人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

映画「かぞくのくに」を観る~北朝鮮に引き裂かれた在日コリアン家族の物語

2013年10月21日 07時00分15秒 | 日記

21日(月)。昨日は日曜日なのに珍しくコンサートの予定がなかったので、雨が降る中、久しぶりに飯田橋のギンレイホールに映画を観に行きました 年間10,500円のギンレイ・パスポートが5月に期限切れになってしまったので、新たに入会しました 2週間おきに2本立ての映画が観られて年間10,500円は超お得です。1年間で52本観られる計算です

現在上映されているのは2012年制作の「かぞくのくに」と2013年制作の「舟を編む」の2本立てです 今日は午前9時半から上映された「かぞくのくに」について書きます

在日コリアンの父親の指示で70年代に「帰国事業」により北朝鮮に移住したソンホは、病気治療のため3か月間だけ帰国が許された 16歳の時から25年の歳月が流れていた。彼は現地で結婚し、子どももいる。久しぶりの家族団らん、そして一緒に青春時代を過ごした仲間たちとの再会 その間も北朝鮮からの監視員が目を光らせている。日本で生まれた妹・リエはそうした不合理が理解できない。兄ソンホからそれとなくスパイ活動に興味がないかと訊かれ、憤りを感じて拒否する。兄にそう言わせる国が許せない

ソンホの頭の腫瘍を除去する手術のため検査が行われるが、担当医は3か月では治療できないと言う父親は滞在延長を申請しようとし、リエは違う医者を探そうと頑張る。そんな中、本国から3か月を待たず「明日、帰国せよ」という指令が届く。不条理な命令ながら、自国に残した家族のため命令に従うしかないソンホ せっかく帰って来たのに、ゆっくり病気の治療に専念することも敵わないことに苛立つ家族。しかし、ソンホは命令に従わざるを得ない。リエを振り切って車を出す。リエは一大決心をし、再び兄の居なくなった家からスーツケースを携えて出ていく。自分自身の人生を歩むために

かつての仲間たちとスナックで歌を歌うシーンがあります 70年代に一世を風靡したビリーバンバンの「白いブランコ」です 最初は輪に加わらなかったソンホも、いつしか口ずさむようになり、昔を思い出して皆しんみりします

ソンホは帰国のため車で飛行場に移動する車中、窓を開け小さな声で「白いブランコ」を口ずさみます 「君は覚えて いるだろうか あの白いブランコ・・・・」彼はもう二度と日本に戻れないことを自覚しながらあの歌を歌っていることが分かります。「昔のままでいられたらどんなに幸せだったろうか・・・・」そう思いながら歌っていたに違いありません 下のチラシの写真はそのシーンです

 

          

 

解説によるとこの映画はヤン・ヨンヒ監督の実体験に基づく物語とのことです かつて1959年から84年まで20数年に亘って、北朝鮮を「地上の楽園」として在日コリアンが渡っていきました。当時は政治経済状況が不安定だった韓国よりも、旧ソ連の影響で経済成長が見られた北朝鮮に希望を託した人が多かったと言います

祖国・日本にいても監視員の目がある中で自由に行動できないソンホ 妹まで北朝鮮のスパイに勧誘しようとするソンホ。そういうことが絶対に許せないリエ。何とかしてやりたいと思っても何も出来ないでやるせない思いをする母親。こうした不条理を観ていると、こちらも行き場のない憤りを感じます

ソンホはリエに言います。「自分はこれでいいんだ。向こう(北朝鮮)では、上の指示に従っていればいいんだ。何も考えないんだ。考えると頭がおかしくなってしまうんだ 思考停止は楽でいいぞ リエは自分で好きなように生きろ。リエの人生はリエのものだ。行きたいところに行けばいいんだ

これがヤン・ヨンヒ監督が一番言いたかったことでしょう 国民に思考停止を求める国・北朝鮮。残念ながらまだこの国は存在しています

妹リエ役の安藤サクラが迫真の演技をしています わたしはこの人の出演する映画を観るのは初めてですが、表現力の豊かないい役者だと思います ソンホ役の井浦新はクールな主人公を見事に演じています 母親役の宮崎美子は子供想いのいい母親の表情を見せています。それと監視員役のヤン・イクチュンがいい味を出しています この人は”暴力に次ぐ暴力”の「息もできない」に出演していた個性派俳優です。あの映画も凄かった

一人でも多くの日本人に、そして何より北朝鮮の人たちに観てほしい映画です そんなことは不可能なことは重々承知していますが

 

          

 

 

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METライブビューイング2013-2014の3枚セット・チケットを入手~珍しい上演プログラムが満載

2013年10月20日 07時06分06秒 | 日記

20日(日)。今朝6時の東京の気温は16度。あんなに暑い暑いと言っていた夏が嘘のようです。秋を通り越して冬になってしまったかのように感じます

〔寒くなった話その1)

ご隠居: いやー、急に寒くなっちまって、まるで冬だねえ

tora : そうですね。まるで最高のエンターテインメントのようですね

ご隠居: ん?

tora : あきがない                 (飽き)

〔寒くなった話その2)

ご隠居: いやー、寒いね。秋はどうしちゃったのかねえ?

tora : そうですね。まるで台風で間引き運転した満員電車みたいですね

ご隠居: えっ?

tora : あきがない                 (空き)

ご隠居: いつ聞いても、お前さんのダシャレは英語版の秋だねえ

tora :  はっ?

ご隠居: AUTUMN(おー寒)

tora : 

 

  閑話休題  

 

昨夕の朝日夕刊に「私の言葉で辞書を編む~大辞泉デジタル版が語釈公募」という記事が載りました要約すると、

「小学館が編纂するデジタル版『大辞泉』に、普通の人の生きた解釈を採り入れる試みが注目される 『愛』『失敗』『カワイイ』など8つの言葉の語釈を一般公募し、優秀作品を収録する

公募に寄せられた『愛』という言葉の定義例は次のとおり。

〇常に相手のことを想い、行動する感情。喜びや悲しみの気持ちを共有すること。相手を大切に想う感情

〇求め続けなければ、離れゆくもの

〇生殖活動を促す感情。副作用として妄想、盲目などが起こる

そう言えば、いつだったか、新日本フィル・室内楽シリーズの「ワンコインパーティー」で、チェロ奏者Yさんが、「先輩の某さんから『愛はエッチの後にくるんだよ。A B C D ~ H I J K ・・・ほらね』と、大人の会話を教えてもらいました」と披瀝していたのを思い出しました 皆さん、新日本フィル・室内楽シリーズの「ワンコインパーティー」はこういうためになる話が満載ですよ。是非参加しましょうね

気を取り直して、『カワイイ』の定義例は次のとおり。

〇『可愛い』は遺伝的魅力である場合が多いが、『カワイイ』は努力した結果の魅力

〇自分にとって脅威ではない相手に使う。女同士が対象を自分より下だと確認する際の表現

〇合コンで女性側の幹事が連れてくる全ての女性に必ずつく言葉

〇女性同士の関係を円滑にするための魔法の言葉

先日行ったカラオケ・スナックで90歳のおじいちゃんが昭和歌謡を音程を外して歌ったら、お店の女子たちが『カワイイ!』を連発していました それは多分、純粋に賞賛の気持ちの現れだったと思いますが、もし彼女たちがおじいちゃんを「脅威でない相手」と侮ったら大きな間違いかもしれません。「あなた自身、90歳になってカラオケ・スナックに来て何曲も歌うエネルギーが残っていると思いますか?」という話です。まあ、今の時代、平均年齢は女性上位だし、元気なおばあちゃんも多いですから、案外マイク争奪戦を展開する姿が想像できなくもないですが・・・・いずれにしても、英語で「LIVER GOOD」(カワ・イイ)使い方に気を付けましょうね

 

  も一度、閑話休題  

 

11月2日(土)から始まるMETライブビューイング2013-2014のチケットを買いました 通常は1枚3,500円ですが、3枚セット9,000円という特別鑑賞券があったので、こちらを求めました

 

          

 

新シーズンは11月2日(土)から来年6月6日(金)まで10作品が各1週間ずつ上映されます ラインアップは下記のとおりです

1.チャイコフスキー「エフゲニー・オネーギン」11月2日(土)~同8日(金) SP:ネトレプコほか。

2.ショスタコーヴィチ「鼻」 11月16日(土)~同22日(金) 

3.プッチーニ「トスカ」 12月7日(土)~同13日(金)SP:パトリシア・ラセットほか。

4.ヴェルディ「ファルスタッフ」 1月11日(土)~同17日(金)

5.ドヴォルザーク「ルサルカ」 3月1日(土)~同7日(金)SP:ルネ・フレミングほか。

6.ボロディン「イーゴリ公」 4月5日(土)~同11日(金)

7.マスネ「ウェルテル」 4月12日(土)~同18日(金)Tr:ヨナス・カウフマンほか。

8.プッチーニ「ラ・ボエーム」 5月10日(土)~同16日(金)

9.モーツアルト「コジ・ファン・トゥッテ」 5月24日(土)~同30日(金)

10.ロッシーニ「ラ・チェネレントラ」 5月31日(土)~6月6日(金)SP:ジョイス・ディドナートほか。

今回のシリーズは滅多に上演されないオペラが半数以上取り上げられるのが特徴です

 

          

 

上映劇場は東京の場合、東銀座の東劇(基本的に夜間に上映)、新宿ピカデリー(午前10時から上映)他です

私は10作品すべてを鑑賞するつもりです。いつかは本場のMETで本物のオペラを観たいと思います

 

          

 

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誉田哲也著「歌舞伎町セブン」を読む~読み始めたら止まらない面白さ

2013年10月19日 07時47分10秒 | 日記

19日(土)。誉田哲也著「歌舞伎町セブン」(中公文庫)を読み終わりました 誉田哲也は1969年東京生まれ。この人の著書は警察小説が面白く、「ジウⅠ警視庁特殊班捜査係」、「ジウⅡ警視庁特殊急襲部隊」、「ジウⅢ新世界秩序」のジウ三部作では伊崎基子と門倉美咲が、「ストロベリーナイト」では姫川玲子が個性的なキャラを持ったヒロインとして登場して、難事件に挑みます

この小説は「ジウ」でお馴染みの新宿・歌舞伎町が7年後に再び舞台となります

歌舞伎町の一角で町会長の死体が発見される。外傷がないことから警察は急性心不全と断定し、事件化されない しかし、その後も謎の失踪者が相次ぎ、歌舞伎町のビルは正体不明の企業によって買いたたかれていく これに関連して街で囁かれる「歌舞伎町セブン」という言葉。いったい何を意味するのか?一説によると人を一人殺す報酬としての70万円という値段らしい しかし、「殺し」というキーワードは合っているものの報酬の値段ではない。それは7人の暗殺者集団のことであることが分かる それでは誰がどういう理由でそのような組織を作ったのか・・・・7人の暗殺者集団は誰と誰なのか・・・・・

主人公の陣内は歌舞伎町ゴールデン街にある「エポ」という店のマスター。そこに出入りするフリーライターの上岡。父親の不審死の原因を突き止めようと警察に入り交番勤務に甘んじる小川。歌舞伎町セブンに興味を引かれて独自に捜査を進める上岡と小川はいつの間にか、事件の当事者になっていく 果たして7人は最終的に誰を暗殺しようとしているのか。驚愕の事実が待っている

「ジウ」三部作も、「ストロベリーナイト」も読み始めたら止まらない面白さでしたが、この「歌舞伎町セブン」もご多分に漏れず、時の経つのを忘れて丸一日で読み終わってしまいました。とにかく面白いのです

 

          

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メンデルスゾーン「ピアノ三重奏曲第2番」のチケット入手~来年2月7日・ヤマハホール

2013年10月18日 07時02分14秒 | 日記

18日(金)。最近、初めてtoraブログをご覧になった人から「たいてい『いつものメンバーで、地下の焼鳥屋で飲んだ その後、カラオケで飲んで歌ったので朝から頭が痛い』っていう話ばかりじゃないですか!たま~にコンサートの鋭い批評があったりするけど・・・」と言われました。皆さん、そうですか?

昨夕、隣のHKビル地下の韓国料理Pでいつもの”メンバー+1”で飲み、その後”+1”を除いた3人で新橋のスナックS(新規開拓!)で飲んでカラオケで歌いました 早めに撤収したので今朝は頭が痛くありません

どうです、今までとまったく違うでしょう

 

  閑話休題  

 

コンサート会場で配られるチラシに「メンデルスゾーン」の名前を見出すと、即チケットを買いに走りますつい最近入手したチラシの中に、来年2月7日(金)午後7時から銀座ヤマハホールで開かれる「堤剛スペシャル・コンサート~若きホープとともに」があり、プログラムの一つにメンデルスゾーンの「ピアノ三重奏曲第2番ハ短調」があるのを発見しました。他のプログラムは、ヘンデル「パッサカリア」、マルティヌー「ロッシーニの主題による変奏曲」、ベートーヴェン「ピアノ三重奏曲第4番”街の歌”」等です

演奏はチェロ=堤剛、水野由紀、ヴァイオリン=会田莉凡、ピアノ=須関裕子といったメンバー 堤剛は皆さんご存知のとおり、今年3月まで桐朋学園大学学長を務め、2007年からサントリーホール館長を務めているチェリストです。会田莉凡(りぼん)さんはこのブログでも2回ほど紹介した若手のホープです あとの2人は知りません。禁煙します、もとい、すいません

「メンデルスゾーン」の名前を見てしまったからにはチケットを買うしかありません さっそく、神保町・三省堂のチケットぴあでチケットを入手しました。全席指定で5,000円。来年2月が楽しみです。その前に無事に年を越さなければ

 

          

 

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飯野ビル「ランチタイム・コンサート」を聴いて思ったこと

2013年10月17日 07時00分31秒 | 日記

17日(木)。昨日の昼休み、内幸町の飯野ビル1階ロビーで「ランチタイム・コンサート」を聴きました このコンサートを聴くのは久しぶりです。昼食後に駆け付けたので12:05の開演には到底間に合いません。ロビーに着いたのは12時半を回っていました 約50席のパイプ椅子はほぼ埋まっていて、ちょうどディズニーの「ハクナマタタ」が始まるところでした。何とか端の座席を確保しました

今回のコンサートは、これまでのピアノ演奏会と違い、初めてボーカルとギターによるミュージカル・ナンバーです 出演者は2人とも洗足学園音楽大学出身で、ボーカルは川部真未さん、ギターは石川恭平さんです。2人とも下のチラシの写真とはイメージが違います。こういうことは往々にしてありますね。いえ、いい意味で言っているんですよ

 

          

 

「ジーザスクライストスーパースター」から「私はイエスがわからない」などミュージカル・ナンバーを何曲か聴きましたが、川部さんは声に艶がありとても良かったと思います。石川さんのギター伴奏もナイス・フォローでした

飯野ホール元支配人のKさんも”視察”に見えていました。いつもご多忙なので、あまり長い時間はいらっしゃらなかったようですが

ちょっと気になったのは、川部さんは1曲歌うごとにペットボトルの水を飲むのですが、客席の方を向いて飲んでいたのが、どうかな?せめて横を向いて飲むなりした方が良かったかな、水に流せないな、そこがボトルネックだな と思いました。何となく見苦しいのです

それにしても、クラシックの声楽の場合リサイタルにせよオペラにせよ、マイクなしで数十分、あるいは数時間も歌う訳ですが、一度舞台に上がったら途中で水を飲むなんてありえません 時に、バッハ・コレギウム・ジャパンのカンタータの演奏などでは、歌手陣が椅子の横にペットボトルを置いて、曲の合間に飲んでいるのを見かけますが、彼らはストローを挿して下を向いて飲んでいます

それに比べれば、今回のようにミュージカルはマイクを使って声を拾うわけですから楽と言えば楽です それでも1曲ごとに水を飲むというのは、余程緊張しているのでしょうね。飲むのはいいけれど、見苦しくないようにしてほしいと思います。せっかく素晴らしい声で歌い、楽しませてくれているのですから      

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矢月秀作著「D1警視庁暗殺部」を読む~こんな組織があったら大変だ!

2013年10月16日 07時08分13秒 | 日記

16日(水)。いま朝6時です。超大型台風26号が関東地方に接近中 外はほとんど暴風雨です。午前中は大荒れになるでしょう 多分、会社に出てこれるのは私を含めて数人でしょう 地上を走る電車を使っている人が多いですから。私の場合は最寄り駅の地下鉄都営三田線・西巣鴨まで6分くらい歩けば、あとは電車に乗って内幸町駅で降り、地下通路で会社まで行けるので、どんなことがあっても出勤できるのです。これってラッキーなのでしょうか、アンラッキーなのでしょうか 

 

  閑話休題  

 

昨日、東急線で通勤している人から「東急沿線スタイルマガジン・SALUS」というフリーペーパーの10月号をいただきました

この中に「コンサートの事件簿」という連載コーナーがあり、音楽ライターの飯尾洋一さんが「音楽が先か?食事が先か?」というエッセイを書いています

先食べ派の言い分は「コンサートが終わるのは午後9時ごろで、それまで空腹が我慢できない」、「コンサートが終わってから食事をすると帰りが遅くなる」というもの。一方、後食べ派の言い分は「先に食べると眠くなってしまう」、「終演後に飲食しながら、おしゃべりする方が楽しい」、「仕事を終えて7時までに会場に行くだけでも大変なのに、開演前に食事をする余裕などない」というものです

どちらの言い分もよ~く分かります。ちなみに飯尾さんは「両食べ派」とのこと 私の場合は「先食べ派」です。ただし、腹八分目に押えます。そしてアルコール類はいっさい飲みません。軽く食事を取って、コーヒーを飲みます。これは眠気覚ましです

コンサート会場やオペラ会場で開演前からビールやワインを美味しそうに飲んでいる人をよく見かけます。ヨーロッパ諸国では「コンサート会場やオペラ劇場は社交場である。したがって、開演前からビールやワインを飲みながら会話をするのは当然だ」というのが普通なのかもしれません

しかし、私は”絶対に”と言ってもよいほど開演前にアルコール類は飲みません その理由は、第一に私の場合、通常一人でコンサートに行くので、自慢ではありませんが会話の相手がいません 第二に食事を摂った上でアルコールを飲んだら、それこそコンサートの最中に眠ってしまいます 決して安くない入場料を払って音楽を聴くのに眠るのは”最高の贅沢”でしょうが、別の言葉で言えば”お金をドブに捨てるようなもの”です 

さらに言えば、コンサートから帰ってからも基本的にアルコールは飲みません なぜなら、翌日朝7時にはコンサートの感想をブログにアップするため、文章の組み立てを考えなければならないからです

 

  も一度、閑話休題   

 

矢月秀作著「D1警視庁暗殺部」(祥伝社文庫)を読み終わりました 矢月秀作は1964年兵庫県生まれ。著書に大ヒットを続ける「もぐら」シリーズがあるとのことですが、まだ読んだことがありません 彼の作品を読むのはこれが初めてです

法律で裁けない悪人をこの世から抹殺するために警視庁の中に密かに設けられた「暗殺部」。そこには射撃の名手・周藤一希や刃物使いの名人・神馬悠大をはじめとする精鋭部隊が揃っている ある日、吉祥寺の放火事件で遺体からエボラウイルスが検出された。防犯カメラに映っていたのは白装束の集団だった。その現場では女性が誘拐されたことが判明する。暗殺部はターゲットを定め、罠をしかけて本物のワルを暴き出し、文字通り暗殺する

さて、警視庁に「暗殺部」はありません しかし、法の網をくぐってぬけぬけと生きている本当の”ワル”をいつまでも放任しておくわけにはいきません。そこで著者は、もしも警視庁に「暗殺部」があって本当の”ワル”を退治してくれたら一般大衆は溜飲を下げるだろう、と考えて、とてつもない組織を作り出したのでしょう。ちなみにD1のDとはデリート(消す)のDです こんな組織があったら大変です。読み始めたら止まらない本です

 

          

 

  またまた、閑話休題  

 

今しがた1階のメールボックスに新聞を取りに行ったら、朝日、日経ともビニール袋に包まれた朝刊がきちんと届いていました 新聞配達の方がこの暴風雨の中を届けて下さったのです。有り難いと思いますちなみに今週は「新聞週間」。今日、鹿児島市で「新聞大会」が開かれます。文字・活字の役割をあらためて考えてみる絶好の機会だと思います

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下野竜也+新日本フィルでブルックナー「交響曲第6番」を聴く~最初のコラボは成功!

2013年10月15日 07時00分22秒 | 日記

15日(火)。明日16日12時05分から内幸町の飯野ビル1階エントランスロビーでランチタイムコンサートが開かれます 今回はこのコンサートで初めて、ピアノを離れてボーカルとギターによりポピュラー音楽が演奏されます

ボーカルの川部真未さんは洗足学園音楽大学(ミュージカルコース)卒、平成22年度、23年度・同大学ミュージカルコース最優秀演奏者賞を受賞した実力者 面接をした飯野ホール支配人Kさんによると、かなりの美人とのこと ギターの石川恭平さんは同じ洗足学園音楽大学ジャズコース卒の俊英

演奏曲目は「星に願いを」、ミュージカル「キャバレー」より、同「レ・ミゼラブル」より、などミュージカルの曲が中心のようです。お近くにお出かけの際には是非お立ち寄りください

 

          

 

  閑話休題  

 

昨日、すみだトりフォニーホールで新日本フィルの第516回定期公演を聴きました プログラムは①シューマン「チェロ協奏曲イ短調」(チェロ:ルイジ・ピオヴァノ)、②ブルックナー「交響曲第6番イ長調」で、指揮は2001年ブザンソン国際指揮者コンクール優勝者・下野竜也です 

 

          

 

私は新日本フィルの室内楽シリーズの定期会員でもあるので、舞台上を見るとなお馴染みの演奏者が揃っていて親近感を感じます やはり、オーケストラは定期演奏会だけでなく、少人数による室内楽の演奏会を開くことも大事なことだと思います

1曲目のシューマン「チェロ協奏曲イ短調」は1850年、シューマン39歳の秋に作曲されました 第1楽章「速すぎず」、第2楽章「ゆっくりと」、第3楽章「きわめて生き生きと」の3楽章から成りますが、区切りなく連続して演奏され、一つの大きな流れを作ります

チェリストのイタリア人ルイジ・ピオヴァノの登場です。指揮者・下野が指揮台に乗った時と頭の位置が同じ高さです これはむしろ下野の背が低いと言うべきでしょう。コンマスは豊嶋泰嗣です

美しいメロディーが淡々と続き、どちらかというと起伏の少ない、どこが山場か分からない曲想です CDで徹底的に予習しておきたかったのですが、CDが見つからなかったので、ぶっつけ本番で聴きましたそれが原因だと思いますが、曲の良さが十分理解できませんでした。演奏者の名誉のために書きますが、決して演奏が悪かったわけではありません

拍手に迎えられて再登場したピオヴァノは、何をするかと思っていると、チェロに近いヴィオラ首席の野村さんの椅子に座り(野村さんはヴィオラの後方席に移った)、美しいメロディーを奏で始めました 最初は何の曲かまったく分からなかったのですが、そのうち「赤とんぼ」のメロディーが聴こえてきました チェロ・セクションの伴奏をバックに静かに山田耕筰の「赤とんぼ」編曲版をアンコールに演奏しました。しみじみとして良い演奏でした

休憩後は大曲、ブルックナーの「交響曲第6番イ長調」です。下野竜也は2006年から読売日響の初代正指揮者を務め、今年4月から同楽団首席客員指揮者に就任しましたが、正指揮者としての最後の演奏会のプログラムはブルックナーの「交響曲第5番」でした 今シーズンから新日本フィルでも振ることになり、最初に選んだのがブルックナーの「第6交響曲」だったのです ブルックナーに対する彼の意気込みを感じます

この曲は第1楽章「荘厳に」、第2楽章「アダージョ。非常に厳かに」、第3楽章「スケルツォ。速くなく」、第4楽章「フィナーレ。動きをもって、しかし速すぎずに」から成ります

この曲はしばらく聴いていないので、事前にCDで予習しておきました オットー・クレンペラー指揮ニュー・フィルハーモニア管弦楽団のスケールの大きな演奏です

 

          

 

第1楽章冒頭から、ブルックナーの世界が展開します。下野は小さな身体を大きく動かし小気味の良いテンポで音楽を進めます 一転、第2楽章「アダージョ」では、オケにたっぷりと歌わせます。オーボエの古部賢一はいつも聴かせてくれます

第3楽章「スケルツォ」は、これでもか、と繰り返されるメロディーをたたみかけていきます。このしつこい繰り返しについていけない人は次の楽章に進めませんよ、奥さん

この楽章がフォルティッシモで終わり、無音となるはずの会場に、なぜか「キュルキュルキュル」というケータイの着信音が静かに響き渡りました 1階中央の左サイド辺りの席のようです。まだ居るのですね、こういうシーラカンス的な非常識人間が 演奏者に対して、聴衆に対して大変失礼な行為です。もしも私がその人の隣の席で、着メロが「ドラえもん」のテーマだったら、その場で張り倒します

気を取り直して第4楽章「フィナーレ」に移ります。このフィナーレこそ大管弦楽の大家ブルックナーの真骨頂です ブルックナーの頭にあるのは神への賛歌だと思います。大きなカタルシスをもたらして曲を閉じます

拍手とブラボーの中、下野はセクションごとに立たせます。自らも団員から拍手で迎えられます。下野と新日本フィルとの最初のコラボは、まずは成功と言って良いでしょう

 

          

 

さて、新日本フィルのプログラムには音楽評論家の方が分担して曲目解説を書いています 「トりフォニーシリーズ」はAさん、「新クラシックへの扉」はOさんです。読んでいていつも思うのは、このAさんの解説が非常に分かりにくいのです 読み終わってから「はて、いま何が書いてあったんだろうか?」と、もう一度読み直すことがしばしばです 「曲目解説」ですからわれわれ素人がよく理解できるように書いてほしいのですが、Aさんはどうもそれでは飽き足らないようで、「解説」を「文学」に高めようとしているかのように思われます われわれは解説に文学を求めていません 

曲目解説は音楽評論ではないのですから、その曲の出来た背景や特徴、その曲が作曲された時の作曲家を取り巻く状況などを出来るだけ”客観的”に”分かり易く”書いてほしいのです もっとも、これが「曲目解説」でなく「演奏会批評」の場合はその人の主観が前面に出ることは理解できます。それでも、ある程度は共通していると思います。分かりにくい抽象的な事がらを、いかに平易な言葉に置き換えて読者に届けるか、というのが音楽評論でメシを食っている”専門家”の役割だと思いますが、いかがでしょうか

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R・シュトラウス「4つの最後の歌」を聴く~第614回東響定期:次期音楽監督ジョナサン・ノット登場

2013年10月14日 07時00分40秒 | 日記

14日(月・祝)。昨日、サントリホールで東京交響楽団の第614回定期演奏会を聴きました 今回は次期の音楽監督に就任が決まっているジョナサン・ノットがタクトをとります。プログラムはリヒャルト・シュトラウスの①4つの最後の歌(ソプラノ:クリスティーネ・ブリューワー)、②アルプス交響曲です

 

          

 

オケがスタンバイします。おやっ?と思ったのはいつもと配置が違うからです NOTTは向かって左サイド奥にコントラバス、前列に第1ヴァイオリン、右にチェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対向配置を採ります 現在の音楽監督ユベール・スダーンは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラという配置を採るので、第1ヴァイオリン以外はすべて入れ替わっていることになります。言ってみれば、NOTTシフトとでも言うべき編成で、NOTスダーンです

ざっと管楽器を見渡すと、オーボエの荒絵理子の姿がありません プログラムの『楽団人事』コーナーに「首席オーボエ奏者・荒絵理子、2013年10月1日より、ローム・ミュージック・ファウンデーション2013年度奨学生として1年間、ドイツへ留学いたします」とありました そうですか、1年もいないのですか、いつも素晴らしい演奏を聴かせてもらっていたのでとても寂しいです でも、せっかく留学するのですから1年後にはひと回り大きくなって帰ってきてほしいと思います。応援しています

さて、1曲目の「4つの最後の歌」は文字通りリヒャルト・シュトラウス最後の曲です 第1曲「春」、第2曲「九月」、第3曲「眠りにつくとき」の3曲はヘルマン・ヘッセの詞、第4曲「夕映えの中で」がヨーゼフ・フォン・アイヒェンドルフの詞に曲を付けたものです 初演は作曲者の死後の1950年5月22日、ロンドン。フラグスタートのソプラノ独唱、フルトヴェングラー指揮フィルハーモニア管弦楽団によって演奏されたとのこと。凄い組み合わせです その場に居合わせていたらどんなに幸せだったでしょうか まだ生まれてなかったけど

ソプラノのクリスティーネ・ブリューワーがノットとともに登場します。ブリューワーはかなり立派な体格で、ウエストがコンマスの大谷康子さんの2倍はありそうです(よいこはマネして書かないでね)。

ノットのタクトで第1曲が始まります。ブリューワーは恵まれた身体を生かした余裕のある声でリヒャルト・シュトラウスの最後の歌曲に臨みます 高音部が輝いています 4曲ともメロディーが美しく大好きな歌ですが、とくに第4曲「夕映えの中で」は最晩年のシュトラウスの諦念の心境が見事に現われていて、ジーンときます 「夕映えの中で」の最後のフレーズは次のようなものです。

「広やかな 静かな やすらぎ

かくも 深き夕映え

さすらいにも 飽き果てた

これが 死というものか」

私はリヒャルト・シュトラウスという作曲家は、誇大妄想的であまり好きではありません しかし、オペラ「ばらの騎士」とこの「4つの最後の歌」だけは本当に素晴らしいと思っています この日の演奏を聴くため、グンドラ・ヤノヴィッツのソプラノ、カラヤン指揮ベルリン・フィルのCDで予習しておきました。

 

          

 

さて、休憩後の2曲目は、その誇大妄想の極致「アルプス交響曲」です。リヒャルト・シュトラウスは「自分には、音楽で表現できないものは何もない」と豪語していたと言われています 交響詩「英雄の生涯」では、自分を英雄視して作曲家としての実力を誇示しているし、同じく「家庭交響曲」では、夫婦喧嘩まで音楽で表現しているのですから、何だって音楽にして表現していることは分かりますが、呆れます

この「アルプス交響曲」にしたって、一言でいえば「登山者が山を登って、山頂に着いて、山を下ってくる」のを表現しただけの音楽です。だからどうした と言いたくなります、私としては。

プログラムの曲目解説を成田麗奈さんという人が次のように書いています

「登山者の一日が壮大なスケールで描かれている。とはいえ、R.シュトラウスの他の作品同様、この作品もまた、単純な描写音楽ではない。彼は音詩において、またオペラ作品においても、自画像的な作品を生み出している これらは単純な功名心や自己陶酔によるものではなく、自分自身を一素材として客観的に、時として批判的に扱い、大自然を前にした人間の無力さや、やがて死すべき運命にある人間の有限性を描こうとする姿勢が根底にある

この解説を読んで、本当にそうだろうか?と非常に疑問に思います。彼もまた「神は死んだ」と言ったニーチェの思想に影響されたと言われていますが、「どこまでその思想を音楽に反映できたのか」と言えば、せいぜい「ツァラトストゥラはかく語りき」くらいではないか、と思います 他の作品に思想性など見られません。彼の曲の良いところは、大管弦楽による技巧的でスケールの大きな音楽にあると思います

さて、ノットの前には譜面台がありません。暗譜で指揮をするようです。第1曲「夜」から入ります。日の出、登り道、森に入る・・・・と続きます。最後の「夜」に戻るまで全部で22曲のシーンがあります。それぞれのシーンが管弦楽によってカラフルに”描写”されていきます パレットで絵を描くように。

ノットの指揮は華麗です。両手の動きがすごく美しいのです 一言でいえば”絵になる”指揮です 約50分の演奏を終えて、拍手とブラボーに笑顔で答えるノットの顔を見ていたら、50歳代だった頃のカラヤンによく似ているな、と思いました 違う点は、カラヤンは目をつぶって指揮をしていましたが、ノットはしっかりと目を開けて楽員とアイコンタクトをとっていたところです

終演後、オケはノットの指示で1度目は立って聴衆の拍手に応えましたが、2度目、3度目は座ったまま次期音楽監督に拍手を送り、足を鳴らします ノットも嬉しそうです

この日の演奏は、船での航海に例えれば、100ノットのスピードで次期シーズンに向けて出港したと言えるでしょう

 

          

         

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新国立オペラでヴェルディ「リゴレット」を新制作版で観る~ブラボー!ヴラトーニャ!

2013年10月13日 07時16分16秒 | 日記

13日(日)。昨日、初台の新国立劇場でヴェルディのオペラ「リゴレット」を観ました 元々10月3日のプルミエ公演を観る予定だったのですが、新日本フィルの室内楽シリーズと重なったため、こちらを13日に振り替えてもらったものです

新国立劇場の正面玄関で、草月流家元・勅使河原茜さん作による見事な生け花が迎えてくれました

 

          

 

この公演は2013年ー2014年のオープニング公演で、新制作によるものです キャストは、道化師リゴレット=マルコ・ヴラトーニャ、その娘ジルダ=エレナ・ゴルシュノヴァ、放蕩者の君主マントヴァ公爵=ウーキュン・キム、殺し屋スパラフチーレ=妻屋秀和、その妹マッダレーナ=山下牧子ほか バックを務めるのはピエトロ・リッツィ指揮東京フィル。演出は2009年の新国立オペラ「ヴォツェック」を演出したアンドレアス・クリーゲンブルクです

 

          

 

振り替え公演のため、座席は1階17列32番と、いつもよりずっと右寄りの席になります 人気プログラムとあってか、会場はかなり席が埋まっています

リッツォのタクトにより第1幕が始まります。集中力に溢れ引き締まった良い演奏です この指揮者はバランス感覚が優れているように思います。幕が開くと、舞台には建物の3階分を輪切りにしたような舞台装置が現われます

