梅雨はどこへ行ったのでしょうね? 近年はいつの間にか梅雨明けということが多くなったような。まぁ、スーパーへの買い物軽はエアコンが効くようにしたので良いですが・・カメラ店様経由でPEN用ズイコー38mmパンケーキが来ていました。きれいな個体で未分解機かと思いましたがネジのスリ割が痛んでいるので分解されています。
レンズはホコリ程度で良好です。パンケーキの泣き所ヘリコイドが重いのでグリスを入れ替えます。絞り羽根に僅かに油が浸透していますので洗浄します。
絞りクリック用の1/16スチールボールが錆びていましたので新品に交換します。
本題。PEN-S3.5 #1391XXですけど本来は使用が少なく程度は良いはずの個体ですが、シャッターダイヤル(カム)のメッキが異常に腐食しています。
すでに同じ機種をご使用中のご常連さんがレンズの程度の良い個体を入手されてオーパホールをご希望です。確かにバルサム劣化は少ないですが、前玉のレンズホルダー部にも腐食が発生しています。
この個体は恐らく最近修理を受けていると思いますが、気になるのはネジのスリ割が痛んでいて、→のネジは斜めに強引に締められています。
回り止めのネジロックなど、私の作業と似ているような気がします。
内部の色が何となく変。綿棒で拭くと黒く付着して来るので黒鉛やモリブデンなど滑りを良くする目的で付着させているようです。調子の出ないシャッターなどでは最終手段として使うことはありますが、私は基本的にメーカーが組立をしたのと同じ手法で組みたいと思っていますので通常は使いません。
ターミナルの半田付けは外れることが多いですが、この個体も再半田をされています。しかし、半田量が多すぎで盛り上がっており、収容部分が狭いのでショートの危険もあるためやり直してから組みます。
巻き戻し側のネジですが、ご覧のように斜めに締め込まれておりネジ山を壊しています。これを修正をしてネジは良品と交換して組みます。
ファインダーの前面ガラスなど、古い接着剤を取り去らずに接着をされていましたので、すべて取り除いてから接着をします。
駒数軸部の真鍮ワッシャーも異常に酸化していますね。どんな環境に置かれていたのでしょう。
下地メッキの銅メッキが露出したものか? それとも母材の真鍮が酸化したものか? この部品はコパル担当かも知れませんが、メッキが悪いのは有名な話です。
巻き戻し軸部は改良型になっていますが、トップカバーを閉めてもピンセット先のカラーが固定されず空回りしてしまいます。これですとダンパーグリスを塗布して組んでも意味がありません。本来は調整用のワッシャーが入っていたはずで、途中で無くされているのです。画像は調整ワッシャーを入れたところ。これで巻き戻し軸にダンパーが利きます。
まぁ、手汗のすごい人がオーナーだったのでしょうか。修理をされた方も知識と技量はある方と拝察しますが、作業が少し乱暴のように思います。