人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

若林顕+宮本文昭+東京シティフィルでラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」を聴く

2015年01月29日 07時01分08秒 | 日記

29日(木)。わが家に来てから124日目を迎え、ゲージュツ作品のモデルとして初めてお目見えしたモコタロです 

 

          

           ご主人さまがやっとカメラ機能をマスターしたよ      

 

  閑話休題  

 

昨夕、池袋の東京芸術劇場で東京シティ・フィルのコンサートを聴きました この公演は「都民芸術フェスティバル」の一環として開かれたもので、プログラムは①モーツアルト「歌劇”フィガロの結婚”序曲」、②ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」、③チャイコフスキー「交響曲第6番”悲愴”」です。指揮は東京シティ・フィル常任指揮者・宮本文昭、②のピアノ独奏は若林顕です

 

          

 

自席は2階L列54番、2階右ブロックの右のどん詰まりです。不幸なことに上に屋根(3階席の床下部分)があります。最悪のパターンです が、B席ですからしかたありません。会場は文字通り満席状態です

オケがスタンバイします。左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスというオーソドックスな態勢をとります この日は音楽監督の宮本文昭の指揮なのでこういうスタイルですが、この4月から宮本に代わって音楽監督に就任する高関健になったら、おそらく対向配置になるだろうと推測します。少なくともブルックナーやマーラーではそうなるでしょう

宮本文昭がいつも通り手ぶらで登場します。彼はタクトを使用しません。1曲目のモーツアルト「歌劇”フィガロの結婚”序曲」が軽快に始まります 短い曲の中に、モーツアルトはオペラ全体のエッセンスを集約しています。これほどワクワクする序曲も他にないでしょう

ピアノがステージ左サイドからセンターに運ばれ、ソリストの登場を待ちます。2曲目はラフマニノフの名曲「ピアノ協奏曲第2番ハ短調」です。若林顕が指揮者とともに登場し、ピアノに対峙します 重々しいピアノの和音が会場に響き渡ります。ソリストも指揮者も起伏の大きな音楽を展開します 宮本は相変わらず身軽なフットワークのもとオーバーアクションで指揮をします。1949年生まれなので60代半ばですが、その辺の若者には負けない”元気印”です この二人の組み合わせで聴くと、やはりラフマニノフのロマンチシズムは男性に演奏してほしいと思います 若林の演奏を聴くのは昨年暮れのベートーヴェンの「第9」のピアノ独奏版以来ですが、揺るぎない自信に基づいてスケールの大きな音楽を奏でました

会場一杯の拍手とブラボーに、リストの「コンソレーション第3番」を演奏し、クールダウンを図りました この曲も昨年暮れのリサイタルで演奏しましたが、ロマンティシズムの極致ですね

休憩後はチャイコフスキーの「交響曲第6番ロ短調”悲愴”」です。この”悲愴”というタイトルは、彼の弟・モデストの提案によってチャイコフスキー自身が命名したと言われています

再び宮本が登場、静かに開始の合図を送ります。コントラファゴットが暗いメロディーを奏でます。こんな曲を聴かされたら自殺者が出るのではないかと思うほど、とにかく暗い曲です その後は、クラリネットが素晴らしい演奏を展開します

第2楽章はワルツ風の曲ながらちょっとメランコリックな曲想に魅かれます。そして、第3楽章はアレグロ・モルト・ヴィヴァーチェの指示通り、行進曲のような勇ましい音楽が”前進”します

さて、ここで予想されるのは、第3楽章が圧倒的な迫力で終結するため、拍手が起こることです 宮本文昭は考えました。第3楽章のフィナーレで曲を終わらせ、スキを作らず、すぐに第4楽章を開始したのです。そうすることによって、オケの緊張感を持続させたのです

この曲の特徴は、楽章間の落差と言えます。第1楽章の”暗さ”から第2楽章の”ほのかな明るさ”へ、そして第3楽章の”楽天的とも言える快活さ”から第4楽章の”再びどん底に落ち込んだような暗さ”へ、という落差です 第3楽章から第4楽章への転換は”クライマックス”から”暗いMAX”へ、と言えるでしょう

チャイコフスキーは、この曲を作曲して約1か月後に自身の指揮によって初演しましたが、何とその9日後に急逝してしまいました。本人にとっては晴天の霹靂、悲愴だったことでしょう 言ってみれば、この曲はチャイコフスキーの人生の縮図のような曲だったのかも知れません

オケは客員コンサートマスターの松野弘明のリードのもと、渾身の演奏を展開しました 拍手に応え、宮本はクラリネット、コントラファゴットを立たせ、次いでコントラバス、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリン、第1ヴァイオリンの順に立たせ拍手を求めました これは良いことだと思いました。通常、コンサートでは管楽器ばかりが名指しで賞賛されます。しかし、弦楽器は数が多いので一人一人が目立たないだけで、相当頑張っているのです 自ら世界的なオーボエ奏者として長年活躍して賞賛されてきた宮本は、指揮をする立場から、思うところがあったのでしょう。終いにはオケの一番後ろに出向いて行き、女性クラリネット奏者の手を引いてステージの前方まで連れてきて拍手を求めていました 私も彼女の演奏は素晴らしいと思ったので大きな拍手を送りました

 

          

 

  閑話休題  

 

昨日聴いたCDはヨハン・シュトラウスⅡ世の喜歌劇「こうもり」です 演奏はカルロス・クライバー指揮バイエルン国立歌劇場管弦楽団です。キャストは、グンドラ・ヤノヴィッツ、ブリジット・ファスベンダー、ウォルフガング・ブレンデル他です CDジャケットには録音年月日の表示も、解説もないので、いわゆる一つの”海賊版”です 今夕新国立オペラでこのオペレッタを観るので、その予習です。時間の関係で全曲までは聴けませんでしたが、ひと通りBGM的に聴きました

カルロス・クライバーと言えば、1986年5月に横浜の神奈川県民ホールでバイエルン国立歌劇場管弦楽団を振った来日公演が忘れられません 当日のプログラムはベートーヴェンの交響曲第4番と第7番という最高のカップリングでした アンコールに演奏したヨハン・シュトラウスⅡ世のポルカ「雷鳴と電光」とともに、その華麗な指揮ぶりが目に焼き付いて離れません

 

          

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