人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

中国のピアニスト、ユンディ・リ来日中止~尖閣列島問題が契機

2012年09月20日 12時55分15秒 | 日記

20日(木)その2.ついに来たかという思いです。

日本政府の沖縄県尖閣列島の国有化に反発する中国では、1週間以上にわたり反日デモが続き、現地の日本企業は破壊・放火され、デパートは高額商品が略奪されるなど、大きな損害が出ています 当然のごとく日中経済交流行事の延期が相次いでいます 新聞界では、1982年以来、相互理解の促進を目的として実施してきた日中記者交流計画が、中国側の要請で中止になりました 日本の記者団は9月17日から10日間の日程で中国各地を訪問する予定でした。

まあ、事故った新幹線を穴を掘って埋めてしまう国柄ですから、何があっても驚かないのですが、それにしてもやりたい放題です。中国政府も10月に開く予定の共産党大会を前にして、国民から”弱腰”と批判されないように、デモや破壊活動を黙認していました

こうした中、今朝の朝日の案内広告欄に「謹告 ユンディ・リ 日本公演中止」の記事が載りました。

「本国からの来日を見合わせるよう指導を受け、やむを得ず公演を中止致します。ご了承賜りますよう謹んでお願い申し上げます。チケットの払い戻しについては、各主催者までお問い合わせ下さい」

として、文京シビックホール、東京文化会館、都民劇場、神奈川芸術協会、サントリーホール、ジャパン・アーツぴあ、の各連絡先が書かれています

私は22日(土)に「響きの森クラシック・シリーズ」でユンディ・リのピアノ、小林研一郎指揮東京フィルでチャイコフスキー「ピアノ協奏曲第1番」の演奏を聴く予定でした ”謹告”によると代演は上原彩子となっています。急きょ、代演を頼まれた上原さんも大変だと思いますが、ユンディ・リの演奏を楽しみにしていた人は多かったのではないでしょうか

冒頭「ついに来たか!」と書いたのは、尖閣列島問題が、経済に止まらず、文化にも影響が及んできたからです 

”謹告”で「本国から来日を見合わせるよう指導を受け」とあるのが、気になります リさんが来日した時、日本人から危害を受けるとでも思っているのでしょうか はっきり言って、クラシック音楽愛好家にそういう暴力的な人はいません。ここは日本です。何があろうとも、われわれクラシック愛好家はいつでもリさんの来日を熱烈歓迎します

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読み始めたら止まらない~ダン・ブラウン著「ロスト・シンボル(上)」を読む

2012年09月20日 06時58分37秒 | 日記

20日(木).昨日の日経夕刊に「イエスに妻?初の文献」という記事が載りました

「米紙ニューヨーク・タイムス電子版は18日,イエス・キリストが自身の”妻”について言及したと記されている文献が見つかったと報じた.カトリック教会は,キリストは独身だったとの立場を堅持しており大きな論争を呼びそうだ」

それではNHKから実況中継です.キリストさんがスタジオから出てらっしゃいましたので,ちょっと伺ってみたいと思います

アナウンサー 「あなたに奥さんがいらっしゃるという報道がありますが.本当ですか?」

キリスト    「イエス

 

  閑話休題  

 

ダン・ブラウン著「ロスト・シンボル(上)」(角川文庫)を読み終わりました ダン・ブラウンと言えば1998年に「パズル・パレス」でデビュー,2003年に発表したルーヴル美術館で起きた殺人事件を扱った「ダヴィンチ・コード」が大ベストセラーになり,次いでガリレオ創設の科学者秘密結社”イルミナティ”を扱った「天使と悪魔」で話題をさらった人気作家です

「ロスト・シンボル」は世界最大の秘密結社”フリーメイソン”を扱った小説ですが,文庫本で3冊で,今回読んだのは最初の上巻です

フリーメイソンの最高位である歴史学者ピーター・ソロモンに代理で基調講演を頼まれたロバート・ラングドンは,ワシントンDCへ向かいます.しかし,彼を会場で待っていたのはピーターの切断された右手首だった そこには謎を解決する第1の暗号が示されていた.ピーターからある物を託されていたラングドンは,CIA保安局のサトウ局長から,国家の安全保障にかかわる暗号の解読を依頼される.一方,ピーターの妹・キャサリン・ソロモンは,謎の男(全身刺青の)マラークから,兄の秘密を知っていると言われ会うことを約束します.実はマラークこそが,兄の腕を切り落とした犯人だったのです

さすがはダン・ブラウンです 読み始めたら止められません.すぐに(中)巻を読み始めました

 

          

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超面白い!~N響の鶴我裕子著「バイオリニストは目が赤い」を読む

2012年09月19日 06時59分11秒 | 日記

19日(水)。昨夕,X部長から「30分ね.タイムキーパーにT君を連れて行くから」と言われ,S元監査役,T君と4人で地下のRで飲みました と,ところが30分が”30分間”ではなく6時”30分”になり,さらに「もう1軒!」となってIビル地下のヴェトナム料理店YBに移り,また飲みました いつものパターンです.T君がヴェトナム焼酎「ネプモイ」のボトルの裏を見て「これ,40度もありますよ」と驚いています.驚くには当たりません.平熱よりもちょっと高いだけです.赤ん坊など風邪をひけばすぐに40度の熱を出します.えっ,そういう問題じゃない?ゴメンナサイ,度が過ぎました

YBを後に,3人は再び当ビルに戻り地下のOに行きましたが,私は,先日,元の職場OBのM氏と飲んだFSビル地下のZWに行きました.その時に撮ったお店のアルバイトT.Mさんの写真を本人に渡すためです お店の青年に「Tさん,いらっしゃいますか?」と訊くと,不審そうな顔をするので「この間撮った写真を渡したいんですが」と言うと「あー,ブログの・・・」と言って,呼びに行きました.笑顔が素敵な本人に渡せたので,お店では飲まず(ごめんなさい),まっすぐ家に帰りました

それにしても昨夜は久しぶりに大雨が降りましたね しかも凄いカミナリでした.ピカッと光ったかと思ったら直後にゴロゴロ・ドカーンともの凄い音がしました.近くに雷が落ちたのではないか,と思ったほどです.おかげで熟睡できませんでした.せめて,これをキッカケに涼しくなってくれれば良いのですが

