈を認めている訳ではない(判例になっていない)ことに注意しなければなりません。

裁判所は自衛隊が憲法に書き込まれれば自衛隊を認めるでしょうし(憲法の条文どうしが矛盾しているというような話については良く分かりません)、そうなれば学者の説も見直しをせまられるでしょうが、それはギャップを埋めるというような話にはなりません。

問題は自衛隊が合憲と裁判所が認め学者がそれを容認する情勢になったとしても、そこからまた憲法解釈が始まってしまうことです。つまり必要最小限などと憲法に書き込んでしまうと、それは必要最小限なのだろうかという問題提起がなされてしまい、個別の法律が違憲立法審査で違憲とされてしまう恐れがあると思います。これでは全くどうにもならないというか、何時までも「反戦」の方々とバトルが続く展開に終わりが来ないことになります。

これまでの政府解釈を問題にしたい訳ではありません。別に今までの政府解釈でいいと思います。ただし、最高裁判所が判断を避けている以上、後生大事に墓場まで持っていくような解釈になっていないことも間違いないと思います。そもそも政府解釈は集団的自衛権は行使できないと解釈していたのを2014年に必要最小限度の範囲で行使できると解釈変更しました。必要最小限を明記してしまうと、こうした解釈変更ができなくなることも間違いありません。

仮に必要最小限を明記せずとも9条そのものを書き換えない限り、法律の書きぶりによっては、自衛隊関係の法律が違憲と判断されるリスクが無くなる訳ではありません。しかしながら、学者の方々や裁判所の方々が解釈する余地ができるだけないのが良い立法であり、現状の改憲案は解釈の余地が大きいあまり良くない改憲案だと筆者は思います。

西修教授の改憲私案(私の憲法9条改正案を提示する 駒沢大学名誉教授・西修 産経ニュース 2018.2.22 11:00)のミソは「(3)自衛隊の編成及び行動は、法律でこれを定める」にあると思います。この文言が憲法に書き込まれている限り、戦力不保持など残る9条の条文に配慮する場合において、政府が出した法律が違憲だと判断されたり、最高裁判所が判断を避けたりすることは考え難いということになると思います。政府は憲法に則って法律を出したことが明快になるからです。これが完璧ではないにしろ、必要最低ラインで満足できる憲法改正だと筆者は思います。逆に言えば、こうした文言が無い限り、「護憲派」とのバトルは形を変えて続くことになることが避けられません。

つまり大変申し訳ありませんが、どうも国民の意識と学者のギャップが埋まる改憲案にはなっておらず、新たなバトルの幕開けになると見ていいのではないかと思います。これでは何のために改憲したのか分からないということになります。

憲法9条改正の方向性としては、①今までできていたことは大体できるようにする。②自衛隊に関係する国民の常識に沿う法律に関して最高裁判所が判断を避けるような事態が起こらないようにする(下級裁判所が変な判決を出さないことに期待するべきではないと思います)の2点が重要だと筆者は思います。結局のところ、いろいろな解釈が有り得るので、基本的に政府判断で法律を出して良いのだということが明記されていないと、最高裁判所の判断に期待できないということになるのではないかと思います(よもや違憲判決は出ないでしょうが、これまでと同じバトルが繰り返されることになります)。

必要最小限を明記して、「自衛隊の編成及び行動は、法律でこれを定める」を明記することもできますが、現行憲法に必要最小限が書いていないのですから、戦力不保持条項に加えて、更に火種に成り得る条項を入れる必要はないと思います。

今までの解釈は何だったの?と思われるかもしれませんが、別に解釈は永久不変ではなく(法律の世界で判例が永久不変だと考える必要はありません)、新たな秩序を打ち立てることに改憲の目的があります。現に必要最小限の実力組織派の方々も自衛隊が違憲だと判断されるリスクが無くなる新秩序を打ち立てようとしています(ただし、法律が違憲審査される形で新たな戦いが始まる改憲案になっているようには見えます)。

