「どうなる??わたしたちの介護保険~ どうする!やがてはじまる新総合事業 ~」というテーマで寺内順子さん(大阪社会保障推進協議会事務局長)にお話をお聞きしました。
介護保険法改正に基づく第6期の介護保険事業計画にもとづき、要支援1,2のヘルパーとデイサービスの給付を廃止し、市町村事業(新総合事業)に移行します。2017(平成27)年4月までには全市町村がスタートする予定です。
新総合事業サービスは①内容や価格、利用者負担は市町村の裁量で決め、ボランティアやNPOなども担い手にしてコスト削減をはかる②要支援認定を省略しての利用も可能 ③事業費に「上限」が設定されるもの
保険料を払っていても介護保険サービスの受給権がなくなる、ということに介護保険制度の根本にかかわる大きな問題であることがわかりました。
つまり介護保険制度では、被保険者は要介護・要支援認定を受ければ「保険給付」を受けるという権利(受給権)を得ます。したがって保険者(市町村)は保険給付を提供する義務を負います。また、保険給付の対象となるサービスは法令により基準が決められ「質」が担保されます。これが「給付」の特徴です。
しかし、「事業」は保険上の「受給権」はありません。財源は介護保険から出ていても、サービスを提供するかどうかは市町村の判断になり、サービスが提供されなくとも受給権の侵害にもなりません。第7期からは要介護1,2も介護保険給付から外すことも政府は打ち出しています。
全国の自治体の中では倉敷市のように現行の訪問介護・通所介護事業所を「みなし指定」として総合事業サービスを担わせ、単価も内容も「これまでどおり」とし、基本チェックリストは認定を希望しない場合のみ実施と説明しています。島本町も現在、新総合事業の内容検討をしています。現行サービス維持・確保を
求めて行きたいと思います。
お話は「どうなる介護保険総合事業」(日下部雅喜著 800円+税)をテキストにしての内容で、とてもよくわかりましたので、ぜひお買い求めて参考にして下さい。
いつも和服姿で優しい雰囲気の寺内さん。弱い立場の人に寄り添い、権力に立ち向かう強さと頼もしさを備えた方です。
ブログ「事務局長の着物とねこねこねこな日々」から、そのことがもっとわかります。
学習会は島本町議会議員の佐藤議員、河野議員、戸田議員、外村議員、平野の共同開催でした。当日は50名もの方のご参加があり、関心の高さが伺えました。後日、継続して勉強会をしてほしい、という要望もありました。
*介護保険制度の「改正」は2014年6月成立の「地域医療・介護総合確保推進法」(地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律)によるもので、法は「医療・介護コスト」の削減を目的としています。医療(病院)から患者を追い出し、介護保険の支援を制限し、家族へ介護負担を強いて、地域任せにするものです。どんどん公的な支援を削減し、「自己責任」「自立」を基本とされる方向に具体化させる法律です。政府は、「2025年問題」と称して、団塊の世代が75歳になる時、社会保障費用、特に医療・介護費用が膨らむからといって医療・介護のコスト削減を打ち出したものです。
安部政権の成長戦略では、法人税率を引き下げ、大企業優遇、大型公共事業への大盤振る舞いしています。企業に回すお金はどんどん増やしています。タックスヘイブン問題である、超富裕層の税逃れも規制するつもりもないようです。国民の生存権の保障はないがしろにしていることは許せません。