 

  閑話休題  

 

昨日の日経朝刊に「疑似体験、よりリアルに~立命館大、”音”加える」という記事が載りました

記事によると、立命館大学の田村教授らは、現実の風景と仮想の画像を重ね合わせる「複合現実感」(MR)技術を開発したとのこと プラネタリウムのようなドーム型の部屋に、指向性の高い音を全方位に出せる特殊なスピーカーを設置して、画像を鑑賞しながら音が聴けるとのこと。例えば、オーケストラの指揮者の位置を再現できるということです 

指揮者の位置でオーケストラの音を聴く体験ができるのは素晴らしいと思いますが、どうせなら、本物のオーケストラを前に指揮台に立ってみたいですね 欲を言えば曲は何でもいいから指揮をしてみたいですね でも、フルトヴェングラーならぬ”振ると面食らう”と言われそうです

 

  も一度,閑話休題  

 

鶴我裕子著「ヴァイオリニストは目が赤い」(新潮文庫)を読み終わりました 鶴我裕子(つるがひろこ)さんは福岡県生まれ,東京芸大卒,1975年にNHK交響楽団に入団し,第1ヴァイオリン奏者を32年間務め,現在は嘱託楽員として活躍しています

この本は,もともとNHKの「N響アワー」にゲスト出演した時に,司会の檀ふみさんから勧められて「音楽現代」に連載したエッセイを中心にまとめ,2005年に「バイオリニストは肩が凝る」というタイトルで出版されたものです 学生時代の思い出,マエストロたちの素顔,理想の指揮者像などを面白おかしく書いています

「私の音楽終業時代」の「歌を忘れたカナリアになった理由(わけ)」を読むと,あまりの可笑しさに噴き出してしまいます

音大で教職課程を取ろうとする場合,声楽の授業と試験を受けなければならない 友人にピアノ伴奏を頼んである曲を歌った.試験当日,すぐ前の順番の人がモーツアルトの「踊れ,喜べ,幸いなる魂よ」をすごく上手に歌ったので覗いてみると,邦楽の家元の娘で,華々しく伴奏を弾いているのは,あのコバケン(小林研一郎)だった 「邦楽の人にこんなにうまく歌われちゃあ,おしめえだ」などと軽口をたたいているうちに自分の順番になった.試験官は錚々たる先生方で,あがりにあがりまくってしまい,哀れな歌声を披露してしまった 外に出ると,目の前でさっきの二人が二つ折りになっていた.なんと,笑っているのだ コバケンは,苦しい息の下から「おツル,おツル・・・・」というのがやっとで,涙ポロポロ.さては私の歌を聴いたね.まあ二人してよく笑うこと.泣いているのかと思うほどだった.あれ以来,私は歌を忘れたカナリアになった

そして,さらに続けます.

しかし,不思議だ.私は小学生のころ,放送局の児童合唱団でソロを歌ったりしていたのだ.姉だって,とてもよい声をしていて,声楽家だ.どうしてこうなってしまったんだろう.私のDNAを返して

指揮者については言いたいことが多々あるようです

「本来,指揮者はプレイヤーのカタキだ.人につらいことを全部押し付けておいて,手柄は横取りする,嫌われて当然の存在なのだ

「(オーケストラは)指揮者一人で総ギャラの何分の一から数倍をかっさらうという”ぬすっとに追い銭”システムなので,たまらない

そして,いい指揮者とは,

1.名実ともに,自分の上をいっていること.

2.人格が備わっていること.

3.今も,すごく勉強していること.

以上が最低条件.さらに,

4.自分(私)の好きな音楽づくりをすること.

5.容姿・動作が美しいこと.

6.ユーモアがあること.

もっと言うなら,

7.練習がうまく,すぐ終わること.

8.無意味に難しい曲を,やらないこと.

最後に,

9.聴衆に人気があること.”人気”と,我々にとって向上できる指揮者ということは,必ずしも一致しない.ただ,彼が登場しただけで客席が沸けば,やる気が出る.

では,1から9までを満たす指揮者は誰かというと,サヴァリッシュ,スベトラーノフ,ブーレーズを挙げています.私もスベトラーノフ大好きです

平凡な指揮者と良い指揮者の違いを次のように語ります

平凡な指揮者は,初めの練習でまず全曲を通すが,これは奏者を疲れさせるだけ まだ整備の出来ていない飛行機を「とにかく目的地まで飛ばしてみよう」というのと同じだ.名指揮者は,決してこれをしない ゲネプロ(会場練習)も,やみくもに通したりせず,ポイントだけを押さえ,少しの不安を残して解散するものだ.このスパイスのおかげで,みんな本番で油断をしないし,棒に集中する 結果は,自分一人では決して行けなかったような高みまで登ることになる

このほか,N響はどのように新人を採用しているのか,好きな指揮者,作曲家,演奏家など盛りだくさんの内容になっていますが,どれもがユーモアに溢れ,鶴我さんの人柄がしのばれる素晴らしいエッセイになっています.最近読んだクラシック関係の本の中でダントツに面白かった本です

 

          

 

  さらに,閑話休題  

 

今日はマーラー「交響曲第7番」が初演された日です.1908年9月19日のことでした.マーラー自身がチェコ・フィルハーモニーを振ってプラハで初演しました リハーサルに付き合った若き日のオットー・クレンペラーの回想録によると,リハーサルは何と24回にわたったといいます 一番説得力のある演奏は,そのクレンペラー指揮ニュー・フィルハーモニアオーケストラによる悠然とした演奏です

 

          

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バッハ演奏の最高峰~バッハ・コレギウム・ジャパン第99回定期演奏会を聴く

2012年09月18日 06時59分12秒 | 日記

18日(火)。あさって9月20日(木)午後12時05分から12時55分まで、内幸町の飯野ビル1階エントランスホールで第6回ランチタイムコンサートが開かれます 出演はピアノの水野利枝子さん。5歳からピアノを始め、2010年に国立音楽大学を卒業、第22回かながわ音楽コンクール・ユースピアノ部門Fの部最優秀賞を受賞 2012年には桐朋学園大学院を卒業しました

プログラムは①シューベルト「即興曲作品90-1」、②同「即興曲作品90-3」、③ドビュッシー「前奏曲集第2巻より」1.霧、④「同」9.ピックウィック殿礼賛、⑤「同」10.カノ―プ、⑥「同」12.花火、⑦リスト「エステ荘の噴水」です

このランチタイムコンサートに出演するピアニストは,今はほとんど無名かも知れませんが,これからが期待できる若手演奏家ばかりです 明日のアルゲリッチが出るかも知れませんよ 昼食後のひと時,肩に力を入れず気軽に聴きましょう

 

          

  

  閑話休題  

 

昨日、東京オペラシティコンサートホールでバッハ・コレギウム・ジャパン(B.C.J)の第99回定期演奏会を聴きました この定期コンサートの時は開演30分前の開場とともに会場になだれ込んで,1000円のプログラムを買って片っ端から読み始めます それでも30分では読み切れません.ほとんど音楽大学の学生か卒業生でなければ理解できないような専門的な解説が書かれているので,一度読んだだけではサッパリ分かりません それでも一度は目を通しておかないとチンプンカンプンなのです

プログラムは①J.S.バッハ「プレリュードとフーガ 二短調BWV.539」,②クレープス「神がなすのは惠に満ちた御業」(以上オルガン独奏:今井奈緒子)、③J.S.バッハ「カンタータ第197番”神はわれらの避け所”BWV.197」,④同「カンタータ第197番a”いと高きところにいます神に栄光あれ”BWV.197a」より第4,5,6,7曲」,⑤同「カンタータ第14番”神がこの時われらと共におられなければ”BWV.14」、⑥同「カンタータ第100番”神がなすのは惠に満ちた御業”BWV.100」です

独唱はいずれもB.C.Jではお馴染みのハナ・ブラシコヴァ(ソプラノ)、ダミアン・ギヨン(カウンター・テナー)、ゲルト・テュルク(テノール)、ペーター・コーイ(バス)です

開演2分前にロビーで開演ベルが鳴らされ,同時に,舞台真上の天上のピラミッド状の三角窓が閉じられます それまでは天井のガラス越しに空が見えていました 

開演ベルはホールによって違います.サントリーホール,トりフォニーホールをはじめ多くのホールでは,あらかじめ録音されたチャイムや電子音楽等が会場に流れますが,ここオペラシティコンサートホールは,ベル(下の写真)をロビー中央に運んで,係の人が叩いてメロディーを奏でます このメロディー,ホールの名前が”タケミツ・メモリアル”なので武満徹が作曲したものか,と思ったのですが・・・・・・武満徹は1996年2月に死去しています一方,このベルの足元には97年9月10日の日付が刻まれています.つまりこのホールがオープンした日です.ということは,彼の死後にベルのメロディーが作られたということでしょうか.それではいったい誰が作ったのでしょうか

 

           

           

 

最初のオルガンの2曲は今井奈緒子さんの演奏ですが,バッハのパイプ・オルガン曲を聴くと,いつも”にわかクリスチャン”になります カンタータ第197番はトランペットが3本使われますが,3人の奏者は片手で楽器を持ち,腰に手を当ててバルブのない楽器を吹きます それは見事な演奏です.アルトによるアリアにオーボエの伴奏が付くのですが,三宮正満のバロック・オーボエはいつ聴いても最高です合わせて隣でファゴットを吹く村上由紀子の演奏も冴えています アイ・ハブ・ネバー・ファゴット(ン?)ソプラノのハナ・ブラシコヴァは透明感のある美しい声で聴衆を魅了します

曲が終了後,鈴木雅明氏がマイクを持って登場,次のカンタータ第197番aについて説明します

「第197番は結婚のためのカンタータですが,その元になった曲が第197番aで,これはクリスマスのためのカンタータです このうち2曲に共通点があります.ついさっき聴いたような気がする,と思うかもしれません(笑)」

そして,演奏に入ります.最初はアルトのアリアにフルート2本が伴奏をつけます.フラウト・トラヴェルソの管きよみ,菊地香苗の二人が素晴らしい演奏を展開します 次のバスのアリアには三宮正満のオーボエがしっかりと伴奏をつけます

休憩後,オーケストラのメンバーが登場してチューニングを始めます.オルガンの今井さんは,バルブのないホルンのチューニングに付き合っています ”終わったかな”と思ったら,チェンバロの鈴木優人が舞台裏に声をかけに行きました.何だろう?と思っていると,一人の男が舞台に現われ,今井さんのところまで行って,オルガンの再調整を始めたのです.どうやら音程がずれたらしいのです 1~2分で作業が終わり,指揮者を迎えました.この時,今井さんが言いに行かないで鈴木優人が行ったのは,まさか,今井さんは音程がずれたのに気が付かなかったわけではないでしょうね 今井さんの代わりに鈴木優人が行ったとみるのが自然でしょうね

後半のカンタータ第14番も第100番も,ソプラノのハナ・ブラシコヴァをはじめ,カウンターテナーのダミアン・ギヨン,テノールのゲルト・テュルク,バスのペーター・コーイともども素晴らしい歌声を聴かせてくれました 彼らを支えた三宮正満,村上由紀子,管きよみ,若松夏美らのソロによる伴奏も冴えていたことはいう間でもありません

それにつけても,B.C.Jのコンサートはいつ聴いても”ハズレ”がありません.世界に通用する古楽器のプロ集団だからでしょう

 

          

 

 

 も一度,閑話休題  

 

昨日の日経朝刊「列島ダイジェスト」欄に「光城精工がLP盤の収納袋」という小さな記事が載りました.記事によると,

「電子機器製造の光城精工(青森県平川市)はLP盤レコードを収納するソフトスリーブ(内袋)を発売した.不織布を袋状に加工したもので,ノイズやホコリがつく原因となる静電気の発生を抑える素材を使った.表面のキズも防ぐ 手持ちのLPレコードのジャケットに入れて使う.希少価値のあるコレクションを大切にしたいという愛好家などの需要を見込む 価格はオープンだが,予想実売価格は1枚入りが400円,10枚入りが4000円」

