PEN-F #122686 ですけどね。PEN-Fの製造開始は1963年9月とのことですが、この個体は1964年1月ですので生産開始から半年経過しているので極初期型ということではないですが、まぁ、前期型かな? 正直なところ実用するのなら初期型を選ばなくともと思いますが、オーナーさんは複数の個体を所有されていますので前期型コレクションということで・・アンダーカバー中央にへこみがありますので修正をしておきます。
マウントを外すと調整シムが全点に入っています。まだ部品精度が安定しないころですからね。
巻き上げもシャッターも切れない。↘のレバーが上がって(下がってか)いないので巻き上げが完了していないことが分かります。
分解をしてシャッターユニットを点検します。巻上げの最後のところはブレーキしろですが、↗に隙間がありますね。ブレーキの固着により最後までチャージ出来ていないということです。
ほう、珍しいですね。アイドルギヤにオートバイのスプロケットのように「軽め孔」が開けられています。私もあまり見ませんので、初期の短期間に使用されたものかと思います。余計な加工ですから工数の無駄で廃止されたのでしょう。
問題のブレーキです。Oリングがホルダー部分を激しく腐食させていて、それによってブレーキが動かないのです。
分解してみました。ホルダーの錆を研磨してから新しいOリングを嵌めます。
前期型の巻上げ部分はクラッチのバネが三極モーターのコアのようなリン青銅の板バネになっています。わざわざ難しい設計にしているなぁと思います。単純にコイルバネの方がと思いますが、中期以降からコイルバネ式に変更されます。
さすがにFの前期シャッターはグリスまみれで、それが固着して洗浄するのに時間がかかります。
シャツターユニットを本体の組み込んでロアーギヤで繋いで作動を見ます。工場で塗布されているネジ頭の緩み止めは1本づつ溶剤で除去しているのできれいでしょ。
現存のFは殆どプリズムに腐食があるんですね。これだと全反射ミラーは交換するかなぁ?
全反射ミラーは腐食はありますが、プリズムの腐食もありますので、このまま再使用をします。
前期型ではありますが、消耗は少なく確実な作動をしています。ブレーキのOリングはゴムの変質によりリングを激しく腐食させて作動不良となる個体が多いと思います。メーカーも、こんなに長期に使用されるとは想定していなかったでしょうね。
で、Fの組立が終ったので少し遊びます。本物ではカプラーは排障器の中心に取り付けられていますが、ほぼ自由形のこのモデルでは、客車などとのカプラー高さを合わせるため、排障器の上にダミーのグローブカプラーが取り付けられていました。(たぶん)今回はモデルワーゲン製の朝顔カプラーを加工して排障器の中心に来るようにして、コの字型のカプラーカバー(ポケット)を製作の上ネジによりカプラーと共締めとすることにしました。
これが組み立てたところ。どうせダミーですし客車などとは連結しない単機回送運転ですからこれで良いです。次は後部のカプラーを取付けなければなりません。