演出のクリーゲンスブルクがプログラムで語っているところによると、舞台は現代のホテルに設定しているが、その理由は、ホテルは大都会の代名詞であり、マントヴァ公爵のような大富豪が大勢集うエレガントな場所で、しかも匿名性を保てる場所である 一方、その屋上は雨ざらしの場所で、社会から疎外されているリゴレットやその娘ジルダ、殺し屋スパラフチーレやその妹マッダレーナが住む場所である そうした上層階級、下層階級の生活を対比することを通して、マントヴァ公爵に娘ジルダを弄ばれたリゴレットの復讐とその失敗を描こうとした、というものです

古典的なオペラの場合、演出で時代設定を現代に置き換えたり、場所を別のところに移したりすると、観ている方が落ち着かなくなり、すんなりと音楽が耳に入ってこないという状況になりがちです 今年5月に新国立劇場で上演されたヴェルディ「ナブッコ」の演出がそうでした。あの時は、舞台を現代のデパートに置き換えた演出によって上演されましたが、終始違和感を感じながら観ていたのを覚えています

それに比べて、今回の「リゴレット」の演出は、舞台を現代のホテルに移しているにも関わらず特段の違和感もなく観ることができました 今年夏に観たニューヨーク、メトロポリタン歌劇場のMETライブビューイングの「リゴレット」も舞台を現代のラスベガスに移した演出でしたが、何の違和感も感じない素晴らしい演出でしたが、それと同じような印象を持ちました

 

          

 

歌手陣では、何と言ってもリゴレット役のマルコ・ヴラトーニャが安定感のある見事なバリトンを聴かせてくれました 世界中のオペラ劇場で歌っているのが頷けます。ジルダ役のエレナ・ゴルシュノヴァは美しい美貌と相まって伸びのあるソプラノを聴かせてくれました

マントヴァ伯爵役のウーキュン・キムは無理のないテノールで、歌は申し分ないのですが、一癖も二癖もある伯爵の役割としてはどうだったか、と問われると、いま一つ物足りなさを感じました

殺し屋スパラフチーレ役の妻屋秀和は、何を歌わせてもそつなくこなすバスですが、この役でも見事な歌唱力と演技力で聴衆の期待に応えていました

最後に、忘れてはならないのは、リッツォのタクトのもとで素晴らしい演奏を展開した東京フィルのメンバーです オーボエの独奏は物語の悲劇性を見事に表現していました コントラバスの重低音は物語の重さを感じさせました。ほかにも数えきれないほど素晴らしい瞬間が多々ありました

 

          

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萩原麻未+エル・システマ・ユース・オーケストラ・オブ・カラカスでグリーグ「ピアノ協奏曲」を聴く

2013年10月12日 07時15分16秒 | 日記

12日(土)。新聞業界紙「新聞之新聞」10月7日号に「よみうり大手町ホール オープニングシリーズ決定~来年3月 読響特別公演で開幕」という見出しの記事が載りました 要約すると、

「大手町で今秋竣工する読売新聞東京本社の新社屋(33階建て)に造られる『よみうり大手町ホール』(501席)のオープニングシリーズの公演内容が決まった 2014年3月28日、読売日本交響楽団の特別公演で開幕 6月末までの3か月間、クラシックからジャズ、伝統芸能まで多彩な公演が行われる。クラシックでは、読売日響名誉客演指揮者の尾高忠明が、河村尚子をソリストに迎えモーツアルトの『ピアノ協奏曲第23番』を演奏するほか、辻井伸行のピアノ・リサイタルなども予定されている

客席数501というのは内幸町のイイノホールとほぼ同じです。是非一度聴いてみたいと思いますが、有楽町駅前のビックカメラ・ビルにある読売ホールはどうするのでしょうか

 

  閑話休題  

 

昨夕、池袋の東京芸術劇場でベネズエラのオケ「エル・システマ・ユース・オーケストラ・オブ・カラカス」のコンサートを聴きました プログラムは①ヴェルディ「オペラ”運命の力”序曲」、②グリーグ「ピアノ協奏曲イ短調」(ピアノ:萩原麻未)、③チャイコフスキー「交響曲第5番ホ短調」で、指揮は音楽監督のディートリヒ・パレーデスです

「エル・システマ・ユース・オーケストラ・オブ・カラカス」はベネズエラの、音楽による青少年教育システム「エル・システマ」内で結成されたオケで、14歳から22歳まで計175人の若者たちから成っています

会場の東京芸術劇場に着いて、チラシの束を指定の1階L列14番に置いてからトイレに行きました。男子トイレに入ってビックリしました。5~6人の外国人の若者が着替えの最中だったのです 一人は上半身ハダカ、一人はワイシャツを着ているところ、一人はズボンのチャックを閉めているところ、小用便器に上には腕時計や財布が置きっぱなし・・・・という具合で、一瞬、新宿三丁目のゲイバーに紛れ込んだのではないかと勘違いしそうになりました よ~く考えてみると、彼らはこれから演奏するオケのメンバーでステージ衣装に着替え中だったのです それにしても、天下の東京ゲイ術劇場なのだから控室はあるだろうに。さすがに175人は収容しきれなかったか

 

          

 

座席はほぼ満席です。若き演奏者たちが拍手に迎えられて次々と入場します これ以上は舞台に乗れないのではないかと思うほど、所狭しとメンバーが席に着きます 全員を数えるのは面倒なので、代表してコントラバスを数えると15人もいます ヴァイオリン・セクションの多さは言うまでもありません。オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後方にコントラバスという態勢を採ります 男女の比率はほぼ半々くらいと思われますが、第2ヴァイオリンとチェロに女性が多いようです。男性は黒の上下にエンジ色のネクタイ、女声はワインレッドのノースリーブで統一されています

