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totoroの小道

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ちいちゃんのかげおくりについて3

2014-08-14 23:56:37 | 3年 国語

2回目の影送りは本当にあったのか?

もしかしたら、影送りを家族で行ったのは最初の1回だけで、
2回目は、それを思い出しているだけではないのか?

どこかにその証拠はないのだろうか?
2つの影送りを比べてみたい。

一度目は、お父さんはつぶやいた。
家族に行ったわけではなく、ふと口をついて出てきた言葉だった。
2度目は、青い空から降ってきた。
なぜ、「降る」なのだろう?
「聞こえた」とか、「伝わった」とか「耳に届く」とか「耳に入る」とか...

ふるを調べると四つの意味が載っていた。
①空から雨や雪などが落ちてくる。また、上方から細かいものが落ちてくる。
②霜がおりる。
③日光や月光がそそぐ。
④思いがけないことが身に及ぶ。
どれだろう?

④は、身に降りかかるとか、幸運が降ってくるとか実際には何も落ちてこないから違うと思う。
では、お父さんの声は「雨や雪」「霜」「日の光」のどのイメージなのだろう?

 

さて、1度目の影送りではお父さんとお母さんの声の間に、お兄ちゃんとちいちゃんの言葉が入る。
しかし、2度目にはない、
なぜ、2度目にはないのだろうか?
それはちいちゃんが、もう影送りをよく知っているからだ。
だとしたら、2回目は、1回目のリフレインではないことになる。
家族全員で過ごした最後の日を懐かしんで思い出しているだったら、全て同じように思い出すのではないだろうか?

ということは、ちいちゃんは急に昔を思い出したのではなく
急に、影送りをしたいと切望したから、そんな声が聞こえたような気がしたのかも知れない。
それは、そうかもしれないし、そうでないかも知れない。

ちいちゃんに影送りをさせる必要があったのは「あまんきみこ」さんであって
そのために、空から声をふらせたのだと思う。

ここで、一つ問題ができる。
ちいちゃんはまだ小さい。
話すことも、主体的に話すというよりも、お兄ちゃんのことばを繰り返したり
よく考えずに、願いを即答したりしている。
そんなちいちゃんにとって、影送りはおとうさんとの「記念写真」という意識はあったのだろうか?
「記念」というより、遊ぶ対象だったように思う。
ちいちゃんは、影送りの中に「家族の絆」を感じてはいない。

それなのに、なぜ、最後にもう一度影送りをするのだろう。

ちいちゃんが、主体的に影送りをする理由がないから
あまんさんは、空から声を降らせたのかもしれない。

続いて、影送りの部分を比べてみる。

まず、「みんな(四人)は影ぼうしに目を落としました。」が「たった一つの影法師を見つめながら」に変わっている。
それから、最初に言い出すのは、お父さんからちいちゃんに変わっている。
お母さんとお兄ちゃんの声には、形容詞する言葉が加わっている。
そして、2回目は「重なって聞こえ出す」が3度繰り返されている。
最後に、1度目の影はすうっと上がったが、2度目の影はもともと空にあったようなニュアンスが感じられる。

最初の影送りのお母さんの声は「高くなかったのだろうか?」
いや、同じ声の調子だ。
最初のおにいちゃんは、笑いそうな声ではなかったのだろうか?
いや、笑いそうな楽しい声だったと思う。
一度目より、2度目の方が、ちいちゃんがみんなの声をしっかり聞いているのだ。
一度目は、影送り自体が楽しかったのだが、
2度目は、みんなの声が嬉しかったのだと思う。

重なるという言葉が3度繰り返されているのも、ちいちゃんが声をよく聞いているからだ。
重なるには、スキンシップのような感じが込められているように感じる。
重なる=すでに在る物の上に、他の物が覆いかぶさるように位置する。

聞こえ出すので、最初は聞こえていないけれど、だんだんはっきりするのだ。
ひとりぼっちのちいちゃんにとって、家族全員の声が重なるのは、あの「記念写真の影送り」以来になる。

 

影がそらにくっきりあるのは、
声は重なったけれど、まだ家族と溝があることをあらわしている。
影があるということは、その影の元になる人間がいるということだ。
1の場面の影送りは、みな地上にいるから影が地上にでき、それが空に移動する。
しかし、2度目の影送りは、ちいちゃんひとりしかいないから影は一つだ。
その一つの影が空に上がったのではなく、もともと空に影があったのだ。
だから、四人の影が写るのだ。

すると、
「おとうちゃん」「おかあちゃん」は、楽しそうに読むことはない。
会いたい気持ちで読むのがいい。

たった一人になった。
しかし、家族の声が聞こえた。
その声は次第にちいちゃんの声に重なってきた、
しかし、未だ家族との間には、距離がある。
いや、余計会いたい気持ちが強くなる、そんな場面だと思う。

 

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