人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

暗譜でシューベルトの「イ短調”ロザムンデ”」「ト長調」を弾く~古典四重奏団演奏会

2012年10月01日 07時00分01秒 | 日記

10月1日(月).速いものでもう10月,”光陰矢のごとし”です.10月だってアッという間に過ぎてしまうでしょう 

それにしても,昨夕の台風17号はすごい勢いでしたね 今朝は一転”台風一過”の雲一つない青空.台風といえば,小学生のころ,”台風一過”を”台風一家”と勘違いしていて,どんな激しい家族なんだろう?と1人想像していました 本来の意味が判った時はまさに”青天の霹靂”でした

 

  閑話休題  

 

昨日,上野の東京文化会館小ホールで「ムズカシイはおもしろい!! 古典四重奏団のシューベルト2012~レクチャー付きコンサート」を聴きました

プログラムはシューベルト①弦楽四重奏曲イ短調”ロザムンデ”,②弦楽四重奏曲ト長調の2曲です.古典四重奏団は第1ヴァイオリン=川原千真,第2ヴァイオリン=花崎淳生,ヴィオラ=三輪真樹,チェロ=田崎瑞博の4人で構成されています.名前だけでは分かりにくいのですが,チェロの田崎さんを除く3人は女性です 

古典四重奏団は,1986年東京芸術大学及び同大学院卒業生により結成され,現在のレパートリーは80数曲にのぼるとのことです

自席はL19番で中央ブロック通路側です.会場はかなり空席が目立ち,埋まっているのは中央ブロックを中心に全部で130席くらいでしょうか.もったいないです 弦楽四重奏のみのコンサートだからでしょうか,それともシューベルトだけだからでしょうか.寂しいです

4人は向かって左から第1ヴァイオリン,チェロ,ヴィオラ,第2ヴァイオリンという配置です.弦楽四重奏ってこういう配置だったかな

 

          

 

レクチャーコンサートということで,本番前に,チェロの田崎瑞博さんが「シューベルトらしさとは?~前編~」というテーマでお話してくれました 最初に解説なしでシューベルトの「弦楽四重奏曲変ロ長調」の第3楽章”メヌエット”が演奏されました.古典四重奏団を聴くのは今回が初めてですが,音が非常にきれいなのが印象的です 曲はいかにもウィーン情緒豊かな雰囲気の穏やかな曲でした

「ここで問題です」と,いきなり田崎さんが会場にクイズを仕掛けます.「次に2曲演奏します.モーツアルトかシューベルトのかなり有名な歌曲です それぞれどちらが作曲したものかを当てていただきます.①モーツアルトとモーツアルト,②モーツアルトとシューベルト,③シューベルトとモーツアルト,④シューベルトとシューベルトという組み合わせで,どれでしょうか

そして4人が1曲目を演奏します.曲名ははっきりしませんが,モーツアルトに間違いないでしょう 次に2曲目を演奏します.シューベルトの曲に思えます

田崎さんが,挙手を求めます.「モーツアルトとモーツアルト」と思う人・・・・・・全体の1割程度.「モーツアルトとシューベルト」と思う人・・・・・・6割程度.「シューベルトとモーツアルト」と思う人・・・・・・2割程度.「シューベルトとシューベルト」と思う人・・・・・・1割程度.という結果で,私を含めた多くの人が「モーツアルトとシューベルト」の組み合わせを選びました

田崎さんが,「それでは正解を発表します・・・・・・・モーツアルトとモーツアルトでした」とアナウンスしました.会場がオーッとどよめきます 田崎さんによると,1曲目がモーツアルトのK.519『別れの歌』,2曲目が同じくK.523『夕べの思い』ということでした.彼の解説によると,ある意味でモーツアルトはロマン派の音楽を先取りしていたとも言える,とのことでした

次にベートーヴェンの「ピアノソナタ第12番変イ長調」第1楽章を演奏し,次いでシューベルトの「4つの即興曲」より第2番を演奏しました 続けて聴くと,ほとんど違いが分からないほどよく似ている,というかソックリです.田崎さんは「ベートーヴェンの方は,曲に起伏があるのに対して,シューベルトの方はあるがままを受諾したような感じの曲だ」,さらに「ベートーヴェンは論理性を持って時間を支配するが,シューベルトは共感性を持って時間を支配する」と解説していました.解説を聴いてからもう1度演奏を聴いてみると”なるほど”と思いました

次に,長調と短調とが入り混じった特徴を持つシューベルトの曲として,この日のメイン・プログラムである「弦楽四重奏曲イ短調”ロザムンデ”」の第3楽章と,「弦楽四重奏曲ト長調」の第1楽章のさわりを演奏しました 「シューベルトらしさとは?」の回答が示されたわけです

次に同じ長調と短調の混じりあった曲としてブラームスの「2つのサラバンド」よりイ短調が演奏され,最後にシューベルトの「最後の喪失」が演奏されました

ここで15分の休憩に入ったので,受付に行って10月25日(木)夕方の「レクチャーコンサート・第2夜」のチケットを購入しました.こんなに充実したコンサートも珍しいのではないかと思います

ここからが正規のプログラムです.1曲目はシューベルト「弦楽四重奏曲イ短調D807”ロザムンデ”」です.舞台上を見て何か違和感を感じました.4人の登場でその理由が分かりました.譜面台がないのです つまり,彼らは暗譜で演奏しようというのです

この曲はシューベルトが27歳の時の作品です.冒頭の主題は曲全体を決定づけるほどの特徴ある曲想です 古典四重奏団の面々はお互いの音に耳を傾けながら自分の役割を果たします.相当の集中力です.楽譜がないので,お互いの音をよく聴くことと信頼関係だけが頼りです.シューベルトらしさがよく表れた演奏でした

ここで10分の休憩です.朝の天気予報は今夜,台風17号が本州を直撃すると伝えていました.ロビーから外の空を見上げると,雲行きが徐々にあやしくなっているのが分かります

2曲目の弦楽四重奏曲ト長調D887は,シューベルト29歳の時の作品ですが,弦楽四重奏曲としては最後の作品です.特徴としては,交響曲第9番「ザ・グレイト」のような”天上的な長さ”と,長調と短調が混在する手法などが挙げられます それにしても,長いです.手元の腕時計で測ってみましたが,第1楽章=20分,第2楽章=14分,第3楽章=8分,第4楽章=10分と,圧倒的に第1楽章が長くなっています.全体で50分を超える大曲を暗譜で演奏してしまうのですから,古典四重奏団というグループは凄いです 集中力を切らさずに演奏し切った彼らに対し惜しみない拍手が送られました 次の10月25日のコンサートが非常に楽しみです

コンサートが終わったのは午後4時10分でした.幸い,台風17号はまだ関東地方には達しておらず,雨にもぬれず無事に家にたどり着きました(ダカーポ.ここで冒頭3行目に戻る)

 

          

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