鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

家紋図鐔 太刀師 Tachishi Tsuba

2021-04-05 | 鍔の歴史
家紋図鐔 太刀師


家紋図鐔 太刀師

 太刀鐔を打刀鐔に使用したのであろう、櫃穴はあとであけられたようだ。わずかに切り込んだ木瓜形に猪目を透かしている。四ツ葉様の透しも雰囲気が良い。金の色絵で菊紋と巴紋を配している。家紋を散らした鐔は古くからあるが、多くは高彫仕上げ。太刀鐔も透しは猪目程度で、文様を透かしで処理した作は比較すると少ない。

牡丹獅子図鐔 鏡師 Kagamishi bTsuba

2021-04-02 | 鍔の歴史
牡丹獅子図鐔 鏡師


牡丹獅子図鐔 鏡師

獅子と牡丹の組み合わせは、謡曲にも採られている図である。彫刻は高彫。ただし、山銅地を彫り込んで製作したものではなく、古鏡のような鋳型で製作する。これによって鏡師の呼称がある。とにかく図柄表面がくっきりとはしておらず古調であり、手擦れのようになだらかで、これが自然な景色となっている。□30

桔梗唐草図鐔 古金工 Kokinko Tsuba

2021-04-01 | 鍔の歴史
桔梗唐草図鐔 古金工


桔梗唐草図鐔 古金工

 時代の上がる金工作品の、技術的な面から作品を眺めている。赤銅魚子地にくっきりとした高彫表現。金の色絵は、金の破れているところを見ると、金の薄い板が剥がれていることが判る。そして、下地と金の薄板は接着されていないのである。どこで固着されているのかというと、図柄の端部で金の薄板を高彫の下側に押し込むようにして固着している。焼き付けによる色絵とこのような袋着せと呼ばれる2つの方法があった。金の薄板が敗れることによってようやく判る。