仮に改憲案が国民の支持を得られそうもなく撤回することになったところで、最高裁判所が急に自衛隊を違憲だと判断してしまう事態は考え難いところです(宙ぶらりんの状態が良くないことは同意します)。

また、必要最小限の実力組織案が国民の支持を得やすい案だと必ずしも筆者は思っていません。基本的には難航した平和安全法制を固定化する案だからです。どうせまた難航しますし、難色を示している公明党さんの合意が得られないと、参議院で通らず発議が難しくなります。森友問題の再発で自民党政権の求心力が落ちている現状ですから(政権が変わったところで現状の安倍政権の支持率が維持できるような気がしません)、難航することが目に見えている憲法改正案はお荷物のようにも見えます。

「自衛隊の編成及び行動は、法律でこれを定める」を憲法に書き込む案も平和安全法制を固定化することには変わりありませんし、あるいは難航する可能性もあります。しかしながら、よほど変な法律を出さない限り、最高裁判所が認める形であるいは学者が匙を投げる形で自衛隊を巡るバトルが概ね終結する優れた案だと筆者は思います。その辺をきちんと説明すれば、野党や与党内の反対派の理解が寧ろ得られ易いと考えられます。別に野党や与党内の反対派を信じている訳ではありませんよ?そうではなく、国民の常識に沿った提案で国民の支持が得られれば、野党や与党内の反対派が抵抗する機運は萎んでいくということです。一体全体自衛隊を巡ってくだらないバトルが続くことをどの国民が望んでいるのでしょうか?普通の常識ある国民はそういうしょうもないバトルに辟易しているとき思います。

平和安全法制が違憲という主張を気にする必要はありません。明らかに合憲だからです。違憲合憲を判断するのは裁判所の仕事中なのであって、学者の仕事は理論を考えるところまでです。

子どもの貧困(無職世帯の高い乳児死亡率)

2018-03-14 14:11:22 | 政策関連メモ
沖北相補佐官に島尻安伊子氏(産経ニュース 2018.3.2 10:04)

>政府は2日の閣議で、福井照沖縄北方担当相の大臣補佐官に島尻安伊子元沖北相を続投させることを決定した。

>福井照沖北相は同日の閣議後の記者会見で、島尻氏の起用について「補佐官として沖縄振興に関する重要政策、特に子供の貧困、緊急対策の推進を担当していただく」と述べた。

今沖縄関係の政策に力を入れているところなので、子供の貧困にチャレンジしてみようと思っています。基本的に社会保障は苦手分野ですので、分かるところから少しづつやるつもりです。参考にしたのは「子どもの貧困ハンドブック」(かもがわ出版)ですが、全部読んでいる訳でもありませんし、これを全部やればいい!と思っている訳でもありません。基本的に筆者の意見は書いたものが全てであり、それ以上でもそれ以下でもありません。

何でも無職世帯の乳児死亡率って異常に高いらしいですね。


厚生労働省

100人以上常用勤労者がいる企業において1000人の内1.1人の死亡率に対して、無職世帯の乳児死亡率は15.7人になっています。ついで死亡率が高いその他でも3.2人ですから、かなり突出した死亡率になっているのが分かると思います。これは結構衝撃的です。

これの原因はいろいろあるのかもしれませんが、ひとつにはお金の問題で妊婦健診を受けられていないことが考えられます。

妊婦健診はなぜ必要? 飛び込み出産が危険なわけ(All About 健康・医療)

>日本は母体死亡率や周産期死亡率が世界一低く、医療技術が発達しているゆえに、お産が安全なものだと考えられていますが

>母体や妊娠経過についての情報がないのはとても困るので、妊婦健診はきちんと受けていただきたいです。最近は自治体から母子手帳と一緒に妊婦健診の無料券を配布していますので、家計の節約のために妊婦健診を受けなかった、ということがないようになれば、と思っています。

日本は基本的にはお産が安全な国のようですが、それも医療技術が発達しているからなのであって、ちゃんとした医療が受けられなければ勿論乳児死亡率は高まると考えられます。無職世帯だけが突出していることから、病院の違いというよりは、その前の検診がより重要なのではないかと推測しました。無職世帯だと一切検診せず飛び込み出産になりやすいのではないでしょうか?そしてそれが乳児死亡率に大きく影響しているのだと考えられます。

未受診や飛込みによる出産等実態調査について(2010年調査報告(平成22年度))(大阪府 平成27年1月27日)

>平成21年1月から12月の1年間に、大阪府で発生した未受診妊婦の頻度は、府内の500分娩に1例であった。うち69.0%は周産期学的ハイリスク群で、続発した母体新生児合併症のいくつかは予防できたと考えられた。周産期死亡率は19.7で、これは40年前(1970年)と同等である(2008年は4.0)。低出生体重児や早産児、NICU入院も多く、未受診が母子共に極めてリスクの高い事象であることが浮き彫りになった。

>また、平成21年度調査では未受診妊婦が医学的にハイリスクであると同時に、社会的に大きな問題であることを明らかにした。すなわち、未受診の理由として「経済的理由」を挙げた者は3割であり、経済的支援のみでは解決しない事例が多いと考えられた。

意外にも経済的理由は3割に過ぎないようです。対策としては、養育支援訪問事業があるようです(養育支援訪問事業ガイドライン 厚生労働省)。4.養育支援訪問事業の実施状況調査(厚生労働省)を見ると、市町村の実施率は石川・大阪・山口で100%、一方では5割を切っている県もあります。訪問実施家庭数・訪問延べ件数を見ると、市町村における実施率がそれほどでもない県でも人口のわりによく実施されている県もあって、非常に地域差が大きいのではないかと考えられます。

お金の問題ではなく妊婦健診を受けない世帯には問題も多いと考えられ、実施数だけでなく、実施内容が求められるのではないかと考えられますが、本気でやるとなるとかなりハードな仕事になるのではないかと思います。地域差も含めて実態調査があった方がいいかもしれませんね。

お金の問題に関して言えば、補助券の配布がありますが、5~10万は必要なようです(妊婦健診とは?頻度や回数、費用は?補助券はどこでもらう? こそだてパック)。

今回は無職世帯の高い乳児死亡率を例にとりましたが、どうも子どもの貧困の解消とはそう容易ではない印象です。子どもの貧困・格差を解消するためには、無職世帯の高い乳児死亡率を下げる必要がありますが、経済支援や養育支援がどの程度有効か検証する必要があると考えられます。エビデンスに基づく政策という奴ですね。

エビデンスに基づく政策形成に必要な「データ分析の力」とは?
(RIETI 独立行政法人経済産業研究所)

エビデンスに基づく政策は重要でしょうが、これにも課題があって因果関係と相関関係を見極める思考法が重要だという指摘があるようです。因果関係と相関関係が分からないようでは、エビデンスに基づく政策はできないということになりますが、これからの時代、AIに負けないためにもその辺が分かる思考力が重要になってくるのかもしれません。

中山氏の公約から石垣の具体的な政策を考える

2018-03-12 23:56:59 | 政策関連メモ
中山氏の公約から石垣におけるこれからの具体的な政策について検討してみたいと思います。

石垣市長選:中山義隆氏が政策発表 陸自配備「話し合いを」(沖縄タイムズ 2018年2月20日 10:20)

>児童の大会派遣時などに本島で宿泊・活動の拠点にする「八重山会館」建設などを公約。

八重山日報も本島に進出しましたし、八重山系の企業に安く事務所を貸すというのも一案かもしれませんね。児童の大会派遣時だけでは需要が足りない可能性もありますから、空いている分は八重山住民に貸し出すのも考えられます。民業圧迫と言えばそうですが、人口もそれほどではありませんし、それほど目くじらをたてられることもないんじゃないかと思います。

