とりがら時事放談『コラム新喜劇』

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マイクロソフトとラーメン屋

2006年10月30日 21時50分09秒 | IT
「サヨナラ、MacOS」
と雑誌の表紙を飾ったのも今は昔。

ここのところウィンドウズの最新バージョン「ビスタ」の記事が一般新聞や雑誌などでも報道されるようになった。
なんでも来年早々に発売になるウィンドウズ・ビスタには4種類の商品があり、それぞれ松竹梅・法人用と別れているという。

MaxOSを駆逐すると謂われたウィンドウズ95発売の時は、そんな面倒なグレード違いはなかったように記憶する。

ウィンドウズPCにあまり詳しくないので多くは語らない。
語らないが、このグレード違いと、それに伴う価格の違いは一般消費者、とりわけPCの知識の乏しい私たち一般市民には分かりにくくて仕方がない。
どうして仕様を一本化できなかったのか、また一本化しなかったのか。
そのあたりが詳しく解説されている専門書ではない新聞や雑誌は未だに見かけない。
消費者を大切に思うのならマイクロソフト自らが金を出し、グレード違いがどう違うのか。きっちり広告してみてはいかがだろう。

ところで、今から二十数年前。私が高校生であった頃。
大阪なんばの地下街「虹のまち」にXというラーメン店があった。
「なんばウォーク」という名前に変わっても、このラーメン屋は営業を続けているので、かなり人気の店であることは間違いない。

私がこの店を知った高校生の時、ここは「味噌ラーメン」一種類だけで勝負する店だった。
札幌ラーメン風の味噌ラーメンは麺が引き締まり、スープが美味く、私は即ここのファンになった。
ミナミの映画館で映画を見た後や見る前にちょくちょく寄って、ここのラーメンに舌鼓を打った。

ところがある日、この店に味噌ラーメン以外のメニューが登場。
唐揚げ定食や餃子定食などの定食物もやりはじめた。
ラーメンの味も味噌だけではなくなり醤油味なんかも登場したように記憶する。

この多品種メニューに変わった途端、味が落ちた。
売り上げ増加の欲を出したのかどうかはわからない。
分らないが価格も上がり、エネルギーが漲るものの小遣いに限りのある高校生がオヤツ代わりに食べるラーメンとは言えなくなった。
多数のメニューが品質を低下させ、顧客サービスも低下した。

で、マイクロソフト。
OS以外にビジネスソフトやゲームソフトを発売したが、鳴り物入りでデビューしたX-BOXは任天堂やソニーの足元にも及ぶことはできないし、サヨナラしているはずのMacOSもiPodの大ヒットやUnix路線の新型OSで未だ元気だ。

意外とコンピュータビジネスもその実、ラーメン屋とあまり変わらないのかもわからない。


--------お知らせ--------

11月1日から一週間ほど旅にでます。そこで当ブログも旅先でインターネットカフェなどが見つからない限りお休みです。
その間は、バックナンバーでお楽しみ下さい。(笑)

デジタル一眼、欲しいけど

2006年09月13日 21時58分59秒 | IT
デジタルカメラを使いはじめてから約5年。
フィルム代がかからないという、低コスト&取り放題が気に入って、すっかりフィルムカメラを使わなくなってしまった。

かつて「デジタルカメラなんて......。」
と言ってた時代がウソのようで、一度使いはじめると癖になる。

実のところフィルムカメラは長年ミノルタの一眼レフを使用してきた。
学生時代に購入したX-700と言う機種と十数年前に購入したα9という機種が我が愛機で、旅行や仕事、これぞという勝負のときには必ずこの機種のどちらかを持ち歩いた。

