人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

リチャード・パンチャス+アジアユースオーケストラでホルスト「惑星」他を聴く~若者たちの熱演

2016年08月31日 07時58分41秒 | 日記

31日(水).信じられないことですが,8月も今日で終わり.月日の流れの速さと世の無常を感じます ということで,わが家に来てから703日目を迎え,眠さに我慢できず白ウサちゃんに寄り添って眠ろうとしているモコタロです

 

          

                春眠暁を覚えず 夏眠・・・・冬眠までは遠い道のり,なんちって

 

  閑話休題  

 

昨夕,東京文化会館大ホールで前日に続き「アジアユースオーケストラ東京公演2016」の第2日目の公演を聴きました プログラムは①コープランド「市民のためのファンファーレ」,②同「バレエ組曲”アパラチアの春”」,③ホルスト「組曲”惑星”」の3曲 指揮はリチャード・パンチャスです  アジアユースオーケストラ(AYO)については昨日のブログをご参照ください

 

          

 

指揮のリチャード・パンチャスは世界的なヴァイオリニスト,ユーディ・メニューインとともに1987年にAYOを設立し,芸術監督兼指揮者として若者たちを指導してきました

 

          

 

自席は1階10列17番です.かなり前方のセンターブロックのど真ん中です 位置は良いのですが,通路側ではないので不満が残ります 会場は前日と同じくらいの入りでしょうか.2300人以上収容する大ホールとしてはかなり埋まっている感じです すぐ前の9列は端から端まで空席です.おそらくスポンサーなどの招待席なのでしょう.聴きに来ればいいのに

若者たち110人が入場し配置に着きます.コンミスは昨日と違う女性です ステージ両サイドからトランペットをはじめとするブラスの奏者19人が登場しオケの前に横一列にスタンバイします 打楽器の強打で1曲目のコープランド「市民のためのファンファーレ」が開始されます この曲は,コープランド(1900年11月生まれ)がシンシナティ交響楽団の指揮者ユージン・グーセンスの委嘱により1942年に作曲した作品です.打楽器に続いてトランペットのファンファーレが続き,トロンボーンやホルンなどが加わり厚みを加えます これがすごく良い曲で感動的な演奏でした

2曲目のコープランド「バレエ音楽”アパラチアの春”」は,1944年10月に初演された作品です このバレエは,13人編成の室内楽オーケストラのための作品として,振付師でダンサーのマーサ・グレアムの依頼と,エリザベス・クーリッジ夫人の委嘱により作曲されました.コープランドは,この曲によって1945年にピューリッツァー賞を受賞しています

指揮者パンチャスが登場,さっそく演奏に入ります.私がこの曲を聴くのはこれが初めてですが,聴いた第一印象を言うと「アメリカのドヴォルザーク」といった曲想です 風光明媚な田舎ののどかな風景を表しているようです

 

          

 

休憩後はホルスト(1874年9月生まれ)の組曲「惑星」です この曲は1914年~16年に作曲されました.作曲当時,太陽系の惑星として知られていた8つの天体のうち,地球を除いた7つの天体(水星,金星,火星,木星,土星,天王星,海王星)に曲を付けたものです 演奏上は火星と水星が入れ替わり,火星,金星,水星,木星・・・という順に演奏されます.地球が入っていないのは,この曲が天文学ではなく占星術から着想を得たからです 火星=戦争をもたらす者,金星=平和をもたらす者,水星=翼のある使者,木星=快楽をもたらす者,土星=老いをもたらす者,天王星=魔術師,海王星=神秘主義者を表します

