人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ベートーヴェン「七重奏曲」を聴く~読売日響アンサンブル:JTアートホール

2012年09月26日 06時58分08秒 | 日記

26日(水)。昨日の朝日朝刊に「天才バイオリン少女死去 92歳~世界で活躍の諏訪根自子さん」という記事が載りました 記事によると、

「美貌の天才少女として一世を風靡し、日本人で初めて国際的に活躍したバイオリニスト、諏訪根自子(すわ・ねじこ)さんが3月に死去していたことが24日、分かった 92歳だった。3歳でバイオリンを始め、ロシアの名教育者、小野アンナらに師事。巨匠ジンバリストに高く評価され、12歳でデビューする。かれんな容姿も相まって、日本中に”天才少女”ブームを巻き起こした 1936年、16歳でベルギーに留学し、39年に欧州デビュー。ベルリン・フィルとも共演する。日独友好のシンボルとなり、ナチス高官のゲッペルスから名器ストラディバリウスを贈られたというエピソードも 終戦後に帰国し、井口基成や安川加寿子らとともに日本の楽壇を率いたが、ここ数十年は表舞台から遠ざかっていた

諏訪根自子と言われても、名前でしか知らない遠い世界の人です 朝日に載った若き日の諏訪根自子さんの写真は,チャイコフスキーコンクールに優勝した頃の諏訪内晶子さんに良く似ています.

 

          

 

仕事がらみで知りあいになった久我山在住のAさんと、その幼馴染で早稲田在住のTさんとは、東京フィルの「響きの森クラシック・シリーズ」の定期会員で、公演があるたび終演後に文京シビックホール近くのコーヒーショップで30~40分おしゃべりをして過ごします 先日も「ユンディ・リのピアノが聴けなくて残念でしたね」と語り合ったばかりです.彼女たちの一回り(12歳)上が諏訪根自子さんなのです

「昔はコンサートといっても日比谷公会堂しかなかったんですよ」という話とともに「私たちの若い頃は,指揮者ではローゼンストック,ピアニストでは安川加寿子さん,ヴァイオリニストでは巌本真理さん、諏訪根自子さんとかが活躍していましたよ」という話題が時々出てきます。そういう会話にしか登場しない名前なのですね,諏訪根自子さんという人は

それにつけても,AさんとTさんはその年齢にもかかわらずお二人とも若くてアグレッシブで,一緒にコンサート通いをされています 11月9日に萩原麻未がピアノを弾くフィルハーモニア台湾のコンサートがあることをブログで紹介したところ,そろって聴きに出かけるとおっしゃっていました.いやー,すごいパワーです 今の若いもんはどうした と言いたくなります 私の当面の目標は今の彼女たちの年齢になってもコンサート通いができる気力と体力を維持することです

 

  閑話休題  

 

昨夕、虎ノ門のJTアートホール”アフィニス”で読売日響アンサンブルのコンサートを聴きました プログラムは①クル―セル「クラリネット四重奏曲第1番変ホ長調」、②ベートーヴェン「七重奏曲変ホ長調」の2曲です

演奏は、クラリネット=四方世紀、ヴァイオリン=鎌田成光、ヴィオラ=小山貴之、チェロ=唐沢安岐奈、コントラバス=西澤誠治、ファゴット=岩佐雅美、ホルン=松坂隼です。

名前の読み方と性別が分かりにくいので,もう一度紹介します.四方世紀(しのへせいき),鎌田成光(かまたなるみ・女性),小山貴之(こやまたかし),唐沢安岐奈(からさわあきな・男性),西澤誠治(にしざわせいじ),岩佐雅美(いわさまさみ・女性),松坂隼(まつざかしゅん)です.名前って難しいですね私は読響の定期会員ではないので,四戸さん以外の演奏者はよく知りません.ただし,コントラバスの西澤さんは,今や「バッハ・コレギウム・ジャパン」のメンバーとしてなくてはならない存在ですので,よく知っています.この人が大きなコントラバスを抱えて立っていると安心感があります