とりわけ後で買ったα9はミノルタカメラの最高級機種で、使いこなすにはなかなか腕が要ったが、プロが使う機種だけに面白い写真をたくさん写すことができたのだ。

ところで長らく「デジタルカメラなんて」と軽蔑していた理由の一つが、一眼レフのデジタルカメラがなかったこと。
イメージした写真を写すことの出来る一眼レフカメラがデジタルという分野に見あたらなかったので軽蔑していたのだった。
ところがここ最近、私のような安月給のオッサンにも購入できそうなデジタル一眼が登場した。(安月給のくせにα9を持っていることは深く追求しないように)
初め、キャノンとニコンの独占市場だったところにソニーが殴り込みをかけ、松下、ペンタックス、オリンパスが追っているというような状況だ。

「デジタル一眼、今が旬です」

なんてカメラ量販店の店員は盛んに言うし、テレビのCMも数多く繰り返し流れるので、欲しくなって仕方がなかった。

で、いくらぐらいで、どんなもの?
と調査に出かけると、デジタル一眼に共通する「欠点」を発見した。
それはなんとも「安っぽい」こと。

ボディ価格が10万円するものでも、シャッタボタンが華奢なら、モード切り替えスイッチも安っぽい。本体自体も金属感や皮革の魅力がまったくなく、プラスチックそのままだ。
持って構えても、カメラマン魂がときめかない。
フィルムカメラ時代のような重厚さが見当たらないのだ。

なんでこんなに違和感が強いのだろうと思って原産国を見てみると、メーカーはすべて日本の会社なのに、ほとんどの機種が外国製。
それもドイツやスイス、フランスじゃなくてアジア製。

安っぽさは、電気製品でちょくちょく感じる安物家電と共通のものであることがよく分った。
現在のデジタル一眼ブームの正体は、意外に薄っぺらなのが真実なのかもわからない。

電子辞書の謎

2006年08月17日 19時37分37秒 | IT
電子辞書を買おうかどうしようか悩んでいる。

かつて大学を卒業し、社会人になったばかりの頃(20年ほど前)私は電子辞書愛用者であった。
持っていた電子辞書はシャープの電子手帳に挿入して使用する国語辞典と英語辞典のICカードだった。
重い辞書を鞄に入れて持ち運びする必要がなく、キーをちょいちょいと叩くだけで、目的の言葉が表示される電子辞書は16ビットコンピュータが最新のIT世界であった時代にはとてつもなく便利な物に思えたのであった。

ところが数年後、英会話を習うようになって、まず英語の辞書が使い物にならないことが分った。
色々な単語を検索することは出来るが、それは観光旅行や中学生英語のレベルまでで、Japan timesやTIME誌や、その他様々な英語メディアを読解するにはほとんど役に立たないことがわかったからであった。

尤も、最新のハードディスクでも記憶容量が100メガバイト(ギガではない)の時代のこと。収録されている単語数に限りがあったことを今更否定することはできない。

つづいて国語辞典に問題点が発覚した。
言葉の意味や漢字の読み、JISコードを調べるのには便利なのであるが、類語検索や逆引き検索ができないのだ。
これでは文章を読むには使えるが書くのに使用することは困難だ。

ということで、いつのまにか電子辞書を使うことはなくなり昔ながらの重たい辞書をペラペラ捲る時代に逆戻りしてしまったのであった。

先日、新しいエアコンを購入し家電量販店のお買い物ポイントがかなり貯まったので「なにか買おうかな」ということになり、色々考えた結果、「最新の電子辞書を買ってみようかな」という結論に達した。
英会話スクールのクラスメートたちも電子辞書は必携のようだし、今どき重たい辞書を持ってウロウロというのは時代遅れかもしれない。
第一、英会話スクールのクラスメートたちが持っているということは、英語学習に十分堪える性能を、現在の電子辞書は有しているという証明ではないか。

ということで、さっそく量販店を訪問し電子辞書コーナーに足を運んだ。
その結果、現在の電子辞書は凄いことがわかった。
英語辞典にしても和英、英和、英英は当たり前。
しかも収録されているデータがオックスフォード辞典であったりロングマン辞典であったりするので本格的だ。
私の大好きな旺文社のComprehensive英和辞典はデータ化されていないのか、収録されていないのは残念であった。

国語辞典も凄い。
岩波の広辞苑、逆引き広辞苑は当たり前。類語辞典やシソーラス内蔵のものまである。
これがだいたい収録辞典数によって5万円くらいから2万円くらいまでで購入できるのだから素晴らしい。

さすがIT時代だと思った。

ところが電子辞書主要4社のカタログを見ていて妙なことに気がついた。
実用を旨とするはずの電子辞書に、不要なコンテンツが多数収録されているのに反して、必要とするであろうコンテンツが収録されていないのだ。

その代表が旅行用会話辞典。
英語、中国語、韓国語は分らないではないが、ドイツ語やイタリア語、フランス語が収録されている一方、タイ語、ベトナム語、インドネシア語、ポリネシア語などが収録されていないのだ。
旅行用辞典なので学習に利用するのは難しいはず。
それはかつて私が所持していた電子手帳の英語ICカードで経験済み。
そこで海外渡航先別邦人数を調べてみると、電子辞書への収録外国語の採用理由になんら脈略のないことが判明した。

日本人の渡航先ナンバーワンはダントツで米国合衆国。
仕事観光勉学で訪問する人が多いのだろう。だから英語収録は当たり前。
次が中国で、3位が韓国。
ここまではすべてお隣国家だから当然といったところか。
で、4位が年間渡航者120万人で私の良く行くタイ王国。
5位が沖縄県の隣の台湾で110万人。
以下、シンガポール、インドネシアとアジアが続く。

しかし、電子辞書にはこれらアジアの言語が中韓2国語以外に収録されていない。
ドイツ、フランスは渡航者数も多いが、スペイン語圏なんかは南米を合わせてもタイ訪問者の3分の1以下。
いったい何を基準に選んでいるのか謎である。
タイやインドネシア、マレーシアといえば、電子辞書を作っているメーカーも工場や営業拠点を構えている地域じゃないか。

どうやら電子辞書は未だにアジアは別の時代遅れな欧州至上主義なのか。
つまり、部分的には実用に供さない代物らしいことは確かなようだ。

レノボのパソコン

2006年07月03日 19時13分41秒 | IT
今、アメリカ政府は、
「中国のレノボに買収された旧IBMのPCは、公務に使用しないように」
てな指示を出している、という記事が新聞に載っていた。
理由は、
「我々には分らないように米国政府の情報をピッキングする『仕掛け』を中国政府によって施されている恐れがある」
というものだった。

なんだか映画の見過ぎではないか、と思うような出来事だが、中国ならそれくらいのことはするだろう想像できなくも無いところが、恐ろしい。
ま、中国に対する猜疑心がアメリカ人の中から拭えないレベルに達してきているという証拠だろう。

でも当のレノボ社は「そんな、アホな」と否定している。
そのニュースを読んだ私もそんなアホなと思わなくもない。

そもそも、もし中国製のレノボがダメだというのなら、世界のPCの大部分がダメであることは間違いない。
なぜなら世界で使用されている一般的なPCのほとんどが中国で組立製産されているからだ。
松下電器産業のような国産へのこだわりを捨てきれない立派な例外もあるにはあるが、PCのように価格が勝負の大前提てな商品(Macは除く)は人件費の安い中国で製産したいと思うのが企業の悲しいところだ。

ところで、先週私の会社でもコンピュータにスパイソフトが組込まれているという静観できない「噂」が広まった。
数年前に導入したロータスノーツという役立たずのネットワークソフトが時々エラーを起こしてPCが凍りつくことがあるのだが、その原因がなんだということを話しているうちに、自然と現れて来た「噂」だった。

