とりがら時事放談『コラム新喜劇』

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ミャンマー大冒険(82)

2006年08月13日 17時38分11秒 | 旅(海外・国内)
カメラを持って船首側のデッキへ行くと大勢の観光客がカメラを構えて美しい朝のエヤワディ川の姿を写していた。

「ほらほら」

と指を指した方向には朝日を正面から浴びたインワ川鉄橋が銀色に輝き、時たまその橋を自動車の渡る姿が望まれる。
昨日、ザガインヒルから眺めた鉄橋とは随分と趣が違う。
1930年代に作られた橋だけに鉄骨は頑丈そうだし、70年にもわたり現役で使われてきただけに威風堂々とさえしている。
これは船の旅でなければ味わえない光景だ。

「あれが新しい橋ですよ」

とTさんに説明されるまでもなく、インワ鉄橋の上流100メートルほどのところに、新しい橋が建設中だ。

「中国からの援助ですね」

そんなことは言わんでよろしい。
中国が自身の影響力を強めるため、あちらこちらに公共工事を提供しているのだ。
しかしながら、その公共工事の金はどこから来ているのかというと、日本が「国家発展のために貸しましょう」といって中国に出資しているODAに他ならない。
Tさんは、そういった裏事情を十分承知の上で、そういう話をするのだ。
その証拠に私の顔を覗き込んで、
「ほらほら、また日本のお金が勝手に使われていると思っているでしょ」
とからかった。

外務省は貸したお金の使い道ぐらいしっかりと管理監督していただきたいものだ。
日本財団の曾野綾子前会長は「ちゃんと正しく使っているかどうかチェックするのは当たり前でしょう」と当然のごとく著作の中でおっしゃった。
きっと外務省にはちゃんとチェックされたら困る理由でもあるのだろう。

昨日は気づかなかったが、ザガインヒルから東へと続く低い峰の斜面には無数のパゴダが並んでいる。

「あれは瞑想センターです」
「瞑想?」
「そうです。あのパゴダ一つ一つが瞑想する場所なんです」

なるほど、と思った。
一昨日の列車の中からも多くのお寺の灯を目にしたが、ここらあたりも聖地なのだ。
次回マンダレーを訪れる時は観光だけではなく一日だけでも瞑想センターを訪問し、精神浄化に努めてみてもいいかも分らない。

「あそこは私のような外国人でもOKなんですか?」
「大丈夫なところもありますよ」

朝の爽やかな空気にほだされて「瞑想してみよう」と、日本では考えたこともない、まったく似合わぬことを思い描いていた私であった。

つづく

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