とりがら時事放談『コラム新喜劇』

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電子辞書の謎

2006年08月17日 19時37分37秒 | IT
電子辞書を買おうかどうしようか悩んでいる。

かつて大学を卒業し、社会人になったばかりの頃(20年ほど前)私は電子辞書愛用者であった。
持っていた電子辞書はシャープの電子手帳に挿入して使用する国語辞典と英語辞典のICカードだった。
重い辞書を鞄に入れて持ち運びする必要がなく、キーをちょいちょいと叩くだけで、目的の言葉が表示される電子辞書は16ビットコンピュータが最新のIT世界であった時代にはとてつもなく便利な物に思えたのであった。

ところが数年後、英会話を習うようになって、まず英語の辞書が使い物にならないことが分った。
色々な単語を検索することは出来るが、それは観光旅行や中学生英語のレベルまでで、Japan timesやTIME誌や、その他様々な英語メディアを読解するにはほとんど役に立たないことがわかったからであった。

尤も、最新のハードディスクでも記憶容量が100メガバイト(ギガではない)の時代のこと。収録されている単語数に限りがあったことを今更否定することはできない。

つづいて国語辞典に問題点が発覚した。
言葉の意味や漢字の読み、JISコードを調べるのには便利なのであるが、類語検索や逆引き検索ができないのだ。
これでは文章を読むには使えるが書くのに使用することは困難だ。

ということで、いつのまにか電子辞書を使うことはなくなり昔ながらの重たい辞書をペラペラ捲る時代に逆戻りしてしまったのであった。

先日、新しいエアコンを購入し家電量販店のお買い物ポイントがかなり貯まったので「なにか買おうかな」ということになり、色々考えた結果、「最新の電子辞書を買ってみようかな」という結論に達した。
英会話スクールのクラスメートたちも電子辞書は必携のようだし、今どき重たい辞書を持ってウロウロというのは時代遅れかもしれない。
第一、英会話スクールのクラスメートたちが持っているということは、英語学習に十分堪える性能を、現在の電子辞書は有しているという証明ではないか。

ということで、さっそく量販店を訪問し電子辞書コーナーに足を運んだ。
その結果、現在の電子辞書は凄いことがわかった。
英語辞典にしても和英、英和、英英は当たり前。
しかも収録されているデータがオックスフォード辞典であったりロングマン辞典であったりするので本格的だ。
私の大好きな旺文社のComprehensive英和辞典はデータ化されていないのか、収録されていないのは残念であった。

国語辞典も凄い。
岩波の広辞苑、逆引き広辞苑は当たり前。類語辞典やシソーラス内蔵のものまである。
これがだいたい収録辞典数によって5万円くらいから2万円くらいまでで購入できるのだから素晴らしい。

さすがIT時代だと思った。

ところが電子辞書主要4社のカタログを見ていて妙なことに気がついた。
実用を旨とするはずの電子辞書に、不要なコンテンツが多数収録されているのに反して、必要とするであろうコンテンツが収録されていないのだ。

その代表が旅行用会話辞典。
英語、中国語、韓国語は分らないではないが、ドイツ語やイタリア語、フランス語が収録されている一方、タイ語、ベトナム語、インドネシア語、ポリネシア語などが収録されていないのだ。
旅行用辞典なので学習に利用するのは難しいはず。
それはかつて私が所持していた電子手帳の英語ICカードで経験済み。
そこで海外渡航先別邦人数を調べてみると、電子辞書への収録外国語の採用理由になんら脈略のないことが判明した。

日本人の渡航先ナンバーワンはダントツで米国合衆国。
仕事観光勉学で訪問する人が多いのだろう。だから英語収録は当たり前。
次が中国で、3位が韓国。
ここまではすべてお隣国家だから当然といったところか。
で、4位が年間渡航者120万人で私の良く行くタイ王国。
5位が沖縄県の隣の台湾で110万人。
以下、シンガポール、インドネシアとアジアが続く。

しかし、電子辞書にはこれらアジアの言語が中韓2国語以外に収録されていない。
ドイツ、フランスは渡航者数も多いが、スペイン語圏なんかは南米を合わせてもタイ訪問者の3分の1以下。
いったい何を基準に選んでいるのか謎である。
タイやインドネシア、マレーシアといえば、電子辞書を作っているメーカーも工場や営業拠点を構えている地域じゃないか。

どうやら電子辞書は未だにアジアは別の時代遅れな欧州至上主義なのか。
つまり、部分的には実用に供さない代物らしいことは確かなようだ。