もっとも「中国が仕掛けた」なんてことは考えられず、「きっと社の上層部が仕組んだ罠に違いない」というのが私たちの噂だった。

「もしかして、僕らのメールやデータを監視して、社員が社長や専務の悪口とか、会社に不利なことを社員同士がやり取りしてないかとか、チェックしてるんちゃうますか」
「そやそや。そのチェックしている間、こいつらフリーズしとんねん」

と言う具合に。

3年前から会社で使用するパソコンは本社から支給されてくる機器しか使ってはいけないことになった。
アメリカ政府がレノボ社のパソコンを疑いはじめたのと同じように、私たちが会社のパソコンを疑いはじめたのには、そういうところにも原因もある。

ともかく私の会社には「行動の疑わしい社員に興信所を貼り付けて、ややこしい証拠を掴み「解雇した」」という前例があるだけに、レノボの一件は笑いながらも笑えない事実になっているのだ。

ウイニー哀歌

2006年03月24日 21時37分46秒 | IT
テレビや新聞で「ウイニー」がどうした、「ウイニー」でパソコンのデータが流出した、と叫んでいたので、いったい日本ハムのウインナーソーセージがどうしたのだ?と思っていたら、そういう名前のファイル交換ソフトがあるということで、感心していたところ、会社のパソコンにもロータスノーツを通じて本社から「ウイニーの使用を厳禁します」というメールが届いた。

「ウイニーの使用、厳禁ですって。○○さん、もう会社の経費でフーゾク行けませんね、ヘッヘッヘ」
とA君。
そのウイニーとちゃう、ちゅうねん!

新聞を子細に読むと会社のパソコンではなく自宅のパソコンから個人情報や会社の秘密情報が流れたことが伝えられていた。
会社のコンピュータでは多くの場合、インストールできるソフトが制限されているが、自宅のパソコンとなると好きなソフトを片っ端から入れるのが、まま普通だ。
その結果として、内蔵ハードディスクが一杯になり、「もう空きメモリがナイゾウ」などと腐ったオヤジギャグを口ずさんでいるひともいることだろう。
空きメモリがなくなり外付けの新しいハードディスクを買い求める羽目になったり、PCを買い代えることになるくらいなら、被害は少ない。
ところが会社の仕事を真面目にも持ち帰ってしまったために、片っ端から詰め込んだソフトのうちの1つ「ウイニー」を介したコンピュータウィルスのために大切な会社のデータが流出し、会社を解雇されて仕事を消失させる悲劇が発生しているのだ。

このウイニーによる悲劇の背景には、残業を認めないという会社と役所の事情がある。
サービス残業はもちろん許せることではないし、休日返上、毎日深夜まで残業というのもあまり認めてよいものではない。
これらを原因とした「カロウシ」という言葉がWebsterの英英辞典に載るくらい、できれば避けたいものである。
そこで10年ほど前から労働者団体などがワイワイわめいていたところ、へっぴり腰で責任を取りたくない役所は「カロウシ」を防止させるために規定時間以上の残業を認めなくなったのだ。
働き過ぎると行政指導が入るというわけだ。

しかしほとんどの会社員は残業なしで仕事を捌ききることはできない。
需要期になると休日返上、徹夜の毎日でもしないことには、とりわけ中小企業の労働者が満足に生活するための給与を稼ぐことはできないのだ。
でも、会社は行政指導を恐れるし、役所は責任を被せられ出世に響くと嫌なので、残業をさせない。
結局のところ終業時に会社を追い出される前に書類やデータを鞄に詰めてあとは自宅で仕事をすることになる。

で、その結果が普段音楽や映像のやり取りに使っていたウイニーで、会社のデータが流出するということになってしまうのだ。
つまり真面目な人がバカを見る。(それだけでもないことももちろんです)ということいなる。

