ひらのかおるタウン通信

ひらのかおるの日々の暮らしや市民活動の中で、みなさんにお伝えしたい情報や雑感などを綴っています。

地域資源を使った梼原町役場庁舎

2011-08-21 | Weblog
町役場のある総合庁舎は地元産の木材でつくられています。隈研吾さんが設計された斬新なデザインです。天井まである玄関ドアはいつも開けていると職員さんがおっしゃっていました。

4階建ての鉄筋庁舎を建て替える時、住民目線と同じにしたいと2階建てにこだわったとのことです。議場は地震の際に避難所に使えるように机を並べただけにされています。床には地熱を利用した空調設備の送風口がありました。各課のプレートも木製で趣があります。

向かいにある多目的施設も内部は木造で、木質ペレットストーブがどっしりと据えてありました。

写真:役場庁舎

農家民宿

2011-08-21 | Weblog
宿泊した農家民宿「かみこや」はアウテンボーガルト・ロギール&千賀子さんが運営されています。 

当日は姉妹都市の西宮市子どもたちが来て、ロギールさんに指導してもらい紙漉きをしていました。素敵なマイ和紙ができるのがいいですよ。福島の子どもたちも梼原町の施設で夏の間受け入れると中越さんはおっしゃていました。こんな遠い自治体がやろうとしているのに、島本町では被災地の住民の受入れができていないことに、恥ずかしくなりました。

私たちが宿泊したのはかみこやさんが研修に使っている古民家。懐かしい土間や五右衛門風呂があるところでした。ごろごろと畳の部屋で寝転んで、オカリナの音色に聞き入って過ごし、民宿のほうで旅行中のオランダ人の家族と一緒においしい夕食をいただきました。「食事はすべて地元で採れたものでつくりました」と千賀子さん。

深い山間の里にヒグラシの鳴声が途絶えると、闇の中にたくさんの星座が見えはじめ、ひんやりとした夏の夜に生気をふきかえした気分でした。

写真:紙漉き風景

「国家の実力は地方に存する」

2011-08-21 | Weblog
梼原町の新しい総合計画を策定するにあたり、コンサルまかせでなく、町をどうするかは町民自身が考えるべきだと、策定委員の公募を行い、応募した町民全員15名(18歳から74歳まで)で環境や福祉、教育など町づくりの方向を検討してもらったとのこと。

宿泊した「かみこや」のオランダ人のロギールさん(手漉き和紙工芸家)も委員のお一人だったそうです。15名をドイツ・スイスへ派遣して町民への報告と町への提案をしていただくという斬新なこともされています。

「住民が地域の良さを気づき、それを生かすことから出発する。そして、将来を見通して、今何をやるべきかを常に考える。風車の設置の是非についても町民アンケートをとり95%が賛成という結果を得て実行した。
236.51km²の町を年に3回、山間をすみずみまで軽トラで回り、町民の要望や意見や困っていることなどを直接聞いて、予算にも反映させてきた」とおっしゃっていました。住民を信頼されている姿勢が伝わってきます。

財政も県内トップの健全財政で、税収3億円にもかかわらず60億の予算規模であることには驚きました。町民の健康は一番重要、と町営の病院があり7人の医師が勤務しておられ、かならずかかりつけ医師を持つことで経営も安定しているとのこと、です。町政運営として学ぶべきことはたくさんありました。

中越前町長の名刺には「百姓、土方、山防人」、風車の写真に「国家の実力は地方に存する」と記されていました。国は地方切り捨て策を進めてきましたが、命の源泉である森や川や農地を守る自治体の誇りと強さを感じました。

写真:中越前梼原町長 

自然エネルギー100%自給をめざす檮原町

2011-08-21 | Weblog
8月12日~16日まで福岡の実家で過ごしました(実は女優の黒木 瞳さんと同郷)。一人暮らしの82歳の母も思ったより元気で安心しました。兄夫妻のサポートがあってこそ、と感謝しています。

この夏は、東北の被災地のことも気になりながらも、悲劇を招く原発に依存しないためにも自然エネルギーを活用する自治体、長野県飯田市に続き、高知市梼原町も訪れました。8月17日の報道ステーションでも紹介されていたそうです。

朝日新聞6月11日付「be on Saturday フロントランナー」に『自然エネルギーで、町づくり』として前高知県梼原町長 中越武義さんの記事が載っていて、WE LOVEしまもとのメンバー(高知市に2年間住み、すっかり高知ファンになったと言う方)がすぐに梼原町のお知り合いを通じて、前中越町長との面談を企画し、実現できたものです。

島本から4名、案内をしていただいたKさんと檮原町の農家民宿「かみこや」で泊まり(この体験もおもしろかった!)、31日に軽トラで駆けつけてくださった中越さんのお話をお聞きし、四国カルスト台地で回る風車も見学することができました。

梼原町は四国カルストに抱かれた、四万十川上流の山間部の約3,900人の町、雲の上の町・環境モデル都市として、森、水、風、光などの自然エネルギーを活かした取り組みによって、生き物にやさしい低炭素なまちづくりを進めています。2050年には温室効果ガス排出量70%削減、地域資源利用によるエネルギー自給率100%超を目指しています。

2009年まで12年間町長として、風力、水力、太陽光、地熱、小水力、バイオマスと自然エネルギーを次々と採用する環境施策を推進され、再生可能の新エネルギー助成も充実しています。住宅太陽光発電施設 20万円/kw 上限4kw 80万円、木質ペレットストーブ本体購入価格1/4(上限12万5千円) など、他にも小規模水力・風力発電にも助成があります。


標高1,300mにある2基の風車は1999年設置。売電で年間約4,000万円の収益を得ているとのこと。設置に当たり多額の支出が必要なので、住民に丁寧に説明して同意を得ておられます。役場、学校など町立施設すべてに太陽光発電をつけ地熱利用の温水プールも造られています。

中越前町長はこれだけの環境施策をトップダウンでなく、住民を巻き込んですすめられたことが大いに学ぶべきことでした。〔続く〕