7月7日マチネの観劇記です。
早いもので気づけば東京楽まであと少し。3回観て吸収してきたものを一旦リセットして武装
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敢えて読まなかったプログラム+αを読み込んでガリマールの脳内劇場に挑みました。お席によって見えてくるものが様々なんですよね~~前方席だと表情から醸し出される空気感を堪能できるのですが、一方でこの作品だと脳内劇場にまるっと取り込まれてしまうので逆に見えにくくなるものもあって……ありがたいことに今回は2度目のスペシャル観劇。アレコレたくさんたくさん“着込んで”今回は負けるもんか!(何にっ
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笑)と意気込んでいったのですが……やっぱり見事に完敗
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何層にも重なり合い連なり合う作りに唸らされ、いろんな方向から飛ばされる言葉や気持ちに心を砕かれました。特に今回は人間の生々しさ、切なさ、哀れみ、滑稽さ、、、そんなこんなを時が経つごとに押し寄せてズッシリ。。。
ガリマールがソン・リリンを男性だと気づかなかったこと……「違い」が分かるようになりますように!と揶揄われる社交界の様子を獄中から見ている時のガリマールの表情。冷静に見つめているようで時折悔しそうな表情が垣間見られるような……でも眼差しは鋭くて強い。後にマイクが「お前はいつも美人が身を投げ出してくれるのを待っていた。他の奴にそういうことが起きるといつも聖者のように微笑んでいた。どうして自分にはそういうことが起きないのか」とソンに夢中になっていくガリマールをたきつけていくのですが、その時にふと社交界の会話を聞いている時の表情を思い出して……
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聖者のような微笑み、、、強がりと客観的な目線の両方があるように感じたんですよね~~今回のガリマールは。ソンが西洋の男は自分を客観的に見ることはできないと言うのですが確かにその通りではあるんですよね。肝心なところから逃げているというか後回しにしているというか……ただ同時に境界線を自由に往来し不安定な側面を持つガリマールだからこその冷めて?冷静に??物事を見るところがあるように感じて……ガリマールの脳内劇場なので言い訳に過ぎないのかもしれないけれど。
仕事の苛々と不倫の不倫のモヤモヤからソンに迫るガリマール、、、クズ男の典型だと思いますが
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お前の裸を見せてくれと迫った時の手と背中。。。ガリマール自身はこの時に何を見ることになるのか分かっていたと思うと言っていましたが(これまた言い訳なのか弁解なのか
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)多分本当にそう思っていたんだろうなぁとある意味自然に伝わってきたんですよね。彼が“普通ではない”こと……初めてポルノ雑誌を読んだ時のことや妻ヘルガの言葉に暗示されているのですが、そうだからこそ受け入れられる部分と拒絶する部分の両方があって、彼自身の肝心なことを後回しにする臆病な性質もあっての複雑なものが伝わってきたのではないかと思われ。。。ガリマールは自分の“特性”について気づいていたんだと思います。その一方で葛藤というか認めがたいところがあったのかもしれないと……ソンが裁判で証言している姿を指さして「あの男」と言おうとして「あの……あれが世界に向かって話している」と言ったところなんて露骨というか
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2幕終盤でソンが本来の姿になってガリマールと対峙する場面。今までで一番痛々しくて切なくて哀れに感じました。「ただの男にあんなに時間を浪費してしまった」「嘘の方のお前を愛していたんだ」とムッシュ・ソンを受け入れないガリマールと、「もしかしたらあんたが欲しいのかも。もしかしたらふざけているだけかもしれないけど」「あんたは何かを超越したところに行きそうだったのに……例えば女とか」と嘘か誠かどちらにでも取れそうな態度のソン。じいはソンの本音だと受け取っているのですが、まぁこれも脳内劇場に出てくるソン像なので本当のところは??ですが。でもね、ここの2人のやり取りはすれ違いと重なり合いを繰り返しているように感じるんですよね。拒まれたソンはガリマールを自分の着ているものや化粧を愛しただけで想像力が足りないと言い、ガリマールは自分は想像力そのもので幻想と現実が区別できるようになったうえで幻想の中で生きることを選んだと言い返し自分の世界から出て行けと言う。同性を愛の対象としていることは分かっているのに許せない?それで男が生み出した女を愛することを選んだのがガリマールで、ソンに言わせればそれは上っ張りだけ見て中身を尊重していないんだけど、でも愛する気持ちそのものを否定しているわけではなくて、でも相手の本質を尊重する気持ちがなければ西洋人が創り出したマダム・バタフライの世界であり……ちょっとした縺れを解くことができたとしたら、もっと違う新しい結末があったのではないかと思うと心が重くなり……。でもね、、、ガリマールもソンも気の毒なところはあると思うのですが、その気の毒さゆえに他者を傷つけてしまっているというか……特にヘルガと離婚話をするところはホロリと
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彼女が普通の夫婦として暮らしていた中国での思い出を語って「見せかけの暮らしはとっても幸せだった」って……見せかけの理想は決して本物ではないし残酷なものでもある。それに取り込まれるか、すがりつくか、あるいは決別できるか……ガリマールのことも重ね合わせるととにかく重かったです。
1幕ラスト、ガリマールとルネが結ばれる場面。ベッドに入る前の駆け引きから毎回ドキドキヒリヒリしてしまうのよね~~内野ガリマールが艶っぽくて罪なんですけど!!!
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顎のラインとかもうぅ~~最高
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ここの2人のやり取りはオペラで歌われる「かわいがって下さいね」の男女パートの歌詞を逆転させたセリフになっているのですが、そこが何とも象徴的というか皮肉的というか……そして2幕でガリマール自身がマダム・バタフライになって自害する場面でもう1度このアリアが流れ……1幕と2幕の対比が曲によって鮮明になるというか、じい的には音楽を通すと分かりやすく伝わってくるのでありがたいというか
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オペラに対する返歌がこの作品という捉え方もできるということですが、それだけではない人間の生々しさを思ってしまう???オペラの方でも演じ手によって感じ方が違うと思うのですが、このアリアを歌った時の2人の気持ちは何物だったのか……決して許してはいけない、許したくない意識や感覚を持ち合わせながらも、その瞬間の気持ちは本物だったのではないか、本能的/生物的なものとして否定できないのではないか……エトセトラ、エトセトラbyマイク。
あと、、、2幕ラストで獄中で佇むガリマールの方を見たソンの表情、、、何か微笑んでいるように見えたんですよね。今回だけなのか元々こうだったのか……次の観劇で確かめてみることにします