人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

原田慶太楼 ✕ 川久保賜紀 ✕ 潤音ノクト ✕ 東京交響楽団で伊福部昭「ヴァイオリンと管弦楽のための協奏風狂詩曲」、ガーシュイン「ラプソディ・イン・ブルー」他を聴く~フェスタサマーミューザ

2024年08月13日 00時31分48秒 | 日記

13日(火)。わが家に来てから今日で3500日目を迎え、ロシアのプーチン大統領は12日、ウクライナ軍の越境攻撃の目的は「交渉でのウクライナの立場を向上させることだ」と指摘し、国境外に追い出すよう国防省に求めた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     ウクライナはロシアと同じことをやってるに過ぎない ロシアは一方的な侵略だけど

         

昨日、息子が夕食に「カツオの 夏野菜とブルーベリーソース乗せ」「シメジと玉葱と卵のスープ」「野菜と豆のサラダ」を作ってくれました 冷酒も息子が持ってきたものです 料理はプロ級で、とても美味しかったです

     

         

昨日、ミューザ川崎シンフォニーホールで「フェスタサマーミューザ フィナーレコンサート ~ 慶太楼が魅せる、新時代のファンタジア!!」を聴きました プログラムは①ムソルグスキー(R.コルサコフ編):交響詩「禿山の一夜」、②吉松隆「アトム・ハーツ・クラブ組曲 第2番 作品79a」、③伊福部昭「ヴァイオリンと管弦楽のための協奏風狂詩曲」、④デュカス:交響詩「魔法使いの弟子」、⑤ガーシュイン「ラプソディ・イン・ブルー」です このうち①と④はディズニーのアニメ映画「ファンタジア」(1940年制作)、⑤は「ファンタジア2000」の採用曲目です 演奏は③のヴァイオリン独奏=川久保賜紀、⑤のピアノ独奏=潤音ノクト(バーチャル・アーティスト)、指揮=原田慶太楼です

原田慶太楼は現在、サヴァンナ・フィル音楽・芸術監督、東京交響楽団正指揮者、愛知室内オーケストラ首席客演指揮者   2025年7月に米国デイトン・フィル音楽・芸術監督に就任予定

     

オケは14型で、左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対抗配置をとります コンマスはブレブ・ニキティンです。オーボエには育休明けの荒絵理子が現場復帰を果たしています 荒さん おかえりなさい! 仕事に育児に大変だと思いますが、イクジなしと言われないようにどちらも頑張ってください。応援しています

1曲目はムソルグスキー(R.コルサコフ編):交響詩「禿山の一夜」です    この曲はモデスト・ムソルグスキー(1839-1881)が1881年から83年にかけて作曲、1886年にサンクトペテルブルクで初演されました    作曲者の死後、リムスキー・コルサコフが管弦楽版に編曲して人口に膾炙するようになりました

交響詩の内容は、夜になると闇の神チェルノボグとともに魔物たちが現われて大騒ぎを繰り広げるというものですが、いかにも不気味な音楽が、ベルリオーズ「幻想交響曲」の第5楽章「魔女の夜宴の夢」のような音楽が、管弦楽によって薄気味悪く展開します メリハリの利いた素晴らしい演奏でした

2曲目は吉松隆「アトム・ハーツ・クラブ組曲 第2番 作品79a」です   この曲は吉松隆(1953~)が作曲した 1970年代ロックへのオマージュとでもいうべき作品です  「アトム・ハーツ・クラブ」のタイトルは、ビートルズの「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」やピンク・フロイドの「アトム・ハート・マザー(原子心母)」等のロックの名盤をブレンドして「鉄腕アトム」の10万馬力でシェイクするというコンセプトに由来するとのことです 第1曲「ピッツィカート・ステップス」、第2曲「アグレッシブ・ロック」、第3曲「ブラザース・ブルース」、第4曲「ラグ・スーパー・ライト」、第5曲「ミスターG・リターンズ」、第6曲「アトミック・ブギ」の6曲から成ります

管打楽器が退場し、弦楽セクションのみが残りますが、ヴァイオリン、ヴィオラの椅子が取り除かれ、立奏します

原田の指揮で演奏に入りますが、第1曲「ピッツィカート・ステップス」では聴衆に「指パッチン」の協力を求め、聴衆参加型公演の意図が垣間見えました 第2曲以降も乗りの良い演奏が続きますが、最後の第6曲「アトミック・ブギ」ではほんの一瞬「鉄腕アトム」の主題歌が顔を見せ、「ここは高田馬場か」と戸惑いました この曲でも原田は、最後の場面で聴衆に手拍子を求め、聴衆参加型公演の意図にとどめを刺しました この日の聴衆は「ノッテル・ノッテル・ノッテル・ノッテル・ヤマハメイト♬」のように乗りやすいタイプだったようで、嬉々として手拍子に興じていました 原田屋、おぬしも悪よのう

3曲目は伊福部昭「ヴァイオリンと管弦楽のための協奏風狂詩曲」です この曲は伊福部昭(1914-2006)が1948年に初演したヴァイオリン協奏曲を改変し1971年に完成した作品です 第1楽章「アダージョ~アレグロ」、第2楽章「ヴィヴァーチェ・スピリトゥオーソ」の2楽章から成ります