パレーデスがタクトを持って登場します。彼が後ろに向いた瞬間、会場後方でフラッシュが焚かれました日本人ではないと思いますが、どうでしょうか?1曲目のヴェルディのオペラ「運命の力」序曲が始まります。オーボエ、クラリネット、フルートのソロがありますが、皆素晴らしい演奏です。若さの総力で力強い演奏が展開します

演奏が終わり、指揮者が袖に引っ込んでもコンマスが座らないのでオケはずっと立ちっぱなしです 3回目くらいに、やっと気が付いたか、コンマスが座り、それに倣ってオケが座るや否や、指揮者が登場します。何ともちぐはぐな感じですが、こういうところが良いのでしょうね、このオーケストラは

弦楽器を中心に椅子がかなり片付けられ、舞台の左袖からピアノが中央に運ばれますが、何しろ人数が多いので、一旦メンバーが舞台袖に引っ込むのに時間がかかります 相当オケが縮小されてオケがスタンバイします。何と、コンマスよりも遅れて登場したメンバーが約2名いました

2曲目はグリーグの「ピアノ協奏曲イ短調」です。萩原麻未が白のドレスに身を包まれて登場します 激しい第1音で曲が開始されます。第1楽章の終盤のピアノの独奏は狂気迫るものがあり、萩原麻未の集中力が発揮されます 第2楽章の抒情に満ちた演奏はロマンティックそのものです 第3楽章は舞曲のような弾むメロディーの音楽が続きます。そして華々しいフィナーレを迎えます 萩原麻未は期待通りの瞬発力で素晴らしい演奏を聴かせてくれました

会場一杯の拍手とブラボーに、彼女は会場に向かって何かを言ってアンコールを始めました。「震災で亡くなられた人・・・・」という言葉が聞こえたので、多分、3.11東日本大震災で亡くなられた霊に捧げるために演奏する、と言ったのだと思います 彼女は、静かにバッハ作曲・グノー編曲「アヴェ・マリア」を演奏しました これが、心に沁みる素晴らしい演奏でした

休憩後はチャイコフスキーの「交響曲第5番ホ短調」です。オケは再びフルメンバーでの登場です コンマスが代わり、パレーデスが登場、第1楽章が開始されます 彼は楽章間の間を空けずに続けて演奏します。これは彼の演奏の特徴だと思います とくに第2楽章のホルンの独奏が光っていました。演奏後、指揮者は真っ先にホルンを立たせました 会場のそこかしこでスタンディングオベーションで若者たちを賞賛します 

指揮者が何度か舞台袖に引っ込んでは出てきたと思ったら、急に会場の照明が落とされ、真っ暗闇になりました いったい何が起こったのか、会場は不安と期待に満ちています しばらくすると、再び照明が点けられ、舞台上のメンバーが浮かび上がりました。全員が下の写真にあるような青、赤、黄色に彩られた派手なパーカーを着ています これはベネズエラの国旗をあしらったデザインなのでしょう。会場は驚きと喜びに満ち、拍手 と口笛が飛び交います

 

          

 

パレーデスがオケの方に振り返り、アンコールを演奏します サン=サーンスの「サムソンとデりラ」から”バッカナール”、そしてバーンスタインの「シンフォニック・ダンス」から”マンボ”です(もう1曲やったのですがメモしきれず)。オケのメンバーは、時に楽器を持ち上げて踊りながら、時に楽器をクルクルと回しながら、楽しそうに演奏します 聴衆は手拍子で応えます こんなに生き生きと演奏するオケがほかにあるでしょうか

すべてが終わると、オケのメンバーはパーカーを脱ぎ、会場に向けて放り始めました 会場は興奮の坩堝と化しパーカー争奪戦の様相を呈してきました。はたして、ここはAKB48のコンサート会場か?それともペルシャザールの饗宴か?はたまたB級グルメ選手権のグランプリ発表会場か?こんなに賑やかなフィナーレは初めてです

ロビーで10月8日に発売されたばかりのCDが売られていました 萩原麻未のピアノ、パレーデス指揮エル・システマ・ユース・オーケストラ・オブ・カラカスによるグリーグ「ピアノ協奏曲イ短調」とショスタコーヴィチ「交響曲第5番ニ短調」で、今年6月8日にカラカスで収録されたライブ録音です。日本・ベネズエラ外交関係樹立75周年を記念したもので、収益は被災地の復興支援のために寄付されるとこことです 終演後、サイン会があるというので迷うことなく購入しました。萩原麻未待望の初CDですから

終演後、ロビーのサイン会用デスクに並びましたが、10番目でした。通路側寄りの席は有利です とは言うものの、かなり長時間待たされました。パレーデスが「ソーリー、トゥー・レイト」と謝りながら萩原麻未とともに来場しました。パレーデス、萩原の順にサインをすることになっており、最初にパレーデスがCDジャケットのど真ん中に堂々とサインを書いてしまったのでスペースがあまりなくなってしまいました 麻未さんに「どこにサインしましょうか?」と訊かれ、迷った挙句、左上のスペースを指して「この辺にお願いします」とお願いすると、チャチャッとサインしてくれ、「ありがとうございました」とお礼を言うとニコッと笑ってくれました 「パレーデスめ、でかでかと真ん中にサインしやがって」と恨みましたが、短いながらも麻未さんと会話する機会を作ってくれたのだから感謝しなければ、と思い直すことにしました 下の写真中央の黒色の細いサインがパレーデス、左上の金色の太いのが萩原麻未さんのサインです 麻未さん、サインの左側の音符♪は判るのですが、あとは何と書いてあるのでしょうか

この日のコンサートは、憧れの萩原麻未さんとベネズエラの若き演奏者たちの情熱的な演奏に元気をもらいました

 

 

          

          

            (旧式ガラケーの写メのためシャッタースピードが遅く、

            何枚か失敗のあと苦労してやっと撮った1枚です

          

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