人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

藤江扶紀 ✕ 清水和音でモーツアルト「ヴァイオリン・ソナタK.304」、ベートーヴェン「ヴァイオリン・ソナタ第5番”春”」、同「ピアノ・ソナタ第23番”熱情”」を聴く ~ 芸劇ブランチコンサート

2024年08月08日 00時06分09秒 | 日記

8日(木)。わが家に来てから今日で3495日目を迎え、米大統領選で共和党候補のトランプ前大統領は6日、米起業家のイーロン・マスク氏と12日に大型インタビューするとSNSで明らかにした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     起業家同士の対談だから 何らかの取引が行われるんだろうが 私欲を捨てるべきだ

         

昨日の夕食は娘が外食だったのですが、時間的に余裕があったので1人分作りました 大学時代の友人S君が送ってくれた「鯖(全長30センチ!)を塩焼き」にして、「生野菜サラダ」「冷奴」「舞茸の味噌汁」を作り、「カツオのタタキ」と一緒に食べました 鯖は肉厚でとても美味しかったです

     

         

昨日、東京芸術劇場コンサートホールで「第49回 芸劇ブランチコンサート」を聴きました プログラムは①モーツアルト「ヴァイオリン・ソナタ ホ短調 K.304」、ベートーヴェン「ヴァイオリン・ソナタ第5番 ヘ長調 作品24 ”春”」、同「ピアノ・ソナタ第23番 ヘ短調 作品57 ”熱情”」です 演奏はヴァイオリン=藤江扶紀、ピアノ=清水和音です

藤江扶紀は大阪府出身。第80回日本音楽コンクールヴァイオリン部門第1位 東京藝大を経て、パリ国立高等音楽院を最優秀の成績で修了 2018年からフランスのトゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団のコ・コンサートマスター(Co-Soliste)を務めている

清水和音は1981年ロン=ティボー国策コンクール・ピアノ部門優勝 桐朋学園大学・大学院教授。2016年4月から年6回の室内楽シリーズ「芸劇ブランチコンサート」を開始した

     

この日も1階席を中心によく入りました

1曲目はモーツアルト「ヴァイオリン・ソナタ ホ短調 K.304」です この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)が1778年にマンハイム~パリで作曲した6つのヴァイオリン・ソナタのうちの1曲で、プファルツ選帝侯妃マリア・エリーザベトに献呈されました 数多くのヴァイオリン・ソナタの中で唯一の短調作品です ちなみに6つのヴァイオリン・ソナタ(K.301~K.306)のうち最後のK.306だけが3楽章形式で、他の5曲は2楽章構成で書かれています。第1楽章「アレグロ」、第2楽章「テンポ・ディ・メヌエット」の2楽章から成ります

第1楽章の藤江扶紀の どこか悲し気な演奏を聴いていて、小林秀雄がエッセイ「モオツァルト」の中で書いている「空の青さや海の匂いの様に、『万葉』の歌人が、その使用法をよく知っていた『かなし』という言葉のようにかなしい」という言葉を思い出しました これはモーツアルト「弦楽五重奏曲 ト短調 K.516」第1楽章について表現したものですが、K.304にも通じるところがあるように思います 第2楽章もメランコリックなメロディーが奏でられますが、藤江のヴァイオリンはどこまでも美しく、モーツアルトにそっと寄り添っているかのように響きます 終始落ち着いた素晴らしい演奏でした

ここでトークに入りました 今年1月のN響定期(ソヒエフ指揮)で藤江がゲスト・コンマスとして出演したことに関連して「N響でのコンマスはフランスの時と比べてどういう違いがありますか?」と訊かれた藤江は、「フランスでは、個々人が自由に弾いている感じですが、N響の時は、私が少し弾き方を変えると、後ろの人たちがそれに揃えるように集中してくるイメージがありました」と答えていました。清水は「N響のメンバーは優秀ですからね」と語っていました

なお、フランスのオーケストラの楽員たちのマイペースぶりは、クリスチャン・メルラン著「オーケストラ 知りたかったことのすべて」(みすず書房:全595ページ:6000円・税別)に詳細に書かれています 本書は”オーケストラ入門書”というべき書籍で、タイトル通りオーケストラに関する知識がすべて収録されており、面白いエピソードが満載の楽しい本です 本書の内容紹介と感想は2020年6月1日、2日、4日の3回に分けてtoraブログにアップしていますので、興味のある方はご覧ください

     

2曲目はベートーヴェン「ヴァイオリン・ソナタ第5番 ヘ長調 作品24 ”春”」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)が1800年から01年にかけて作曲しました 彼のヴァイオリン・ソナタでは初の4楽章構成となっています 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アダージョ・モルト・エスプレッシーヴォ」、第3楽章「スケルツォ:アレグロ・モルト」、第4楽章「ロンド:アレグレット・マ・ノン・トロッポ」の4楽章から成ります

冒頭は、さわやかな風が吹き抜けていくような、いかにも「春」のイメージにピッタリの演奏でした 藤江はどちらかというと控えめな演奏を心がけているようで、もっと自己主張してもよいのではないかと思いましたが、それが彼女の人柄なのかもしれないと思い直しました 第2楽章は藤江の流麗な演奏が素晴らしい 第3楽章は弾むような気もちの高ぶりを感じます。第4楽章は気品のある流麗な演奏が展開しました

2曲とも藤江の優しい人間性が現われた素晴らしい演奏でした 清水のピアノはナイス・フォローでした

     

最後の曲はベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第23番 ヘ短調 作品57 ”熱情”」です この曲は1804年から05年にかけて作曲されました 第1楽章「アレグロ・アッサイ」、第2楽章「アンダンテ・コン・モト」、第3楽章「アレグロ・マ・ノン・トロッポ ~ プレスト」の4楽章から成ります

第1楽章が緊張感に満ちた演奏で開始されます しばらくすると、低音部にベートーヴェン「第5交響曲」の”運命の動機”が聴かれます ダイナミックな演奏が続きますが、1803年夏にエラール社から贈呈された最新型のピアノの機能を意識して作曲されたことが大きな要因になっています この演奏を聴きながら、10年ほど前に東京オペラシティコンサートホールで聴いた「ブッフビンダー・ピアノ・リサイタル」を思い出しました プログラム後半にこの曲が演奏されたのですが、第1楽章の開始から5分も経たないうちに「バチン」という大きな音とともに、ピアノの弦が切れました 調律師が登場して15分くらいかけてやっと弦を張り替えて演奏が再開されましたが、「熱情ソナタ」というのは弦が切れるほどの激しい演奏が求められているんだな、と思ったものです

第2楽章を経て、第3楽章も力強いアグレッシブな演奏が展開します 久しぶりにベートーヴェンらしいベートーヴェンを聴きました

大きな拍手のなか、前半に演奏した藤江とともにカーテンコールが繰り返されました

今回をもって1階Ⅰ列24番の席ともお別れです

会場の東京芸術劇場が2024年9月30日から2025年7月中の間、設備更新工事のため休館となることから、「芸劇ブランチコンサート 清水和音の名曲ラウンジ」は今回を持って一旦終了となり、再開は約1年後となります なお、「芸劇ブランチコンサート ~ 名曲リサイタル・サロン」は9月25日「石田泰尚&實川風」まで実施されます

     


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