これをウイニー哀歌と呼ばずしてなんと呼ぶ。

ちなみに私はMacユーザーなのでウイニー騒動はもちろん他人事です。

電子メール会話

2005年12月21日 22時02分44秒 | IT
うちの会社のW君の義弟がソフトウェア開発会社に勤務している。
W君の話によると、彼の会社では全ての社内の会話を電子メールを使ってやり取りしているそうだ。
「まさかそんな会社、あるはずない」
小さなことでもより大げさにおもしろおかしく表現するのがW君の特徴なので(多分に私の影響を受けていると言われる)きっと、作り話かなんかだろうと思っていたら、私の通っている英会話スクールのクラスメートの女の子の会社も同様であることを知った。
「隣の人にもメール送るんです」
どうやらそんな変な会社が実際にあるようだ。

事の軽重に関係なく、これらの会社では電子メールで用件を伝えるそうだ。
従って事務所の中では社員のキーボードをたたく音だけが響き渡り、人の声が聞えないのだという。
「本日A社のB部長から来週の研修会の予定の確認が入りました。予定に変更はないでしょうか?」
「変更はありません。予定通り、C会館101会議室にて午後1時30分より実施します」
「了解しました」
などとという会話を、隣同士でやり取りしているというのだから、正直言って「病気」としか言いようがない。
きっとやり取りの経歴を残したいのだろうが、こんなやり取りは口頭で実施したほうがよほど効率が良いというものだ。

言葉というものには微妙なニュアンスがあり、それを文章で表現するのは極めて難しい。
同じ言葉をAという人とBという人が口に出すのでは意味合いが異なるように、その時々の感情やコンディションが言葉のリズムや高低に反映され、人はそれをコミュニケーションの重要な要素として理解しようと努めるものだ。
ところが電子メールだけだと感情が伝わりにくく、時としてミスアンダスタンドを発生させる可能性があるし、感情の動物であるはずの人間として、まともなコミュニケーションを取れなくなってしまう可能性さえあるのだ。
だいたい仕事も一種のスポーツなので激を飛ばし数字を増進させるためには活字以上の「何かが」必要なはずだ。W君の義弟が努める機械的な企業は感情をないがしろにしている分その将来性が心配なところも否定することができない。

先日、トヨタ直系企業のクレーム報告書を読むチャンスがあった。
そのクレーム報告書を読むと、その中身よりも文章の処理方法に驚愕するものがあった。
それはまるで添削された文章教室の回答原稿の様相だったのだ。
「この表現はよくありません。商品の問題点のみを的確に述べるように」
とか、
「ここに読点は不要。文字も間違えています。漢字辞典を引いて間違えないように」
などと書かれていたのだ。
トヨタの社員は自動車生産台数世界一だけでは物足りなく、きっと直木賞や芥川賞、サントリーミステリー大賞を目指しているのだろう、と思った。

このように、血が通わないというかなんというのか、いくら良い給料を頂戴してもこういう企業で働くのは御免被りたいものがある。
なにしろ電子メール会話をしなければしないで文章教室状態なのだ。
IT社会、マニュアル社会。
これから日本の会社はどこへ行ってしまうのか。

ちなみ私の部署でも電子メール会話が為されることがあるが、テーマは概ね次の通りである。
「若手社員のパチンコの勝敗情報」
「某キャバクラの接客評価」
「飲み会の予定案内」
そして、
「秀作な文面と思われるスパムメールの閲覧」
などなど。

上に知られると拙いことはいうまでもない。

PDAとスパイ手帳

2005年12月15日 19時48分52秒 | IT
ここ5年ほど使い続けてきた電子手帳「シャープ液晶ペンコム」が故障した。
電池を入れ直してもリセットスイッチを押しても液晶画面にはなーんにも表示されなくなってしまったのだ。