LPレコードを聴くときにネックになるのは,ジャケットからレコードを取り出すときに生じる静電気です ポリエチレン製の内袋がレコード盤にピッタリくっついて,取り出す時にパチパチっとくるのです それが解消されるということなので,素晴らしい商品だとは思います ただ1枚400円だとすると,所有する1500枚のLPの内袋をすべて入れ替えると60万円もかかる計算になります.これ,あり得ないっしょ 青森の会社がLPレコード愛好家にどうPRしていくのか,他人事ながら心配です.”希少価値のある”レコードは1枚も持っていませんが,愛好家の一人として,売れることをお祈りします

 

 

 

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モーツアルト「ピアノ協奏曲第27番」,ショスタコ「第4交響曲」を聴く~東響第603回定期演奏会

2012年09月17日 07時00分10秒 | 日記

17日(月・祝日).今日は「敬老の日」.総務省が16日に発表した高齢者人口推計によると,65歳以上は前年から102万人増えて3074万人(男性1315万人,女性1759万人)に達し,初めて3000万人を超えたとのことです.これからも増え続ける方向にあるといいます 日本の成長はどうなる?日中問題はどうなる?日韓問題は?日露問題は?民主党どうする?自民党どうする?新興勢力どうする

 

  閑話休題  

 

15日(土)午後2時からの錦糸町のトりフォニーホールでの新日本フィル定期公演に次いで,午後6時からサントリーホールで東京交響楽団の第603回定期演奏会を聴きました プログラムは①モーツアルト「ピアノ協奏曲第27番K.595」、②ショスタコーヴィチ「交響曲第4番ハ短調」の2曲、指揮はヴァシリー・シナイスキー、ピアノはデジュー・ラーンキ,コンサートマスターは大谷康子です

 

          

 

指揮者シナイスキーは,キリル・コンドラシン,イリヤ・ムーシンに師事.1973年カラヤン国際指揮者コンクールで金メダルを受賞,2010年からボリショイ劇場の首席指揮者・音楽監督を務めています 

 

          

 

ラーンキはハンガリー出身のピアニストで,フランツ=リスト音楽院で学び,1969年にドイツのロベルト・シューマン・コンクールで優勝しました

 

          

 

舞台に登場したラーンキの白髪を見て,”紅顔の美青年だった彼も年を取ったなあ”と思いました.モーツアルトの「ピアノ協奏曲第27番K.595」は最後のピアノ協奏曲です.1791年1月5日に完成し,同年3月4日にウィーンで作曲者自身の演奏で初演されました 彼はこの年の12月5日にこの世を去っていますから晩年の曲といえます 第3楽章のテーマは歌曲「春への憧れ」として転用,K.596として「全自作作品録」に登録されています.モーツアルトはこのメロディーがよほど気に入っていたのでしょう

シナイスキーは指揮台を置かず,タクトを持たずに登場します.第1楽章冒頭の淡々としたメロディーに次いで,ラーンキのピアノが入ってきます.第1印象は”すごく柔らかい演奏”です これは最終楽章まで変わりませんでした.ラーンキは終始軽やかにモーツアルトを弾き切りました

終演後,会場のブラボーと拍手に3度舞台に呼び戻されましたが,袖に戻ろうとしたとき,コンマスの大谷さんが一言ラーンキに声をかけました.多分”アンコールしないの?”と言ったのだと思います すると,ラーンキはピアノに向かい,聞き覚えのあるメロディーを軽やかに弾きはじめました モーツアルトのピアノ・ソナタK.454の第3楽章です.これも素晴らしい演奏で,オケのメンバーもニコニコしてラーンキの演奏に耳を傾けていたのが印象的でした.みなさん子供時代にピアノのレッスンで弾かされた曲なのかも知れませんね

ショスタコーヴィチの「交響曲第4番ハ短調」は15曲ある交響曲の中でも最大規模の編成をとります.通常は管楽器は2管編成ですが,4管編成を取ります.クラリネット,トランペット,ファゴット,オーボエが各4本,ホルンに至っては8本(この日は9本)という陣容です しかも3楽章なのに1時間もかかる大曲なのです

この曲は1935年9月13日から翌36年4月26日までの間に作曲されましたが,36年12月に予定されていた初演に向けてリハーサルを続けていたものの,演奏会当日,ショスタコーヴィチ自身が取りやめたいうことです 演奏会当日の機関紙「プラウダ」には「ショスタコーヴィチ自身が作品の欠点を認め,初演の撤回を要求した」と書かれていますが,その背景にある本当の理由は政治的な事情によると言われています

初演されたのは完成から25年後の1961年12月30日でした.キリル・コンドラシン指揮モスクワ交響楽団の演奏によりモスクワ音楽院大ホールで演奏され,この時初めて大成功を収めたのでした

シナイスキーは,この大曲でもタクトを持ちません.オケは管楽器群を中心に会場狭しと舞台いっぱいに広がります.シナイスキーの合図で第1楽章「アレグロ・ポコ・モデラートープレスト」が始まります 冒頭から”ショスタコーヴィチ”と分かる特徴のあるメロディーです.ときにマーラーを思わせる曲想が現われます ショスタコーヴィチはこの曲の作曲中,マーラーの交響曲のスコアを手元に置いて,その一部を抜き書きしていたといいますから,その影響は間違いないでしょう 途中,弦楽器だけで最速のスピードで演奏する部分がありますが,東響の弦楽セクションの腕の見せ所でした 曲の印象としては,いろいろメロディーが混然一体となった”音楽の坩堝”といった感じです

シナイスキーは,第1楽章と第2楽章との間をあまり空けずに演奏しました.第3楽章「ラルゴーアレグロ」の冒頭は,最初管楽器で,次いで弦楽器が加わって,マーラーの葬送行進曲めいたメロディーを奏でます 最後は,ショスタコーヴィチらしく,プレスとで大々的にフィナーレを飾る,と思いきや,消え入るように曲を閉じます この辺が”社会主義リアリズム”の社会体制に受けなかったのかな,と勘繰ったりしました

