totoroの小道

「挑戦することで、きっといいことがある」  http://www.geocities.jp/totoroguide/ 

じい~っと教材を見ている姿

2009-05-16 10:03:30 | 社会

5年生の社会。

まず、授業が始まると、

このような、都道府県名のミニテストを行います。これでおよそ6分程度かかります。解答3分、答え合わせ3分。

その後、黒板に貼りだした、教材を全員で声を出して読みます。
中央に、この日あつかいたい教科書を拡大して張り出します。
その横に、この教科書を補充する資料(これも教科書を拡大)を張り出してあります。

新指導要領でも出ていますが、特に「社会科」は国語の力が必要です。これだけの文を読んで大事な事柄をみつけだし、それを関連づけて、課題を解決しなければならないからです。

国語の時間だって、これだけの分量からまとめまで持っていくのには45分は多い時間ではありません。


そこで、この中から大事な言葉を見つけさせます。5つ見つけ、声に出させます。早く見つけた子には、黒板に出てきてそれをマジックで囲んでもらいます。
すると、それまでさらっと読み過ごしてきた言葉が、浮き上がって見えてきます。どの子にも。


次に、その中でも一番大事な言葉を探していきます。黒板の教材をよく見ると、オレンジのマジックで3段に区切ってあるのが見えると思います。まずは、そのどこに「大事な言葉」が入っているかを考えさせます。
さらに、多数決によって選ばれた区切りの中から一番大事な言葉をみんなで選んでいきます。
この日は「地域の協力」が、大事な言葉だということになりました。


そこで、めあてを「地域全体の協力を調べよう」と作ります。黒板の写真には、ほんの少しだけその目当てが見えます。そして、個人個人で調べる前に、資料について話し合い、資料のおよその意味を把握します。
この日は、30Km~40Kmにもなる、長い用水路が張り巡らされ、その周りに田が広がっていることが分かりました。

ここから、個人個人で「地域全体で協力すると、なぜよい米ができるのか」を調べていきます。


もう一度、今度は自分で黒板の教材をじっと眺めます。
「まず、どの言葉を選んだらよいのか」
「その言葉は、どの事柄の要因になっているのか。」
「その結果は、どこにあるのか。」
ともかく、じっと考えます。
この、じい~と教材を見ている姿が、とても素敵です。


この子は、
(起)。まず「最上川」という「大きな川」へ「排水路」をつくる「工事」が行われたこと。
(承)それに伴って「水田を作りかえ」が行われたこと。
(転)その結果「水の調節」が可能になったことが分かりました。
(結)しかし、その作業は50年も試行錯誤されながら続けられた「大変」な仕事であり、「地域全体の協力」がなければできなかったのだと考えました。

このように、このノートを見ると、この子が「起承転結」の論理的な思考をし、ノートにそれをまとめていることが一目で分かります。


こうした作業を通して、ノートに書きながら自分の考えと向き合う作業をしていきます。それは、5年生にとっては知的な楽しさとなり、次第にのめり込みます。30分の間、ずっともくもくと集中してノートに向き合います。


自分の考えが行き詰まると、そっと席を離れ、友達はどのような思考をしているのかを見に行きます。
「ちょっと見せてね。」
「どうぞ。」
......
「そうかあ、昨日勉強した事と、今日勉強してることがつながってるんだ....
 田んぼの地下の、給水パイプや、配水管のこともかけるんだ、なるほど....。」
とつぶやいて、静かに席に戻っていきます。


友達のノートから参考になった事柄や、友達のノートをみて思い付いた自分の考えを、すかさずノートに書き加えていきます。



一人で学ぶことに不安な子は、近くの友達と相談しながら進めます。
「この言葉って大事だよね。」
「そうだね。水の調節をするのに、こんなに遠くまでつながっているから、連絡しないとね。」
...
「私は、そのことを挿絵で描こうと思うんだけど。」
「うん、いいと思う。私も挿絵をまねさせてもらってもいい?」
「うん、一緒に描こう!!」


自分のノートができあがった子は、友達のノートを見て会話します。
「私は、この言葉は、こっちとつながると思うんだけど....。」
「それもあるよね。でも、私は、ただ連絡を取り合うと混乱するから、代表の人がいて、その人が連絡を取り合ってると思うの。だからこうしたんだ...」


「そろそろ、まとめの時間だけど、まとめ書けた?」
「うん、ぼくは、昔から工事の助け合いと、今の水の管理の助け合いの両方の助け合いがあったことをまとめてみたんだけど....読んでみてくれる。」
「そうかあ...ぼくもそうやって書こうかなあ...」


「ここが分かんないんだ。教えてくれない?」
「うん、私も自信がある訳じゃないけど、用水路ってこの部分だけ作ってもだめだと思うの。こっちの人と、こっちの地区の人とが話し合わないと.....」
「そうかあ、分かった。ありがとう。」


「ねえ、まとめだけどさあ、こっち向きになって一緒に書いてもいい?」
「うん、どうぞ。」
「あのさあ、地域の協力って50年も続くってすごいよね。」
「うん、それは、一番最初に書くの?」
「そうだなあ...その次に、だからこんなに長い用水路ができたって書いたらいいんじゃないの?」
.....

こんなふうに授業が進んでいきます。

本当は、もっと全員で話し合う時間をとりたいのですが、これだけのノートを作った上に話し合う時間を確保することは無理があります。かといって、切らずに調べるとおそらくとても荒い調べ方になっていくと思います。だから、普段は調べる時間がメイン。単元の最後に、徹底的に議論だけする、まとめの時間を1時間とるのはどうだろう....

 

以下、この前の時間の子ども達の、1時間のノートです。
めあては「おいしい米をつくるために大切なことは何か」です。





私は、まとめに入れる言葉を教えた訳ではありませんが、調べていくうちに、どの子も
「おいしいお米を作るためには、こまめでタイムリーな水の管理が必要なこと」を学び取っていることが分かりました。

子どもは賢いので、教え込まなくても、学ばせてあげれば仕掛けさえあれば自分たちで気付き学び取っていくように思います。

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1 コメント

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教育技術とは・・・ (Mrヒデ)
2009-05-17 09:55:15
 教育技術は、一般的には教師の発問、指示、助言、板書、資料の活用、教師の話術などが言われています。しかし、それだけでは、子どもたちが互いに関わりをもって学ぶこと、具体的に教材にくい込んで学ぶことはできません。だからこれらの技術にプラスして、教材を分ける(切る)、つなげて考える、どちらかを選択する、根拠をさがす、子どもと子どもをつなげる、子どもと教材をつなげるなどの技術が必要になると思いますね。
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