人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

アンソニー・ホロヴィッツ著「ヨルガオ殺人事件」(上・下巻)を読む ~ モーツアルト「フィガロの結婚」も真相解明のヒントに

2021年11月03日 19時25分27秒 | 日記

3日(水)。わが家に来てから今日で2489日目を迎え、世界の環境団体でつくる「気候行動ネットワーク」は2日、地球温暖化対策に後ろ向きな国に贈る「化石賞」に日本を選んだと発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     岸田首相がCOP26で石炭火力発電の廃止に言及しなかったからな  さあどうする?

     

         

 

昨日、夕食に「鯖の塩焼き」「マグロの山掛け」「生野菜サラダ」「もやしの味噌汁」を作りました 鯖は脂がのって美味しかったです

 

     

 

         

 

アンソニー・ホロヴィッツ著「ヨルガオ殺人事件(上・下巻)」(創元推理文庫)を読み終わりました 著者のホロヴィッツはイギリスを代表する作家。ヤングアダルト作品「女王陛下の少年スパイ!  アレックス」シリーズがベストセラーになる アガサ・クリスティへのオマージュ作品「カササギ殺人事件」は「このミステリーがすごい!」大賞、「本屋大賞」(翻訳小説部の門)の1位に選ばれるなど、史上初の7冠を達成 「メインテーマは殺人」「その裁きは死」でも年末ミステリランキングを完全制覇した

 

     

 

「カササギ殺人事件」で編集者として登場したスーザン・ライランドは、その2年後の2016年にロンドンを去り、ギリシア人のパートナー、アンドレアスと共にクレタ島でホテルを経営している しかし、経営は赤字続きだった そんな折、イングランドのサーフォーク州で高級ホテルを経営する裕福なトレハーン夫妻がスーザンを訪ねてくる。そのホテルは8年前にフランク・パリス殺人事件が起きた場所だった。犯人は収監中だが、夫妻の娘セシリーが、アラン・コンウェイの旧作「愚行の代償」を読んで、8年前の事件について何かに気づいたことを示唆する電話をかけてきた。ところが、その直後に彼女は失踪する トレハーン夫妻は、「愚行の代償」の編集者だったスーザンに、セシリーが何に気づいたのかを調べてほしいと言うのだった スーザンは高額の報酬に惹かれ、夫妻の経営するホテル「ブランロウ・ホール」に向かう アラン・コンウェイは「愚者の代償」を書くにあたり、同ホテルの関係者をモデルに描き、行間から殺人事件についても何かに気づいているように思えた スーザンは8年前の殺人事件とコンウェイの足跡を探るべく、ホテルの関係者への聞き取りを進める そして、ヒントを求め「愚行の代償」の再読に取り掛かる 物語は1953年の時代設定で、一世を風靡した女優メリッサ・ジェイムスが、田舎に構えた邸宅で何者かに殺されるが、事件発生後、私立探偵アティカス・ピュントが登場し、真相解明に奔走するという内容である スーザンは「愚者の代償」の中にセシリーが気づいた真相を見出すことができるのか? そして失踪したセシリーはどこに行ったのか

 

     

 

「カササギ殺人事件」を読んだとき「してやられた!」と思いましたが、この「ヨルガオ殺人事件」でも「またしても、してやられた!」と感服しました

上の「あらすじ」でもご紹介したように、本書は作品の中にもう一つの作品が組み込まれていて、複層的にストーリーが展開します 本作は上・下巻合わせて854ページの長編ですが、そのうち「作中作」である「愚行の代償」は373ページ(全体の44%)を占めています 目を凝らして「愚者の代償」を読んでヒントをつかもうとしても、さっぱり見当がつきません それもそのはず、最大のヒントは本文にはなかったからです これが「してやられた!」の原因です

一方、あらためて気が付くのは「愚者の代償」の中でメリッサの夫フランシス・ペンドルトンが「オペラ『フィガロの結婚』を観に行く」と嘘を言うシーンと、本文の中で、ホテル「ブランロウ・ホール」で殺されたフランク・パリスがセシリーに「『フィガロの結婚』を観に行くつもりだ」と嘘を言っていたというシーンは、同じオペラがフィーチャーされている点で、意味をもっています これについては、スーザンが最後に謎解きをするシーンで次のように語ります

「さて、『フィガロの結婚』とはどういう話でしょうか? これは放蕩者の貴族アルマヴィーヴァ伯爵を巡る物語です 伯爵は妻の小間使いの一人に目を付けているけれど、その小間使いスザンナは、フィガロと結婚しようとしています。そこで伯爵は、まさに結婚式の夜に、”初夜権”を行使してスザンナとの一夜を楽しもうと目論むのです(中略)フランクは自分をアルマヴィーヴァ伯爵に見立てていたのではないでしょうか。フランクがたまたま訪れた『ブランロウ・ホール』で、昔馴染みの男娼と出くわしたところを想像してみてください。かつて、何度も金で思うようにしてきた男娼。でも、今やそのレオは、日の当たる世界にのし上がろうとしていたのです(以下省略)」

とにかく、怪しい人物が、あるいは単独で、あるいはペアで次から次へと登場してスーザンと対峙しますが、「最も意外な人物が犯人である」という先入観を覆すストーリー展開に唖然とします 時間が経つのを忘れるほど夢中になって読み進めること必須です。お薦めします

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする