自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

いつまでも変わらない人類という動物の性

2017-10-26 17:18:10 | 自然と人為

 人は強いものには従うが、人を支配する地位にもつきたがる。それは動物の性かも知れない。組織化された団体で自分の影響力を高めるためには、組織の上を目指す必要がある。組織で認められるためには、組織の意向に従って働かねばならない。人を支配するとは組織や自分の考えで他者を動かすことだ。そのためには他者を尊重する気持ちが必要だが、地位が高くなると気持ちが驕り、何時の時代も「平家物語」で語られる有名な「盛者必衰」の状況を生むようだ。

祇園精舎(ぎおんしょうじゃ)の鐘の声、
諸行無常の響きあり。
沙羅双樹(さらそうじゅ)の花の色、
盛者(じょうしゃ)必衰のことわりをあらわす。
おごれる人も久しからず、
ただ春の世の夢のごとし。
たけき者も遂には滅びぬ、
偏(ひとえ)に風の前の塵に同じ。

 今の経済は政府が借金を返すために借金をし、株価が低下すると日銀が株を買い支えるという、なんでもありの破滅した政治と金融になっていることを誰も気にしない。

 かつてオイルショックの影響で税収が落ち込む大変な状況で、大量の赤字国債を発行したが、財政が苦しいときは歳出を削るべきだというのが当時の大蔵大臣大平正芳の哲学で、赤字国債の発行は政治家にとって万死に値することと思っていた。そこで財政健全化のため税収増を図るために皆が反対する消費税の導入を訴えて選挙に負けた。 今は消費税を教育に使うと宣伝する。あまりにも軽く無責任になった政治家。
 参考:消費税「導入」と「増税」の歴史
      竹下氏、消費税成立は大平さんの執念」 森田一氏
      絶望の改憲大政翼賛会…歴史の分岐点で暗黒に転落


 2017年衆議院議員総選挙の結果、自民・公明の与党は大勝したとメディアは報じている。しかし、首相始め自民党幹部は浮かれた表情をしていない。安倍内閣 支持39% 不支持42%の下でも1対1で争う小選挙区では、相手のnが1/nに分散すれば大勝できることを素直には喜べないのかも知れない。開票システムをムサシの選挙システムに独占させているから、”ムサシ”を使った不正選挙を疑う人も出ている。今の首相ならそこまでやりかねないが、そうなったら民主政治は終わり、暗黒の独裁政治になってしまう。

 私は浮かれない自民党幹部の表情から、新内閣の下で財政が破綻しハイパーインフレを含めて経済が大混乱に陥り、内閣総辞職に陥る事態を予感した。日本の季節と選手の体調を無視した真夏のオリンピックの開催の不安と重なって、政治の経済に対する無謀な要求の破綻が見えてくる。

 何事も絶望だけでは終わらない。今回の選挙は政治家の本音が見えて、投票の根拠を持った有権書が増えたと思う。希望の党が伸びなかったのは、小池代表の「排除」の言葉の責任だと批判する希望の党で当選した議員もいるが、有権者はこの言葉で政治の実態が見えてきたのだ。2大保守の対立体制をつくると言うが、この保守はアメリカへの従属政策を続けることで一致している。沖縄の悲痛な声は彼らには聞こえない。

 昭和のフィクサー(黒幕)「児玉誉士夫」昭和の妖怪「岸信介」に代表されるように、戦後の日本はアメリカに支配されながら友好国と洗脳され、日本国民のことを考える社会主義や共産主義を「アカ」と攻撃し、アメリカに従うことを愛国者というネジレ現象が起きている。それは、日本の政治、経済、メディア、教育界を大きく拘束したアメリカの日本統治政策のもとに起きた現象だ。何もアメリカに反旗を翻せと言うのではない。日本の独立をしっかりと確立してほしい。

 そうすると、日本の独立の為には軍備の拡充が必要で核武装すべきだという意見が出てくる。守るにしても攻めるにしても戦争は国民に甚大な被害を与える。戦争放棄の憲法9条を守ることが日本の国民を守ることだし、世界に貢献できることでもある。
 憲法は敗戦後の日本の良心が作ったものだ。アメリカに押し付けられたと言うのなら、アメリカの憲法改正要求にはそう答えれば良い。国民主権の憲法を軽んじて政治を私物化し、憲法違反の衆議院の解散を平気でやる首相に憲法を論じる資格はない。

 憲法に自衛隊を付け加えるだけだと言うが、今の憲法で自衛隊は災害救助の立派な仕事をして国民に感謝されている。自衛隊を付け加えて海外でアメリカとともに戦う必要は全くない。
 参考:日本会議て?戦前の天皇制の大日本帝国に戻したい。
      憲法改正を訴える日本会議の「危ない」正体
      再び踏み絵を踏まされる前原、長島、細野、そして危険な野田


 人間の未熟さを救うために、人類は宗教というものをつくった。しかし、宗教は人類の戦争を放棄させることはできなかった。私は宇宙138憶年のビッグヒストリーを世界で学ぶことで、人類を静かに目覚めさせ、思考の枠組みに人類皆兄弟と戦争の愚かさを心の奥深くに沁み込ませてくれるのではないかと期待している。

 この衆議院選の開票日にWBA世界ミドル級タイトルマッチが生中継された。村田諒太がチャンピオンになったが、それよりも高校時代の亡き恩師「負けた相手を思いやれ」という言葉を胸深く思い拳で戦った村田諒太のことを知り、深く感動した。
 人類が集団で生きていくことは今後も変わらないが、平和に暮らすには「個人の尊厳」=「他者の尊重」を大切にすることが必須だ。拳一つで世界チャンピオンになってなお、奢らずに恩師の恩を語る彼は心が深く大きい。ちなみに全面支援してくれた電通が安倍首相をメディアで支えていることは知らないだろうが、『みんな好きじゃないかも知れないけど』と挨拶したことが話題になっている。人間は様々なしがらみに生きているが、この言葉に愛嬌と率直さを感じるのは私だけだろうか。

初稿 2017.10.26