自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

家伝法改正に関するパブリックコメントを提出しました。

2011-04-02 16:54:30 | 牛豚と鬼

家畜伝染病予防法の改正に対する意見書

「口蹄疫対策を考える会」設立発起人代表 三谷克之輔

1.家畜伝染病予防法(以下、家伝法と略す)の一部改正案に対する意見募集は、平成23年4月2日が募集締め切り日であったが3月22日に衆議院本会議で可決成立した。パブリックコメントの手続きを無視して法案成立を急いだのは、立法の責任か行政の責任か。

2.家伝法は家畜の法定伝染病全般に関わる基本法ともいうべき法律である。口蹄疫に関する防疫指針の前文の規定を無視して、家伝法を先に改正する法的手続きに矛盾はないのか。さらに「最新の科学的知見及び国際的動向」を踏まえて防疫指針を見直さない家畜衛生部会等の委員の責任は問われないのか。

3.家伝法は伝染病予防の責任を家畜の所有者、獣医師、県の家畜防疫員等の個人に課して、国の責任を問うていない。しかし、疑似患畜の指定と農場全殺処分に加えて、改正された家伝法では、「指定家畜」を予防的殺処分することに法的根拠を与えている。防疫指針でワクチン接種を認めず、国が過剰な殺処分の権限を行使するのは、基本的人権、財産権、生存権等を無視した憲法違反ではないのか。

4.予防的殺処分は補償のために財政危機にある県や国に莫大な損害を与え、しかも家畜の補償金では農家等の失った遺伝資源や生活は報われない。さらに大量殺処分は地域の生活や環境も破壊している。予防的殺処分は封印し、ワクチン接種と感染畜の殺処分を中心にした防疫指針に見直すべきである。

5.患畜には評価額の手当金を支払い、疑似患畜、指定家畜を殺処分するなら、家畜の所有者だけでなく家畜の管理に関係している者の生活と育種改良してきた遺伝資源の補償のために、患畜以上の手当金を支払うべきである。また、口蹄疫は人の健康には影響を与えないので、患畜以外は食用として利用することを考慮すべきであり、そのための家畜への感染防止策を講じるべきである。

6.家伝法は特定家畜伝染病防疫指針、飼養衛生管理基準が追加され、農林水産省令との関係が整理されないまま複雑となり、法的な整合性が損なわれているのではないか。改正された家伝法に示された詳細な規定は、防疫指針や衛生管理基準等に移行すべきである。

7.改正家伝法では「家畜が患畜又は疑似患畜であるかどうかを判定するために必要な検査」など科学的でない規定が随所にあり、患畜と疑似患畜の範囲を曖昧にしている。また、疑似患畜と認定された農場の全殺処分の法的根拠はどこにも明記されていない。したがって口蹄疫殺処分の範囲は、家畜衛生行政当局および関係委員会の責任に帰すことになるのではないか。

8.異常家畜の発見が2農場の獣医師から届出られたが、病状決定までの措置がなぜ遅れたのか。防疫指針では、複数の異常家畜の発見の通報があったときは都道府県畜産主務課に連絡し、畜産主務課は動物衛生課に連絡しなければならない。この防疫指針に違反した県と国の責任は問われないのか。

9.異常家畜の発見の通知をしていない獣医師又は所有者は、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処することになっているが、県から厳重注意の行政指導が行われた根拠は何か。

10.飼料用わらは検査証明証添付でなければ輸入できないが、全輸入わらに飼料用と同等の規定を適用するか、全ての輸入わらの国内での利用を追跡調査するシステムが必要である。

11.口蹄疫は症状では早期発見が困難なため、都道府県に簡易PCR検査を1次検査として導入し、動衛研は口蹄疫ウイルスの塩基配列を分析するなど、防疫指針を見直すべきである。

12.入国時の検疫官の仕事を、入国後は家畜防疫員が務める規定は法的に認められるのか。野鳥は捕獲できないが入国者を捕捉しても、感染源の侵入を防止できるであろうか。

13.第5章に「病原体の所持に関する措置」が追加されたが、その詳細な条項は家伝法から分離して規定すべきである。

14.防疫指針の見直すべき点は文字数制限のため割愛する。

2011.4.2 開始 2011.4.8 更新中