>映画館誘致など移転後の旧庁舎跡地開発や美崎町再興、市街地拡張で持ち家率向上などに取り組む。

映画館誘致ですが、人口が増えているようですから、成功する可能性もあると思います。ですが、今はNetflixやHuluといった月額料金が一定で映画やドラマが見放題のサービスが伸びていますので、不良債権化する懸念もないではありません。その辺の出店のリサーチやマーケティングはプロが行うとして、ここでは観光地と映画について考えてみます。

普通に考えると、旅先で映画を見る必要は必ずしもありません。しかし、旅先で雨が降る可能性は確かに存在します。リゾートで長期滞在するなら尚更です。そう考えると石垣が世界的観光地を目指すのであれば、雨でも楽しめる環境が整っていることが望ましいと言えます。

『モルディブでの過ごし方』 雨が降ってもリゾート滞在は楽しい!(tripuu)を参照しましたが、個人的にはボードゲームが気になりますね。ゲームと言うと今時コンピューター相手のガチャをイメージするかもしれませんが、対人戦の駆け引きが何より楽しいものだと思います。地元でもやれますが、メンバー固定してしまいますからね。ネットでもボードゲームはできるかもしれませんが、交渉ゲームはやりにくくなりますし、やはり実際に会ってゲームをしないと味気ないものです。

それはさておき、映画館の話に戻りますが、これもホテルの部屋でNetflixやHuluが見られれば用がない可能性もありますが、せっかく観光地に来て何処でもできることをやるのもつまらないものです。世界遺産を2つも抱え観光地として著名な広島ではこんな映画館もあるようです(原爆ドーム、お好み焼きの次は……映画館!? 広島観光の穴場『八丁座』/八丁座(広島県広島市)(瀬戸内Finder 2015.7.21))。

美崎町には離島行きの旅客船(高速船)が発着する離島ターミナル等があるようです。

観光と地域の足の2つに分けて考えてみますと、観光の場合、飛行機との競合をどう考えるかがより重要です。本島から石垣を飛ばして与那国に行く便もあるようですが、便数を考えると石垣を経由した方が利便性が高いようですし、波照間島に行くには石垣を経由するしかないようです。また、日本の西端と(通常行ける範囲での)南端をセットで観光したいということであれば、石垣を利用するしかありません。船便は便数も少なく時間もかかり船酔い・欠航の危険性もあるようですが、値段が格段に安いのが魅力であるようです。そう考えると、やはり船便は観光のために使うというよりは、地域の足なんだろうと思います。筆者も愛媛から関西に行くのにフェリーをよく利用したものですが、時間が少々かかってもお金が節約できるというのは特に地元の人間にとっては有力な選択肢です(貧乏旅行の有力な選択肢でもあるんでしょう)。また波照間島を除く竹富町の区域には船便でしか辿りつけません。与那国への船便もいいと思いますが、ここでは竹富町観光と地域の足としての船便を考えてみます。

竹富町観光で今注目されるのは世界遺産登録の動向でしょうね。世界遺産に登録されると注目度は格段に上がりますが、開発しにくくなるというデメリットはあります。ですが、イリオモテヤマネコのいない西表島は気の抜けたビールのような感じもしますし、筆者はそこはシッカリ環境を守ってほしいとは思っています。

竹富島と言いますと、筆者には水牛のイメージがあります。勿論星のや竹富島は要注目でしょう。黒島には牛祭り(八重山日報)があります。


沖縄ラボ

竹富町への船便は数もわりに多い印象ですが、ちょっとした時間潰しが美崎町でできるといいかもしれません。が、より重要なのは欠航対策でしょう。必ずしも美崎町でなければならないということもありませんが、復旧を待つなら近くの方が利便性が高いと言えます。そう考えると荒天時に楽しめる施設や宿泊施設が重要に思えます。