もう随分古くなったものだから「新しいのを買おうかな」と思って仕事の合間に梅田にあるヨドバシカメラへ立ち寄った。
ここならなんでもあるだろうと思ったからだ。

「シャープの液晶ペンコム」という商品は複雑なネットワーク機能はないものの、住所録、電子辞書、スケジュール管理、電卓、手書きメモなど便利な機能が装備されている優れものだ。
これらの機能が胸ポケットに納まるくらいの大きさのメモ帳サイズなのでとても重宝した。
電子辞書も和英に英和、国語辞典に漢字辞典と一通りは装備していたのでビジネス文書の作成にも役立った。
不便な点をあえて述べれば入力作業が面倒だったということか。
「液晶」の名前の通り、この小さなマシンにはキーボードを装備されていなかった。だからゴルフのスコア記入用鉛筆程度の大きさの小さな入力ペンを使わねばならなかったことが不便だったのだ。

で、ヨドバシカメラを訪れて愕然とした。
この手の安物PDAは姿を消し、PDA売り場は電子辞書で溢れていたのだ。
もちろんこれらは「辞書」なので、住所録機能もメモ機能もついていない。
辞書の機能はさすがに専用機だけに、小さなボディに辞書5冊分程度は当たり前。凄いのになると20冊も30冊も内蔵し、おまけにTOEICのレッスンまでできるものが売られていた。
でも私は辞書は欲しくない。欲しいのは電子手帳。

肝心の電子手帳PDAはシャープのザウルスが2機種。
東芝が1機種。
ソニーのクリオが1機種。
いずれも価格は4万円以上。
中古のノートPCが買える金額なので、買う気がまったく起こらなかった。

もしかして住所録機能やスケジュール機能は携帯電話に搭載されているから必要ないのだろうか。そして辞書機能は専用辞書を買えということなのか。
液晶ペンコムの買い代え機種を見つけることはついにできなかった。

PDAという名の電子手帳は「サンスターのスパイ手帳」よろしく世の中から消え去る運命にあるようだ。
そういえば、電子手帳の主な利用者が、私のような「スパイ手帳」世代であることを考えると、なんとなく納得できるような気もするのだった。

iTunesの謎

2005年11月18日 21時14分58秒 | IT
アップルコンピューターのiPodがついにシェア60%を獲得。
というニュースが昨日の経済紙に掲載された。
(ビジネスマンとして羨ましい)
日本市場におけるデジタル携帯プレーヤー市場で、ついにiPodが60%を占めるに到ったのだいう。
どおりで、街中でも、電車の中でも、ジムや会社でも、多くの人がiPodを持っているわけだ。
かくいう私も格安で手に入れたiPod miniを所持しており、このおかげでマイカーからカセットテープが姿を消すことになった。

このiPod快進撃のブースターとなったのがiTunes Music Storeの開店だ。
営業開始たった4日間で100万曲がダウンロードされたとのニュースも記憶に新しい。
この曲数は、それまであった国内の既存のネット音楽ショップの1ヶ月分の販売数だというのだから驚きだ。
このiTunes Music Storeや市販のCDとiPodを結ぶ優れもののソフトウェアがiTunesというアップル社純正のソフトウェア。
Macには買ったときから組込まれているし、Windowsユーザーもインターネットを通じて無料でダウンロードできる。またiPodを買うとCD-ROMが付属している。

このiTunesの凄いところはCDをパソコンに装填すると、自動的に起動して、インターネットを介してデータベースから「アルバム名」「アーティスト名」「曲名」「時間」「ジャンル」を的確にダウンロードしてくることだ。
このソフトを使えば、個々の曲名が分らなくなる、ということがない。
私はこのソフトのメカニズムには、きっと音楽CDの中にはインターネットに接続すると曲名などのデータベースに接続するための「何か」が含まれているのだと思っていた。