会場のJTアートホールは全256席の小ホールです.自席は11列6番で,センターブロックの左通路側です.11列というと大ホールではかなり前の方の席ですが,このホールでは中央より後方の席です.後ろの席に空席が目立ちます.もったいないと思います

 

          

 

1曲目の「クラリネット四重奏曲第1番」を作ったクルーセルはベートーヴェンと同世代のフィンランド生まれのクラリネット奏者兼作曲家とのことです.パリに留学して作曲とクラリネットを学んだようです

メンバーは向かって左からヴァイオリン,ヴィオラ,チェロ,クラリネットという態勢を取ります 4つの楽章から成りますが,全曲を通して思うのは,”もし,ハイドンがクラリネット四重奏曲を作曲したら,こういう曲を作ったのではないか”というような明るく分かりやすい曲想です 3人の弦楽奏者が大先輩のクラリネット奏者を引き立てて演奏しているのがよく分かります.四戸世紀さんは後輩たちから尊敬されているのでしょう

休憩後のベートーヴェン「七重奏曲変ホ長調」は,作曲者が30歳前後の時に書かれた作品で,交響曲でいえば第1番を作曲した時期に当たります それまでは,室内楽と言えばサロンやカフェなどで演奏されていたのですが,この七重奏曲は初めて大ホールで演奏され,多くの一般聴衆に聴かれることになった記念すべき曲です

メンバーは向かって左から,ヴァイオリン,ヴィオラ,チェロ,コントラバス,ホルン,ファゴット,クラリネットという編成を取ります つまり,コントラバスを中央にして,左側に弦楽器が,右側に管楽器が向かい合う型を取ります

この曲で忘れられないのは,新日本フィル室内楽シリーズで演奏された「七重奏曲」です.ヴァイオリンの山田容子さんとクラリネットの重松希巳子さんの掛け合いが素晴らしく,すっかりこの曲が気にいってしまいました ベートーヴェンといえば第5”運命”,第3”英雄”と勇ましい曲に人気が集中しがちですが,私はこういう室内楽が好きですね 交響曲で言えば,1,3,5,7,9番よりも2,4,6,8番の曲の方が好きな人は,きっと室内楽も好きだと思います

読響のメンバーも新日本フィルのメンバーに負けず劣らず素晴らしい演奏を聴かせてくれました 左側の弦楽器と右側の管楽器とのやり取りが面白く,演奏者の表情を見ていても面白かったのです というのは,弦楽器側は,とくにヴィオラとチェロが”弾くのが楽しくて仕方がない”といった表情で嬉々として演奏していたのに対して,管楽器側は,四戸さんの性格の現れでしょうか,とにかく真面目な顔を崩さず,職人芸に徹して演奏していたのが対照的で,とても面白かったのです

メンバーは盛大な拍手に,何度も舞台に呼び戻されました.すると,ヴァイオリンの鎌田さんだけが椅子に座って,最終楽章のフィナーレのヴァイオリン・ソロの部分を途中から弾き始めたのです しばらく他のメンバーは突っ立って見ていましたが,一斉に座って,合奏に加わりました.これも演出ですね.読響もやるじゃねえか

”やっぱりベートーヴェンはいいな”と再認識したコンサートでした ナマで聴かなくてはこの良さは分かりません

 

          

          

  再び閑話休題  

 

今日はベラ・バルトークの命日です.彼は1881年に生まれ1945年9月26日に死去しました.バルトークは1905年にパリで開かれたルビンシテイン音楽コンクールのピアノ部門で2位に入賞しています ちなみにその時の優勝者はバックハウスです.第2次世界大戦中はナチスを逃れてアメリカに渡り,「管弦楽のための協奏曲」(1944年)などの大作を残しましたが,白血病のため亡くなりました

「管弦楽のための協奏曲」は名演が多いのですが,ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団の演奏がお薦めです CBSソニー盤のCDには村上春樹著「1Q84」のテーマ音楽とも言うべきヤナーチェクの「シンフォニエッタ」がカップリングされています

 

          

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