goo blog サービス終了のお知らせ 

今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

20mm f3.5は問題が多いの巻

2023年04月09日 10時00分00秒 | ブログ

ボールドウィンはジャンクで入手した時すでに後部のスカートというかカプラー取付けのプレートが欠品していたのでした。そこで、今回使用する朝顔カプラーに合わせて取付孔を開けて製作しました。

 

半田付けの前に仮にネジ留めをしてみます。プレートがスッキリし過ぎのようにも感じますのでリベットを植えた方が良いかも知れません。この個体は木曽森林鉄道7号機のエッチング表現がされていますが、本物は製造国のアメリカの博物館に寄贈されて里帰りをしているとのことです。

 

20mm f3.5はレンズが曇りやすいのが持病ですが、この個体の場合はカビと正体不明の黒い異物が見えます。

 

レンズを分解してみます。

 

 

黒い異物はレンズの墨塗りをしてある塗料の剥離です。少し剥がれている個体は多いですが、ここまで盛大なものは少ないです。

 

墨塗りとレンズの清掃をしました。後玉のコーティングがやられています。もう少し早ければ助かりましたが・・しかし、定番のレンズの曇りは無く、まずまずのコンデションになったと思います。

 

私のところにもレンズが白く曇る20mm、25mmが有って手を焼いています。忙しさにまみれているといつの間にか曇っているという状態。これから夏に向かって高温多湿になりますから、所有されている方は定期的に点検することをお勧めします。

トミーのリペイント (sakura.ne.jp)

 

 

 

 

 

 


初期型かなぁPEN-Fの巻

2023年04月06日 20時30分00秒 | ブログ

PEN-F #122686 ですけどね。PEN-Fの製造開始は1963年9月とのことですが、この個体は1964年1月ですので生産開始から半年経過しているので極初期型ということではないですが、まぁ、前期型かな? 正直なところ実用するのなら初期型を選ばなくともと思いますが、オーナーさんは複数の個体を所有されていますので前期型コレクションということで・・アンダーカバー中央にへこみがありますので修正をしておきます。

一応未分解のようです。

 

 

マウントを外すと調整シムが全点に入っています。まだ部品精度が安定しないころですからね。

 

巻き上げもシャッターも切れない。のレバーが上がって(下がってか)いないので巻き上げが完了していないことが分かります。

 

分解をしてシャッターユニットを点検します。巻上げの最後のところはブレーキしろですが、に隙間がありますね。ブレーキの固着により最後までチャージ出来ていないということです。

 

ほう、珍しいですね。アイドルギヤにオートバイのスプロケットのように「軽め孔」が開けられています。私もあまり見ませんので、初期の短期間に使用されたものかと思います。余計な加工ですから工数の無駄で廃止されたのでしょう。

問題のブレーキです。Oリングがホルダー部分を激しく腐食させていて、それによってブレーキが動かないのです。

 

分解してみました。ホルダーの錆を研磨してから新しいOリングを嵌めます。

 

 

本体の方は洗浄の上スプロケット軸から組み立てて行きます。

 

 

前期型の巻上げ部分はクラッチのバネが三極モーターのコアのようなリン青銅の板バネになっています。わざわざ難しい設計にしているなぁと思います。単純にコイルバネの方がと思いますが、中期以降からコイルバネ式に変更されます。

さすがにFの前期シャッターはグリスまみれで、それが固着して洗浄するのに時間がかかります。

 

シャツターユニットを本体の組み込んでロアーギヤで繋いで作動を見ます。工場で塗布されているネジ頭の緩み止めは1本づつ溶剤で除去しているのできれいでしょ。

 

ブレーキは新しいOリングで組んで調整をしてあります。

 

 

現存のFは殆どプリズムに腐食があるんですね。これだと全反射ミラーは交換するかなぁ?

 

全反射ミラーは腐食はありますが、プリズムの腐食もありますので、このまま再使用をします。

 

前期型ではありますが、消耗は少なく確実な作動をしています。ブレーキのOリングはゴムの変質によりリングを激しく腐食させて作動不良となる個体が多いと思います。メーカーも、こんなに長期に使用されるとは想定していなかったでしょうね。

で、Fの組立が終ったので少し遊びます。本物ではカプラーは排障器の中心に取り付けられていますが、ほぼ自由形のこのモデルでは、客車などとのカプラー高さを合わせるため、排障器の上にダミーのグローブカプラーが取り付けられていました。(たぶん)今回はモデルワーゲン製の朝顔カプラーを加工して排障器の中心に来るようにして、コの字型のカプラーカバー(ポケット)を製作の上ネジによりカプラーと共締めとすることにしました。

これが組み立てたところ。どうせダミーですし客車などとは連結しない単機回送運転ですからこれで良いです。次は後部のカプラーを取付けなければなりません。

 

