鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

雁金繋透図鍔 尾張 Owari Tsuba

2018-08-15 | 鍔の歴史
雁金繋透図鍔 尾張


雁金繋透図鍔 尾張

 雁金としたが、これも良く判っていない。だが、不明ながら面白いし、単純な曲線の断片の組み合わせのみでここまで構成されているのが素敵だ。八木瓜形、櫃穴部分が個性的。透かし鍔の図柄だけで楽しもうと考えているが、このように連続してみると、透かし鐔の奥の深さに改めて感激している。

雁金透図鍔

2018-08-14 | 鍔の歴史
雁金透図鍔 正阿弥


雁金透図鍔 正阿弥

 文様美、構成の妙。雁金と呼ばれる飛翔する鳥の姿を組み合わせた者。雁金は鐔の文様の要素としては頗る多い。ここでは輪違いのように円弧の組み合わせのみで美しい空間を完成させている。

左右笠透図鍔 金山 Kanayama Tsuba

2018-08-12 | 鍔の歴史
左右笠透図鍔 金山


左右笠透図鍔 金山

 これもなんだかわからない。左右の櫃穴が笠のようだから笠透としているが、実は分かっていない。金山鐔には、このような見る者の意図をはぐらかすような、分かり難い図柄がある。

軍配透図鐔 金山 Kanayama Tsuba

2018-08-10 | 鍔の歴史
軍配透図鐔 金山


軍配透図鐔 金山

 軍配を意匠したものであろうと思われる鐔。だが、大きな耳たぶのようにも見える。耳たぶであれば恵比寿様であろうか。そう考えると、櫃穴の上下に意匠しているヘの字形は、恵比寿様の頭巾に見えてくる。透し鐔って、意図せぬ方向へ思いを広げることも可能なところが魅力だ。



軍配透図鐔 金山

同じ図柄だが、正中に揺れる細い線を構成している。


井桁文透図鐔 深信 Fukanobu Tsuba

2018-08-09 | 鍔の歴史
井桁文透図鐔 深信


井桁文透図鐔 深信

 井桁に組み合わせているのは竹のようだ。天地左右のバランスを違えているところが面白い。かなり歪んでいるように感じられる。まっすぐに立っているようで、これに合わせてじっと見ていると、次第に目がクラクラとしてくる。これも、敵対する相手がじっと見つめたらバランスを崩してしまう…などということはないだろうが。

松皮菱透図鐔 尾張 Owari Tsuba

2018-08-08 | 鍔の歴史
松皮菱透図鐔 尾張


松皮菱透図鐔 尾張

 これも松皮菱を図柄の要としているが、鐔の円周方向にわずかにずらして組み合わせていることから、風車のように回転しているように見える。これも対峙する相手を惑わせる意図があるのであろうか…ないか。格好の良い意匠である。

松皮菱紋透図鍔 金山 Kanayama Tsuba 

2018-08-07 | 鍔の歴史
松皮菱紋透図鍔 金山


松皮菱紋透図鍔 金山

 優れた意匠。松皮菱はすぐわかると思う。じっと眺めていると、歪んだ松皮菱によって、遠近感が失われて鐔が球体に見えてくるのは不思議だ。剣術家が敵と対峙した際、これを相手に向けて遠近感を失わせ、切り込む一手を先んじる…などということはないだろうが、面白い図柄の鐔である。

文様透図鍔 金山 Kanayama Tsuba

2018-08-07 | 鍔の歴史
文様透図鍔 金山


文様透図鍔 金山

図柄の要素は何だか全く分からない。下のモヤモヤは雪輪だろうか、鳥のようにも見える。これも左右の櫃穴によって昆虫の顔に見えてくる。雪輪の部分が口、M字部分が触覚か前足。面白い図柄である。

時計透図鐔 Tsuba

2018-08-06 | 鍔の歴史
時計透図鐔


時計透図鐔

 放射状がこの程度の出入りであれば歯車のように見える。歯車、即ち時計。時計は、現在でもその細やかな機能性に関して神格化しているかのように、ブランド品を有難がっている方々がいる。その意識は古くから備わっていたのであろうか、歯車は、即ち最先端の技術でもあった時計を意味しているともいえる。天地左右に耳と切羽台を繋ぐ筋が入ると、方位を示すようにも見える。十二支、とすると時刻、やはり時計か。でも、左右に櫃穴があると、単純だがなんだか昆虫の顔のように見えてくる。

日足透図鍔 Tsuba

2018-08-04 | 鍔の歴史
日足透図鍔


日足透図鍔

 分からないと言えば、このような放射状、歯車状の文様も分からない。放射状の線刻は日足、即ち東の空の雲間に現れた太陽の光、仏像の背後に描かれる放射状の光の線、あるいは時計の歯車を意味しているともいわれているが、どうだろう。ここでは左右に鳥の飛翔する様子を文様化して添えている。とすれば日の出。まったく見方を変えて、ここまで鋭い針状だとウニか…そんなことないか。

釣鐘透図鍔 金山 Kanayama Tsuba

2018-08-03 | 鍔の歴史
釣鐘透図鍔 金山


釣鐘透図鍔 金山

 金山鐔に良くある図柄。この図が好まれた理由は良く判らないのだが、確かに面白い。透かし鍔の魅力は、数奇者に言わせると鉄味がどうの、鉄骨がどうのと、素材に関して述べる方が多く、それぞれ見方があるようだが、筆者は第一に透かしの造形の面白さだと思う。奇抜なものから、造形的、心象的、文様風、意味の不明なものまで様々。描いている主題が良く知られているものであれば親しみやすいのだが、話には聞くものの見たこともない道具などの図もあり、理解し説明するに一苦労することがある。もちろん意味不明であった図の意味を探り得た時にはうれしいものだ。

琴柱透図鐔 金山 Kanayama Tsuba

2018-08-02 | 鍔の歴史
琴柱透図鐔 金山


琴柱透図鐔 金山

 琴柱、蕨手、瓢箪の組み合わせ。これも文様としては単純ながら、味わい深い構成とされている作。琴柱が主たる存在感を持ち、蕨手が品位を高めている。蕨手は唐草文を構成する要素の一部。蕨の葉のむっくりと成長する要素を意匠したもの。蕨の成長の早さは生命の強さを印象付け、唐草文のように、網目状に延び行く瓜や瓢などの蔓の様子と共に生命の源として意匠化されている。

洲浜透図鐔 金山 Kanayama Tsuba

2018-08-01 | 鍔の歴史
洲浜透図鐔 金山


洲浜透図鐔 金山

 今からおよそ四百年前に、これもミッキーマウスのキャラクターシンボルを真似て製作した作。良く見ると、雁金と呼ばれる飛翔する鳥を想わせる曲線の組み合わせであることが判る。単純でいて面白いのがこの透鐔の魅力だろう。良く言われるように、複雑に突出する鉄骨が現われた鉄肌も魅力。