拍手に応えるシナイスキーを見ていて,なぜか,ロシアの巨匠スベトラーノフを思い出しました.シナイスキーがもっと年を取ったらスベトラーノフのようになるんだろうか,と想像しました

この曲はベルナルト・ハイティンク指揮ロンドン・フィルのショスタコーヴィチ交響曲全集のCDで何度か聴いていましたが,ナマで聴くのは初めてでした やっぱり,マーラー,ショスタコーヴィチはナマで聴かなければ,と再認識した演奏会でした

 

          

 

          

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ブラームス「ドイツ・レクイエム」を聴く~アルミンク+新日本フィル

2012年09月16日 06時59分32秒 | 日記

16日(日)。昨日、すみだトリフォニーホールで新日本フィル・トリフォニーシリーズ第499回定期演奏会を聴きました プログラムは①ベンジャミン・ブリテン「イリュミナシオン」、②ブラームス「ドイツ・レクイエム」の2曲、指揮はクリスチャン・アルミンク、①②のソプラノはリーサ・ラーション、②のバリトンはロベルト・ホルツァ,合唱は栗友会合唱団です

今回から新シーズンのスタートです.前シーズンでは通路側席が取れなかったので,今シーズンではやや後方に下がったものの1階中央ブロックの通路側です

コンサートマスターは豊嶋泰嗣.新シーズンの幕開けはやっぱりソロ・コンマスのこの人でしょう メンバー配置表を見ると首席クラス数人が客演奏者に代わっています.第2ヴァイオリン首席の席に平尾真伸の名が.この人は確か数年前まで都響の第2ヴァイオリンの首席を務めていた人です.チェロの武澤秀平の席に増本麻理の名が.この人は知りません

1曲目のブリテン「イリュミナシオン」はアルチュール・ランボーが1873年前後に書いた散文詩で,「写本の彩飾」という意味だそうです 1.ファンファーレから9.出発まで9つの詩から構成されています

ソプラノのリーサ・ラ―ションが指揮者アルミンクと共に純白のドレスで登場します この曲はCDでも生でも一度も聴いたことがないので,新鮮と言えば新鮮でした 弦楽のみのオケをバックに歌います.伸びのあるソプラノです ただ,残念なことに,身体が疲れているせいか音楽が素直に頭に入ってきません

2曲目のブラームス「ドイツ・レクイエム」は,ルターによるドイツ語訳旧約・新訳聖書から,宗派を超えて訴えかける詩句を選んだ,一般の人々のための鎮魂の音楽です 全曲の完成は1868年5月で,翌69年2月にライプツィヒ・ゲヴァントハウスでライネッケの指揮で初演されました.1868年といえば日本では明治維新の年ですね

バリトンのホルツァーと共にリーサ・ラ―ションが黒のドレスに着替えて登場,”死者のための鎮魂歌”ではなく,”生ける者のためのレクイエム”を歌います 合唱はある時は静かに,ある時は地の底から湧きあがるように,聖なる世界を歌い上げます

しかしながら,まだ体調万全の状態で聴くことができず,やや集中力が欠けた点は否めません.反省あるのみです

 

          

 

開演前にロビーのカウンターで定期会員継続特典CDを受け取りました ワーグナーの「ジークリート牧歌」とベートーヴェン「交響曲第1番ハ長調」が収録されていて,いずれも2011年9月の新日本フィル定期公演のライブ録音です.後でゆっくり聴こうと思います

 

          

          

 

新日本フィルの定期公演は4時過ぎに終わりましたが,その後,午後6時からサントリーホールで東京交響楽団の定期公演を聴くため,JRと地下鉄を乗り継いで六本木1丁目に向かいました.東響のレポートは次のブログに回します

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グーグルの「ホリデーロゴ」と諏訪内晶子主催の国際音楽祭NIPPON

2012年09月15日 06時57分31秒 | 日記

15日(土)。先日、米国在住の当ブログの読者Nさんからメールが入り、「今日のグーグルはこれでした。最初、なにこれ?と思いました」と書かれていて、その下にエキサイト・ニュースのアドレスが紹介されていました

開いてみると「今日のGoogleホリデーロゴはクララ・シューマン生誕193年」というタイトルの記事が載っていました 記事は次の通りです。

「Googleは、2012年9月13日のホリデーロゴをドイツの女性ピアニスト、クララ・シューマンの生誕193周年を記念したデザインに変更した クララ・シューマンは1819年、ライプツィヒ生まれ。小さいころより音楽家である父、フリードリヒ・ヴィークにピアノのレッスンを受け、わずか9歳でライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の演奏会でデビューを果たす その後、クララの名前は天才少女としてドイツ全域で知られるようになった。1840年には作曲家のロベルト・シューマンと結婚 8人の子供をもうけながらも、ヨーロッパ中で演奏活動を続けた。1878年にはフランクフルトのホ―ホ音楽院で教授を務める。1896年、脳出血により死去 なお、ドイツでユーロが導入される前に使われていた100マルク紙幣には、クララの肖像が描かれている。このことからも、クララが多くの人々に注目を浴びていることがうかがえる

下の写真がその「ホリデーロゴ」ですが、たしかに8人の子供たちに囲まれています

 

           

 

そもそも「ホリデーロゴ」って何?と思って、グーグルで検索してみたら、「何らかの記念日に掲載する特別なロゴ。その日に因んだデザインのロゴが掲載される。特定の国限定のロゴもある」ということが分かりました グーグルもいろいろ工夫をしているんですね。私から見れば、デザイナーのために仕事を作ってあげるグーグルって懐の深い会社なんだな、と思ったりします

  

  閑話休題  

 

ヴァイオリニストの諏訪内晶子が芸術監督を務める「国際音楽祭NIPPON」のチラシが配布され,音楽祭の概要が明らかになりました 開催地が横浜と仙台ということで,コンサートに行くつもりがなかったのですが,2月16日(土)午後4時から横浜みなとみらいホールで,諏訪内晶子(Vn),ウィスペルウェイ(Vc),江口玲(P)によるブラームス「ピアノ三重奏曲第1番」とメンデルスゾーン「ピアノ三重奏曲第1番」の演奏があることが分かり,「これは聴きにいかないと後で後悔する」と思いました 単独券は9月22日発売とのことなので,忘れないように手配しようと思います

 

          

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グレン・グールドとベートーヴェンCD特集~「ぴあクラシック」秋号が面白い!

2012年09月14日 06時58分22秒 | 日記

14日(金)。昨夕、先日「カメラは沢山持っているから、今度持ってきてあげるよ」と約束して風を切って帰っていった元の職場OBのM氏が会社を訪ねてきました 約束通りS元監査役と私に,それぞれニコンの一眼レフをプレゼントしてくれました.私のはP90という機種です.まだ3回しか使用していないという新品同様です お礼に,ということで当ビル地下の焼鳥Oで飲みました 生ビールで乾杯した後は,X部長の新潟銘酒「きりんざん」がキープしてあるので,安心して飲みました 

次いでS元監査役の希望で飯野ビル地下のベトナム料理YBに移って飲みました ここではわが娘がアオザイを着てアルバイトとして働いていますが,4組の客を相手に一人でサービスをこなしていました.立ちっぱなしで大変な仕事ですが,せっかく縁があって得た仕事なので頑張ってほしいと思います ここにもX部長がキープしているベトナム焼酎ネップモイがあるので遠慮なく飲みました.食後に南店長にお願いして娘を含めた4人で記念写真を撮りました 

この時点でS元監査役はギブアップして退却しましたが,まだまだ飲み足りないM氏に誘われて,地下鉄の入口近くのFSビル地下の居酒屋Z・Wに入りました.ここではT.Mさんという女性が案内してくれましたが,なかなか感じの良い人でした 同行のM氏に至っては帰りがけに自慢のニコンで彼女を撮影していました M氏からこの日撮影した写真のメモリーをもらったのでここにアップしようと思いましたが,残念ながらメモリーからブログに取り込む方法が分かりません.だれかおせーて 

それにつけても,この3日間は飲み会,コンサート,飲み会と3連チャンだったので非常に疲れました 幸か不幸か,金曜日なのに今夕は何の予定も入っていません というわけで,今日はまっすぐお家に帰ることにします

 

   閑話休題  

 

”チケットぴあ”に置いてある「ぴあクラシック」秋・第24号(無料)が,生誕80年・没後30年のグレン・グールドとベートーヴェン(のCD)を特集しています この特集で一番面白いのは,今は亡き大指揮者・朝比奈隆氏が1970年に書いた「ライナー・ノーツ」です 要約すると,

朝比奈氏は1958年11月19日,ローマのサンタ・チェチーリア・オーケストラの定期演奏会で,グレン・グールドとベートーヴェンの「ピアノ協奏曲第2番」を演奏した 前日のリハーサルに独奏者のグールドが姿を現さない.連絡を取ると「身体の具合が悪いので今日は出られない」とのこと 翌日のリハーサルには「昨日は一日中ほとんど食事も採れなかったし,夜も眠れなかった.寒くて仕方ないから,オーバーを着て弾くことをお許しもらいたい.ゴムの湯たんぽを2つも持ってきたがまだ寒い」などとつぶやくような小声である.・・・・(リハーサルに入って)正しく八分音符のあと,スタインウェイが軽やかに鳴り,次のトゥッティまで12音節の短いソロ楽句が,桶を伝う水のようにさらりと流れた それはまことに息を飲むような瞬間であった・・・その夜の演奏会の聴衆も,翌朝の各新聞の批評も,感嘆と,賞賛を隠そうとはしなかった・・・・」

 

          

 

これを読んで,朝比奈大先生がグレン・グールドとベートーヴェンを演奏したという事実にまず驚きました それと同時に思ったのは,グールドはどんなテンポで演奏したのか,ということです 朝比奈氏は「私は意識して少し早目のテンポをとって呈示部のアレグロを進めた」と書いているのですが,グールドの取ったテンポについては直接的な表現をしていません グールドなので,よっぽど速いか,あきれるほど遅いか,のどちらかでしょうが,たぶん,前者だったのでしょう 

 

          

 

極端に遅い演奏の代表例は1962年4月6日にカーネギー・ホールで演奏されたブラームスの「ピアノ協奏曲第1番ニ短調」でしょう ピアノはもちろんグレン・グールド,レナード・バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィルハーモニーによる演奏です この演奏の模様はCDに集録されていますが,演奏を前に聴衆に向けて語ったバーンスタインの前口上ともども有名です

「心配しないで下さい.グールド氏はちゃんと来てますから(聴衆・笑).これから皆さんがお聴きになるのは,言ってみればかなり正統的とは言い難いブラームスのニ短調協奏曲です それは私がこれまでに聴いたことのあるどの演奏とも全く違うもので,テンポは明らかに遅いし,ブラームスが指示した強弱から外れている部分も多々あります こんな演奏は想像したことはありませんでした.実は私はグールド氏の構想に完全に賛成というわけではありません・・・・・・協奏曲にあっては誰がボスなのか?(笑)独奏者なのか,それとも指揮者なのか?・・・・・・グールド氏とブラームスのコンチェルトをやってきた今週は,まさに冒険だったと私は断言できます(笑).そのような冒険精神にのっとって,これから演奏したいと思います(大きな拍手)」

実際にそのCDを聴いてみると,確かにバーンスタインの言っているとおり,曲の冒頭のオーケストラの序奏部分は”今にも止まりそうな演奏”が展開されています しかし,一旦グールドのピアノが入ってくると,その”遅さ”を感じなくなります これは不思議です.最後まで聴いてみると,全体的にテンポは遅めですが,まったく違和感がありません.フィナーレなどは聴衆が興奮して曲が終わらないうちに拍手を始めています.私も”これこそが,ブラームスではないか”と思いました.