パンチャスのタクトで「火星」の演奏に入ります 私はこの曲の後半で繰り返される「ダダダ・ダン・ダン・ダダ・ダン」という5拍子のリズムを聴くたびに,スピルバーグ監督「スター・ウォーズ」のテーマ音楽を思い起こします 間違いなくジョン・ウィリアムズはホルストの「火星」をパクって,少なくとも参考にして「スター・ウォーズ」のテーマ音楽を書いたと確信します 「火星=戦争をもたらす者」ですから「スター・ウォーズ」にぴったりです この曲はオーケストラの総力戦です.弦楽器も管打楽器も持てる力を思う存分に発揮します 次の「金星=平和をもたらす者」ではコンミスのソロが美しく響きました 「水星=翼のある使者」は曲想で言えばスケルツォです.そして「木星=快楽をもたらす者」は,数年前に平原綾香が歌って大ヒットしましたね.そう「木星=ジュピター」です ここはオーケストラの聴かせどころです.ブラスが炸裂します.弦が渾身の演奏を展開します

次の「土星=老いをもたらす者」では,ステージ右サイドにスタンバイするオルガンが重低音を響かせ,客席の椅子まで震わせます 「天王星=魔術師」は神秘的です.この曲に限らず,楽員を見ていて気付くのは,指揮者を良く見ているということです プロのオケの場合はほとんど楽譜を見て演奏していて指揮者の方を見るのは滅多にないと思われるのですが,アマチュアの彼らは楽譜と同じくらいの頻度で指揮者を見ます 最後の「海王星=神秘主義者」では後半,女声コーラスがステージ裏で静かに歌われ,消えるように曲を閉じます

パンチャスがタクトを下すと,大きな拍手とブラボーがかかりました パンチャスは一旦ステージに引き上げましたが,工事現場で警備員が手に持っている交通整理用の赤い誘導灯のような棒を手に持って再登場します.何事か と思っていると,それを指揮棒代わりにして,な,なんと,アンコールに「スター・ウォーズ」のテーマを演奏し始めたのです "誘導灯の棒"は よく見るとジェダイの騎士の剣だったようです  このアンコール曲はまったく予想外でした.これを聴いた多くの聴衆は,このテーマ音楽がホルストの「火星」を模倣したものだということを認識したことでしょう

大きな拍手を受け,パンチャスは今度はマイクを持って登場,例年の国別メンバー紹介を始めました AYOのメンバー110名は,中国,香港,台湾,マカオ,インドネシア,日本,韓国,マレーシア,フィリピン,シンガポール,タイ,ベトナムから選出された若者たちです.パンチャスが「シンガポールからは3人のメンバーが参加しています」と紹介すると,3人がその場で立ち上がって拍手を受けるという具合です 中国が26人と多いのは分かっていましたが,台湾はそれを上回る28人でした.「日本からは13人が参加しています」のアナウンスにはひと際大きな拍手とブラボーが寄せられました

出身国別メンバー紹介が終わると,パンチャスは

「ここにいる110人のメンバーは,6週間前にはお互いに初めて顔を合わせ,香港で3週間,リハーサル・キャンプでレッスンを重ね,その後,3週間の演奏ツアーを共にしてきました 今日がツアー最後のコンサートです.3週間前に初めて彼らが取り組んだのは(エルガーのエニグマ変奏曲の第9変奏)『ニムロッド』でした.この曲を最後に演奏したいと思います

と最後のアンコール曲を紹介し,演奏に入りました この曲はAYOのコンサートでは必ずアンコールとして最後に演奏される曲です.アダージョの感動的な曲で,演奏する側も聴く側も感傷的になる曲想です 多くの若者たちは涙目で最後の力を振り絞って渾身の演奏しています 演奏が終わると,何度もカーテンコールがあり,大きな拍手とブラボーが寄せられました

いよいよ解散となると,ステージ上の若者たちはすぐ近くの演奏者と握手をし,ハグをしていました 1日目のコンミスは中国出身,2日目は台湾出身で,ともに並んで演奏していましたが,二人は長い間ハグをして別れを惜しんでいました 音楽に国境はありません.音楽っていいですね 

AYOのメンバーの皆さん,今年も感動的な演奏をありがとう また来年も聴きに行きます

 

          

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