トミーのリペイント (sakura.ne.jp)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


たまの日曜日の巻

2023年04月02日 22時00分00秒 | ブログ

考えてみましたら一年で一日もお休みを頂いたことがありません。じゃあ、今日の日曜日は鉄道模型を作るぞと始めて見たものの・・まずは片側が摩耗をして折れた集電ブラシを作ります。紙に集電ブラシをゴム印のスタンプにつけて型を取ります。

0.2mmのリン青銅板から幅1mmに切り出した帯板を型紙から製作した簡易の治具に嵌めてオリジナルと同じ形状に成形しました。それを半田付けしたところ。前照灯も半田付けしました。250Wの大型を選びましたら似合っていますね。

 

当時は完成品とキットが発売されていましたが、この個体は未塗装キットの組立です。初期型のようで動輪はボックス型(集電側は中心はベーク)になっていますが、後のタイプは画像のスポーク輪になりました。この動輪は20年位前にデッドストックを入手していたもので、当時はレール幅がHOの16.5mmとナローの10.5mmが発売されており、入手したのは10.5mmの方でした。集電ブラシにより動輪タイヤ部分が摩耗をしていますので、いずれプレスで入れ替えようと思っています。

ここで問題発生。モーター側からウォームギヤを回してみると、あるところでカツッと動輪の回転が止まってしまいます。点検すると、かなり走り込まれたと見えて、ロッドのピン孔が偏摩耗をしています。これにより前輪の回転が僅かに足りなくなってロックをしてしまうのです。よく見るとロッドをペンチのようなもので潰そうとした形跡があります。ロッド長を伸ばしたかったのでしょう。さて、面倒な・・

午後になって宅配便が届きました。中古店様から緊急の修理です。ローライ35と35Sです。こうやって並べてみるとローライ35とボールドウィンって見てません?

 

故障内容は、メーターのオレンジ針が動かないというもの。これは多い故障のようです。絞りとシャッタスピードから来るリンケージの部分が外れてしまうのです。接触部分の幅が狭いので急激な操作の場合外れやすいのだと思います。

ファインダーも曇っていますので清掃しました。

 

 

結局、あっちこっち気になるところが多いので、オーナーさんに確認して頂いてオーバーホールとなりました。あ~ぁ、日曜日が・・

 

こちらはローライ35Sですが、沈胴の作動が緩いので調整せよ。とのことです。調整には沈胴チューブを分離してフェルトを調整することになりますが、のようにローライ35でしたらシャッターユニットを分離すれば比較的簡単にチューブを取り外すことが出来ますが、ローライ35Sはレンズが直進ヘリコイドでチューブの内径にもヘリコイドねじが切られているので、そう簡単には分解出来ません。同じ症状の修理でも工数(工賃)が大きく異なるのです。

このローライ35Sは同じくオレンジ針が動かない症状ですが原因が異なります。よく見るとのラックギヤの端部が下方に曲がっており、左側に戻れなくなっています。これは見逃してしまいますね。いろいろな故障原因があるものです。

 

トミーのリペイント (sakura.ne.jp)

 

 

 

 

 


色入れ黄ばみのPEN-FTの巻

2023年04月01日 15時00分00秒 | ブログ

底部に「PASSED」が貼られていますので輸出されたPEN-FT #3049XX(1969年8月製)の里帰り機のようです。特に不具合は無いようですので書くことも無いとは思いますが・・あぁ、未分解と思いましたがシボ革が再接着されているので分解されていますね。

シャッターユニットとシャッター幕が分離された形跡がありました。さて、何をしたのでしょう? シャッターユニットの方はチャージギヤ軸も摩耗も少なく問題は無いので洗浄と注油をして行きます。

 

途中飛ばします。完成したシャッターユニットを洗浄した本体に取り付けます。

 

プリズムのコーティングは良好(北米辺りにあった物は)です。しかし、カビがありますね。フレネルレンズと共に清掃をして行きます。

 

国内現存機の殆どの個体は接眼プリズムのコーティングがやられているのですが、この個体は非常にきれいです。やはり気候の差でしょうか。

 

接眼のアイビースが割れていますのでリプロ新品と交換しておきます。

 

 

セルフタイマーはクラッチの動きが悪くレバーが真上に止まらないので修理をしました。ハーフミラーも交換です。

 

露出計の調整をしていると「あれっ?」突然針の振れが小さくなる現象があります。探って行くと基板からの緑線を動かすと針が振れます。この緑線はシャッターダイヤルの動きに連動してメーターコイルが動くので、追従するため特殊な柔らかい線材で出来ています。線間の疑似断線は無いようですので、両端の半田に熱を入れてみます。しかし、問題はコイル側の接触抵抗が原因のようです。

これでメカ部の組立完成。

 

 

最後の問題は、トップ面の「PEN-FT」の白の色がシューの取付ゴムにより茶色に変色していることです。その部分に紙ヤスリを掛けた形跡があります。何もしない状態で来て欲しかったです。

 

デジカメがホワイトバランスを自動調整してしまうので本来の色で写りません。実際はもっと茶色です。