ヴァイオリン独奏の川久保賜紀は2001年サラサーテ国際ヴァイオリン・コンクール優勝、2002年チャイコフスキー国際音楽コンクール最高位 2018年より桐朋学園大学院大学教授を務める

協奏曲のため弦楽器は12型に縮小し、再び弦楽セクションの椅子が並べられます(どうしてこんな面倒なことをしたんだろう?という疑問が若干あり)。

川久保が赤のゴージャスな衣装で登場、原田の指揮で第1楽章に入ります 前半は川久保のソロが”嵐の前の静けさ”のように奏でられますが、アレグロに移るとオケにより「ゴジラ」のテーマが勇壮に演奏され、民族の血がたぎります 第1楽章が力強く終結すると、2階席から拍手が起こりました 指揮台から後ろを振り返った原田は、「拍手してもいいんですよ」と語りかけました。これには拍手した人たちは救われた思いをしたのではないかと思います 私は長い間、楽章間の拍手は避けるべきだと考えてきました。しかし、ある指揮者が「楽章間で拍手が起こることは、むしろ演奏する側からすれば喜ばしいことです。なぜなら、これまでコンサートに来たことがない人が初めて聴きに来てくれた可能性があるからです」と発言したのを何かで見て、「もっともだ」と思いました 演奏が良いと思ったら楽章間であっても拍手をして良いのだと思います ケイタロウ、ナイス・フォローでした さて、演奏の話に戻すと、第2楽章の川久保のカデンツァは聴きごたえがありました 久しぶりに伊福部昭を聴きましたが、やっぱりいいなあと思います

満場の拍手とブラボーが飛び交い、カーテンコールが繰り返されたのは言うまでもありません

     

プログラム後半の1曲目はデュカス:交響詩「魔法使いの弟子」です この曲はポール・デュカス(1865-1935)が1897年に作曲、同年パリで初演されました ストーリーは、魔法使いの弟子が師匠の留守中に、うろ覚えの呪文を箒にかけて大失敗するというものです

弦楽器は14型に戻ります

原田の指揮で演奏に入ります 演奏を聴きながら、子供たちが小さい頃にレーザーディスクでよく観たディズニーのアニメ映画「ファンタジア」の中で、ミッキーマウスが魔法使いの弟子になって奮闘するシーンが目に浮かびました ファゴットの演奏が素晴らしかったです

最後の曲はガーシュイン「ラプソディ・イン・ブルー」です この曲はジョージ・ガーシュイン(1898-1937)が作曲、1924年に初演された「ジャズとクラシックの手法が融合したシンフォニック・ジャズ」の代表作です 初演時にはジャズ・バンド向けの編成で演奏されましたが、後にファーディ・グローフェがオーケストラ用に編曲してクラシックのレパートリーに定着しました

ピアノ独奏の潤音ノクト(うるね のくと)は KADOKAWA ✕ dwango、東京交響楽団の特別監修によるプロジェクト「ポルタメタ」の第1弾オーディションを通過したバーチャル・アーティストです

ステージの背面と上手と下手の出入り口近くに巨大スクリーンが計3台設置され、バーチャルのグランドピアノが映し出されています 舞台袖近くでは配信用テレビカメラが指揮者とオケを捉えています 当然、本物のピアノは舞台上にはありません 原田が今回の企画について説明し、スクリーンにバーチャル・アーティストの潤音ノクトが登場します リアルタイムで演奏することを証明するため、原田はノクトと会話し(ノクトは男声だった)、ノクトと聴衆のじゃんけんを提案します 原田が「じゃんけんぽん」と合図するとノクトはチョキを出しました。聴衆はそれぞれですが、私はグーを出しました。そして、画面の中のノクトはピアノ椅子に座り指揮者の合図を待つことになります

原田の指揮で演奏に入りますが、冒頭のクラリネットの演奏が素晴らしい やがてバーチャル・アーティストのノクトが指揮に合わせてピアノを弾く映像が流れます これはリアル・タイムです 原田の解説を自分なりに翻訳すると、数多くの応募者の中から厳しいオーディションを通して選んだアーティストが、会場とは別の場所で実際にピアノを弾いて、それをバーチャル映像化したアバターのようなキャラクターがスクリーンの中で演奏する・・・ということになります 細かな指使いなどが実にリアルです コロナ全盛期の定期公演で、東京交響楽団はジョナサン・ノットがベートーヴェン「第3交響曲」を指揮する録画映像を観ながら演奏するという実験をやり遂げましたが、それとは次元が異なります 録画ではなくリアルなコラボです 唯一残念なのは本当にピアノを演奏しているピアニストは名前もバックボーンもあるのに、だれも知らないということです

いずれにしても、原田は常に何か新しい試みをフェスタサマーミューザで仕掛けてきますが、未来志向の姿勢は素晴らしいと思います

カーテンコールが繰り返されますが、バーチャル・アーティストも画面に登場して一礼して退場したりします 貴重な経験が出来た楽しいフィナーレコンサートでした

     

     

     


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 藤岡幸夫 ✕ 務川慧悟 ✕ 東京... | トップ | 中山七里著「能面検事の奮迅... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事