鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

源氏絵図小柄 Kozuka

2013-09-05 | 小柄
源氏絵図小柄


源氏絵図小柄

 源氏物語の一場面というわけではないが、江戸時代にはこの趣の小道具が間々製作され、総じて源氏絵と呼んでいる。自由な恋愛を背景に表現された『源氏物語』を利用した形だ。さらに精妙な彫口で、性交をリアルに表現した揃金具の作例もあるが、ここでは発表が憚られる。浮世絵などでは芸術として捉えられて発表の場や出版物もあるのだが、金工作品についてはまだ理解が得られなのだろうか。出版関連で興味を抱いて下さる方がいればいいのだが・・・と期待している。

浮舟図小柄 Kozuka

2013-09-04 | 小柄
浮舟図小柄


浮舟図小柄

 光源氏の次男という立場だが、実は柏木の子である薫が物語の中心となっている、『源氏物語』宇治十帖(第三部)に取材した作。人間不信でストイックに生きる薫と、自由奔放な匂宮(今上帝の第三皇子)を対比させた展開。その間で悩む桐壺院の八の宮の娘たちの存在が重要。
とある冬のこと、薫の愛を受けて宇治の山荘に住む八の宮の娘を誘い出した匂宮であった・・・。この場面を、赤銅地高彫に金銀の色絵を多用して華麗に表現した小柄。

藤の裏葉図小柄 Kozuka

2013-09-03 | 小柄
藤の裏葉図小柄


藤の裏葉図小柄

 内大臣の邸宅を彩る藤の花を楽しむのは夕霧と内大臣であろうか。内大臣の娘雲居の雁との結婚を望む夕霧であったが、内大臣は我が娘を入内させたいと願い、申込みを拒絶していたのだが、ようやくその心も解けて・・・。赤銅魚子地高彫。尠い金の色絵で夕暮れ時の静かな時間を表現している。

御幸(鷹狩)図小柄 岩間信盧 Nobuyoshi Kozuka

2013-09-02 | 小柄
御幸(鷹狩)図小柄 五十四帖其一信盧


御幸(鷹狩)図小柄 銘 五十四帖其一信盧(花押)

 江戸金工岩間信盧の、精巧な彫刻表現になる作。赤銅魚子地高彫色絵。この図だけでは何を意味しているのか、あるいは何の場面であるのか不明。銘によって『源氏物語』の一場面であることが分る。『源氏物語』の中ごろの主要人物の一人、玉鬘が登場するころ、冷泉帝の大原野への行幸がストーリーに採られている。冷泉帝もまた光源氏同様に美しく、話題の人物であった。その大原野で行われた鷹狩の場面。光源氏三十代中ごろ、政治的にも恋愛にもおいても高い位置にあったのだが、意外にも玉鬘からは避けられることになる…。

胡蝶舞図目貫 Menuki

2013-09-01 | 目貫
胡蝶舞図目貫


胡蝶舞図目貫

 迦陵頻伽の翼をまとい、胡蝶の羽をまとった子供たちが舞い躍る。愛らしくも優雅なその姿を赤銅地容彫で描き出している。もう一つは同じ場面を題にとり、胡蝶の羽を備えた子供の実を赤銅地容彫金銀色絵平象嵌の繊細な描法で描き出している。華やかであることから好まれたのであろう。