 

          

 

こうしてみると,この演奏でどちらに軍配が上がったのかと問われれば,グールドだったのではないか,と思うのです.”演奏の善し悪しは,テンポが速いとか遅いとかの問題ではない.聴く側が納得できるかどうかだ”ということを強く感じます ちなみにこのCDの演奏時間は53分10秒ですが、ツィマーマンとバーンスタインのCDは54分かかっています(最速はベルマンとラインスドルフの44分)。とにかく,一度ご自分の耳で確かめることをお薦めします

 

           

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期待以上!~アロンドラ・デ・ラ・パ―ラ指揮東京フィルでブラームスの第1番を聴く

2012年09月13日 06時58分37秒 | 日記

13日(木)。昨日、午後1時から10階のホールで民主党代表選挙候補者討論会がありました。正午頃から1階正面玄関では私服警官10数名が警戒に当たっていました 今回の選挙には野田佳彦首相、赤松広隆元農相、原口一博元総務相、鹿野道彦前農相の4人が立候補しましたが、討論会開始30分くらい前からVIPを載せた車と警護車両が次々と到着するので、防災センター隊員とともに警戒に当たりました

事件・事故もなく候補者4人が10階に上がったので、私もホールの中に入って最初の20分程度、話を聴きました ホール内も10人位の私服警官が目を光らせおり、候補者が発言するたびに会場のあちこちで報道カメラのフラッシュがたかれていました この模様はNHKが生中継しており、民放はテレ朝が代表取材、ほかにも多数のカメラマン、新聞記者が出席していました。野田総理はさすがに疲れているような表情でしたが、もともとああいう顔なのかも知れません

 

  閑話休題  

 

昨夕、サントリーホールで東京フィルの第822回定期演奏会を聴きました プログラムは①モンカ―ヨ「ウアパンゴ」、②ロドリーゴ「アランフェス協奏曲」(ギター:村治奏一)、③ブラームス「交響曲第1番ハ短調」の3曲、指揮はニューヨーク生まれのメキシコの女性指揮者アロンドラ・デ・ラ・パ―ラです 私は東京フィル・サントリーシリーズの会員ではありませんが、今話題のアロンドラ・デ・ラ・パ―ラを一目見て、聴きたいと思ってチケットを買った次第です、はい

 

          

 

自席は1階16列3番,左サイドの通路側です.聴衆の入りは東響の定期より若干少なめでしょうか・・・・.コンマスは三浦章宏です

1曲目の「ウアパンゴ」はメキシコの作曲家・指揮者・ピアニスト,モンカーヨが,同国の有名な作曲家チャベスの委嘱により作曲した作品で,言葉の意味はメキシコ湾沿いの一帯に古くから伝わる民衆的な舞曲の一形態だそうです

オケのチューニングが済んで,いよいよ指揮者の登場です.アロンドラが長い髪を後ろで結わえて,上下黒のセンス抜群のパンツ・スーツで颯爽と登場します まるでファッション・モデルが指揮台に立っているようです 彼女のタクトにより南米特有の明るく陽気な音楽が展開します.まずは小手調べといったところでしょう

2曲目のロドリーゴの「アランフェス協奏曲」のために,オケが大幅に縮小されます.なぜならギター協奏曲ですから,大編成のオケではギターの音が消えてしまうからです もちろん,現代ではギターの前にマイクロフォンが据えつけられ,それがアンプ付スピーカーに直結していて音を拡大する仕組みになっています

作曲者のロドリーゴは3歳の時に悪性ジフテリアにかかって失明してしまったのですね でも両親は偉かったです.彼の才能を見出して音楽院に通わせたのですから パリのエコール・ノルマルでポール・デュカスに作曲法を師事しました.ところで,アランフェスというのはスペインのほぼ中央の高原地帯にある観光地の名前です

ギタリストの村治奏一がアロンドラとともに登場します.お姉さんの村治佳織にそっくりです アロンドラの合図で第1楽章が始まります.どうも迫力がないのですよね.ギター協奏曲の宿命でしょうか オーケストラをバックにギターを弾くのは無理があるのではないかな,と思ってしまいます.誰が演奏しようが同じだと思います アロンドラは第2楽章に入るに当たり十分な”間”をとって集中力を高めます.そして第2楽章「アダージョ」に入った途端,この曲に対する印象がガラッと変わります こんなに美しい音楽があるんだろうか,と思うほど心に沁みるメロディーが奏でられるのです やっぱり,アランフェスは第2楽章だよな,と思います 第3楽章は軽快な音楽になるのですが,どうしてもアダージョが頭に残っていて”軽く”感じてしまいます.この曲の宿命でしょうか

それにしても,村地の演奏はアダージョのカデンツァを含めて素晴らしかったです アンコールにトレモロ奏法で有名なタレガの「アルハンブラ宮殿の思い出」を弾いてくれましたが,これにもすっかり魅了されました

 

          

 

さて,この日の最大の目的は最後のブラームス「交響曲第1番ハ短調」を聴くことです.アロンドラのタクトが振り下ろされティンパ二の連打により序奏が続きます あまりの遅いテンポにびっくりしました.極端な言い方をすれば”今にも止まりそうな”遅さです よくこのテンポで持ち堪えられるな,と感心するほどです それでも徐々にテンポを上げて,歌わせるところは歌わせ,締めるべきところは締めてオケをコントロールします

指揮振りを見ていて,誰かに似ていると思ったら,トスカニーニコンクール準優勝の三ツ橋敬子でした.彼女も髪の毛を後ろで束ねて,上下黒のパンツ・スーツで指揮をします.大きな違いは,三ツ橋が小柄なのに対してアロンドラは背が高くスラッとしているところです

第2楽章はオーボエがよく歌っていました.また,三浦コンマスによるソロが美しく響きました 第3楽章は牧歌的ないい感じのメロディーが続きます.時々横顔が見えるアロンドラは幸せそうな顔をして指揮をしています

そして,最終楽章に突入します.序奏部分は第1楽章と同じようにゆったりしたペースで展開しますが,段々ペースを上げ,ホルンによる雄大なテーマに移ります.この時だけ,アロンドラはタクトを譜面台に置いて,両手で華麗に指揮をします

圧倒的なフィナーレが終わると会場のあちこちからブラボー・ブラーバと拍手の嵐が押し寄せます.

全体を通して感じるのは,いい意味で意外だった,ということです.とくにブラームスの冒頭部分の悠然としたテンポ設定にはました. 

