初めて買った携帯電話は関西デジタルフォン。
近所のダイエーの電気製品売り場で10000円で売っていたのを購入契約した。
通話エリアがDoCoMoやセルラーより少なかったが、それでも携帯電話の電話機が小型で持ちやすそうだったから、関西デジタルフォンに決めたのだ。
それから歳月は流れ、私は一度も携帯電話の会社を変えなかった。
変ったのはむしろ先方のほうで、関西デジタルフォンはJフォンになり、やがて英国資本のボーダフォンとなった。
そして昨年、カリスマ経営者孫正義率いるソフトバンクに買い取られソフトバンクモバイルにまたまた変った。
携帯電話の機種交換ごとに会社名が変わった電話もめずらしい。
まさに、バブル崩壊後の会社身売りの象徴のような存在だ。
先週末、そのソフトバンクモバイルを解約してauへ契約を変えた。
正直、ソフトバンクモバイルの携帯電話は私には便利なものだった。
2年前に交換した3G携帯電話は、ちょくちょく国外逃亡を企てる私には、ミャンマー以外はどこへ行っても通話のできるオールマイティーな携帯電話だった。
最近、この携帯電話の電池が寿命を迎えはじめた。また昨年秋に転勤した先がソフトバンクの電波の届きにくいところだった。
で、機種変更をして通話環境を変えるか、それとも電池の交換で今の電話機を使い続けるか、ソフトバンクのショップへ出かけて相談してみることにしたのだった。
訪問したのは大阪府下堺市内の地下鉄と私鉄が乗り入れている駅近くのソフトバンクショップ。
土曜の昼前なのに店の中は随分と混雑していた。
入り口にある順番ボードに名前を書き込んで待つこと15分。
私に順番が廻ってきた。
対応したのは30代半ばの男の店員。
「どうしましたか?」
「機種交換したらいくらかかるか訊きたくて」
「どの機種をお望みで」
「それを訊きに来たんですよ。私の場合、いくらかかるかも知りたいんで」
「.......うちでは、この機種なら7万いくら。これを分割で買ってもらうことになります」
「分割?分割ってローンのこと?」
「そうです」
「普通のないの?」
「うちではローンを組んでもらってこの金額を毎月お払いいただくことになるんですけど」
なんだこのシステムは、と思った。
私は機種交換の相談をしているんであって、購入の相談をしているのではない。
だいたいローンなんて住宅ローン以外、絶対しない主義だ。
金利を払うことほど、世の中馬鹿馬鹿しいことはない。
「ローンしかないんですか?」
「ないです。うちの店はこの値段なんですよ」
うちの店はこの値段なら、よそでは違うのか。
大きな疑問だった。
「どのくらいの期間、払うんですか」
「最低二年はご使用頂きます。プランも変ります。途中解約は5万円ほど負担していただくことになりますけど」
「今のままで使えないんですか。」
「そうなります」
なんだかタチの悪い借金取りみたいな雰囲気の店員だ。
「じゃ、電池はいくらですか?この機種なんですけど。ローン組みたくないし」
「うちはバッテリーだけは置いてません(キッパリ)」
「置いてない?」
「はい。ネットでご自身で勝手に買って下さい」
勝手に買って下さいとはなんかの駄洒落なのか。
私は店員のつっけんどんな物言いと、サービス体勢の激変に怒り心頭。
結局、毎月いくらかかるのかのちゃんとした説明もなかった。
もう結構ですとばかりに店を出た。
自宅へ戻り、ネットで調べてみたが、ソフトバンクの価格設定がよくわからない。
使わなくても充電後二三日で電気の無くなる電池は困ったもんだ。
何とかしなくてはと思っているところに、数日後、ソフトバンクからのDMが届いた。
「シャープの携帯をお求めいただいたら、今なら5000円キャッシュバック」
というキャンペーン案内のDMだ。
読んでもよく分らないので、「詳しくはこちらへ」と示されていたインターネットのアドレスを開いてみると、ただのソフトバンクモバイルのトップページ。
あれこれ開いてみたがキャンペーン絡みのページはない。
「なんじゃ、これ?」
ソフトバンクになってから、あれやこれやトラブルの話を新聞やテレビで聞いていたが、会社が変っただけでこんなに酷いとは思わなかった。
結局ソフトバンクを続ける気持ちはすっかり失せて、10年以上使い続けた系譜の電話会社からおさらばし、私の使い方では一番安くつくauにくら替えした。
残念なのは番号ポータビリティーを申し込む時に対応してくれたソフトバンクモバイルの担当女性。
こちらが恐縮するぐらい丁寧な応対で、auに乗り換えるのを辞めようかと一瞬考えたぐらい親身な対応をしてくれた。
こういう人を、責任者にしてはどうかと思うくらい今どき珍しいちゃんとした人だった。
「長年、当社をご利用頂きましてありがとうございました」
最後の言葉が、ちょっと忘れられない。
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