真夏日の5月31日、午後はぴあ・ネット/100万年の会主催の「若狭湾で原発事故が起きたらどうなるの?~原子力災害対策を考える~」学習会でした。講師は長年原発問題に取り組まれ、特に自治体の原子力防災対策に詳しい末田 一秀さん(核のごみキャンペーン 関西・はんげんぱつ新聞編集委員)です。
島本町で原子力防災を考える視点として、まずは福島事故の教訓(原発は津波前に地震により壊れていた、汚染水だけでなく最大1時間当たり1000万ベクレル放射能を大気中に今でも放出、14万人が避難、20ミリシーベルト以下の帰還政策の問題、甲状腺がんの多発)を踏まえたうえで、電力会社は原発の再稼動申請をしているので、福島事故級は今後も想定すべきとのことでした。
「福島事故後見直された原子力災害対策指針では到底住民を守れるものとはなっておらず(原発立地都道府県において震度6以上の地震がおきても、即時避難はせず、電源喪失等の緊急事態でベント(放射能大気への放出)をする状況でも5キロ圏内は避難準備。概ね5キロ圏内(PAZ)の住民がすべて避難し終わってから30キロ圏内(UPZ)住民の避難を実施することとなっている。避難の開始基準も平常時の1万倍の放射線レベルにならないと避難措置がだされない)、島本町のように明らかに影響のある30キロ圏以遠についての措置もなく、指針においては放射性プルームの影響を考慮したPPAの導入についても検討課題のままである。」ということです。
若狭湾から63キロである島本町も、若狭湾の原発で事故が起きれば、影響を受けることは滋賀県・兵庫県のシミュレーション予測からもわかります。大阪府原子力防災計画では原発事故災害時に滋賀県のUPZと定める高島市・長浜市の住民の広域避難を受け入れることになっており島本町は高島市より185名の方を受け入れる予定です。事前にぴあ・ネット/100万年の会では島本町に対し、地域防災計画における原子力災害対策、広域避難について、核燃料輸送事故対策についてなど質問しており、回答書がでています。
町だけの問題ではないのですが、原子力災害対策としては十分なものではありません。末田さんも最後にまとめられた「災害源除去 すなわち 原発再稼動の阻止 脱原発の達成」こそが「真の防災対策」という言葉に心から納得。福井地裁の大飯裁判判決では「原発より250キロ圏内の住民は原発の運転で人格権を侵害される具体的危険がある」と認めました。原発から250キロ圏内とすれば日本中がすべてその範囲なるのですから、力を合わせて「真の防災対策」を実現させましょう。
学習会に参加されたみなさん、お忙しい中で島本町まで来ていただいた末田さんには感謝いたします。なお末田一秀さんのホームページ
「環境と原子力の話」もとても参考になりますのでご覧下さい。