 

          

 

休憩時間にCD「アロンドラ・デビュー~華麗なるメキシコ・オーケストラ作品集」をしっかり買っておいたので,終演後,彼女にサインをもらいました 並び順は2番目です.なぜ私が通路側の席にこだわるのか,その理由の一つがお分かりになりましたね サイン後に「サンキュー」と言うと,日本語で「アリガトウ」と返してくれました.キュートでチャーミングな女性でした

 

          

          

 

          

                     

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グールドのどっちの録音?~青柳いづみこ著「六本指のゴルトベルク」を読む

2012年09月12日 06時59分09秒 | 日記

12日(水)。昨夕、銀座コリドー街のTで、警備・清掃を委託しているT社・F君の新人歓迎会が開かれ、T社からN部長以下6人、当社から管理部3名が参加しました。3時間飲み放題ということで,それぞれがビール,ワイン,ハイボール,焼酎,カクテル,水を飲みまくりました T社の新人F君は志を持った爽やかな青年です.当ビルに配属する前は六本木ヒルズ森アーツセンターに勤務していました.T社もいい人材を採っているなと感心します 最初にN部長からF君に対し「わがT社はPCビルで警備と清掃を請け負っているが,お互いに助け合って業務を進めている.出来るだけ早く,大ベテランのY所長から知識を吸収し業務を引き継いで,Yさんを楽にしてやってください」と涙チョチョ切れる温かいお言葉がありました 私からは「当ビルは内外のVIPが記者会見をする機会が多いので,チャンスがあれば積極的に会見場に行って聴いた方がいい」と生意気なアドバイスをしました.それ以外は,例によって何を話したのか,何を聴いたのかほとんど覚えていません ただ,警備隊員の某氏が新橋のラン〇〇〇〇パブに入り浸っているという話が耳に残っています(勘違いしないでください.ランニング・パブです・・・・って,どういうパブじゃい

家に帰ってケータイをチェックすると,飲んでいる真っ最中の時間帯に2回ほどX部長から電話が入っていたことが着信履歴から判明しました.X部長ほか1名が都内某所で飲んでいることは事前に警視庁を通じて把握していましたが,返信しようがしまいが,もうお家にいるんだもんね.無理です 今日がコンサート,明日が飲み会と続いているので,どっちにしてもお付き合いするのは無理でした

T社のN部長,Y所長,T主任,S隊長,K副隊長,新人のF君,当社のA課長,そして幹事を務めてくれたK君,お疲れ様でした.これに懲りずにまたやりましょう

 

  閑話休題  

 

青柳いづみこ著「六本指のゴルトベルク」(中公文庫)を読み終わりました 第25回講談社エッセイ賞受賞作です.著者の青柳いづみこさんはピアニストで文筆家です.ピアノを安川加寿子,ピエール・バルビゼの両氏に師事しました.いまや日本におけるドビュッシー演奏の権威的な存在です

表題の「六本指のゴルトベルク」というのは,この本の最初の「打鍵のエクスタシー」というエッセイに出てくるハンニバル・レクター博士のことです お馴染みの「羊たちの沈黙」に出てくる超優秀な精神医学者で,精神病者で,悪の天才で,食人鬼でもある博士のことです.「羊たちの沈黙」によれば彼の指は左手の指が六本あって,重複していたのは中指だったようだ,と書いています

レクター博士は,ボルチモア精神異常犯罪者用州立病院の最厳戒棟の囚人だったとき,娘を誘拐された上院議員に情報を提供する見返りに,カナダの奇才,グレン・グールドの弾くバッハ「ゴルトベルク変奏曲」を差し入れて欲しいと頼みます ここで青柳さんはグールドの「ゴルトベルク」は2種類あるので,どっちかな,と思います.1枚目は1955年のデビュー盤で22歳の年に録音したもの.2枚目は,死ぬ前の年,1981年に録音したものです.青柳さんは様々な背景からレクター博士が聴いたのは81年盤ではないか,と推測します

「ゴルトベルク変奏曲」を弾いた彼女の友人によれば,バッハの複雑極まる書法を完ぺきに演奏しようと思ったら,文字通り「指が6本欲しい!」くらいだということです もっとも,バッハの時代には指は3本しか使わなかったというから,6本もあったらムカデ競争になってしまったかもしれない,と青柳さんは言います

「音楽の力」というエッセイの中では,人声の素晴らしさを述べています

「なにも道具を使わず,マイクも通さず,天性の素質と訓練と節制によって巨大な歌劇場の隅々まで響き渡る人声の力は圧倒的だ ピアニストは,間違っても歌手とジョイント・リサイタルなど開かない方がいい.どんなにテクニックを弄しても,目にも止まらぬ早業で鍵盤の隅から隅までかけぬけても,30分もかかる大作をミスひとつなく弾き終えても,オペラのアリアの,たった2分の歌唱,たった1本のメロディにかなわないのである

また、「音楽のもたらすもの」というエッセイの中では,ベートーヴェンの緊密さについて語っています

「私はドビュッシー研究家ということになっているが,実は作曲家ではベートーヴェンがダントツに好きである.なぜか?彼ほど緊密に作曲した人はいないから.ベートーヴェンの音楽のつくり方というのはあんこう鍋みたいなもので,まったく捨てるところがない 骨も皮もプリプリのゼラチン質も全部使い切ってしまう・・・・・・ちなみに無駄使いの代表例はチャイコフスキーの『ピアノ協奏曲第1番』で,ピアノがジャーン,ジャーン,ジャーンと和音を鳴らしている間にオーケストラが奏でる『タララターンターンタ,ターンタタ・・・・』というメロディなんて,たった1回しか使っていない ドヴォルザークも同じで,『彼がゴミくず箱に捨てた旋律を拾えば,普通の作曲家ならいくつもの交響曲が書けてしまう』と皮肉られている ベートーヴェンの仕事部屋のくず箱には,8分音符ひとつ残らないだろう

あらためてこのエッセイ集を振り返ってみると,青柳さんは相当の読書家で,しかも音楽に関わる本をミステリーを中心にたくさん読んでおられます その上で,そのエッセンスを把握して,自分が感じたことを自分の言葉で語ることが出来る点で,この本が「講談社エッセイ賞」を受賞したのも分かります 右脳と左脳がバランスよく働いているピアニストでありエッセイスト,それが青柳いづみ子さんではないかと思います

 

          

 

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