また、天気予報が発達すればある程度欠航も事前に予測できるかもしれませんが、天気予報とて無論完全ではないでしょう。石垣には地方気象台がありますが、天気予報を支える気象情報を支える観測(気象庁)が向上すれば、欠航が事前に予測し易くなるかもしれません。船便の欠航の予測といいますと、波の高さの予測が重要でしょうか?事前に欠航の予測がつくとキャンセルが出て困ると思う人もいるかもしれませんが、顧客満足度の向上がリピーターの確保に重要なはずです。多少リスクがあってもその時はその時と思う人もいるでしょうし、基本的に顧客の利便性を重要視するべきです。

これらは地元の足とて同じでしょうが、地元の足を考える時にもっとも重要なのは買い物ではないかと思います。市場規模を考えると離島の店舗に商品を充実させることは難しいと考えられます。港から離れたところで買い物すると移動するのが面倒です。港の近くに買出しできるところがあれば、用事を済ませた後に、買い物をして島に帰ることができます。これは当たり前の話ですが、観光客を上手く美崎地区に誘導できれば、更に商売はやりやすくなります。ひとつ考えられるのは免税店ですね。

また、欠航時のみの一時需要に対応するために民泊も考えられるかもしれません。家を守る主婦がホームステイ型民泊(ホームステイ型民泊が私の生活を変えた7つのこと エアログ)をやれば、稼働率って大して気になりませんしね。日本の民泊はホスト不在型民泊が多いようですが、賃貸運営や駐車場運営の延長線上に考えられているのかもしれません。その問題点は、稼働率が低いと商売が成り立たないことだと考えられます。地方にはおばちゃんが趣味と実益を兼ねて飲食店をやるケースがあるじゃないですか。筆者もお好み焼き屋とか利用しましたが、夫の収入があって自宅の一角で商売すれば、失敗してもそれほどリスクはないとも考えられます。何より地元の人との交流が観光では魅力に成り得ますし、引きこもり対策にもなるかもしれません(4分の1が主婦。50万人超とも言われるひきこもり女子に居場所が必要な理由(BUSINESS INSIDER JAPAN 中原一歩)。引きこもりというと印象悪いですが、コミュニケーションを求めている人も多いようですし、女性はコミュニケーションが得意ともいいます。そんなに肩肘はらずとも、価格が安ければ需要はありますし、価格が高い方とは棲み分けできると思います。

そうして宿泊施設に多様性が生まれるとパイが拡大します。それが石垣空港の拡張にも繋がると思います。星野リゾートの星野社長も必ずしも一人勝ちは狙っていないようです(【星野社長対談付き】星野リゾートの新展開 All About)(外国人旅行客は平日に連泊してくれるのがいいみたいですね。そう考えると外国語ができる人材が日本の観光業の成功に必須かもしれません)(居住人口が少ない石垣ではあまり関係ないと思いますが、インバウンドを考える上でアウトバウンドも重要なようです。何故なら両方あった方が客数の問題で航空便を維持しやすいからです。ただし、その場合でも日本人が平日に観光に行かないことがネックになるはずです。現状ではビジネス便に便乗したアウトバウンドの方がやり易いかもしれません。アウトバウンドをまず成功させて国際観光への理解が広まれば、平日に有給をとって連泊していいということになるかもしれませんが、日本人が国際的にビジネスをやろうと思うなら、海外旅行の裾野が広がることはマイナスにはならないだろうとも考えられます)。

「市街地拡張で持ち家率向上」は宅地造成かと思いますが、人口が増える石垣では必要かもしれませんね。全国的には失敗が多い事業のようです(宅地造成事業、3200億円の「債務超過」 52自治体 朝日新聞 2017年11月20日05時05分)。

>過疎化が進む島北西部では定住条件の向上や産業振興で「平成の再開拓」を推進する。新石垣空港のターミナル拡張や滑走路を2500メートルに延長するなど外国人観光客の受け入れ態勢を拡充するとし「質の高い観光地を目指す」とした。