ところが、この「何かが含まれている説」を根底から突き崩す現象に遭遇した。

先週末、とある事情で20年前に購入したロサンゼルスオリンピックの公式LPレコードを、iMacに取り入れて、CDを作る作業をしていた。
使ったソフトは「Sound it!」というソフトだ。
このソフトは、アナログ音声をデジタル化し、CDを作ったりMP3のデータを作成する機能がある。
さらに、取り込んだ音声データを視覚的に確認することができ、ノイズの除去やフェードイン、フェードアウト、エコーなどのエフェクトをかけることができるのだ。
これまで様々なLPをCD-Rに焼くためこのソフトを使ってきた。
ほとんどはCDでの発売が期待できないものばかりだった。

ロサンゼルス・オリンピックの公式アルバムのCD版もアマゾン・ドットコムで調べたが、売られていないので自分で作ることにした。
ボブ・ジェームスやクリストファー・クロス、ビル・コンティにTOTO等が1984年のロス五輪のために製作した名曲がずらりと並ぶ。
とりわけジョン・ウィリアムス作曲指揮のファンファーレが素晴らしい。

今朝、この自分で作ったCDを視聴してみようとiMacにセットした。
iMacは音楽CDとすぐに判断。iTunesが自動的に立ち上がった。
そして「データベースにアクセス」との表示が出たが「あるわけないやん」と私は決めつけた。
ところが次の瞬間「曲名」「アルバム名」「アーティスト名」などが正確に表示されたのだ。
「えええ!いったいどうなってんのや!このiTunes」
CDを作るとき、曲名もアーティスト名も入力していない。
ちなみに1曲目のファイル名は「A0001」、2曲目は「A0002」と入力したはず。

LPレコードの音の中に、曲名データが入っているとは思えない。
iTunesの優れた機能に驚愕し、そのメカニズムの謎は深まるばかりだ。

ネットとテレビ

2005年11月07日 08時31分00秒 | IT
インターネットショッピングモールの大手「楽天」が青息吐息だ。
年商500億に足りない企業が一説には4000億円にも迫る有利子負債を抱えるというのだから、楽天は末野興産とたいして変らないということが言えるだろう。

楽天で失敗するであろう金融機関は、今回は税金に頼らず自らきちんと責任を取るように。

ところで、楽天を危機的状況に陥れている東京放送との経営統合は、果たして元々上手く行くようなアイデアだったのか、はなはだ疑問だ。
というのも、インターネットとテレビが融合したところで、一般消費者にとって魅力的な新たなサービスなりビジネスなりが生まれるとは、今のところ考えにくいからだ。

たとえば、テレビ局と視聴者の双方向通信が売りのBSデジタルにしたところで、作り手も受けて側もどのようなコンテンツを提供してよいものか、まったくわからない状態にある。
既存の「クイズ番組に家族で参加する」「オピニオン番組で意見を投稿する」というアイデアは「リアルタイム」には有効だろうが、わざわざ高いデジタル対応のBSチューナーを購入したり、安くない受信料を支払ってまで見ようとは思わない代物でもある。

クイズの解答をテレビの出演者と一緒にしたいのであれば、もう類似番組は30年も前に存在する。
NHKの人気番組「連想クイズ」では、家族揃ってテレビを見つつ、画面の半分を新聞広告などで隠して一緒に解答をして楽しんだものだ。
オピニオン番組はネットを通じれば「早いだけ」で、その実態は電話調査や郵送やファクスによる投稿調査と変るところはまったくない。
なんら新しい魅力もないBSデジタル放送は死に体でさえある。

一方、インターネットは未だとても利用しにくいテクノロジーであることに変わりはない。
「待て待て、今や小学生や幼稚園児までインターネットを使う時代だよ。あんた間違ってるんじゃない?」
と言うなかれ。
あなたの会社に、何人自分のパソコンを使いこなせない中高年がいることだろう。
さらに、あなたのお母さんお父さん、お爺さんお婆さんはビデオの録画予約がちゃんと出来るだろうか、よ~く考えて欲しい。

