人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

読響のマーラー「交響曲第2番”復活”」を聴く~東京芸術劇場リニューアルオープン

2012年09月02日 07時05分07秒 | 日記

2日(日)。昨日、池袋の東京芸術劇場に出かけました 同劇場は1990年以来21年が経過し,昨年4月から全面改修工事に入っていたのですが,昨日9月1日にリニューアル・オープンしました 劇場前の噴水広場にはお祝いのメッセージが出ていました

 

          

 

劇場の屋根の部分はあまり変わりませんが,入り口付近の外観は変わりました

 

          

 

中に入ると,今までの長~いエスカレーターの代わりに,途中でV字に折れたエスカレーターが待っていました

 

          

 

午後3時から東京芸術劇場コンサートホールで読売日本交響楽団の特別コンサートを聴きました これは、東京芸術劇場のリニューアルオープン記念として開かれたものです。演奏曲目はマーラーの「交響曲第2番”復活”」.指揮は下野竜也,ソプラノ=小川里美,メゾソプラノ=清水華澄,合唱は東京音楽大学合唱団です

改修前,最後にこの劇場で聴いたコンサートは,奇しくも読響によるマーラー「大地の歌」(2010年7月9日)でした ただし,あの時は,毎日新聞の梅津記者の「日本記者クラブ賞受賞記念講演」と重なり,講演が終わってからコンサート会場に駆け付けたため,最後の楽章しか聴けませんでした

下野竜也は1969年鹿児島生まれ.2001年ブザンソン国際指揮者コンクール優勝,2006年から読響・初代正指揮者を務めています.ソプラノの小川里美は東京音楽大学卒業,2009年トゥーランドット国際コンクール優勝者です メゾソプラノの清水華澄は国立音楽大学卒業,新国立劇場のオペラ公演に何度か出演しています          

受付を通り,1階を経由して2階までエスカレーターで上がりました.正面に大きなガラス窓があるので,外を見ようとしましたが,曇っていてよく見えません.晴れのはずなのに・・・・と思ってよく見ると,何とスモークガラスなのです なぜ,わざわざスモークガラスにして外の景色を見えなくしたのか,まったく理解できません

会場内に入って舞台正面のパイプオルガンを観て懐かしさが込み上げてきました.ここのパイプオルガンは「ルネッサンス・バロック面」と「モダン面」が表裏になっていますが,この日は「モダン面」が出迎えてくれました ただしまだメンテナンス継続中のため使用できないようです.木製の床はこれまでと変わりませんが,椅子が新調されています.自席は2階D列10番で,左サイドから舞台を見降ろす位置です.会場は満席です

 

          

 

開演にあたって,同劇場の福地茂雄館長から挨拶があり,合唱団が,次いでオーケストラのメンバーが登場しスタンバイします

オケは,左から第1ヴァイオリン,第2ヴァイオリン,ヴィオラ,チェロ,その後ろにコントラバス,そして,左サイドにハープが2台,右サイドにティンパ二が2台,後方に合唱団という配置です 他の在京オーケストラはヴィオラとチェロが逆に配置されるケースが多いようです.もちろん指揮者によってその都度変更されます

下野竜也が登場し,タクトを振り下ろして第1楽章「アレグロ・マエストーソ」が始まります 下野の指揮の特徴は,小柄ながらも,キビキビとして分かりやすい指揮ぶりで,オケは演奏しやすいのではないかと思います 彼はいつも全力投球です この楽章は終始,集中力に満ちた演奏で聴衆を引き付けます

第1楽章が終わり,第2楽章までの間,下野は十分な時間を取ります.沈黙の中,観客に背を向けたままじっと指揮台に立ちつくします.しばらくすると,コントラファゴットら数人が入場してきました.また,しばらく沈黙が続き,オケにチューニングを指示します.それが終わるとまた沈黙が続きます.そしてやっと身体を立て直して第2楽章「アンダンテ・コモド」に入ります

何も知らない人は「さっさと始めればいいのに・・・・」と思っているかも知れませんが,これはマーラーの「第2楽章までは少なくとも5分以上の間をあけること」という指示によるものです 下野はマーラーの指示を忠実に守ったわけです

第2楽章が始まると同時にソプラノの小川里美とメゾソプラノの清水華澄が入場し合唱のすぐ前の中央にスタンバイします この楽章では弦によるピッチカートが美しいメロディーを奏でるのですが,とくにヴィオラ・セクションが,まるでマンドリンを弾いているように楽しげに演奏しているのが実に印象的でしたリハーサルで”楽しく弾くように”という指示があったのかもしれません

第3楽章「静かに流れるような動きで」は「魚に説教するパドヴァの聖アントニウス」に基づく曲でユーモアを感じさせる曲想です.そして,第4楽章「原光~きわめて荘重に,しかし素朴に」がメゾソプラノによって静かに歌われます.何と深い音楽なのでしょうか

 

          

 

そして,最後の第4楽章「スケルツォのテンポで,荒野を進むように」に突入します ここで初めて合唱が活躍します.最初は椅子に座ったままで歌いますが,後半には立ち上げって力いっぱい歌います.合唱の中からソプラノの声が浮き上がってきます

 

          

 

途中で,ホルン4人がパイプオルガン下のバルコニーに登場し指揮者の合図を待ちます.さらに,舞台裏側で演奏する”バンダ”(管・打楽器によるブラスバンド=軍楽隊)が演奏に加わります 舞台のどこかに取り付けられたモニターカメラを見て,舞台裏で演奏しているのです 後半にはホルンに加えトランペット4人も加わって上方からの音に厚みを加えます

圧倒的なフィナーレを迎え,下野のタクトが突き上げられます.一瞬の”しじま”の後,拍手とブラボーの嵐が舞台を包み込みます 下野はソリストを称え,合唱を称え,オーケストラを称えます そしてオーケストラと合唱,そして聴衆は指揮者を称えます 素晴らしい演奏会でした

 

                     

 

帰りのエスカレーターで,係員が「2列で,歩かないようにしてください」とアナウンスしていましたが,2つあるエスカレーターのうち,私が乗っている方のエスカレーターが途中で急に止まってしまいました原因は判りませんが,「歩かないように」する訳にはいきません.近くにいたご老人が「オープン初日からこんなことじゃあ,どうしょうもないなあ」とこぼしていましたが,エスカレーターを歩いて下りることを強いられた人たちの共通の感想だったと思います ご老人にとって,階段は上るよりも下る方が危険性が高いのです.関係者には至急対応策を考えてほしいと思います

そんなトラブルもありましたが,演奏会だけを取ってみれば,コンサートホールのリニューアル記念として申し分のない素晴らしいコンサートでした.当日はテレビの中継が入っていました いずれNTV系列で放映されるのかも知れません

 

          

         

コメント (2)
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