過疎地への定住ですが、空き家の利用を考えたいところです。これを成功させるためには産業振興で仕事をつくることが大切でしょう。地形図を見ると北西部は山がちで農業という選択肢は微妙な気はします。そう考えると観光業ですが、例えば大崎ビーチ(石垣島サンテン)は穴場のダイビングスポットになっているようです。石垣のダイビングショップは南部に集中しているようですが、北西部にも幾つかあるようですね。日本ではダイビングができる場所が決められているようですので、ダイビングできる場所を拡張できればダイビングショップも拡張できると考えられます。漁業との兼ね合いが重要なんでしょうが、八重山地域の水産業の概況(沖縄県)を確認すると、「西表島の南西方には、仲の神島をはじめ中ノソネ、台湾ソネなどが点在し、マチ類の一本釣り等の好漁場となっています。特に、与那国は黒潮源流域に位置し、カツオ、マグロ、カジキ等の回遊魚の好漁場となっています」とのこと。それほど漁業として成り立ってない漁場があるのであれば、ダイビングスポットとして利用させてもらうという考え方もできるかもしれません。

西表石垣国立公園(環境省)を見ると西部に名蔵アンパル、北部に於茂登岳がありますね。残念ながら、国立公園満喫プロジェクト(環境省)の選には漏れていますが、国立公園でのインバウンド対応は既に先行事例があって何か参考になるかもしれません。沖縄では慶良間諸島国立公園が選ばれています。

他に再生可能エネルギーを産業にすることも考えられます(小さな離島で再生可能エネルギー7割へ、台風を避けながら風力発電と太陽光を スマートジャパン)。ただし、観光地としての魅力を下げない形にする必要があると思います。再生可能エネルギーの活用(沖縄電力)を見るとやはり課題はあるようですね。沖縄電力がノウハウを蓄えると、国内外の離島に販路が拡大できる可能性もあると思います。

質の高い観光地と言えばハイクラスホテルに象徴されるでしょう。ところが沖縄に限らず日本にはこれが少ないようです(外国人が心底失望する「日本のホテル事情」 日本には「高級ホテル」が足りなすぎる 東洋経済 2017年07月07日 デービッド・アトキンソン)。この原因は定かではありませんが、あるいは日本人の観光は儲からないという思い込みが関係しているかもしれません。日本人は平日休めませんし連休はとれませんから、勢い観光は大して儲かってこなかったと考えられます。しかしながら、日本には素晴らしい観光コンテンツがあります。外国語のできる人材を確保して本気でやれば、狙ってインバウンドは獲得できるのではないかと考えられます。デービッド・アトキンソン氏によると、「アメリカは国際観光客数では世界一のフランスに及ばす第2位というポジションに甘んじていますが、国際観光収入では圧倒的な世界一です。アメリカにはなんと755軒の「5つ星ホテル」があり、これは、全世界の「5つ星ホテル」の23.3%を占め、断トツの世界一なのです。」「タイの観光収入をドル換算すると、世界第6位の観光収入を稼いでいる計算になります。G7の一角をなす「経済大国」であるはずの日本に、タイの4分の1、メキシコの3割しか「5つ星ホテル」が存在しない。」ということです。石垣にハイクラスホテルが出来たら地元の雇用や税収に貢献しますが、必要であれば、移住者も歓迎していくべきでしょう。現状での日本の高級ホテルはお金持ちが泊まる東京の超一流・高級ホテル30選【決定版】(マネー部)を参照してみました。ANAの名前もJALの名前もありますね。いろいろな高級ホテルはありますが、離島ですから空路が決定的に重要な訳で、航空会社系のホテルの頑張りがあるといい感じなのかもしれません。

統合型リゾートが今推進されていますが、ハイクラスホテル+カジノは十分有り得る考え方だと思います。石垣の市場規模でどうかという問題はありますが、ハイクラスホテルのカジノであれば、環境悪化やギャンブル依存などの問題はそれほど考えなくてもいいと考えられます。