自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

新春スペシャル「100分de平和論」~我々は何を考えなければならないのか

2016-02-03 18:39:14 | 憲法を考える

再録「100分de平和論」 2017.5.9
明日戦争が始まる(動画)

 NHKの新春スペシャル「100分de平和論」は、平和について考えさせられる4つの課題『戦争と人の心』、『経済と平和』、『江戸の平和』、『寛容の祈り』について名著を、順番にそれぞれの分野の専門家が解説している。
 戦争放棄の憲法9条を持つ日本は、世界8位の平和度と認知されているが、この世界に誇れる憲法を国民は守り切ることが出来るでろうか。戦争をしない誇らしい国であり続けることを願いつつ、戦争を出来な国を戦争が出来る国にしようとする勢力に騙され敗北しないように、著作権侵害で削除された「100分de平和論」を復活せた。平和を求める為の番組を何故公開しないのか。

100分de名著スペシャル(動画)

人は何故戦争をするのか~フロイト
 精神科医 斉藤環 100分de名著スペシャル『戦争と人の心』
  平和のためにできることは、”対話(ダイアローグ)”である。
ブローデル著「地中海」
 経済学者 水野和夫 100分de名著スペシャル
  よりゆっくり より近く より寛容に
井原西鶴の「日本永代蔵」
 法政大学総長 田中優子 100分de名著スペシャル
  平和のためにできることは、信頼を作り出し、それを持続すること
ヴォルテールの「寛容論」
 作家、明治学院大学教授 高橋源一郎 100分de名著スペシャル『寛容の祈り』
  Pray, and think 祈れ、でも考えよ
  すべて人は兄弟であるのをみんなが思い出さんことを!

 『戦争と人の心』の問題は個人の心理学的問題だけでなく国の問題なので、国が国民をどう扇動したのかという視点が必要である。また、フロイト自身も「近い将来に戦争はなくなると期待するのはユートピア的な希望ではないのかも知れません。それがどのような道や迂回路を通って実現するかは、予測もつきません。」と言っている。これまで学問は欧米が規範とされ権威をもって受け入れられているが、260年も戦争をしなかった、『江戸の平和』のように東洋の思想や日本の歴史も比較して考える必要があろう。

 また、『経済と平和』の問題では資本主義の発達の歴史についてイタリアの例でまとめたブローデル著「地中海」を紹介し、欧米型の「より早く、より遠く、より合理的に」という経済学の基本に対して、「よりゆっくり より近く より寛容に」とメディアで主流と思われている経済学の限界を指摘している。輸出産業と軍需産業を支援するだけの目的で、アベノミクスが景気を浮揚させると言う学者が政権やメディアで重用されいるのも困ったものだ。憲法9条があるのに「抑止力」という誤魔化しの言葉によって若者が戦争の不安を感じている。現政権は堂々と「憲法改正」を言い、アメリカと共に戦うために「抑止力」が必用と言う。他者を尊重しない現政権のもとに後藤健二さんが殺害されたり、中国、北朝鮮の行動は我々の日常とは関係ないのに、NHKを含めてトップニュースで報じられる。まさに真面目な番組が少ない中で、報道による日常の破壊がある。

 『寛容の祈り』は非暴力・不服従のガンジーや教会の教えに反発したキング牧師の考え方と共通している。キリスト教においてもカソリックによるプロテスタントの迫害があり、その時代においてヴォルテールは理性と個人と自由を大切にし、牢獄に入れられながらも闘った。その「理神論」と言う考え方は現代の欧米には広く深くは定着していない。一方、プロテスタントの迫害から逃れてアメリカに移住して自然と平和を求め続けているアーミッシュの人々もいる。

 考えることが多いし、欧米と日本では考え方が違うと思うので、『戦争と人の心』と『江戸の平和』、『経済と平和』と『寛容の祈り』を比較しながら別の機会に考えて見たい。また、若い人たちの意見を聴きたいと「ニッポンのジレンマ」を録画しているが、「戦争放棄」と「抑止力」のジレンマはテーマとなっていない。憲法は若い人にとって重要な問題であり、現政権やメディア、ことにNHKはこれを守る義務がある。憲法改正にはどのような正義があるのか。政治問題にしないで是非とも若い人の意見を聞きたいものだ。
参考:
「ニッポンのジレンマ」元日スペシャル「競争と共生のジレンマ」

初稿 2016.2.3 更新 2017.12.13 再録「100分de平和論」