人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

インキネン+日本フィルでマーラー「交響曲第7番ホ短調」を聴く~アフターコンサートも

2014年11月16日 08時56分57秒 | 日記

16日(日)。わが家に来てからちょうど50日目を迎えたモコタロです 

 

          

          このベルリンの壁を越えて自由を求めたいんだけど・・・・

 

  閑話休題  

 

昨日、サントリーホールで日本フィルの第665回東京定期演奏会を聴きました プログラムは①シベリウス「交響詩”大洋の女神”」、②マーラー「交響曲第7番ホ短調”夜の歌”」で、指揮は日本フィル首席客員指揮者のピエタリ・インキネンです

 

          

 

プレトークがあるのを知らないでサントリーホールに着くと、すでに場内からトークらしき声が聞こえてきました 途中から聞いても中途半端になるので、ホワイエでコーヒーを飲みながらプログラムを読んで”予習”することにしました

自席は2階C11列13番、センター左ブロックの通路から2つ入った席です。会場は8割方埋まっている感じです オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといったオーソドックスな態勢をとります。コンマスは客員で、2012年から仙台フィルのコンマスを務める西本幸弘というヴァイオリニストです

1曲目のシベリウスの交響詩「太陽の女神」は1914年、アメリカのコネティカット州で開かれたノーフォーク音楽祭のために委嘱された作品で、同年6月4日にシベリウス自身の指揮で初演されたとのことです シベリウスがアメリカに渡っていたとは初めて知りました。ドビュッシーの海とは違ったシベリウス特有の曲想で、寄せては返す波の様子が描かれています

 

          

 

約11分の演奏の後は15分の休憩です。まあ、この辺は仕方ないところでしょうか 休憩後は待ちに待ったマーラーの交響曲第7番です。この曲は5楽章から成っていますが、第3楽章のスケルツォを中央にして、その両側(第2、第4楽章)に「ナハトムジーク」(夜曲)とマーラーが名付けた楽章が置かれ、最初と最後の両端楽章に大規模な楽章が置かれる、シンメトリックな配列になっています

解説によると、マーラーは「ナハトムジーク」と呼んだ第2楽章と第4楽章を最初に作曲し、後から残りの3つの楽章を書いたようです

インキネンのタクトで第1楽章が開始されます。冒頭、ホルン(ユーフォニウム)によって不穏な雰囲気の主題が奏でられます。しばらくインキネンの指揮ぶりを観ていましたが、ずい分、頭や身体を動かす指揮者だな、と思いました チョン・ミュンフンのように、静から動へ移る際に、メリハリを付けてビシッと決めるというよりも、常に一連の動作の続きとして流れを作って行くような指揮をします したがって”常に動いている”という印象を強く受けます 第2楽章は森の中に迷い込んでしまったような不安を抱かせる印象の音楽です。第3楽章は一転、不気味なワルツです。まるでベルリオーズの「幻想交響曲」の終盤に登場する魑魅魍魎が踊っているかのような音楽です

第4楽章「ナハトムジーク」は2台のハープ、マンドリン、ギターが登場し、モーツアルトの「ナハトムジーク」を想起させますが、ハープとマンドリンはまだ良いとして、ギターはまったく目立ちません 最初にオケを見渡した時、どこにギターとマンドリン奏者がいるのか、まったく分かりませんでした。なぜマーラーは大管弦楽の中でたった1本のギターを採用したのか?理解に苦しみます よほど指揮者がバックのオケの音を抑えて演奏しないと、アコースティック・ギターの音は殺されてしまいます 目で見ることによってその楽器の音が聴こえることもあるので、せめてギター奏者とマンドリン奏者は指揮者の真ん前に座らせるとか、視覚的効果を狙った方が良いように思います

さて、最後の第5楽章はロンド・フィナーレです。それまでの4つの楽章の世界をすべて打ち破り、いきなりティンパ二が炸裂して管弦楽が音の行進を始めます はっきり言って、これは”勝利宣言”です しかし、マーラーは何に対して勝利を宣言したのか?私には分かりません