ヒューマンインターフェイスという言葉があったけど、インターネットのオペレーション用ヒューマンインターフェイスはとても脆弱だ。
キーボードを使えないと検索ワードも打てないし、マウスが使えなければメニューを選ぶことさえ困難だ。
ある意味複雑怪奇なインターネットとスイッチを入れてチャンネルを合わせばOKのテレビ放送とどうやって融合するんだろう?
具体的設計図がまったくないのが多くの「インターネット新興企業」の特徴だ。

多くの「既存会社」を買収して大きくなった楽天には企業としてのオリジナリティはまったくない。
その実態は単なるインターネット・ショッピングモール。サイト上の不動産屋。
本業のこれさえ楽天オリジナルのアイデアではない。
相対的なサービス料金の安さで、他が潰れてここが生き残ったに過ぎないのだ。

ソニーにホンダ、松下電器、トヨタ自動車にアップルコンピューター。
異なったジャンルが融合するためには、どういうインターフェイスが必要で、どういうサービスにしなければならないのか。
これらの成功企業を見ればよく分る。
融合させるためには独創性と技術力が必要なのだ。
だからテレビとインターネットを融合させるのはショッピングモール不動産屋の仕事ではない。
ソフトノウハウがあり、かつ技術開発力のある骨のある企業の仕事なのだ。

デジタルカメラ故障の謎

2005年09月17日 22時16分59秒 | IT
デジカメが故障した。
原因は不明である。

一昨日、仕事でデジカメを使おうと思い事務所でスイッチを入れた。
いつもなら、ここで液晶画面にメーカーのブランド名が表示されて、続いてレンズのとらえている映像が映し出されるのだが、そうならなかった。
小さな液晶画面にはブランド名は映し出されたものの、次に出てきた映像は、
「あら、懐かしい。壊れたテレビの画像だわ」
というような、往年のガチャガチャ回すチャンネルのついた4本足の白黒テレビが故障したときのような画像がでてきたのだった。

どう考えてもおかしい。
故障したテレビのような映像なので叩けば治ると思ってやってみたが治らない。

ともかく、先週末に使ったときはまったく問題がなかった。
無事撮影ができて、コンピュータへもデータを円滑に読み込ませることが出来たのだ。
それから一昨日までの4日間、そのデジカメはパソコンの前に置かれたまま、誰一人として触ったものはいなかった。
で、スイッチを入れたら、モヤモヤモヤと、横に画像が乱れた故障した白黒テレビのような映像が現れたのだ。

正直いって焦った。
仕事の内容に焦ったのではない。
実は明日から旅行に出るので、デジカメが壊れるとフィルムカメラを持って行かなければならないからだ。
私の持っているデジタルカメラは携帯電話についているものを除くとこれ一台っきり。
これが壊れると、重ーいフィルム用一眼レフしか持っていないので、カメラは重いわ、フィルムは高価だわで大変困るというわけなのだ。
仕事を切り上げて買ったカメラショップへ急いだが、カメラをチェックした店員は一言、
「ん~~~、CCDの寿命ですね」
とそっけない。

確かに、このカメラは使いまくった。
ミャンマー旅行にタイ旅行、東京出張に、沖縄出張、押したシャッター数知れず。
しかし、この1月に旭山動物園のヒョウの檻の前の階段で、雪で滑ってメチャクチャエグイ尻餅を付いたときも壊れなかったカメラが、なーんもしとらんのに、自然になんで壊れたりるのか?

購入してたった一年半しか経っていないのに潰れたとなると、納得いかないのが人情である。
しかし納得いかないけど、どうにもならないのが現実だ。

ということで、1本当たりのコストが1500円程度かかるフジクロームかエクタクロームのフィルムを十数本持って行くか、新しいデジカメを買うのか今、決断が迫られている。

こら!富士写真フィルム。
「スターウォーズ・エピソード3」のエンドクレジットにデカイ文字でFUJINON LENSEと出すくらいなら、もっと耐久性のあるカメラを作らんかい! と、私は叫びたい。