最後の音が鳴り終るや否や、会場後方からブラボーがかかり、大きな拍手が続きました こうして生でマーラーを聴き終えて、やっぱりマーラーは素晴らしいなと思いました。家の中でチマチマと聴く音楽ではありません 「10枚のCDよりも1回のコンサートを!」このキャッチフレーズはマーラーやブルックナーにこそ相応しいと思います

終演後、何と「アフタートーク」がある、というので自席に座って待つことにしました 日本フィルはプレトークあり、アフタートークあり、と会員獲得のため様々な仕掛けをしているようです。どこのオーケストラも生き残りのために大変ですね

 

          

 

かなりの聴衆が席に残っています。おそらく2階席の人たちを一階に集めたらすべての席が埋まってしまうのではないか、と思われるほど多くの人がインキネンの再登場を待ちます 待っている間、プレトークを担当した音楽評論家のオヤマダ・アツシ氏が登場し、

「インキネンさんは、いま演奏を終えたばかりなので、シャワーを浴びさせてくれということなので、しばらくお待ちください」(会場

と話し、つなぎとして、インキネンがタクトをとって日本フィルを振る今後のコンサートの聴きどころを紹介しました 来年4月にカナダのピアニスト、アンジェラ・ヒューイットを迎えてブラームスのピアノ協奏曲第1番を弾くコンサートはブルックナーの交響曲第7番とのカップリングで非常に魅力的です 是非聴きに行こうと思います。ヒューイットと言えばバッハとかショパンのイメージが強いのですが、その彼女がブラームスをどのように演奏するのか、また、彼女はスタインウェイではなくファツォーリを弾くのかどうか、これも楽しみです

さて、拍手に迎えられてインキネンがカジュアルなジャケット姿で登場します 女性の日英通訳を介してオヤマダ・アツシ氏のインタビューが始まります。とっかかりに、インキネンがラーメン好きという情報があることについて質問します

オヤマダ(以下・オ)「インキネンさんはラーメン好きと聞いていますが、どこのラーメンが一番お好きでしょうか

インキネン(以下・イ)「日本フィルと九州ツアーに行った時に出会ったラーメンの味が最も良かったです

オ「インキネンさんが日本フィルの首席客員指揮者になられて6年が経って、この日のコンサートが38回目の組み合わせとなりますが、日本フィルについてどのように思いますか

イ「日本フィルと最初に演奏したのはチャイコフスキーの交響曲第4番だったのですが、演奏後、客員指揮者のオファーをもらい、喜んで引き受けることにしました あれから6年も経って、今日38回目のコンサートを迎えたのですか・・・・速いものですね

オ「今回のようなシベリウスとマーラーの組みあわせによるプログラムを日本フィルと演奏することについては、どういう意図がありますか

イ「シベリウスとマーラーはほぼ同時代に活躍した作曲家です。シベリウスは渡邉暁雄さん時代から日本フィルの重要なレパートリーでしたし、私の母国フィンランドの作曲家です そうした馴染みの深い作曲家シベリウスの小曲と同時代の作曲家マーラーの大曲を組みあわせて演奏することによって、二人のコントラストを聴き比べていただければと思います

オ「これからの予定としてブルックナーの第7番を指揮するコンサートがありますが、ブルックナーというと、男子トイレに行列が出来るというジンクスがあるほど、女性には不人気です 女性の聴衆にも分かり易くブルックナーの良さを説明していただけませんか

イ「えっ、そうなんですか?そんなジンクスがあるんですか?ブルックナーの音楽は美しいですどうか、男性だけでなく奥様をお連れになってコンサートにお出かけください

インタビューを通じて、インキネンは非常に生真面目な人という印象を持ちました プレコンサートは、これから聴くコンサートの”聴きどころ”を把握するのに役立つと思いますが、アフターコンサートは演奏したその人の人柄や姿勢を知るのに役立ちます 日本フィルのこうした取り組みは他のオーケストラも見習ってもいいと思います

 

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